第8話:君の仕草はかわいらしい
その後僕は教室に戻ったけど、やっぱり屋上の警備薄いなぁ。先生がいる訳でもないし。
「おっと、屋上のこと考えてたね?」
心を読まれた…だと…?
「勘で言ったのにそんなに険しい顔しないでよ!」
なんだ勘か。普通にビビった自分が恥ずかしくなったな。
「てか、席隣りだったんだね。」
「席替えしてから1ヶ月経つのに今さら?」
「……わかって言ってるな?」
1ヶ月入院してる僕が知るわけないだろ。
「それはどうかな?」
そう言ってまたあの笑顔を見せた。本当にその笑顔だけは子供らしいな。
「あ、今失礼なこと考えたでしょ。」
やっぱり心よんでるよね?この人。
「ほら、授業始まるよ。」
「はぐらかした。どうせ授業寝てるクセに」
楓さんは頬を膨らます。さっきの笑顔といい、たまに小さな子みたいな仕草をするのはどうしてなのだろう。
そう思うと体が睡魔に襲われて目が開かなくなってくる。────あれ、また寝てたのか。
「今何時………って、誰も居ない?」
時計を見ると短針は4時を刺していて、日も少し暮れてきている。
「ん?」
そのときイスを引くと何かに当たる違和感があった。
「え?……楓さん………?」