第6話:幻とは僕のこと
「昨日は大変だった…」
僕は思わずそんな言葉をもらした。昨日退院した僕はその時居た楓さんとノリで僕の家で遊んだ。そこまでは良かった。その後家族にいつの間に彼女が出来たのかなど質問にあった。
「ただの友達なのになぁ。」
でも、もう楓さんともあまり会わないだろうとそう思いながら1ヶ月ぶりのクラスのドアをあける。
「あ、おはよ!」
「……………」
忘れてた。楓さんはクラスメイトだったのだ。嬉しいような、どこか面倒くさいような。
事故のことは公になって居ないため、クラスのみんなから何か聞かれることはなかった。しかし、楓さんが僕みたいな陰キャに挨拶した方に対して驚いていた。
「そんなに人気なんだな。」
「そうだよ!」
「うわ!」
思っていたことが口に出ていたらしい。
「なによ、その反応。」
「びっくりしただけだよ。で、なんでそこにいるんだよ。」
「もう休み時間だからよ。いつも授業寝てるの?」
「そうだよ。でもテストはいつも学年1だから先生からは注意程度しか言われない。」
昔から友達がいないせいで勉強だけは頑張ってたからな…あれ、なんか目から涙が。
「ほんと?うちの学年1位誰も知らなすぎて幻って言われてるんだよ?でも、なんか誰も知らない理由がわかる気がする。」
「どう意味だ。」
「あはは、自分でわかるんじゃない?」
まぁ多分というか絶対僕に友達がいないことが原因だろう。そんな事に嫌悪するも楓さんの太陽のような笑顔と無邪気な笑い声でそんなものも消えてしまった。
もう昼休みだ。僕はお弁当を持って立ち入り禁止の屋上に行って食べようと屋上に向かうのだった。