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侯爵令嬢に転生した私、ツンデレな冷酷騎士団長に溺愛されすぎている件について  作者: こうと


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第11話 『二人の未来』


 目の前で次々と敵を倒していくアルノルト様の姿に、私の心は何度も強く揺さぶられていた。


 冷酷で誰にも心を開かないと噂される彼が、今はただ一心に私を守るため、そして王国を守るために戦っている。


 この凛とした姿に、改めて彼がどれだけ強い意志を持った人なのかを実感させられる。


 だが、その瞬間──通路の奥から新たな敵が現れ、さらに緊迫した空気が流れ込んできた。


 彼らは鋭い剣を構えながらこちらに向かって進んでくる。

 アルノルト様は私をちらりと見やり、鋭い声で命令を下した。


「リリア、ここで待て。俺が片付ける」


「でも、私も……!」


「無理はするな。お前の安全が、今は何よりも大事なんだ」


 彼の真剣な言葉に、私は必死で頷いた。

 彼の決意が込められたその視線に、今はただ信じて待つことしかできないと思ったのだ。


 アルノルト様は再び私の前に立ちはだかり、敵に向けて一歩ずつ近づいていく。

 その姿はまるで、何にも揺るがない堅牢な壁のように見えた。


 彼が繰り出す剣は一撃一撃が鋭く正確で、目の前の敵を次々に倒していく。

 私はその様子をじっと見守りながら、彼の後ろで固く短剣を握りしめた。


 戦闘が終わり、息を切らしたアルノルト様が私の方に振り返る。

 その顔は少し汗で濡れていたが、目は変わらず鋭く、強い意志を宿していた。


「リリア、大丈夫か?」


 彼のその言葉に、私は何度も頷いた。


「はい、大丈夫です」

 

 そう答えながら、胸の奥がじんと温かくなるのを感じる。

 アルノルト様が全力で守ってくれているという事実が、私にとってどれだけ心強いか──言葉にはできないほどだ。


 だが、その安心も束の間、突然、通路の奥からさらに多くの敵が現れた。

 アルノルトの取り巻きの騎士団員も驚く。


 彼らの目は鋭く光り、アルノルト様と私を睨みつけている。逃げ場のない状況に、私の背筋に冷たい汗が流れる。


「数が多すぎます……!」


 思わず口にしてしまった私の言葉に、アルノルト様は私の手を引き、少しだけ強く握りしめた。

 その手の温かさが、私の不安を和らげてくれる。


「安心しろ。俺が守る」


 その一言が、どれだけ心に響いたか──彼の凛々しい横顔に、私は見惚れながらも、何か言葉を返すことができなかった。


 激しい戦いが続き、やがて、最後の敵が倒れると、静寂が通路に戻った。


 辺りには、戦いの後の緊張感だけが残っている。アルノルト様は肩で息をしながら、私の方を振り返った。


「……無事で良かった」


 彼がそう言ってくれるのを聞いて、私は思わず胸が熱くなるのを感じた。


 彼の隣で、こうして守られていることが、私にとってどれだけ幸せなことなのか──この瞬間、痛いほどに感じられた。


 その時、アルノルト様はゆっくりと私に歩み寄り、しっかりと私を抱きしめてくれた。

 その腕の強さに、私の全身が包まれるようで、自然と目頭が熱くなった。


「お前だけが、俺の居場所だ」


 彼の低く温かな声が耳元で響き、心が震えた。

 こんなにも大切に想ってくれている、その気持ちが伝わってきて、私の目には涙が滲んでしまう。


「アルノルト様……」


 震える声で彼の名前を呼ぶと、彼はそのまま私の背を優しく撫で、言葉を続けた。


「俺はずっと、守るものなど必要ないと思っていた。誰にも心を開かず、ただ戦うだけの人生だと……だが、お前が俺にとってただ一人の支えとなった」


「……私が、アルノルト様の支えに?」


 彼の言葉が信じられないほど、胸が高鳴る。

 アルノルト様が私を心から必要としてくれている──その事実が、私をこれまでにないほど幸せにしてくれる。


「そうだ。お前だけが、俺の傍にいてくれればいい」


 彼が優しく抱きしめてくれるその瞬間、私の中で何かが満ち足りていくような感覚が広がっていった。

 これまでの不安や恐れが、全て消え去るかのように。


 しばらく静かな時間が流れ、アルノルト様は私をそっと離して微笑んだ。


 彼のその穏やかな表情は、普段見せる冷酷な姿とはまるで別人のようで、私にとってとても特別なものだった。


「リリア、これからもずっと、俺の隣にいてくれるか?」


 彼の問いかけに、私は小さく頷きながら、心からの笑顔で答えた。


「はい、アルノルト様。私はこれからも、ずっとあなたのそばに──」


 その答えに、彼は満足そうに微笑み、私の手を再びしっかりと握りしめてくれた。


 二人で歩む未来が、静かな夜の空に浮かぶ星々のように、私たちを優しく見守ってくれているようだった。

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