第三十三話 出会いと覚醒 三十三
更新です。Twitterで「東上春之」と検索していただければ出てくるので是非検索してみてください。「星降ル夜ノアリアドネ」という作品も連載しているので是非。
だが、そのしたたかさは彼女の強さであると同時に弱さの裏返しでもあった。強く在るために備えたしたたかさは弱気な彼女を覆い隠す盾であった。
その弱さを出さないことを選んだ彼女は孤独を受け入れ、強くあろうとした。彼女が強く見えたのはその孤独を見せないように羽月が振舞っていたから。
本当の意味で真波羽月と関わっていた者が少なかったからであった。
朱雀が言った好きなようにしろというのは羽月を突き放したままにするか、謝罪して生まれた歪みを修復するかということではないように晴人は思えてきた。朱雀が言ってきたのは今後も羽月にしたように他者を一定のエリアから進ませないようにするのかと彼女は問うてきたのだろう。
その答えを数分前の晴人は持っていなかった。そもそも朱雀の言葉の意味も正しく理解できていなかった。
「羽月に俺のことを話したのはその時はそれが正解だと思ったから。羽月の秘密を聞くにはこっちも同じくらいのものを出すべきだと思った。昨日言った言葉に嘘はないし、羽月を他の人よりも特別に見ていることは変わりないよ。だからこそ今じゃないと思った。話すと羽月がどんな役割をさせられるか陰陽師の世界に詳しくない俺でも考えつく。巻き込みたくないっていうのはそういうこと」
現状、一条家の配下となっている真波家は倉宮家と一条家が敵対すれば、一条家側に着くことになる。晴人の情報は倉宮家によって厳重に秘匿されており、その一片でも知っている者は片手で数えるほどしかいない。
一条家陣営にとって羽月の存在はどのように使うにせよ晴人に関する情報を引き出す重要な駒として使われることになる。
「でも、」
朱雀の問いに対する答えも羽月の言葉に対する返答ももうできた。羽月と向き合って、ちゃんと彼女を見て、羽月の脆い一面を知って、自分の言葉足らずを認識した。言うべき言葉はもう分かった。
「守るならこっちに来てもらう方がいいんだよな」
その言葉に羽月は目を見開いた。
そう、羽月とその家族を守るのならばそれ以外の選択肢はない。一条家がどのような家なのか朱雀から聞いてはいるが、もしかしたら最悪の事態には至らない可能性だってなくはない。
それでもゼロではないのであれば、考慮しなければならない。
晴人は小さく息を吐き、表情を引き締めて顔を上げた。
「羽月のご両親がなんて言うかは分からないけど、君を守るために俺を選んでほしい。羽月の人生を俺に守らせてほしい」
未来のために何度砕け散っても




