第二十七話 出会いと覚醒 二十七
更新です。Twitterで「東上春之」と検索していただければ出てくるので是非検索してみてください。「星降ル夜ノアリアドネ」という作品も連載しているので見てみてください。
朱雀が去った後、羽月は晴人を背負い、エントランス奥にある客間のその奥、十五畳一間の座敷に晴人を寝かせた。
この部屋は青霊堂に五つある華の名が付けられた部屋の内の一つで、今晴人が寝ている畳の部屋は「椿の間」と言い、青霊堂一階の来客用に用意された部屋である。
上階には「桜」、「紫陽花」、「向日葵」、「桔梗」の名が与えられた部屋もあり、どのように使うかは使う人間に任せられているが、使用頻度は高くなく、概ね来客用に使われることが多い。加えて塾での寝泊まりは講義棟の横にある実技棟に専用の設備が完備されており、毎年研究や奉納祭の準備で泊まり込む生徒の強い味方となっている。
陰陽塾にそういった部屋を作ったのは古来より妖による襲撃から市民や同胞を匿うためであった。それが時代を経て変化し、今のような形になった。必要ないという意見も出たことはあったが、名が与えられた物を取り壊してしまうことを忌避する意見が多く、今日も青霊堂に残されている。
晴人が目を覚ますまでどうしようかと思ったが、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
ドアを叩いていたのは担任の小此木だった。十分ほど前に目が覚めた小此木は同じ様に目を覚ました者達と協力して塾内の生徒達の安全を確認して回っていたらしい。
その中で晴人と羽月だけが見つからず、監視カメラで確認したところ椿の間にいることが分かり、身の安全を確認しに来たそうだ。
「お前達二人は敵の術を受けなかったのか?」
「そうですね。多分晴人君と手を繋いでいたからだと思います。まさか塾全体が襲われるなんて思いませんでした」
「そうだな。とにかくお前達が無事なようで安心した。もうすぐ陰陽局の調査員が来るそうだから少し話を聞かれると思う。一応頭に入れておいてくれ」
陰陽塾の結界に細工をしたり、塾生を昏睡状態に陥れたり、教室の窓を割ったりと人的、物的被害が起こっている。いくら学生相手ではあっても事情聴取があるのは仕方がない。
「分かりました。先生はこの後どうされますか?」
「全員を安全に家に帰すのが最優先だな。その後は調査員と襲撃犯の身元を調べるだろうな。明日明後日に犯人が分かるわけではないが、どうにか目途を立てたいところだ」
この状況、どこからどう見ても計画的犯行だ。塾長がいない時を見計らった襲撃。妖の侵入を許さないはずの結界が機能していなかったことといい、調査しなければならないことが山ほどある。
小此木は一気に増えた悩みの種に顎に手を当てた。
「晴人君が起きたら伝えておくことはありますか?」
「明日は休校、それと陰陽局からの聞き取りがあると伝えておいてくれ」
「分かりました。伝えておきます」
「すまないな。教師として何もできなかった」
「何もできなかったのは私もです。お気になさらないでください」
「すまないな。とにかく今は休め。俺は教師としての仕事をしてくる」
晴人を起こさないように部屋の外に出ていた羽月が部屋に戻ると晴人が身体を起こしていた。
キリキリ舞いさらなるGへと




