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あやかしばかし  作者: 東上春之
第一章 出会いと覚醒
25/59

第二十五話 出会いと覚醒 二十五

更新です。Twitterで「東上春之」と検索していただければ出てくるので是非検索してみてください。「星降ル夜ノアリアドネ」という作品も連載しているので見てみてください。

 瞼の裏に映るのは僅かな情景。どれだけの時間が過ぎようと色褪せることのない悠久の一時。十五年とまだ短い人生の中でも劇的で、激烈で、一際華やかな時間だった。

 鮮やかに彩られた世界で彼と有した瞬間は絵画のように美しく、鮮烈だった。羽月は目を開け、晴人に視線を戻す。


(君の中で私はどれほどの存在になれるのかな)

「なんて、君は考えてないかもしれないけど」

「そんなことはないと思いますよ」


 羽月が漏らした言葉を否定したのは朱雀だった。

 確かに気を抜いてはいたが、他人の存在に気が付かなくなるほど注意散漫だったわけではないと思う。それだけ晴人に意識を向け過ぎていたということでもないが、羽月は金髪の美女が隣に座っていることに気が付かなかった。


「彼はあなたのことをあなたが思っている以上に考えていますよ。ただ状況がそれを許さないのです。彼があなた以上のしがらみを背負っているのは、分かるでしょう?」

「それは、分かります」


 分かるとは言ったが、想像ができているというわけではない。

 倉宮家のような家柄の陰陽家と比較できるほど、真波羽月は因果の多い人生を送っていない。そもそもそんな家は御三家以外には存在しないのだが。


「適した言い方ではありませんが、陰陽師であればその程度は単なる煩いです。割り切ってしまった方が楽ですよ」

「お姉さんから見たらそうなんでしょうね。私も陰陽師ですからそれくらいは分かってるつもりです。でもそれとこれとは別なんですよ。別になっちゃうんですよ」

「私には理解しかねる感情ですが、あなたがそう思うのならそうなのでしょう。晴人様が目を覚ましたらこちらの着替えを渡してください。焦げてしまった制服は空になった袋に入れるようお伝えください。この後の陰陽局による現場検証で軽く聴取されるでしょうから今のうちにこれを食べなさい」


 朱雀は自宅から持って来た栄養バーを羽月に手渡した。


「ありがとうございます。いただきます」

「よろしい。私はまた席を外さなければなりません。この後の晴人様のことをお任せてもよろしですか?」

(いいのか?朱雀)

「責任をもって務めを果たさせていただきます」

「よろしい」


 そう羽月に伝えた朱雀は踵を返し、再び地下の駐車場へと足を向けた。


(晴人様はもう少しご自分を想ってくれる人を作るべきなのよ。私の目から見ても彼女はその内の一人になると思ったので。晴人様はもう少しご自分のことを考えるべきよ)

難易度Gでもすべて壊してみせる

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