第二十二話 出会いと覚醒 二十二
更新です。Twitterで「東上春之」と検索していただければ出てくるので是非検索してみてください。「星降ル夜ノアリアドネ」という作品も連載しているので見てみてください。
少ない情報から温羅が式神だと看破した羽月なら自身が見落としているかもしれないことを掬い上げてくれるかとも思ったが、羽月は「特にはないかな」と言い、ぐっと身体をこちらに向けて「それよりも」と強引に話題を変えた。
「ねぇ、晴人君。さっきの金髪の女の人って誰なの?」
怒っているわけではない。悲しんでいるわけでもない。
ただ淡々と、そう静かに問いを投げ、羽月は晴人の瞳を覗き込んだ。
突き刺す視線に晴人は目を逸らした。複数の式神と契約したことは既に話してはいるが、具体的にどういった式神と契約しているかなどはまだ話していない。
かつて安倍晴明に仕えた十二神将は数人を残して晴明の死と共に消えることを選んだ。彼らは他の妖と違い、晴明の血肉と呪力、魂によって創られた人造式神であり、本来後天的に獲得する自我を先天的に有していた。
確認されている中では人造式神は晴明の十二神将のみであり、晴明に起因する力を持つ彼らはあらゆる妖から恐れられていた。
晴明が病床に伏せるようになって彼らは選択を迫られた。彼らの存在意義は晴明と共に世界に調和をもたらすことだ。仕えるべき主がいなくなってはその本懐を遂げることは叶わない。であれば、主と共に舞台から降りることは必然であり、必定。
晴明と生を共にする式神が多くいた一方で、朱雀は後世を見守ることを選んだ。
晴明の手を離れた陰陽師達がどう成長し、どう道を紡ぐのか、彼女は晴明の代わりに見届けることに決めた。
朱雀に賛同して数人が残ることを決めたが、彼女ら以外は晴明と命を共にした。記録では十二神将全員が消失したことになっているが、朱雀を含め数人が今も日本に存在している。
これは晴人の知るところではないが、朱雀達の存在を陰陽局は把握できていないのだ。それだけ朱雀達の力が常軌を逸していたということである。
晴人はその辺りの事情まで朱雀から聞いてはいないが、羽月からの問いにどう答えるべきか晴人は悩んだ。
今の羽月との関係性なら正直に答えても彼女がそれを悪用することはないだろうが、朱雀のために答えないことが正解かもしれない。だが、答えないにしても羽月が納得してくれる説明をしないと食い下がってくるかもしれない。
「あの人はうちの使用人で身の回りの世話をしてもらってるんだ。ここに来たのは俺の身が危なくなったからなんだよ」
「じゃあ今はご両親と使用人さんと四人で暮らしてるってこと?」
「いや、父さんと母さんは京都に行ってるから今は二人暮らしかな」
「へぇ、あんな美人な女の人と二人暮らしね。そうなんだぁ」
駄目だった。
どうやらあの説明では羽月は満足してくれないらしい。
そうは言っても晴人としても朱雀についてこれ以上説明する気もない。羽月のことを信用しているし、信頼もしている。彼女が向けてくれる分だけ返したいとも思っている。
それでも朱雀と天秤にかければ、陰陽師としての歴が浅い晴人であってもどちらを選ぶべきかきちんと判断することができる。
「そう。それ以上は言えないし、言わない。彼女はうちの使用人で身の回りの世話をしてもらってる」
塗り替えていい




