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あやかしばかし  作者: 東上春之
第一章 出会いと覚醒
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第二十一話 出会いと覚醒 二十一

更新です。思いついた物語を書き紡いでみました。Twitterで「東上春之」と検索していただければ出てくるので是非。「星降ル夜ノアリアドネ」という作品も連載しているので見てみてください。

 見たことのない術式に羽月は目を丸くした。

 羽月が知っている術式は他者の免疫機構、体内細胞を活性化させ、通常の身体的回復を促進するタイプのものだ。

 あくまでも身体機能の向上やその補助のみの効果しか存在しなかったはずだ。それでも体内干渉系統の身体強化の術式とその簡易符は戦闘でもそれ以外の場面でも非常に重宝されているのだ。

 希少であり、貴重なのだ。

 そのため、金髪の女性が晴人の傷を上書きしていく様子は羽月にとって衝撃的な光景以外の何物でもなかった。女性が手をかざして燃やした部分がまるでマジックショーのワンシーンのように元の姿を取り戻していく。

 初めて見る光景に目を奪われそうになったが、羽月は隣に座っている晴人が顔をしかめていることに気が付いた。

 これは代償だ。

 これほどに高度な術式を一節の祝詞と膨大な呪力だけで賄えるはずがない。術者ではなく、術式を受ける側に苦痛を強いる術式なのだ。

 そう考えた羽月は爪が掌に食い込まんと硬く握られた晴人の手を自らの両手で包み、その温もりで晴人の握り拳を融解させ、指を絡めた。

 晴人が痛がっているのだから痛みを抑える簡易符を使った方がよいかとも考えたが、特殊な術式に少しでも干渉してしまう可能性も考慮して羽月は握るだけに留めた。

 その様子を見て朱雀は軽く笑みを浮かべた。真波羽月が陰陽師としても一人間としてもよく見ていると朱雀は感心した。

 感心はしたが、その行いを甘んじて受け入れる朱雀ではなかった。朱雀もまた晴人の指に自らの指を絡め、熱を送り込む。

 羽月に続いて朱雀まで手を繋いでくるものだから晴人は驚きが痛みを上回り、手に意識が集中し、あっという間に傷が治っていった。

 晴人の治療が終わると朱雀は「替えの制服を取ってくる」と言い、地下の駐車場に向かった。羽月も聞きたいこと、思うことがあった様子だが、何も聞かないことにしてくれた。

 羽月は晴人と温羅が教室から降りた後の塾内の様子や塾長室に仕掛けられていた術式阻害の多重結界術式、事の顛末を陰陽局に連絡し、救助要請を出していることなどを伝えた。

 羽月によると塾長室に阻害結界があると見つけた後、警戒しながら慎重に上階に昇っていったが、その結界を守っている妖や陰陽師はおらず、複雑な術式に多少手間取ったほど度で危な気なく、解除できたそうだ。


「全部は見てないけど、塾生のほとんどが気絶してた。呪力を奪われた人と術式で意識を奪われた人がいたから教室に出た鬼以外にもう一人敵がいると思ったけど、結局中には誰もいなかったよ」

「羽月が無事で良かったよ。でも危険なことをさせて、ごめんな」

「晴人君の方が危険だよ。あの鬼、誰かの式神だったんでしょ?」

「そうだけど、何で分かったの?」


 晴人はそれを知っている。

 妨害術式から解除された結界に温羅は弱体化されなかったし、警報も作動しなかった。回収に来た陰陽師の言葉からも温羅や奴に主がいることは明白だ。

 だが、羽月にはそれを知る術はないはずだ。


「あの鬼が姿を現す前に声がしたでしょ。「そなたの願いは叶わない」って。そういうやり方をしてくるのが一条家なの。それに襲われる理由は十分あるしね」

「俺に話したせいで」


 羽月が狙われた、と口にしようとすると羽月がぎゅっと手に力を込め、晴人の言葉を制する。


「違うよ。むしろ私の事情に晴人君を巻き込んだの。本当に守ってくれてありがとう」

「・・・なんだかな」


 謝るはずなのにむしろ感謝されてしまった。羽月が一条家について話してくれたのは半ば脅しに近い晴人による秘密の暴露があったからだ。

 彼女に話させたことで彼女は狙われた。そう思っていたのだが、温羅を回収しに来た黒コートの男の言葉をそのまま受け取るのならば狙いは晴人の方だった。


「一旦それはさておいて他に何か気が付いたことはあった?」

キリキリ舞い限界点なら

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