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第三章 再会③

 過保護すぎるランドールの看病を受けている間は、外に出ることは禁止されていたサラだったが、ようやく庭を散歩する位ならと許可を貰ったのは、目を覚ましてから二週間ほどが経った時だった。


「ラン兄ちゃん……」


「ん? どうした? ああ、少し肌寒いな。ショールを羽織ろうか」


 そう言ったランドールは、用意してあったショールを掴むと左腕に座らせるように抱き上げたサラにふわりと掛けたのだ。

 

「よし」


「よし。じゃない! 歩ける! 降ろせ!」


「駄目だ。それなら散歩は取りやる」


「ぐっ……」


 過保護すぎるランドールは、散歩に出る条件として「俺が付きそう。ひとりで散歩は認めないからな」と言ったのだ。

 付き添い位ならと了承したサラだったが、実際に散歩に行くことになって話が違うと頬を膨らませていた。

 

 

 それでも、久しぶりに外の空気を吸えるのだからと、サラは不満を飲み込み大人しくランドールの腕の中に納まったのだ。

 

 しかし、一歩屋敷の外に出たサラはその光景に目を見開くのだ。

 

 空を覆う様にあった謎の結界が今にでも消えてしまいそうなほどボロボロになっていたのだ。

 何を守るための結界なのかは分からない。それでも、何かを守っていた結界が消えていくのを見るのは恐ろしく思えた。

 

 サラが空を見て驚く様子を見たランドールは、何かを感じ取ったように空を見つめた。

 

「空が気になる?」


「い、いや……」


「いいよ。隠さなくても。驚いただろ? 冬季になったというのに雪が降らないんだ。ソーン辺境伯領ではこんなこと今まで無かったんだ」


「え?」


「ここは国の最北の地だ。普通なら雪に覆われている頃なんだ。でも、ソーン辺境伯領はましな方かな?」


「ましな方?」


「ああ。他の領地では、長雨だったり、逆に干ばつが起こったりしているんだ」


 そう言ったランドールは、再び空を仰ぎ見た。

 釣られるようにサラももう一度空に視線を向けた。

 視線の先にはボロボロの結界。

 サラは思う。ディエイソ王国の天候異変と結界は何か関係がありそうだと。

 それならばと、サラは祈力を練り上げ指先に乗せた。

 そして、祈力の乗った人差し指を真上に弾いて見せたのだ。

 その動作は、祓いと呼ばれる動作で、結界の歪みの原因を晴らすものだった。

 しかし、あれほどボロボロになった結界を治すには、祓った後に、祝詞を捧げ結界を修復するほかなさそうだった。

 ただし、それはサラがいた場所ではの話だ。

 しかし、簡易的な祓いではあったが、多少の効果はあったようで、重く暗い雲が空に広がった後、白いものがふわふわと舞い落ちていたのだ。

 サラは自然と手を伸ばしていた。

 手のひらに落ちたそれは、サラの体温で美しい結晶からただの水へと変わっていた。



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