ランドセルを背負った子供たち
広いグラウンドに背筋を伸ばした大勢の子供たちが整列している。
6〜7歳から11〜12歳の子供たち。
子供たちは壇の上に立つ年配の男に注目していた。
男が子供たちに向けて怒鳴る。
「お前たちの目標はなんだ!?」
子供たちが一斉に答えた。
「「「最高指導者様の一兵士として、最高指導者様の悲願、祖国統一を成し遂げる事です!」」」
「そうだ!
だがそれを疎ましく思う海の向こうの大国と海の向こうの大国の傀儡である南島の奴等が昨日、最高指導者様を抹殺しようと我が東の島国民主主義人民共和国首都に暗殺団を送り込んで来た。
幸い最高指導者様は難を逃れられたが、海の向こうの大国と南島の奴等は、最高指導者様を追いつめ亡きものにしようと軍を次々と首都に送り込んでいる。
こいつ等を放置するわけにはいかない!
最高指導者様の安全を確保して、海の向こうの大国と南島の奴等に最高指導者様のお命を狙った事を後悔させなければならないのだ!
お前たちにも出動命令が下った、出陣せよ!」
「「「オウ!」」」
壇上の男は両手を握り締め頭上に両腕を掲げて叫ぶ。
「勝利!」
子供たちも同じように両手を握り締め両腕を頭上に掲げ叫んだ。
「「「バンザイ!」」」
「勝利!」
「「「バンザイ!」」」
「ヨシ! 担当教官から武器を受け取り出陣しろ!」
子供たちはそれぞれ自分を指導している担当教官の下に行きランドセルを受け取る。
担当教官は指導している子供たち1人1人に、自爆する為の高性能爆薬が入ったランドセルを渡しながら声をかけた。
「最低でも敵1人は殺せ」
「敵兵を殺して死ぬのは名誉な事だぞ」
「敵兵を殺せば最高指導者様からお褒めの言葉が頂けるだろう」
「1人10殺を目標にせよ」
子供たちは受け取ったランドセルを背負い、学年毎に隊列を組んで校門から足音高く戦線に向けて歩む。
ザ! ザ! ザ! ザ! ザ!
幼い頃から洗脳され名誉とは最高指導者様の為に死ぬ事だと教え込まれた、ランドセルを背負った子供たちが敵陣に向けて歩く。
ザ! ザ! ザ! ザ! ザ!
人間爆弾として敵兵諸共幼い命を散らす為に、戦場に向けて子供たちは歩んで行った。
ザ! ザ! ザ! ザ! ザ! ザ! ザ! ザ! ザ! ザ! ……………………