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新たなターゲット 2

りーん

 季節は秋へと移り変わりますが、私の心は青い春へと一気に移り変りました。


 「いやぁ!春の風は気持ちいいねぇ」


 ヒュウ……と風が吹き、「ちげーよ!秋だよ!」と突っ込まれたような気がしました。


 「そんなものは私には関係ない!私が春だといえば春なんだよ!」


 また、ヒュウ……と風が吹いて「な訳ねぇだろ!周りを見てみろ!桜なんて生えてねぇだろうが!桜が生えているのはお前の頭の中だけだ!」と馬鹿にされたような気がしました。


 「何おう!」


 登校中に風と一戦交えた私だった。


 そして、学校に着くといつものように校門はすでに閉められていた。


 「ふ!バカめ!私の覇道を校門如きが阻めるはずがなかろう?」


 と、学校の裏手に周り、壁に穴の空いた所から無事に侵入する。


 穴の大きさは、猫が通れるくらいだが、スリムな私にすれば……すれば……うおおお!!!


 っと!この通り!はぁはぁ……あー、疲れた!難なく通ることができる。


 「うわぁ!今日気づいたけど、2年前の初対面時よりも穴が広がっているような……気のせい!2年前よりも確実にスリムになっているはずの私なんだから!」


 ここ10年くらいは、怖くて体重計に乗れてないけどね!でも、私にはセルフの体重計があるから大丈夫!曇った鏡で確認すれば、モデルよりもスリムな体型をしていたから!絶対に気のせいよ!


 私の美貌ならトップモデルも夢じゃないわ!


 「おーほっほっほっ……いけね!こんなことしてる場合じゃねえ!今日は、私のお婿さんが遅れてくる予定になっていたはずだから、早く廊下に立たされに行かなくちゃ!」


 私は、急いで教室に駆け込む。


 「おっはようございまーす!」と先生に向かって挨拶する。


 朝の挨拶は人間として基本ですからね!


 先生は、私の成長が嬉しいのか。プルプルと肩を震わせている。


 「お前は……何時だと思ってんだ!授業はとっくに始まって30分は経っておるわ!」

 

 先生は感動のあまりに怒り出す。


 「まあまあ。そんなに私の成長が嬉しいのは分かりますが、あんまり興奮しすぎると血圧が上がりますよ」

 

 先生の体を気遣うとは!成長したなぁ!私!偉い!


 「バカ!そんなわけあるか!さっさと廊下にイケェェェェェェェェ!!!」


 先生のお許しが出た私は、「いやっほーい!」とうきうき気分で荷物を机に置いて、廊下へと繰り出す。


 「ああ!今日の廊下は、なんだか、いつもよりも空気が澄んでいるような気がする!すぅ…はぁ…

ん!このシトラスの香りは……」


 私は、嗅ぎ覚えのある匂いに反応して、廊下から校門の方を見る。


 「おう!やっぱり!私のお婿さんの香りではないか!」


 どんな嗅覚をしてるのかと疑問に思うだろうが、凡人の君たちとは鼻の性能が違うのだよ!


 長年、遅刻を繰り返して廊下に立たされる経験をしたものにしか習得ができない「犬並みの鼻!」というスキルなのだよ!


 一度覚えた匂いは雨が降らなければ、どこまでも追うことが可能だ!


 「よっし!この3週間で調べ尽くした。お婿さんの情報を生かして、絶対に私の虜にして見せるぜぇ!」


 と意気込む。


 「うるさーい!」


 つづく……

らーん

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