4話 勇者パーティとの再会
「先ほどの無礼、誠に申し訳ございません」
すぐさま謝罪する。
「謝らないでください。助けていただいて尚且つお願いしている身ですので」
「そう言っていただけると助かります」
だとすると一つ疑問が浮かぶ。なぜつかまっていたのか。王女様である以上一定の警備がいるのが普通だ。
「あの、一つ質問してもよろしいですか?」
「えぇ。どうぞ。それと敬語は辞めてください」
まあ勇者パーティにいた時も敬語で話していなかったし、そう言ってもらえると助かる。
「じゃあお言葉に甘えて。なぜ奴隷として捕まっていたんだ? 普通王女様ならそれ相応の警備が付くはずだと思うんだけど」
「詳しく話すと長くなるのですが、簡潔に申し上げますと騙されました」
「え? 騙された?」
普通騙されるなんて起こるはずがない。なんせ王女様だ。話す人だって限られる。だから王女様が騙されるってことはそれ相応の立場にいる人かもしれない。
「はい。私の側近を務めていた人に騙されてしまいました」
「......」
どんな反応をしてよいかわからなかった。なんせ俺は当事者じゃないため、被害者の気持ちなんてわかるはずがない。ここで「お気持ち察します」なんて言ったら相手はどう思うだろう。俺なら気分が悪くなる。
「まあこのことに関しては気にしないでください。今回があったからこそフィン様に出会えたのですから」
「え? 俺と?」
「はい。私は第三王女であり、巫女でもあります。なので奴隷となっている時、お告げで助けてくださる人物がいるとありました。それがフィン様です」
巫女ってあの巫女か? だとしたらナラカ様は本当にすごい人なのかもしれない。この世で巫女は一人しかいないと言われている。神に最も近い職業。それが巫女だ。
「それで俺と会って何をするんだ?」
「あの時は助けていただけるということしかお告げがありませんでしたが、現状の私は国に帰るのが目的です。そしてお告げ通りフィン様は助けていただきつつ、国まで一緒にパーティを組んでいただけるとおっしゃっていただけました」
そう言うことか。お告げ通り俺はこの人を助けて、送り届ける約束もした。これもお告げ通りってことなのか。
「では具体的に何をすればいい?」
「そうですね。今は国に帰るのが目的ですので、一緒にシュットガルド王国まで同行していただきたいですね。ですので軽くギルドでクエストを受けつつ向かいましょうか」
「了解」
ナラカ様の宿がないため、一旦同じ部屋で就寝し次の日を迎える。
(それにしてもなんで俺なんだろう......)
もっといろいろな人が居たと思う。それこそ勇者であるジェイクとかな。なんせナラカ様は王女であり巫女でもある。そんな人なら勇者と関わっていてもおかしくないはずだ。それなのになぜ俺なんだろう。
朝食を一緒に取り、ギルドに向かっている時、質問をする。
「この国には頼らないの?」
一応はこの街も貴族が管理しているため、貴族に頼れば何とかなるのではないかと思った。
「私が国内部で騙されたってことは、外部とも接触がある可能性が高いと思います。なんせ王女を攫うのですよ? それ相応のリスクを考えているはずです。なので簡単に貴族を頼ることはできません。それに貴族に頼るより、お告げにあった人を頼った方がいいと私は思いますしね」
「そう言うことか」
そう言われたらそうだよな。王女様を攫うなら準備をしているはずだ。
「そんなことより早くギルドに向かいましょう。一刻も早く国に帰りたいです」
「わかった」
ギルドに向かって、昨日の分の報告と本日分のクエストである護衛任務を受けようとした。だがナラカ様が冒険者でないため、受けることができない。だから一旦ここでギルドに登録してもらう。
「えーと。お名前は何ですか?」
「ナーカ・レントです」
偽名を使うのか。でもそれが一番安全かもしれない。なんせ名前がバレたら追手が来る可能性もある。
「ナーカさんですね。了解しました。少しお待ちください」
「はい」
受付嬢が奥の部屋に行ってから数分して登録完了を言い渡される。そして正式に二人で護衛任務を受けてギルドを出ようとした時、見知った顔がギルドに入ってきた。
「なんでフィンがいるんだよ」
(......)
タイミング悪くギルドに入ってきたのは勇者パーティだった。
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