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13 異世界の渡り人

アリーシオン国、国王ストドーラ・ハン・エルクレイ様御一行が帰国する時間になり、私はおもわずエルクレイ様の服の裾を握っていた。


私の行動に皆驚いていたが、アリーシオン国の皆さんだけは微笑んで見守ってくれていた。


私は自分の行動に驚き、掴んでいた服の裾を慌てて離した。


「ご、ごめんなさい!

私ったら、エルクレイ様、本当に申し訳ありません!!」


「俺は気にしてない、むしろ嬉しいのだが。

ココネ、俺の事は呼び捨てで呼んでくれないだろうか?」


「えぇっ、エルクレイ様を呼び捨てですか?

呼び捨て……エル……様」


「おしい! エル、エル。

うむ、ココネにだけは『エル』と呼んでもらいたい」


「クスクス、分かりました。

『エル』とお呼び致します。

改めて、宜しくお願い致します。

エル」


「うむ、ココネに緊急時以外で会いに来る時は手紙で知らせてから来るよ。

ココネ、俺とのお見合い話が国中に広まるのも時間の問題だろう。

欲深な者が大勢来るだろうが対応が難だと我らが判断した時は、スズラン宿の皆とスズラン宿に集まる者達を、我が国への移住を考えて欲しい」


ゴードンさんがエルに問いかけていた。


「今までは、人間を隣国であるアリーシオンへの移住を許可をしてなかったですよね?

なぜ、今は許可を?

ココネがいるからですか?

不敬になる質問だと分かっています、だが今までに事例が無かった事なので聞きたいのです」


「エルクレイ様、私はこのゴードンの妻のメイサです。

不敬になると分かってはいます。

ですがココネは私達の娘です!

血が繋がってなくても大切な娘なんです。

なぜ私達も隣国への移住を許可してくださるのですか?」


「うむ、御二人がココネの事を思って気にするのも、なぜ今自分達もと思っている事は分かる。

長い話になるが、隣国には俺達の様に人間でない者が住んでいる。

今までは人間との接触を避けていたのは確かだ、戦争が絶えなくて強欲で金と見栄だけしか考えてない者を見て、人間とは愚かだと我々は思っていたが、ココネがこの宿へ来る前から見ていたんだが、この宿へ集まる者達のオーラが虹色で聡明だと分かり、ココネと接しスズランにいる皆と接して分かったんだ。

人間にも善と悪がいるんだと、アリーシオンへは善の者しか受け入れられない。

それが今の答えだ、長く語ってしまい申し訳ない」


スズラン宿の皆はエルに深く頭を下げている。


私の頭だけは『???』でいっぱいになっていた。


エルはオロオロしながら、首をつけて皆に頭を上げて欲しいとお願いしている姿に笑みが溢れた。


私の方に歩み寄り、優しく髪を一房取り、軽く髪にキスをした。


「ココネは……異世界からの渡り人だね?

異世界からの渡り人は、何かしらの能力を持って来ると言われている。

この世界に渡り人が来たのはココネを入れて3人目だ。

回復系はココネだけだ」


私は異世界からの渡り人って事を内緒にしてたのに、エルには分かるんだね。


皆は私を見て納得した顔をしている。


「別の世界から来た事を隠して、ごめんなさい!

異世界からの人間は元の世界に帰らなきゃいけないんでしょ?

私は、自分の世界に帰りたくなくて、もうあんな暴力だらけの毎日の日々に戻るくらいなら死を選びたい!

パパとママがいる天国へ行きたい!!

……だから今まで旅人と偽っていました。

ごめん……なさい」


私はポロポロと涙を流しながら皆に叫んでいた。


エルは私の体を抱きしめてくれ、背中をさすってくれている。


「ココネ、深呼吸して。

みんなはココネを傷付けたりしないしココネを元の世界に帰したりしないよ。

いや、俺は帰したくない!

大丈夫だから安心して欲しい」


サーシャ家族、ドーランさん達宿屋にいる皆も涙を流して私を心配そうに見ていた。


「エル、皆ありがとう」


私は多く言葉を話せなかったので、御礼だけ言った。

「面白かった!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


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