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第79話 熱い自分語りを

「そういえば」


「……あのな、とりあえず休めよ。お前、死にかけたんだぞ」


 起き上がろうとする僕を、レイナさんが優しく押し返す。

 全く抵抗できず、またベッドに寝かされてしまった。


「でも、思ったよりも痛くはないんですよ」


「まあ、そりゃああたしが処置しているんだし」


 魔法が効かなくても何かできるのだろうか。と思ったら、僕の身体にはびっしりと何かの針みたいのが突き刺さっている。


「痛覚を遮断っつーか、抑えている感じだ。だから今は死ぬほど痛いで済んでるわけだ」


 どういう原理かは知らないが、これで抑えられているのか。



「そしたら、だからこそ今のうちにセリカちゃんたちと会いたいんですけど」


「…………」



 レイナさんの気配が少し変わった。

 僕の片目を見て、何か察したようだ。流石は僕の師匠。


「もっと回復してからでもいいだろ」


「いえ、彼女らの時間を無駄にできませんよ。それに、レイナさんなら館に置いておくでしょ?」


 弟子のことを師匠が十分に理解しているように、僕はレイナさんのことを十分に理解している。

 レイナさんと無言で数秒見つめ合った後、先に根負けしたのは彼女の方だった。


「いいのか、本当に」


「仕方ないですよ。あんな状況見せちゃったら」


 やっと肩の荷が下りたような。ほっとしたような。



「僕のことをきちんと説明しようかなって」



「…………そうか。エルザはもう帰っているが、他は皆ずっと館にいるぞ。呼んでくる」


 ほどなくして、3人と1体?が部屋に入ってくる。

 僕はレイナさんに支えながら枕を背もたれにしてなんとか体を起こす。


 自分がどれくらい寝ていたのかわからないが彼女らの表情、特にロミアちゃん以外の3人を見ているとそう時間はたっていないんじゃないかと思える。



「ゼロ君、大丈夫なの?」


「何をもって大丈夫というかはわからないけれど、生きているという意味では大丈夫だよ」


 流石の賢人、モカちゃんでもあそこまで拷問されている人を見たことはないようで、かなり狼狽している。


「ごめんね、こんな状態で」


 僕は自分が許される限り頭を下げる。

 下げ過ぎたらそのまま倒れそうだったが、多分倒れてもレイナさんが起こしてくれるだろう。



「まず、僕を助けてくれてありがとう。セリカちゃん、アヤメちゃん、モカちゃん、ロミアちゃん」


 なんでレイナさんは自分だけ呼ばれなかったのが不思議みたいな顔をしているのだろうか。いや、さっきお礼言ったじゃないですか。


 もしも、もっと感謝してほしいなら二人きりの時に言いますから。



「でだ。流石に僕もいい加減隠し通すのも難しいと思うから、昔話を聞いてもらおうかな。質問疑問意見要望は全て後で答えるから今は黙って聞いててほしい」


「……それが、あの男と関係あるのですね」



「その前にセリカちゃん」


「はい」


 神妙な面持ちで返事をする少女。

 僕は一瞬の躊躇いもせずに、彼女に告げることにする。



「僕の弟子は破門。もうここにも来なくていいよ」


「…………え?」


「それからアヤメちゃん。イルガの里の頭領もおしまい」


「…………そう、ですか」


「最後にモカちゃん。五大賢人は引退するからまた四大に戻って」


「……それはモカに言われても」


 セリカちゃんとアヤメちゃんはかなり驚いたような表情だったが、モカちゃんは多少察していたのかもしれない。

 というか、この状態で復帰できると思っていないのかもしれないが。


「まあ今言ったことについては、僕がこれから話すことを聞いた後で判断して欲しい」



 ……さて、僕は何から話そうかな。




「まず、そうだな……先に本名から一応言おうか。ゼロっていうのは偽名なんだよね」


 もう名乗ることはないと思っていた名前を口にする。

 セリカちゃんは聞き覚えがあるような名前だったみたいだ。僕の言葉を聞いて、明らかに表情が変わる。


「もしかしたら僕の双子の妹がノートル学園にいるから知っているかもしれないけどね」


 あ、そういえば一応セリカちゃんは貴族の出だから知っててもおかしくはない苗字か。


「ゼロって言うのはレイナさんがつけてくれたんだけどセンスないと思わないかい?」


「……あたしを前によく言えるな」


「そりゃそうでしょ。魔力が0だからゼロなんて、安直すぎません?」


 なるべく、場が重たくならないように軽口をたたく。

 美少女組3人は見事に固まるが、理解を越えているのかな。



「魔力遮断云々ではなくて、本当に僕は魔力がないんだよ。多分師匠が世界最強で、僕がその弟子だからって勝手に勘違いしたんだろうね」


「……え、でも、そんなことは」


「有り得ない。そう思うよね。僕だってそう思いたかったよ。どこの文献にも載っていなかったし、理論的に考えて有り得ないんだよ。でも、僕はここにいる」


 数秒間、誰も口を開かなかった。

 

「続けるよ。これは前提条件だからツッコまないでね。僕だって理由は知らないんだから」


 僕は独白を続ける。

 誰かの相槌も求めても、多分誰も返事をしてくれないだろうし。



「僕は、所謂天才の一人だったんだと思う。学業についてはすごく優秀だった」


 だからこそ、6歳にしてノートル学園に入学した。

 モカちゃんが最短で卒業をしているように、僕は最年少の入学だ。


 そこで色々起こったことを簡単に説明する。

 あまり事細やかに説明すると、3人を引かせるだけであり今必要なことではない。


「……そっか、あそこの空白はゼロ君なんだね」


「歴代の写真で抜けているみたいだね。僕は全然知らなかったけれど」


 この前行った時も確認はしていない。

 というかめちゃくちゃ昔のような気がしていたけれど1週間くらい前なのか。



「その時にセリカちゃんの御父上である理事長とは一応知り合ってはいたんだけどね」


 別に関係ない話だろうし、ここも省略するのだけれど。


「まあ、それでいろいろあって退学になったんだけど。その後に家族に売られてとある研究所に連行されたんだ」


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