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Chapter6卒業編♯50 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海

向日葵が教えてくれる、波には背かないで


Chapter6卒業編 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海


登場人物


滅びかけた世界


ナツ 16歳女子

ビビリな面も多く言葉遣い荒い。勤勉家。母親が自殺してしまい、その後は一人で旅を続けていたがスズと出会い行動を共にするようになった。


スズ 15歳女子

マイペース、ナツと違い勉強に興味なし。常に腹ペコ。食べ物のことになると素早い動きを見せるが、それ以外の時はのんびりしている。

ナツと共に奇跡の海を目指してやって来た。


老人 男

ナツの放送を聞いて現れた謎の人物。元兵士の男。緋空浜の掃除を一人でしている。Narumi Kishiと彫られたドッグタグを身に付けているがその正体は・・・


中年期の明日香 女子

老人ともう一人の兵士を見送りに来た、中年期頃の明日香。


七海 女子

中年期の明日香と同じく、老人ともう一人の兵士を見送りに来た少女。年齢は15、16歳。


老人と同世代の男兵士1 男子

中年期の明日香、七海に見送られていた兵士。老人、レキ、男兵士2と同じ隊に所属していた。


レキ 女子

老人たちと同じグループの若い女兵士で、年齢は25歳前後。老人、男兵士1、男兵士2と同じ隊に所属していた。老人とは親しかった様子。


老人と同世代の男兵士2 男子

中年期の老人、男兵士1、レキと同じ隊に所属している兵士。






滅んでいない世界


貴志 鳴海(なるみ) 18歳男子

波音高校三年三組、運動は得意だが勉強は苦手。無鉄砲な性格。両親を交通事故で失っている。歳の離れた姉、風夏がいるが仕事で忙しいため実質一人暮らし状態である。文芸部副部長。 Chapter4の終盤に菜摘と付き合い始めた。


早乙女 菜摘(なつみ) 18歳女子

波音高校三年三組、病弱で体調を崩しやすい、明るく優しい性格。文芸部部長。鳴海と付き合っている。生徒会選挙の直後に原因不明の病に襲われ、現在は入院中。


白石 嶺二(れいじ) 18歳男子

波音高校三年三組、鳴海の悪友、不真面目なところもあるが良い奴。文芸部のいじられキャラである。高校卒業後は上京してゲームの専門学校に通うことを考えている。


天城 明日香(あすか) 18歳女子

波音高校三年三組。成績も良くスポーツ万能、中学生の時は女子ソフトボール部に所属していた。ダラダラばかりしている鳴海と嶺二を何かと気にかけては叱る。文芸部部員。夢は保育士になること。最近は受験前のせいでストレスが溜まっている。なんだかんだで響紀とは良い関係。


南 汐莉(しおり)15歳女子

波音高校に通っている一年生、文芸部と軽音楽部の掛け持ちをしている。バンド”魔女っ子少女団”のメインボーカルで歌とギターが得意。20Years Diaryという日記帳で日々の行動を記録している。Chapter5の終盤に死んでしまう。


一条 雪音(ゆきね)18歳女子

波音高校三年三組、才色兼備な女生徒。元天文学部部長で、今は文芸部に所属。真面目な性格のように見えるが・・・


柊木 千春(ちはる)女子

Chapter2の終盤で消えてしまった少女で、嶺二の想い人。


三枝 響紀(ひびき)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のリーダー兼リードギター担当。クールで男前キャラ、同性愛者、 Chapter3で明日香に一目惚れして以来、彼女に夢中になっている。


永山 詩穂(しほ)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のベース担当。基本はマイペースだが、キツい物言いをする時もある。


奥野 真彩(まあや)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のドラム担当。バンドの賑やかし要員。


早乙女 すみれ45歳女子

菜摘の母、45歳には見えない若さ美しさを保つ。優しい、とにかく優しい。


早乙女 (じゅん)46歳男子

菜摘の父、菜摘とすみれを溺愛しており二人に手を出そうとすれば潤の拳が飛んでくる。自動車修理を自営業でやっている。永遠の厨二病。


神谷 志郎(しろう)43歳男子

波音高校三年の教師。鳴海、菜摘、嶺二、明日香、雪音の担任。担当教科は数学。文芸部顧問。Chapter5の終盤に死んでしまう。


荻原 早季(さき)15歳女子

Chapter5に登場した正体不明の少女。


貴志 風夏(ふうか)24歳女子

鳴海の6つ年上の姉、忙しいらしく家にはほとんど帰ってこない。智秋と同級生で親友関係。いつの間にか看護師の仕事を始めている。


一条 智秋(ちあき)24歳女子

雪音の姉。妹と同じく美人。謎の病に苦しんでいたがChapter3の終盤にドナーが見つかり一命を取り留めたものの、再び体調を崩し現在は入院中。


双葉 篤志(あつし)18歳男子

波音高校三年二組、天文学部副部長。雪音とは幼馴染み。


有馬 (いさむ)64歳男子

波音町にあるゲームセンター“ギャラクシーフィールド”の店主。千春が登場したゲーム、”ギャラクシーフィールドの新世界冒険”の開発者でもある。なお現在の”ギャラクシーフィールド”は儲かっている。


細田 周平(しゅうへい)15歳男子

野球部に所属している一年生。Chapter5では詩穂に恋をしていた。


貴志 (ひろ)

鳴海の父親、事故で亡くなっている。菜摘の父、潤と高校時代クラスメートだった。


貴志 由香里(ゆかり)

鳴海の母親、事故で亡くなっている。菜摘の母、すみれと高校時代クラスメートだった。


神谷 絵美(えみ)29歳女子

神谷の妻。Chapter5では妊娠していた。


波音物語に関連する人物






白瀬 波音(なみね)23歳女子

波音物語の主人公兼著者。妖術を使う家系『海人』の末裔、そして最後の生き残り。Chapter4の終盤、妖術を使い奈緒衛の魂を輪廻させ、自らの魂も輪廻出来るようにした。


佐田 奈緒衛(なおえ)17歳男子

波音の戦友であり恋仲。優れた剣術を持ち、波音とは数々の戦で戦果をあげた。Chapter4の終盤に死んでしまった人物。


(りん)21歳女子

波音、奈緒衛を慕う女中。緋空浜の力を持っており、遥か昔から輪廻を繰り返してきた。波音に輪廻を勧めた張本人。体が弱い。奈緒衛と同じくChapter4の終盤に死んでしまった人物。


明智 光秀(みつひで)55歳男子

織田信長と波音たちを追い込み凛を殺した。


織田 信長(のぶなが)48歳男子

天下を取るだろうと言われていた武将。


一世(いっせい) 年齢不明 男子

ある時波音が出会った横暴で態度の悪い男。

Chapter6卒業編♯50 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海


◯1643波音高校体育館/三年生を送る会会場(夕方)

 夕日が沈みかけている

 体育館の中にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩、神谷

 鳴海たちの他に全校生徒の1/5ほどの人が体育館の中にいる

 ステージの上では演劇部が小道具や衣装を片付けている

 体育館には大きなテーブルとパイプ椅子が並べられており、テーブルの上にはお菓子やジュースが置いてある

 生徒会に所属している何人かの生徒たちがステージの近くに集まっている

 生徒会の生徒と、教師たちの何人かはマイクを持っている

 神谷を含む教師たちは体育館の壁際で話をしている

 鳴海たち、そして一般生徒たちは生徒会の指示に従って体育館の片付けをしている

 鳴海たちはパイプ椅子を運んだり、テーブルの上のお菓子やジュースを回収したりしている

 鳴海、嶺二、明日香、雪音、響紀は折り畳んだパイプ椅子を持ち運んでいる

 菜摘はテーブルの上を布巾で拭いている

 汐莉、詩穂、真彩はテーブルの上のお菓子やジュースを運んでいる

 真彩はポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながらテーブルの上のお菓子やジュースを運んでいる

 生徒会の生徒の横には折り畳んだパイプ椅子がまとめて置いてある

 生徒会の生徒の横には折り畳んでまとめて置いてあるパイプ椅子とは別に大きなテーブルがあり、余ったお菓子やジュースが置いてある

 

鳴海「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)朗読劇は大成功だったけどさ・・・」

菜摘「(テーブルの上を布巾で拭きながら)うん!!」

鳴海「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)三年生を送る会は大失敗だろ・・・」

菜摘「(テーブルの上を布巾で拭きながら)えー!!そんなことないよ鳴海くん!!」

鳴海「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)三年生を送る会で、俺たち三年生が片付けの手伝いをさせられてるのはおかしくないか・・・?」

菜摘「(テーブルの上を布巾で拭きながら)た、確かにね・・・」


 鳴海は折り畳んだパイプ椅子を生徒会の生徒の横に置く


響紀「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)本当は一年生と二年生のみで片付けをやる予定だったんですよ」

嶺二「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)ならどーして俺ら三年が駆り出されてるんだ」

明日香「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)人手が足りないからに決まってるでしょ」

嶺二「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)何でマンモス校なのに人が足りなくなるんだよ・・・」

明日香「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)だって今日は日曜日だし」


 鳴海はパイプ椅子を手に取り折り畳む

 明日香、嶺二、響紀が折り畳んだパイプ椅子を生徒会の生徒の横に置く

 折り畳んだパイプ椅子を持ち運び始める鳴海

 明日香、嶺二、響紀がパイプ椅子を手に取り折り畳む


真彩「(ポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながら余ったジュースを運んで)あー・・・そーいや今日って日曜なんすねー・・・」


 折り畳んだパイプ椅子を持ち運び始める明日香、嶺二、響紀


汐莉「(余ったお菓子とジュースを運びながら)明日サボらないようにね、まあやん」

真彩「(ポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながら余ったジュースを運んで)サボらないけどー」

詩穂「(余ったお菓子とジュースを運びながら)寝坊はする」

真彩「(ポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながら余ったジュースを運んで)それだ、寝坊してしまおう」

菜摘「(テーブルの上を布巾で拭きながら)ダメだよまあやん、ちゃんと学校には来なきゃ」

真彩「(ポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながら余ったジュースを運んで)ちゃんと学校に来てるから、サボりたくなるんすよね〜・・・」

雪音「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)1日くらいサボったって良いじゃん」

真彩「(ポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながら余ったジュースを運んで)そー言われるとますますサボりたくなるっす」

鳴海「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)下手にサボると俺や嶺二みたいな生徒になるぞ、奥野」

真彩「(ポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながら余ったジュースを運んで)そ、それは避けたいっすね・・・」

鳴海「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)なら真面目に学校に通うんだな」

真彩「(ポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながら余ったジュースを運んで)へーい・・・」

嶺二「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)まあやんがちょい悪系の高校生に憧れてるんだったら、サボった方がいーと思うぜ?」


 汐莉、詩穂、真彩が余ったお菓子やジュースを生徒会の生徒の横にあるテーブルの上に置く


真彩「(ポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながら)ちょい悪系ってなんすか?」

雪音「(折り畳んだパイプ椅子を生徒会の生徒の横に置いて)嶺二みたいな馬鹿な男をちょい悪系って言うんだよ」

真彩「(ポテトチップスコンソメダブルパンチを食べながら)そ、そうなんすね・・・」

詩穂「女子が一番憧れないタイプの男の子がちょい悪系なんだ」

雪音「そうそう」

菜摘「(テーブルの上を布巾で拭きながら)ちょいモテない系だね」

嶺二「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)ちょいモテないってつまりちょっとはモテてるってことだな!!」

鳴海「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)ちょいモテないはちょっともモテてないと思うんだが・・・」

嶺二「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)んなことはねえ!!」

鳴海「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)実際のところは嶺二はモテてないだろ」


 少しの沈黙が流れる

 汐莉、詩穂、真彩が余ったお菓子やジュースを手に取り運び始める

 鳴海は折り畳んだパイプ椅子を生徒会の生徒の横に置く

 雪音はパイプ椅子を手に取り折り畳む

 折り畳んだパイプ椅子を持ち運び始める雪音


汐莉「(余ったお菓子とジュースを運びながら)嶺二先輩は超モテない系超お馬鹿男子なんですね」

嶺二「(折り畳んだパイプ椅子を生徒会の生徒の横に置いて)ちょいを超に変えんなよ!!」

汐莉「(余ったお菓子とジュースを運びながら)超でもちょいでも同じようなもんだと思います」

嶺二「俺だって平均的にモテる人生を歩んで来たんだぞ汐莉ちゃん!!」

響紀「(折り畳んだパイプ椅子を持ち運びながら)平均的にとは」

嶺二「平均点くれーってことだよ!!」


 鳴海はパイプ椅子を手に取り折り畳む


鳴海「(パイプ椅子を折り畳みながら)嶺二の平均点ということは・・・」

明日香「(折り畳んだパイプ椅子を生徒会の生徒の横に置いて)3点くらいでしょ?」

菜摘「(テーブルの上を布巾で拭きながら)へ、平均点3点なんだ・・・さ、さすが超モテない系超お馬鹿男子だね・・・」

嶺二「菜摘ちゃん・・・俺・・・そこまで馬鹿じゃねーぞ・・・」

菜摘「(テーブルの上を布巾で拭きながら)そ、そっか・・・」


 折り畳んだパイプ椅子を持ち運び始める鳴海


響紀「(折り畳んだパイプ椅子を生徒会の生徒の横に置いて)嶺二くんの超モテなくて超お馬鹿な人生に幸あれ」

嶺二「お、おうよ・・・つか超モテなくて超お馬鹿は言い過ぎな・・・」


◯1644早乙女家に向かう道中(放課後/夕方) 

 夕日が沈みかけている

 菜摘を家に送っている鳴海

 学校帰りの学生がたくさんいる

 鳴海と菜摘は話をしている


鳴海「ついに終わっちまったか・・・」

菜摘「やり遂げたんだよ、鳴海くん。私たちは最後にやり遂げたんだ」

鳴海「そうだな。みんなで一つの作品を作って・・・学校で披露出来たんだから、満足な結果だ」

菜摘「うん!!私は凄く嬉しいし幸せだよ」

鳴海「俺もそうさ」

菜摘「挑戦して良かったね、鳴海くん」

鳴海「ああ。(少し間を開けて)なあ菜摘」

菜摘「ん?」

鳴海「合宿の時に菜摘が言っていた、みんなの気持ちがまとまった文芸部っていうのは今がそうなのか?」

菜摘「今もまとまってると思うけど・・・最高潮にみんなの気持ちが一つになった瞬間は、ステージの上で全員が手を繋いだ時じゃないかな?」


◯1645◯1641の回想/波音高校体育館/三年生を送る会会場(午前中)

 体育館の中には全校生徒の1/5ほどの人が集まっている

 体育館には大きなテーブルとパイプ椅子が並べられており、テーブルの上にはお菓子やジュースが置いてある

 一般生徒たちはテーブルに向かってパイプ椅子に座り、飲み食いをしながらステージを見ている

 ステージの上で手を繋ぎ合っている鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩

 鳴海たちの前には3本のマイクスタンドが置いてある

 鳴海たちの後ろにはリードギター、サイドギター、ベース、ドラム、その他機材が置いてある

 白色の照明が鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩のことを照らしている

 生徒会に所属している何人かの生徒たちと、神谷を含む教師たちが体育館の壁際に集まっている

 生徒会の生徒と、教師たちの何人かはマイクを持っている

 一般生徒、教師たちから拍手が起きている


菜摘「(声)打ち合わせをしたわけでもなく・・・鳴海くんが私の手を握って・・・私が明日香ちゃんの手を握って・・・」

鳴海「(声)確かに気持ちがまとまってなきゃ、出来なかったかもな・・・」

菜摘「(声)そうだよ、みんなの気持ちが朗読劇から遠ざかってたら手なんて握らなかったと思うもん」


◯1646早乙女家に向かう道中(放課後/夕方) 

 夕日が沈みかけている

 菜摘を家に送っている鳴海

 学校帰りの学生がたくさんいる

 鳴海と菜摘は話をしている


鳴海「俺たちは菜摘が望んでいた文芸部になれたのか・・・?」

菜摘「望んでいた以上だよ、鳴海くん。鳴海くんが私の望みを・・・ううん・・・望んだものよりももっと素晴らしい空間にしてくれた・・・(少し間を開けて)だから鳴海くん・・・本当に、ありがとう」

鳴海「菜摘、俺は感謝されるようなことは・・・」

菜摘「(鳴海の話を遮って)ありがとう」

鳴海「お、おい、俺の話を・・・」

菜摘「(鳴海の話を遮って)鳴海くんにありがとうって、言いたいんだ」

鳴海「い、一回言えばそれで良いだろ」

菜摘「大好きな人にたくさんありがとうって伝えるのは大事だよ、鳴海くん」


 少しの沈黙が流れる


鳴海「な、なら菜摘のそういう気持ちに対して、ありがとうだな・・・」

菜摘「うん!!ありがとう!!」


 再び沈黙が流れる


鳴海「か、会話が変になってないか・・・?」

菜摘「そうかな?」

鳴海「あ、ああ。へ、変で小っ恥ずかしい会話になってるだろ・・・」

菜摘「お客さんの前で朗読をする方が恥ずかしくない・・・?」

鳴海「ま、まあな!!しゅ、羞恥心と戦って成功させた朗読劇の感動は凄かったぞ菜摘!!」

菜摘「鳴海くん、凄く頑張ってたもんね」

鳴海「が、頑張ってたのは南や明日香も同じで・・・」

菜摘「格好良かった」

鳴海「え・・・?」

菜摘「朗読をしてる鳴海くん、格好良かったよ」

鳴海「そ、そうか・・・」


 鳴海の顔が赤くなっている


鳴海「あ、ありがとな、菜摘」

菜摘「こちらこそありがとう!!」


 少しの沈黙が流れる


鳴海「こ、今度菜摘が1日で何回お礼を言うか数えてみるか・・・」

菜摘「えー・・・100万回目指しちゃうよ私」

鳴海「い、言い過ぎだろ・・・」

菜摘「人が聞いて嬉しくなる言葉はたくさん使いたくなっちゃうんだ」

鳴海「使い過ぎたら言葉の価値が下がるぞ、菜摘」

菜摘「言葉に価値なんて関係ないよ鳴海くん!!」

鳴海「そ、そうだとしても100万回も誰に感謝するんだ・・・」

菜摘「えーっと・・・まず朝起きて太陽に感謝して・・・朝ご飯を作ってくれるお母さんに感謝して・・・毎日仕事をしてるお父さんに感謝して・・・それから新聞配達のおじさんに・・・」


 菜摘は話を続ける


鳴海「(声 モノローグ)色々あったが、無事に成功して良かった・・・諦めずに、挑戦して良かった・・・あいつらと一緒にやれて良かった・・・(少し間を開けて)菜摘が喜んでくれて・・・本当に良かった・・・」

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