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Chapter6卒業編♯26 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海

向日葵が教えてくれる、波には背かないで


Chapter6卒業編 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海


登場人物


滅びかけた世界


ナツ 16歳女子

ビビリな面も多く言葉遣い荒い。勤勉家。母親が自殺してしまい、その後は一人で旅を続けていたがスズと出会い行動を共にするようになった。


スズ 15歳女子

マイペース、ナツと違い勉強に興味なし。常に腹ペコ。食べ物のことになると素早い動きを見せるが、それ以外の時はのんびりしている。

ナツと共に奇跡の海を目指してやって来た。


老人 男

ナツの放送を聞いて現れた謎の人物。元兵士の男。緋空浜の掃除を一人でしている。Narumi Kishiと彫られたドッグタグを身に付けているがその正体は・・・


中年期の明日香 女子

老人ともう一人の兵士を見送りに来た、中年期頃の明日香。


七海 女子

中年期の明日香と同じく、老人ともう一人の兵士を見送りに来た少女。年齢は15、16歳。


老人と同世代の男兵士1 男子

中年期の明日香、七海に見送られていた兵士。老人、レキ、男兵士2と同じ隊に所属していた。


レキ 女子

老人たちと同じグループの若い女兵士で、年齢は25歳前後。老人、男兵士1、男兵士2と同じ隊に所属していた。老人とは親しかった様子。


老人と同世代の男兵士2 男子

中年期の老人、男兵士1、レキと同じ隊に所属している兵士。






滅んでいない世界


貴志 鳴海(なるみ) 18歳男子

波音高校三年三組、運動は得意だが勉強は苦手。無鉄砲な性格。両親を交通事故で失っている。歳の離れた姉、風夏がいるが仕事で忙しいため実質一人暮らし状態である。文芸部副部長。 Chapter4の終盤に菜摘と付き合い始めた。


早乙女 菜摘(なつみ) 18歳女子

波音高校三年三組、病弱で体調を崩しやすい、明るく優しい性格。文芸部部長。鳴海と付き合っている。生徒会選挙の直後に原因不明の病に襲われ、現在は入院中。


白石 嶺二(れいじ) 18歳男子

波音高校三年三組、鳴海の悪友、不真面目なところもあるが良い奴。文芸部のいじられキャラである。高校卒業後は上京してゲームの専門学校に通うことを考えている。


天城 明日香(あすか) 18歳女子

波音高校三年三組。成績も良くスポーツ万能、中学生の時は女子ソフトボール部に所属していた。ダラダラばかりしている鳴海と嶺二を何かと気にかけては叱る。文芸部部員。夢は保育士になること。最近は受験前のせいでストレスが溜まっている。なんだかんだで響紀とは良い関係。


南 汐莉(しおり)15歳女子

波音高校に通っている一年生、文芸部と軽音楽部の掛け持ちをしている。バンド”魔女っ子少女団”のメインボーカルで歌とギターが得意。20Years Diaryという日記帳で日々の行動を記録している。Chapter5の終盤に死んでしまう。


一条 雪音(ゆきね)18歳女子

波音高校三年三組、才色兼備な女生徒。元天文学部部長で、今は文芸部に所属。真面目な性格のように見えるが・・・


柊木 千春(ちはる)女子

Chapter2の終盤で消えてしまった少女で、嶺二の想い人。


三枝 響紀(ひびき)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のリーダー兼リードギター担当。クールで男前キャラ、同性愛者、 Chapter3で明日香に一目惚れして以来、彼女に夢中になっている。


永山 詩穂(しほ)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のベース担当。基本はマイペースだが、キツい物言いをする時もある。


奥野 真彩(まあや)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のドラム担当。バンドの賑やかし要員。


早乙女 すみれ45歳女子

菜摘の母、45歳には見えない若さ美しさを保つ。優しい、とにかく優しい。


早乙女 (じゅん)46歳男子

菜摘の父、菜摘とすみれを溺愛しており二人に手を出そうとすれば潤の拳が飛んでくる。自動車修理を自営業でやっている。永遠の厨二病。


神谷 志郎(しろう)43歳男子

波音高校三年の教師。鳴海、菜摘、嶺二、明日香、雪音の担任。担当教科は数学。文芸部顧問。Chapter5の終盤に死んでしまう。


荻原 早季(さき)15歳女子

Chapter5に登場した正体不明の少女。


貴志 風夏(ふうか)24歳女子

鳴海の6つ年上の姉、忙しいらしく家にはほとんど帰ってこない。智秋と同級生で親友関係。いつの間にか看護師の仕事を始めている。


一条 智秋(ちあき)24歳女子

雪音の姉。妹と同じく美人。謎の病に苦しんでいたがChapter3の終盤にドナーが見つかり一命を取り留めたものの、再び体調を崩し現在は入院中。


双葉 篤志(あつし)18歳男子

波音高校三年二組、天文学部副部長。雪音とは幼馴染み。


有馬 (いさむ)64歳男子

波音町にあるゲームセンター“ギャラクシーフィールド”の店主。千春が登場したゲーム、”ギャラクシーフィールドの新世界冒険”の開発者でもある。なお現在の”ギャラクシーフィールド”は儲かっている。


細田 周平(しゅうへい)15歳男子

野球部に所属している一年生。Chapter5では詩穂に恋をしていた。


貴志 (ひろ)

鳴海の父親、事故で亡くなっている。菜摘の父、潤と高校時代クラスメートだった。


貴志 由香里(ゆかり)

鳴海の母親、事故で亡くなっている。菜摘の母、すみれと高校時代クラスメートだった。


神谷 絵美(えみ)29歳女子

神谷の妻。Chapter5では妊娠していた。


波音物語に関連する人物






白瀬 波音(なみね)23歳女子

波音物語の主人公兼著者。妖術を使う家系『海人』の末裔、そして最後の生き残り。Chapter4の終盤、妖術を使い奈緒衛の魂を輪廻させ、自らの魂も輪廻出来るようにした。


佐田 奈緒衛(なおえ)17歳男子

波音の戦友であり恋仲。優れた剣術を持ち、波音とは数々の戦で戦果をあげた。Chapter4の終盤に死んでしまった人物。


(りん)21歳女子

波音、奈緒衛を慕う女中。緋空浜の力を持っており、遥か昔から輪廻を繰り返してきた。波音に輪廻を勧めた張本人。体が弱い。奈緒衛と同じくChapter4の終盤に死んでしまった人物。


明智 光秀(みつひで)55歳男子

織田信長と波音たちを追い込み凛を殺した。


織田 信長(のぶなが)48歳男子

天下を取るだろうと言われていた武将。


一世(いっせい) 年齢不明 男子

ある時波音が出会った横暴で態度の悪い男。

Chapter6卒業編♯26 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海


◯1242波音博物館/チケット売り場(午前中)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240の続き

 だだっ広い波音博物館のチケット売り場にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 チケット売り場には数台の券売機、窓口、入場口、出口がある 

 券売機で千春以外の分のチケットを買っている鳴海

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 鳴海がチケットを買っている間、千春以外は話をして鳴海のことを待っている

 千春は周囲を見ている


詩穂「意外と広いね。もっとちっちゃいのかと思ってたけど」

千春「(周囲を見ながら 声 モノローグ)確かに、意外にも広いです。ここなら波音町の過去や奇跡について何か知ることが出来るかも・・・」

真彩「チケット売り場でこの広さなら、展示物も相当な数かもな〜」

雪音「中はここよりも全然広いよ、波音町以外の物もあるし」

真彩「へぇ〜、そうなんすか〜」

明日香「雪音は来たことあるんでしょ?」

雪音「小さい頃から何度もね」

菜摘「波音博物館に来たことあるのって、雪音ちゃんだけ?」

嶺二「俺もあるぜ」

菜摘「嶺二くんもあるんだ・・・」

響紀「文芸部屈指のお馬鹿で知られる嶺二くんが来てるなんて意外ですね」

千春「(周囲を見ながら 声 モノローグ)文芸部屈指は・・・言い過ぎだと思います・・・あと、意外でも何でもないのです・・・」

汐莉「嶺二先輩と博物館ってイメージが全く結びつかないんですけど・・・」

明日香「私も」

嶺二「お、俺は前に偶然通りかかって・・・」

雪音「(嶺二の話を遮って)私が連れて来たの」

嶺二「い、言うなよ馬鹿!!」

雪音「えっ?どうして?」

嶺二「こ、こーゆーことは今言わない方がいーだろ!!」

雪音「そう」

嶺二「ちょっとは空気を読みやがれ!!」

雪音「私空気とか読めないし」

千春「(周囲を見るのをやめて 声 モノローグ)嶺二さん・・・女の子とは・・・中途半端な男子に一番怒る生き物なのです・・・まあ私は、人間の女の子じゃないんですけど・・・」

菜摘「嶺二くんと雪音ちゃんは前よりもずっと仲良しになったよね!!」

嶺二「な、仲良くはねーよ!!」

菜摘「そうかなぁ・・・」


 鳴海が千春以外の分のチケットを購入して菜摘たちのところへやって来る

 チケットにはQRコードが貼ってある


鳴海「(チケットを菜摘たちに差し出して)これで全員分だ、無くすなよ」

真彩「(鳴海からチケットを受け取り)きーつけやーす」


 菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂も鳴海からチケットを受け取る

 菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂が鳴海からチケットを受け取った後、鳴海たちは入場口に向かって歩き出す

 入場口にはスタッフが二人立っている

 入場口にはチケットのQRコード用のセンサーがある

 鳴海、菜摘、明日香、響紀、詩穂、真彩、汐莉、雪音、嶺二の順に入場口のセンサーにチケットのQRコードをかざして波音博物館の展示コーナーの中に入って行く 

 嶺二に続いて千春が入場口を通るが、センサーに引っかかり、警報が鳴り始める

 千春は逃げるように入場口から遠ざかる

 鳴海たちは警報に驚き振り返るが、鳴海たちには変わらず千春の姿が見えていない


千春「(逃げるように入場口から遠ざかりながら)もう!!よりによってこんなところで引っかかるなんて!!」


 千春は走って一人博物館内の奥へと逃げて行く

 入場口にいるスタッフ二人はセンサーの警報を止める


スタッフ1「(不思議そうに)誤作動か・・・?」

スタッフ2「(不思議そうに)そろそろ業者を呼んで取り替えるべきかもしれないな・・・」


 スタッフ1と2は話を続ける


汐莉「嶺二先輩が引っかかったのかと思いましたよ」

嶺二「俺も一瞬自分かと思ったけど違ったらしーぜ・・・」

真彩「出禁にならなくて良かったっすね」

嶺二「おう。そんじゃてきとーに周り始めるか」

鳴海「そうだな」


◯1243滅びかけた世界:波音博物館/チケット売り場(午前中)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241と同日 

 波音博物館の壊れた扉を通りだだっ広いチケット売り場にやって来たナツ、スズ、老人 

 波音博物館の中は薄暗い

 ナツとスズは周囲を見ている

 老人は肩にライフルをかけている

 チケット売り場にある数台の券売機は全て破壊されている

 券売機と同じように入場口のセンサーも破壊されている

 窓口にはたくさんのほこりが溜まっている

 ナツ、スズ、老人がいる場所は◯1238の鳴海たちがいた場所と完全に同じ


ナツ「(周囲を見ながら)広いな・・・」

スズ「(周囲を見ながら)昔の物もいっぱいあるかもね〜」


 老人は入場口に向かって歩いている


老人「こっちだ、二人とも」

スズ「(周囲を見るのをやめて)待ってよ〜」


 ナツとスズは老人を追いかける

 老人に続いて破壊された入場口を通るナツとスズ


◯1244社殿/稽古場(500年前/朝)

 ◯1223、◯1232、◯1237と同日

 武士たちが刀、槍、薙刀の稽古をするための広い和室にいる奈緒衛と凛

 木刀を素振りしている奈緒衛

 凛は正座して奈緒衛の稽古の様子を見ている

 稽古場にはたくさんの木刀が壁にかけられている


凛「奈緒衛様、後ほど私めもやってよろしいでしょうか?」

奈緒衛「(木刀を素振りしながら)やるって何をだ?」

凛「稽古でございます、奈緒衛様」

奈緒衛「(木刀を素振りするのをやめて)り、凛は体を鍛えたいのか?」

凛「はい!!脆い体を強くするには稽古が一番かと思いまして」

奈緒衛「そ、それはそうであるが・・・波音が許すか分からぬぞ」

凛「無論承知しております。その上で波音様と奈緒衛様のお役に立つために、鍛練を積みたいのです」

奈緒衛「そうか・・・」

凛「恐れながら奈緒衛様には・・・」

奈緒衛「何だ?」

凛「凛を鍛えて欲しいと波音様にお頼み頂きたいのです!!」

奈緒衛「お、俺が波音に!?」

凛「左様でございます・・・(頭を下げて)どうか何卒・・・」

奈緒衛「それは困ったな・・・」


 少しの沈黙が流れる

 奈緒衛は困っている

 頭を下げ続けている凛

 稽古場のふすまが開き、波音が稽古場へ入って来る 


波音「(畳に座り)遅れてすまぬ、奈緒衛、凛」

奈緒衛「何という時に来るのだ波音は・・・」


 頭を上げる凛


波音「(立ち上がり)奈緒衛が出て行けと申すのなら出て行くぞ」

奈緒衛「い、いや波音はここにいてくれ!!」

波音「ふむ・・・仕方がないのう。お主がそう強く望むのであれば、遠慮無しにここにいさせてもらうぞ」

奈緒衛「も、もちろんだ!」


 波音は再び畳に座る

 再び沈黙が流れる


波音「やけに静かではないか、奈緒衛、凛」

奈緒衛「あ、ああ・・・まあな」

凛「奈緒衛様・・・どうか・・・」

波音「奈緒衛がどうしたのだ、凛」

奈緒衛「べ、別に何でもない!!気にするな!!」

波音「奈緒衛よ、そなた私に隠し事をしておるのか?」

奈緒衛「か、隠し事と決めつけられても困るのだ・・・」

波音「確かにお主は私と親しい間柄であり、良き家臣でもあるが・・・隠すのは許せぬな。白状するのだ、奈緒衛」


 少しの沈黙が流れる


奈緒衛「り、凛を・・・」

波音「凛を?」

奈緒衛「鍛えてやって欲しい」

波音「鍛えるだと?」

凛「左様でございます波音様!!私めも鍛錬を積みたいのです!!」

波音「わけが分からぬよ、凛。お主を鍛えることにどのような意味があるのだ?」

凛「脆い体は鍛えた方が良いと思いませぬか?波音様」

波音「鍛えたとて病気質な体が変わるとは限らぬぞ」

凛「分かっております。しかしこのままお二人の重荷にはなりとうないのです。私めは波音様と奈緒衛様のお役に立たねばなりませぬゆえ・・・」

奈緒衛「お前は十分役に立ってるではないか」

波音「うむ」


 再び沈黙が流れる


凛「幾ばくかの刀術は心得ておりますが・・・所詮女中では相手になりませぬでしょう・・・そこで波音様から少し知識をお借り出来ればと考えたのです」

波音「身を守る術程度なら・・・教えても・・・」

凛「(波音の話を遮って)良いのですか!!」

波音「凄まじい食いつきよのう・・・」

凛「波音様から学べるのは大変名誉なことです!!」

奈緒衛「良かったな、凛」

凛「これも奈緒衛様のご協力があったからこそでございます!!」

奈緒衛「俺は特に何もしていないぞ」

凛「奈緒衛様の推薦だから波音様を受け入れてくださったのです!!」

奈緒衛「そ、そうだったのか?波音」

波音「う、うむ・・・そうだったのかもしれぬな・・・」


 波音は立ち上がり、壁にかけてあった木刀を二本手に取る

 手に取った木刀の一本を凛に差し出す


波音「(凛に木刀を差し出したまま)では始めるか、凛よ」

凛「(波音から木刀を受け取り)はい!!よろしくお願いいたします!!」


◯1245波音博物館(昼前)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242の続き

 波音博物館の中にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 波音博物館の中は広くたくさんの物が展示されている

 展示物は波音、奈緒衛、凛が生きていた時代の生活用品や、戦いの道具、波音町にまつわる資料など

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 鳴海たちの他に数人の客が展示物を見ている

 鳴海たちはそれぞれ展示物を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が展示されている稽古用の木刀を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が見ている稽古用の木刀は、◯1223、◯1232、◯1237、◯1244で波音、奈緒衛、凛が使っていた物と完全に同じ

 稽古用の木刀は多少傷んでいるが、500年前からほとんど見た目は変わっていない

 展示ガラスには稽古用の木刀の説明が書かれたプレートが貼られている


汐莉「(稽古用の木刀を見ながら)波音さんと奈緒衛さんを救えなくて、凛はきっと後悔しています」

菜摘「(稽古用の木刀を見ながら)救えなかったって思ってるのは凛ちゃんだけだよ」

汐莉「(稽古用の木刀を見ながら)でも実際に救えなかったんです」

鳴海「(稽古用の木刀を見ながら)それは奈緒衛も同じだろ?奈緒衛が凛を守り損ねたんだ」

菜摘「(稽古用の木刀を見ながら)鳴海くん、その理論だと三人が三人のことを守り損ねたことにならない?」

鳴海「(稽古用の木刀を見ながら)確かにそうだな・・・」


 少しの沈黙が流れる


汐莉「(稽古用の木刀を見ながら 声 モノローグ)過去や未来よりも、今を知ることが大切」


◯1246滅びかけた世界:波音博物館(昼前)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人はそれぞれ荒れ果てた波音博物館の中を見て回っている

 老人は肩にライフルをかけている

 スズが何かを踏みつける

 足元を見るスズ

 スズの足元には真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀が落ちている

 スズは真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀を拾う

 スズが持っている真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀は、◯1223、◯1232、◯1237、◯1244で波音、奈緒衛、凛が使い、◯1245で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物と完全に同じ

 真っ二つ折れてボロボロになった稽古用の木刀を見ているスズ

 

汐莉「(声 モノローグ)今自分が役に立つか、今自分に出来ることは何か、今自分は誰に尽くすべきなのか」

 

 スズは真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀で軽く素振りをする

 スズが真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀で素振りをすると、ほこりが宙に飛び交う


◯1247社殿/稽古場(500年前/朝)

 ◯1223、◯1232、◯1237、◯1244と同日

 武士たちが刀、槍、薙刀の稽古をするための広い和室にいる波音、奈緒衛、凛

 木刀を素振りしている波音と凛

 奈緒衛の前に木刀が置いてある

 波音と凛が素振りをしている木刀と奈緒衛の前に置いてある木刀は、◯1245で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物であり、◯1246の滅びかけた世界のスズが素振りをしていた物と完全に同じ

 凛は波音の指示に従って木刀を素振りしている

 奈緒衛は座って波音と凛の稽古の様子を見ている

 稽古場にはたくさんの木刀が壁にかけられている


汐莉「(声 モノローグ)その答えは過去にも、未来にもない。あるのは今・・・今、私が菜摘先輩と鳴海先輩の役に立つことが大切だから・・・私は菜摘先輩たちと部活を続けよう」


◯1248波音博物館(昼前)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245の続き

 波音博物館の中にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 波音博物館の中は広くたくさんの物が展示されている

 展示物は波音、奈緒衛、凛が生きていた時代の生活用品や、戦いの道具、波音町にまつわる資料など

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 鳴海たちの他に数人の客が展示物を見ている

 鳴海たちはそれぞれ展示物を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が展示されている稽古用の木刀を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が見ている稽古用の木刀は、◯1223、◯1232、◯1237、◯1244で波音、奈緒衛、凛が使い、◯1246の滅びかけた世界のスズが手に取った物と完全に同じ

 稽古用の木刀は多少傷んでいるが、500年前からほとんど見た目は変わっていない

 鳴海、菜摘、汐莉は稽古用の木刀を見ながら話をしている

 千春はかつて波音が使っていた日本刀を見ている

 波音が使っていた日本刀は傷んでおらず、綺麗な状態で展示されている

 展示ガラスには”白瀬波音が愛用した日本刀”と書かれたプレートが貼られている


千春「(かつて波音が使っていた日本刀を見ながら 声 モノローグ)人間とは、過去を知り、学ぶ生き物なのです。私は人間じゃないですけど、過去を知りたいと強く願っていた時期もあります」


◯1249◯954の回想/緋空寺/境内(昼過ぎ)

 緋空寺の境内にいる千春と早季

 早季は倒れており、千春は金色に光り輝く刃の欠けた剣を早季の首元に向けている

 早季の日本刀が千春と早季から少し離れたところの地面に突き刺さっている

 寺は人の手入れが全くされていない

 寺の屋根の一部分は壊れている

 雑草が生い茂り、かつて舗装されていたであろう道は砂利で荒れ果てている

 寺の賽銭箱はひっくり返っている

 千春の足元の近くに雨水が溜まっている

 千春は足元に雨水が溜まっていることに気がついていない


早季「(倒れたまま)柊木千春は・・・ゲームでも・・・現実でも・・・朗読劇でも・・・絶対に勝てない運命です・・・」


◯1250回想戻り/波音博物館(昼前)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248の続き

 波音博物館の中にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 波音博物館の中は広くたくさんの物が展示されている

 展示物は波音、奈緒衛、凛が生きていた時代の生活用品や、戦いの道具、波音町にまつわる資料など

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 鳴海たちの他に数人の客が展示物を見ている

 鳴海たちはそれぞれ展示物を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が展示されている稽古用の木刀を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が見ている稽古用の木刀は、◯1223、◯1232、◯1237、◯1244で波音、奈緒衛、凛が使い、◯1246の滅びかけた世界のスズが手に取った物と完全に同じ

 稽古用の木刀は多少傷んでいるが、500年前からほとんど見た目は変わっていない

 鳴海、菜摘、汐莉は稽古用の木刀を見ながら話をしている

 千春はかつて波音が使っていた日本刀を見ている

 波音が使っていた日本刀は傷んでおらず、綺麗な状態で展示されている

 展示ガラスには”白瀬波音が愛用した日本刀”と書かれたプレートが貼られている

 かつて波音が使っていた日本刀の横には、同じく波音が使っていた甲冑、槍、薙刀が展示されている

 展示ガラスには、それぞれ甲冑、槍、薙刀の説明が書かれたプレートが貼られている


千春「(かつて波音が使っていた日本刀を見ながら 声 モノローグ)人間とは、運命を全うする生き物であり、運命に抗い続ける生き物でもあります。(少し間を開けて)嶺二さんや菜摘さんたちの未来はどうなってしまうんでしょうか・・・?運命を全うしても、運命に抗っても、どちらを選んでも良いと思いますが・・・そのどちらかに幸せな未来は待っているんでしょうか・・・?私は人間じゃありません・・・だから彼らを見守ることしか出来ないのです・・・」


◯1251滅びかけた世界:波音博物館(昼前)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人はそれぞれ荒れ果てた波音博物館の中を見ている

 老人は肩にライフルをかけている

 スズが真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀を素振りしている

 スズが素振りしている真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀は、◯1223、◯1232、◯1237、◯1244で波音、奈緒衛、凛が使い、◯1245

、◯1248、◯1250で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物と完全に同じ

 老人はかつて波音が使っていた日本刀を見ている

 老人が見ている波音の日本刀は、◯1248、◯1250で千春が見ていた物と完全に同じ

 老人が見ている日本刀は展示していたガラスケースが割られ、床にはガラスケースの破片が散乱している

 かつて波音が使っていた日本刀は刃が少し錆びている

 かつて波音が使っていた日本刀の横には、同じく波音が使っていた甲冑、槍、薙刀が乱雑に置いてある

 甲冑は倒れ破壊されており、槍、薙刀は日本刀と同じように刃が少し錆びている

  

千春「(声 モノローグ)私の運命が・・・変わることはあるんでしょうか?」


 老人はかつて波音が使っていた日本刀を手に取る


老人「(かつて波音が使っていた日本刀と薙刀を見ながら 声 モノローグ)負け犬の人生だった・・・ナツとスズには俺たちと同じ想いをさせたくない・・・(少し間を開けて)誰かあの二人の未来がどうなるのか教えてくれ・・・見守っている奴らは、ナツとスズのことを助けてくれるのか・・・?俺のことなんてもうどうでも良いんだ・・・二人を残酷な運命から救い出して欲しい・・・みんな・・ナツとスズに手を差し伸べてくれ・・・」


◯1252波音博物館(昼前)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250の続き

 波音博物館の中にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 波音博物館の中は広くたくさんの物が展示されている

 展示物は波音、奈緒衛、凛が生きていた時代の生活用品や、戦いの道具、波音町にまつわる資料など

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 鳴海たちの他に数人の客が展示物を見ている

 鳴海たちはそれぞれ展示物を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が展示されている稽古用の木刀を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が見ている稽古用の木刀は、◯1223、◯1232、◯1237、◯1244で波音、奈緒衛、凛が使い、◯1246、◯1251の滅びかけた世界のスズが素振りしていた物と完全に同じ

 稽古用の木刀は多少傷んでいるが、500年前からほとんど見た目は変わっていない

 鳴海、菜摘、汐莉は稽古用の木刀を見ながら話をしている

 千春はかつて波音が使っていた日本刀を見ている

 波音が使っていた日本刀は傷んでおらず、綺麗な状態で展示されている

 展示ガラスには”白瀬波音が愛用した日本刀”と書かれたプレートが貼られている

 千春が見ている波音の日本刀は、◯1251で老人が手に持って見ていた物と完全に同じ

 かつて波音が使っていた日本刀の横には、同じく波音が使っていた甲冑、槍、薙刀が展示されている

 展示ガラスには、それぞれ甲冑、槍、薙刀の説明が書かれたプレートが貼られている

 詩穂と真彩は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている


詩穂「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)この写真の緋空浜・・・凄い綺麗だ」

真彩「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)観光客のゴミが少ない頃に撮ったのかな〜・・・?」

詩穂「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)それって・・・いつ?」

真彩「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)500年前とか〜?」

詩穂「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)大昔じゃん」

真彩「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)なら400年くらい前かな〜・・・?」

詩穂「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)500年前も400年前もまずカメラが存在してないって」

真彩「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)んなことは知ってるけどさ〜・・・でも大昔に撮った写真なのは確かだと思うんだよな〜」


◯1253滅びかけた世界:波音博物館(昼前)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人はそれぞれ荒れ果てた波音博物館の中を見ている

 老人は肩にライフルをかけている

 スズが真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀を素振りしている

 スズが素振りしている真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀は、◯1223、◯1232、◯1237、◯1244で波音、奈緒衛、凛が使い、◯1245、◯1248、◯1250、◯1252で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物と完全に同じ

 老人はかつて波音が使っていた日本刀を手に持って見ている

 老人が手に持って見ている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ

 老人が手に持って見ている日本刀は展示していたガラスケースが割られ、床にはガラスケースの破片が散乱している

 かつて波音が使っていた日本刀は刃が少し錆びている

 かつて波音が使っていた日本刀の横には、同じく波音が使っていた甲冑、槍、薙刀が乱雑に置いてある

 甲冑は倒れ破壊されており、槍、薙刀は日本刀と同じように刃が少し錆びている

 ナツは波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている

 ロシア語の落書きは赤い文字でされている

 ナツが見ている緋空浜の大きな写真は◯1252で詩穂と真彩が見ていた物と完全に同じ

 ナツはギャラクシーフィールドのコインを入れていたポケットとはまた別のポケットから、ボロボロのポストカードを取り出す 

 ボロボロのポストカードにはゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 ナツが持っている緋空浜のポストカードは、波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真のコピーで、写っている物も完全に同じ

 ナツは緋空浜のポストカードと波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真を見比べている


ナツ「(緋空浜のポストカードと波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真を見比べながら)同じだ・・・」


 スズが真っ二つに折れてボロボロになった稽古用の木刀で素振りをするのやめて床に置き、ナツのところへやって来る

 

スズ「何見てるの〜?なっちゃん」


 ナツは緋空浜のポストカードをスズに差し出す


ナツ「(波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真を見たまま緋空浜のポストカードをスズに差し出して)これ、あの写真と一緒だと思って」

スズ「(緋空浜のポストカードをナツから受け取り)どれどれ〜」


 緋空浜のポストカードと波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真を見比べるスズ


スズ「(緋空浜のポストカードと波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真を見比べながら)ほんとだ〜!!ゴミが少ない緋空浜だね〜!!」

ナツ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)うん。今とは全然違う。凄く綺麗な緋空浜だ」

スズ「(緋空浜のポストカードと波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真を見比べながら)いつの緋空浜なのかな〜・・・」

ナツ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)きっと大昔mお前だよ」

スズ「(緋空浜のポストカードと波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真を見比べながら)大昔って500年くらい前〜?」

ナツ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)分かんないけど・・・500前に写真を撮る技術なんてなかった気がする」

スズ「(緋空浜のポストカードと波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真を見比べながら)そっか〜。何年前にしても大昔だね〜」


◯1254波音博物館(昼前)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252の続き

 波音博物館の中にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 波音博物館の中は広くたくさんの物が展示されている

 展示物は波音、奈緒衛、凛が生きていた時代の生活用品や、戦いの道具、波音町にまつわる資料など

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 鳴海たちの他に数人の客が展示物を見ている

 鳴海たちはそれぞれ展示物を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が展示されている稽古用の木刀を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が見ている稽古用の木刀は、◯1223、◯1232、◯1237、◯1244で波音、奈緒衛、凛が使い、◯1246、◯1251、◯1253の滅びかけた世界のスズが素振りしていた物と完全に同じ

 稽古用の木刀は多少傷んでいるが、500年前からほとんど見た目は変わっていない

 鳴海、菜摘、汐莉は稽古用の木刀を見ながら話をしている

 千春はかつて波音が使っていた日本刀を見ている

 波音が使っていた日本刀は傷んでおらず、綺麗な状態で展示されている

 展示ガラスには”白瀬波音が愛用した日本刀”と書かれたプレートが貼られている

 千春が見ている波音の日本刀は、◯1251、◯1253で老人が手に持って見ていた物と完全に同じ

 かつて波音が使っていた日本刀の横には、同じく波音が使っていた甲冑、槍、薙刀が展示されている

 展示ガラスには、それぞれ甲冑、槍、薙刀の説明が書かれたプレートが貼られている

 詩穂と真彩は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 詩穂と真彩が見ている波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真は、◯1253でナツとスズが見ていた物と完全に同じ

 詩穂と真彩は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら話をしている

 明日香、嶺二、雪音、響紀が千春の隣で、波音の手記を見ている

 波音の手記は巻物のような和紙に書かれており、綺麗に展示されている

 展示ガラスには”波音物語(波音の手記)”と書かれたプレートが貼られている

 プレートには波音物語の説明が書いてある

 波音物語/波音の手記を見ながら話をしている明日香、嶺二、響紀、雪音


嶺二「(波音物語/波音の手記を見ながら大きな声で)過去を学ぶには絶好のチャンスだぜ!!!!」

明日香「(波音物語/波音の手記を見ながら)学ぶ気があるなら黙って学びなさいよ、周りの迷惑になるんだから」

嶺二「(波音物語/波音の手記を見ながら)すまんすまんすまん」

明日香「(波音物語/波音の手記を見ながら)すまんは一回で良いっつうの」

嶺二「(波音物語/波音の手記を見ながら)面接を明後日に控えてるからって細かなことで怒んなよ、明日香」

明日香「(波音物語/波音の手記を見るのをやめて)はぁ?私の面接と私が怒ってんのとどんな関係が・・・」

嶺二「(波音物語/波音の手記を見るのをやめて慌てて)い、今のは明日香の緊張をほぐすための会話だからマジギレすんなって!!」

明日香「あんた、今ここで私に殺されたいの?」

嶺二「こ、殺されてえわけねーだろ・・・俺は長生きしてーんだよ・・・」

明日香「だったら私に喧嘩を売らないことね」

嶺二「そ、そーだな・・・(小声でボソッと)つか別に売ったつもりはねーが・・・」


 明日香たちの横で波音の日本刀を見ていた千春が、明日香たちの話に聞き耳を立てる

 千春の姿は変わらず誰にも見えていない

 少しの沈黙が流れる

 明日香と嶺二は再び波音物語/波音の手記を見る


響紀「(波音物語/波音の手記を見ながら)もし波音が未来に残すために手記を書いたのであれば、展示するよりももっと別の方法で拡散した方が良いような気もしますね」

明日香「(波音物語/波音の手記を見ながら)別の方法って?」

響紀「(波音物語/波音の手記を見ながら)某人気アイドルを主演にしてドラマ化しましょう、そしたら絶対にバズりますから」

雪音「(波音物語/波音の手記を見ながら)歴史を汚すの」

響紀「(波音物語/波音の手記を見ながら)そうではなくて過去の出来事を分かりやすく世に広めるんです。人々の関心を集めれば、波音物語の売り上げも伸び、結果的にこの町の過去についても紹介出来るようになります」

嶺二「(波音物語/波音の手記を見ながら)高校の朗読劇で苦労してる俺らには不可能中の不可能な話じゃねーか」

響紀「(波音物語/波音の手記を見ながら)そうですね、所詮私たちは学生です。なので誰か大人になってから挑戦してください。私は陰ながら応援します」

雪音「(波音物語/波音の手記を見ながら)波音物語をメディアで取り上げたらどうなるのか分かってる?」

響紀「(波音物語/波音の手記を見ながら)波音町に観光客が増えるのでは」

雪音「(波音物語/波音の手記を見ながら)そう。人が山ほど増えるの」

明日香「(波音物語/波音の手記を見ながら)観光客が来ればお金も回るし、悪いことはないでしょ?」

雪音「(波音物語/波音の手記を見ながら)この町には観光客なんか来なくて良い」

嶺二「(波音物語/波音の手記を見ながら)何でだよ?」

雪音「(波音物語/波音の手記を見ながら)波音町は・・・」


 雪音は何かを言いかけてたが、途中で黙る


明日香「(波音物語/波音の手記を見ながら)波音町が・・・何?」

雪音「(波音物語/波音の手記を見ながら)観光客がいなくても波音町のお金は動くから」

嶺二「(波音物語/波音の手記を見ながら)せめー心だな。お客さんはとりあえず帰れってことかよ・・・」


 再び沈黙が流れる

 千春は雪音のことを見ている

 

千春「(雪音のことを見ながら 声 モノローグ)彼女は波音町に縛られています・・・奇跡の力を求め過ぎているのです・・・(少し間を開けて)早季は欲深い人間を侮蔑するでしょう。でも私は、人間の欲深い心を理解出来ます。人間じゃないから、私には人間になりたいという強い欲求があって、人間への憧れと嶺二さんたちとの思い出をまだ捨て切れていないのです。雪音さん、欲とは、苦悩への不安定な吊り橋みたいなものですから、執着すると身を滅ぼしかねませんよ・・・」

雪音「(波音物語/波音の手記を見ながら 声 モノローグ)過去なんてどうでも良い。何があったか?波音の死因?この町が生まれた理由?そんなこと私には関係ない。(少し間を開けて)復讐さえ出来れば良い。姉と姉を慕っていた奴らはみんな呪ってやる」


◯1255滅びかけた世界:波音博物館(昼前)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人はそれぞれ荒れ果てた波音博物館の中を見ている

 老人は肩にライフルをかけている

 ナツとスズは波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真と、ボロボロのポストカードを見比べている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書がきされている

 ロシア語の落書きは赤い文字でされている

 ナツとスズが見ている緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254で詩穂と真彩が見ていた物と完全に同じ

 ボロボロのポストカードにはゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 ナツが持っている緋空浜のポストカードは、波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真のコピーで、写っている物も完全に同じ

 ナツとスズは波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真と、ボロボロのポストカードを見比べながら話をしている

 老人はかつて波音が使っていた日本刀を手に持って見ている

 老人が手に持って見ている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ

 老人が手に持って見ている日本刀を展示していたガラスケースは割られ、床にはガラスケースの破片が散乱している

 かつて波音が使っていた日本刀は刃が少し錆びている

 かつて波音が使っていた日本刀の横には、同じく波音が使っていた甲冑、槍、薙刀が乱雑に置いてある

 甲冑は倒れ破壊されており、槍、薙刀は日本刀と同じように刃が少し錆びている

 老人はかつて波音が使っていた槍と薙刀も手に取る

 かつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を見ている老人

 

雪音「(声 モノローグ)私はもう負け犬にはならない・・・」


 老人はかつて波音が持っていた日本刀、槍、薙刀を持ったままナツとスズのところへ行く


◯1256波音博物館(昼前)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254の続き

 波音博物館の中にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 波音博物館の中は広くたくさんの物が展示されている

 展示物は波音、奈緒衛、凛が生きていた時代の生活用品や、戦いの道具、波音町にまつわる資料など

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 鳴海たちの他に数人の客が展示物を見ている

 鳴海たちはそれぞれ展示物を見ている

 詩穂と真彩は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 詩穂と真彩が見ている波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真は、◯1253、◯1255で滅びかけた世界のナツとスズが見ていた物と完全に同じ

 詩穂と真彩は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら話をしている

 明日香、嶺二、雪音、響紀が千春の隣で、波音の手記を見ている

 波音の手記は巻物のような和紙に書かれており、綺麗に展示されている

 展示ガラスには”波音物語(波音の手記)”と書かれたプレートが貼られている

 プレートには波音物語の説明が書いてある

 明日香、嶺二、雪音、響紀は波音物語/波音の手記を見ながら話をしている

 千春は明日香たちの話に聞き耳を立てている

 鳴海、菜摘、汐莉が展示されている稽古用の木刀を見ている

 鳴海、菜摘、汐莉が見ている稽古用の木刀は、◯1223、◯1232、◯1237、◯1244で波音、奈緒衛、凛が使い、◯1246、◯1251、◯1253で滅びかけた世界のスズが素振りしていた物と完全に同じ

 稽古用の木刀は多少傷んでいるが、500年前からほとんど見た目は変わっていない

 鳴海、菜摘、汐莉は稽古用の木刀を見ながら話をしている


菜摘「(稽古用の木刀を見ながら鳴海たちと話をして 声 モノローグ)ここからだと、過去を深く知ることは出来ない・・・時の間には大きな壁があるんだ」


◯1257社殿/稽古場(500年前/朝)

 ◯1223、◯1232、◯1237、◯1244、◯1247と同日

 武士たちが刀、槍、薙刀の稽古をするための広い和室にいる波音、奈緒衛、凛

 木刀を素振りしている波音と凛

 奈緒衛の前に木刀が置いてある

 波音と凛が素振りをしている木刀と奈緒衛の前に置いてある木刀は、◯1245、◯1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物であり、◯1246、◯1251、◯1253の滅びかけた世界のスズが素振りしていた物と完全に同じ

 凛は波音の指示に従って木刀を素振りしている

 奈緒衛は座って波音と凛の稽古の様子を見ている

 稽古場にはたくさんの木刀が壁にかけられている


菜摘「(声 モノローグ)私が壁を壊して、みんなを救わなきゃ・・・(少し間を開けて)大丈夫、私には鳴海くんたちがついてるし、波音さんたちも見守ってくれてるから・・・きっと出来る」


◯1258緋空浜(昼前)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256と同日

 ◯1210、◯1212、◯1227、◯1231、◯1236の続き

 緋空浜の浜辺にいる制服姿の早季

 浜辺に正座している早季

 早季の目の前には将棋の盤が置いてある

 早季の横には取った駒が置いてある

 早季は一人将棋を行っている

 浜辺にはペットボトルやお菓子の袋のゴミが落ちている

 浜辺には釣りやウォーキングしている人がいる

 早季は一手打つたびに、将棋の盤をひっくり返す


菜摘「(声 モノローグ)私、絶対に後悔しないよ。合同朗読劇で本当の運命を全うするんだ」


◯1259滅びかけた世界:波音博物館(昼前)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人はそれぞれ荒れ果てた波音博物館の中を見ている

 老人は肩にライフルをかけている

 ナツとスズは波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真と、ボロボロのポストカードを見比べている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている

 ロシア語の落書きは赤い文字でされている

 ナツとスズが見ている緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254、◯1256で詩穂と真彩が見ていた物と完全に同じ

 ボロボロのポストカードにはゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 ナツが持っている緋空浜のポストカードは、波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真のコピーで、写っている物も完全に同じ

 ナツとスズは波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真と、ボロボロのポストカードを見比べながら話をしている

 老人はかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を手に持って見ている

 老人が手に持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ

 ナツとスズのところへ老人がやって来る

 老人はチラッとナツが持っている緋空浜のポストカードと、波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見比べる


老人「同じ写真が使われているな」

ナツ「(緋空浜のポストカードと波音博物館の壁に飾られている緋空浜の大きな写真を見比べながら)うん」


 ナツは緋空浜のポストカードを、ギャラクシーフィールドのコインが入っているポケットとは別のところにしまう

 スズは老人が波音の日本刀、槍、薙刀を持っていることに気づく


スズ「ジジイ、武器を盗んだの?」

老人「そうだ、これらはまだ壊れていないからな」

スズ「私たちにも使えるかな?」

老人「使えるさ」

ナツ「博物館にある物を盗んで良いの?」

老人「博物館だったのは過去のことだ。(少し間を開けて)いつまでもこんなところに物を放置するのは勿体無い。俺たちで貰って行こう」

スズ「おー!!どろぼーだ!!」

ナツ「盗むのは気が引けるな・・・必要な物でもさそうだし・・・」

老人「ナツ、武器は多いに越したことはないぞ」


 少しの沈黙が流れる


ナツ「私たちはあんたの付き添い人みたいだ・・・掃除をしたり、物を盗んだり・・・」

老人「俺は若いうちに経験するべき出来事を君たちに与えているだけだよ」

ナツ「それがここに来た理由?」

老人「ああ」


 ナツ、スズ、老人は再び波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見る

 深くため息を吐き出す老人


老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)酷い状態だ・・・」

スズ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)誰が破ったの?」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)ロシアの奴らさ・・・(小声でボソッと)クソ蓮根野郎共め・・・」


 再び沈黙が流れる


ナツ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)鳴海は・・・後悔してる・・・?」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)何のことだ」

ナツ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)戦争・・・戦争へ行ったことを鳴海は後悔してるの・・・?」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)ああ・・とても後悔したし、今も後悔し続けてる」

ナツ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)だったらどうして戦争へ行ったんだ・・・」

スズ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)なっちゃん、ジジイにもじじょーがあったんだよ」


 少しの沈黙が流れる


老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)俺には・・・それしか道がなかった・・・戦争へ行くのが俺の人生だと思ったんだ。(少し間を開けて)行かなければ、今頃俺は他の奴らと同じように死んでいただろう」

スズ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)しょーがなかったんだね、ジジイ」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)逃げたんだ。俺は波音町から逃げるために戦争へ行った」

ナツ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)逃げるために・・・?何で・・・?」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)戦争へ行くかなり前に・・・俺は大切な人を一気に何人も失ったことがある」


◯1260波音博物館(昼)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256の続き

 波音博物館の中にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 波音博物館の中は広くたくさんの物が展示されている

 展示物は波音、奈緒衛、凛が生きていた時代の生活用品や、戦いの道具、波音町にまつわる資料など

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 鳴海たちの他に数人の客が展示物を見ている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 鳴海たちが見ている波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真は、◯1253、◯1254、◯1259でナツ、スズ、老人が見ていた物と完全に同じ

 鳴海たちは波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら話をしている


老人「(声)たった数日の間に、たくさんの人を失った・・・一瞬で大切な人たちが俺の側から消えたんだ」


◯1261滅びかけた世界:波音博物館(昼)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 老人は肩にライフルをかけており、手にはかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている

 老人が手に持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている

 ロシア語の落書きは赤い文字でされている

 ナツ、スズ、老人が見ている緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254、◯1256、◯1260で鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩が見ていた物と完全に同じ

 ナツ、スズ、老人は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら話をしている


老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)その記憶から逃げるには波音町から離れ、戦争へ行くしかなかった」


 少しの沈黙が流れる


ナツ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)戦争は憎くないの?」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)憎いさ」


◯1262社殿/稽古場(500年前/午前中)

 ◯1223、◯1232、◯1237、◯1244、◯1247、◯1257と同日

 武士たちが刀、槍、薙刀の稽古をするための広い和室にいる波音、奈緒衛、凛

 波音と凛が木刀を素振りしている

 奈緒衛の前に木刀が置いてある

 波音と凛が素振りをしている木刀と奈緒衛の前に置いてある木刀は、◯1245、◯1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物であり、◯1246、◯1251、◯1253のほろかけた世界のスズが素振りしていた物と完全に同じ

 凛は波音の指示に従って木刀を素振りしている

 奈緒衛は座って波音と凛の稽古の様子を見ている

 稽古場にはたくさんの木刀が壁にかけられている

 凛は息を切らしている

 木刀を素振りするのをやめる波音


波音「凛よ、そろそろ休むのだ」

凛「(息を切らしながら木刀を素振りして)し、しかし波音様・・・ハァ・・・ハァ・・・このような鍛錬ではまだ強くなかった気がしませぬ!!」

奈緒衛「疲労は体を痛めるぞ、凛」

波音「うむ」


 凛は木刀を素振りするのをやめる


凛「(息を切らしながら)ハァ・・・ハァ・・・承知仕りました・・・」


 凛は木刀に畳の上に置き、座り込む


波音「凛、大丈夫か?」

凛「(息を切らしながら)はい・・・波音様・・・ハァ・・・」


 木刀を畳の上に置き、座る波音


波音「素振りでもお主が倒れるか心配になるのう・・・」

凛「(息を切らしながら)し、心配ご無用でございます・・・ハァ・・・ハァ・・・」


 凛は呼吸を整える


凛「(呼吸を整えながら)ひ、日々このような苦しい鍛錬を積まれている波音様と奈緒衛様には心から敬服致します・・・」

奈緒衛「俺たちは武士だが・・・凛は女中だ。仮に鍛えたいにしても、もう少し軽い内容の修行にするべきだと思うぞ」

凛「さ、左様でございますか・・・奈緒衛様・・・」

奈緒衛「ああ」

波音「凛」

凛「な、何でございましょう?」

波音「あまり無茶をし過ぎるな」

凛「はい・・・波音様・・・」

波音「刀は丁寧に反復して振るが重要なのだ。決して力任せになってはならぬぞ、凛」

凛「波音様のそのお言葉、しかと胸に刻み刀を振らせていただきます」

波音「うむ」

凛「時に波音様」

波音「何だ?」

凛「波音様は・・・何故戦へ向かわれるのでございますか?」

奈緒衛「これはまた急な質問だな」

凛「も、申し訳ございませぬ・・・ちょっとした好奇心からこのような無礼な事柄を尋ねてしまいました・・・」

波音「尋ねるのはそなたの自由だが・・・面白くもない話だぞ、凛」

凛「わ、私めは気に留めませぬ!!ただ波音様が戦いになる訳を知りたいのです!!」


 少しの沈黙が流れる


奈緒衛「波音、話してやったら良いのではないか?」

波音「仕方がないのう・・・」

凛「(頭を下げて)感謝致します波音様」

波音「かつて私には一つ目的があってな・・・」


 凛は頭を上げる


凛「目的と申しますと・・・どのような事柄でございましょうか?」

波音「復讐だ」


 再び沈黙が流れる


波音「凛、お主は私の過去に何があった聞いておるか?」

凛「父君と母君を幼き頃に亡くし・・・それからは人攫いにあったと聞き及んでおります・・・」

波音「そうだ。私は数多の富豪に買われ、各地を転々としてのう・・・海人は珍しく希少価値があったのだろうな。一度に売りに出されれば、すぐに買い手が見つかったものだ。そこで大概私は家畜のように扱われ、必要とされなくなったら別の富豪の元へ売り飛ばされていた」


 少しの沈黙が流れる


波音「初めは私も雑に扱われることに耐えておったが・・・徐々に我慢が出来なくなり・・・ある日、富豪の小刀を盗んで首を掻っ切ってしまったのだ」

凛「そ、そのようなことをされては大罪になるのでは・・・?」

波音「うむ、一般的にはそうだろう。しかし私は富豪たちから家畜のように扱われたのが許せなかったのだ」

凛「ふ、復讐を目的に他の富豪たちの首を切ったのですか?」


 頷く波音


波音「彼らもまさか幼き少女が殺めに来るとは思わなかったのだろうな、私の復讐はある時期まで順調に進んでおったのだが、10を越える年頃に差し掛かった時についに捕らえられてしまった」

凛「そ、それで波音様はどうなられたのです?」

波音「私を捕らえた武将が森可成という信長殿の家臣でのう・・・血の気が盛んな私のことを見込んで戦場へ放り込んだのだ。するとどういうことか、私には復讐よりも戦場の空気の方が肌に合ってしまった」


 再び沈黙が流れる


奈緒衛「可成様は波音が戦場で死ぬ予想していたらしいが、見事にそれを裏切ったわけだ」

波音「素晴らしい家臣に恵まれておらねば、私はとっくに死んでおったよ」

奈緒衛「そ、そうか?」

波音「うむ。どうだ凛よ、大して面白い話でもなかったろう?」

凛「い、いえ!!波音様の過去を知れて私めは大変嬉しいです!!」

波音「嘘でもお主はそう申してくれるから助かるのだ」

凛「う、嘘ではございませぬが・・・波音様、一つ気になったことがあります」

波音「何でも聞くが良い、凛」


 少しの沈黙が流れる


凛「な、波音様の復讐の果たされたのでございましょうか・・・?」

波音「いや、まだ殺めて切れておらぬだろうな」


◯1263滅びかけた世界:波音博物館(昼)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 老人は肩にライフルをかけており、手にはかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている

 老人が手に持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている

 ロシア語の落書きは赤い文字でされている

 ナツ、スズ、老人が見ている緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254、◯1256、◯1260で鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩が見ていた物と完全に同じ

 波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら話をしているナツたち


老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)戦争は復讐を生む。過去もそうだ。記憶が呼ぶのは幸福だけではない。俺から全てを奪った奴らのことを思い出させるのは頭の中の記憶であり、過去の出来事だ。戦争が起きれば、怒りで復讐を目論みたくもなる。戦争は勝者と敗者を徹底的に分けさせるからだ。(少し間を開けて)と言っても、どこの国だっていずれは負けるだろうがな」

ナツ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)今でも復讐したいと思う?」


 少しの沈黙が流れる


老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)昔・・・取り残された敵兵を殺したことがある」


◯1264Chapter6◯472の回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)

 破壊されたたくさんの民家がある

 道路はボロボロで、至るところに死体やら損壊した家のコンクリートなどが転がっている

 中年期の老人と道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵がいる

 中年期の老人の頬にはアイヴァン・ヴォリフスキーにつけられた切り傷がある

 両手足が潰れたロシア兵は死んでいる

 中年期の老人は死んだロシア兵を思いっきり蹴り続けている

 

中年期の老人「(死んだロシア兵を蹴りながら叫び声で)クソッ!!!!クソッ!!!!俺の人生を返してくれ!!!!」


 中年期の老人はロシア兵の顔面を足で踏み潰す


中年期の老人「(死んだロシア兵の顔面を足で踏み潰しながら叫び声で)みんなを返してくれ!!!!!」


 死んだロシア兵の顔面は完全に潰れ、脳みそが散乱している

 老人は再び思いっきり死んだロシア兵の体を蹴る

 徐々に息切れをし始める中年期の老人

 夕日が沈みかけている

 死んだロシア兵の両手足からは骨と肉塊が飛び出ている

 中年期の老人が死んだロシア兵の体を思いっきり蹴ると、死んだロシア兵の左腕の肉塊からキラキラと光る指輪と血まみれになった一枚の写真が出てくる

 死んだロシア兵の指輪がコロコロと転がり止まる

 死んだロシア兵の指輪は夕日の光を反射させキラキラと光っている

 死んだロシア兵の体は両手足、顔面がボロボロになっている

 中年期の老人は死んだロシア兵を蹴るのをやめ、呼吸を整える

 中年期の老人は死んだロシア兵の左腕の肉塊から出てきた一枚の写真を手に取って見る

 写真は死んだロシア兵の血で酷く汚れている

 血まみれの写真には死んだロシア兵の妻らしき女性と、2、3歳ばかりの子供が写っている

 中年期の老人は自分の左手を見る

 中年期の老人の左手の薬指にはシンプルなデザインの指輪がつけてある

 中年期の老人の左手の薬指についている指輪は、死んだロシア兵の指輪と同じように、夕日の光を反射させ赤く光っている


◯1265回想戻り/滅びかけた世界:波音博物館(昼)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261、◯1263と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 老人は肩にライフルをかけており、手にはかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている

 老人が手に持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ている

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている

 ロシア語の落書きは赤い文字でされている

 ナツ、スズ、老人が見ている緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254、◯1256、◯1260で鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩が見ていた物と完全に同じ

 波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら話をしているナツたち


老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)そいつは酷い傷を負っていた」

スズ「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見るのをやめて)助けよーとはしなかったの・・・?」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)よく分からない・・・水は飲ませてやったが・・・そいつが・・・この町にいた俺の家族や・・・友人を殺したと思うと・・・破壊したくなった・・・死んだ奴らが受けた苦しみと痛みを何倍にもして返してやりたくなった・・・この世から跡形もなく消したかった・・・復讐がしたかったんだ・・・(少し間を開けて)常軌を逸していたのは分かっている。だが、それでもやめられなかった。どうしても殺したかった。惨たらしい姿で死んだ奴らのことが脳裏にチラついたんだ。子供も、女も、年寄りも、関係ない。全員殺された」


 少しの沈黙が流れる

 波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見るのをやめるナツ


ナツ「正義のない復讐を正当化するのは間違ってる」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)そうだな。結果的に俺は取り残された敵兵を殺した。そして殺戮衝動が消えると、身を燃やしたいような気持ちに駆られた。復讐の果てに後悔をしたが・・・俺はやめなかった・・・生き残っている敵兵は皆殺しにした」


 再び沈黙が流れる


ナツ「鳴海の行いは正しくない・・・」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)分かっている」

スズ「何で助けよーとしなかったのかな・・・助けたらそれで傷つけ合うことはなくなるし、大切な人が死んじゃうことも無くなるのに・・・悲しむ人を減らそうとは思わなかったの・・・?ジジイ」

老人「(波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見ながら)奴らを助けたところで・・・俺の心は壊れたままだ」


 少しの沈黙が流れる


ナツ「(声 モノローグ)私たちに知らなくて良い過去なんかない」


◯1266波音博物館/チケット売り場(昼)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260の続き

 波音博物館のチケット売り場はだだっ広い

 チケット売り場には数台の券売機、窓口、入場口、出口がある 

 数人の客が券売機でチケットを購入している

 入場口の横にある出口から鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩が出て来る

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 千春以外は楽しそうに話をしている

 鳴海たちは波音博物館の扉に向かって歩いている


ナツ「(声 モノローグ)全部の出来事を知って、世界が滅びかけた理由を受け止めるべきだと思う」


 鳴海たちは波音博物館の扉を通り外へ出る


ナツ「(声 モノローグ)そのためには・・・私も、スズも、貴志鳴海も・・・痛みを得なければならない」


◯1267波音博物館前/南波音駅に向かう道中(昼)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266の続き

 波音博物館から出て来た鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 千春以外は楽しそうに話をしている

 鳴海たちは波音博物館に向かっている客たちとすれ違いながら、南波音駅に向かっている


ナツ「(声 モノローグ)鳴海の行いは正しくないと言ったけど・・・もし自分が鳴海と同じ立場だったらどうしただろう・・・自分が攻撃される可能性もあって、しかも大切な人を殺されているかもしれない状況の中で、敵の兵士を助けることが出来るのかな・・・(少し間を開けて)私は復讐しないとは言い切れなかった」


◯1268社殿/稽古場(500年前/午前中)

 ◯1223、◯1232、◯1237、◯1244、◯1247、◯1257、◯1262と同日

 武士たちが刀、槍、薙刀の稽古をするための広い和室にいる波音、奈緒衛、凛

 畳に座っている波音、奈緒衛、凛

 波音、奈緒衛、凛の前には木刀が置いてある

 波音、奈緒衛、凛の前に置いてある木刀は、◯1245、◯1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物であり、◯1246、◯1251、◯1253の滅びかけた世界のスズが素振りしていた物と完全に同じ

 稽古場にはたくさんの木刀が壁にかけられている

 話をしている波音たち


波音「復讐は果たせておらぬが、もうやるつもりはない。富豪たちへの怒りもとうに静まっておる」

凛「左様でございますか・・・」

波音「うむ」

奈緒衛「第一今の波音には戦があって、復讐どころではないだろう?」

波音「ああ、戦では勝たねばならぬからな。復讐などどうでも良いのだ」

凛「戦はそれほどまでに夢中になれるのですね」

波音「一度でも戦場へ赴くと、体が忘れられなくなるのだよ、凛。だから戦はやめられぬのだ。中でも年長の武将は身も心も戦に支配されておる。あの者たちが武将の座を譲ろうとせぬのは、戦場の感覚が忘れ去られないからであろう」

奈緒衛「老兵武将たちか・・・あのようにはなりたくないな・・・」

波音「心するのだぞ、奈緒衛。戦い続けるのも我らの運命だが、老いには抗えぬのだ」

奈緒衛「あ、ああ。行く末についても考えとくよ」


◯1269南波音駅/ホーム(昼過ぎ)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267の続き

 南波音駅のホームに鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩がいる

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 ホームには学生、カップル、家族連れなどがおり、電車が来るを待っている

 千春以外は話をしている


菜摘「みんな、この後はどうしよっか?」

明日香「ごめん菜摘、私今日は先に帰る」

嶺二「んだよノリがわりーな」

明日香「あんたのために今日だって受験前の貴重な時間を割いてあげてるんだからね!!」

嶺二「俺のためじゃなくて文芸部と軽音部のためだろ・・・」

菜摘「ごめんね、明日香ちゃん」

明日香「う、ううん!!菜摘は謝らなくて良いの!!」

真彩「菜摘さんと嶺二くんじゃ対応がまるっきり違うんすね・・・」

鳴海「菜摘と嶺二じゃクソと神を比較してるようなものだ」

菜摘「鳴海くん」

鳴海「す、スイートメロンパンが食べたいのはさておきこの後はどうする?」

響紀「明日香ちゃんが帰るなら私も帰ります」

明日香「えっ、響紀まで帰ろうとしなくても良いのに」

響紀「一月は明日香ちゃんとシンクロ生活チャレンジ中なので」

詩穂「響紀くん・・・シンクロ生活チャレンジって何・・・?」

響紀「明日香ちゃんの生活リズムに合わせて私も生活をするっていう、スペシャルなイベント」

真彩「馬鹿だこの女・・・」

汐莉「響紀、明日香先輩に合わせて明後日面接を入れたんですよ」

明日香「(驚いて)は!?」

響紀「受かればコンビニの店員です。入店お待ちしています明日香ちゃん」

明日香「し、知り合いが働いてるところなんて行くわけないでしょ・・・」

菜摘「明日香ちゃんの代わりに私と鳴海くんが行こうかな」

鳴海「何で俺も道連れなんだよ・・・」

菜摘「だって一人だと寂しいもん」

響紀「入店お待ちしてます、皆さん」

菜摘「うん!!」


 少しの沈黙が流れる


嶺二「で、結局この後はどーすんだよ」

雪音「嶺二は私と予定があるじゃん」

嶺二「て、てきとーなことを・・・」

菜摘「(嶺二の話を遮って)なら嶺二くんと雪音ちゃんは波音駅でバイバイ?」

雪音「そうだね」

嶺二「よ、予定なんかねーだろおい!!」

雪音「女の子との約束を忘れたんだ。嶺二って最低」

嶺二「さいてーなのはどっち・・・」

鳴海「(嶺二の話を遮って)最低だな嶺二」

汐莉「最低です嶺二先輩」

菜摘「最低だよ嶺二くん・・・」


 再び沈黙が流れる


真彩「あ、あのー・・・私と詩穂は個別でライブの練習をしたいんですが・・・」

菜摘「えっ?この後?」

真彩「はい・・・」

詩穂「波音駅でどろんして良いですか」

菜摘「う、うん。じゃあ明日香ちゃんと響紀ちゃんは帰って、嶺二くんと雪音ちゃんはデートに行って・・・」

嶺二「(小声でボソッと)デートじゃねーんだよ・・・」

菜摘「詩穂ちゃんとまあやんはライブの練習だね。あと残ってるのは・・・私と、鳴海くんと、汐莉ちゃんの三人かな」

汐莉「そうですね」

菜摘「なら三人でお昼ご飯でも食べる?」

汐莉「良いんですか・・・?私がいても・・・」

菜摘「大人数の方が楽しいもん」

鳴海「そうだな。嶺二たちも各自で飯を食うんだろ?」

雪音「うん」

詩穂「私たちは自宅で食べます」

菜摘「じゃあとりあえず波音駅までは一緒に行って、そこから解散しよっか」

明日香「そうね」

千春「(声 モノローグ)未来でも、皆さんの関係が変わっていなければ良いのですが・・・卒業後は今みたいに全員が揃う日も減るでしょう・・・そしたら、顔や名前も少しずつ忘れて・・・友情も終わってしまうのでしょうか・・・?」


◯1270◯943の回想/緋空寺/本堂(昼過ぎ)

 緋空寺の本堂で刃の欠けた剣と日本刀をぶつけ合っている千春と早季

 本堂は装飾が剥がれ落ちており、祀られていたはずの仏像は無くなっている

 本堂は広いが薄暗く、畳、障子、ふすまの状態も悪い

 千春の剣と早季の日本刀がぶつかるたびに火花が飛ぶ


早季「(日本刀を千春の剣にぶつけながら)あなたは忘れられたんです!!忘却こそが創作された人形の辿る道なんですよ!!そのうち貴志鳴海や白石嶺二もあなたのことを気に留めなくなるでしょう!!人類とはそういう冷たい生物です!!」

千春「(刃の欠けた剣を早季の日本刀にぶつけながら大きな声で)それが何ですか!?!?忘れられることの何がいけないんですか!?!?私は子供向けのゲームから誕生したんですよ!!!!嶺二さんや鳴海さんが子供向けのゲームに登場するキャラクターを忘れたのだとしたら、あの二人が大人になったってことです!!!!一緒に遊んでくれた子供が大人になるなんて凄く幸せなことじゃないですか!!!!」

早季「(日本刀を千春の剣にぶつけながら大きな声で)そんな成長の仕方は間違っている!!!!間違えて歳を取った人類は感謝をしない!!!!成長を誤った人々は地球や子供たちすら愛さずに今日を生きています!!!!」


◯1271回想戻り/南波音駅/ホーム(昼過ぎ)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269

と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269の続き

 南波音駅のホームに鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩がいる

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 ホームには学生、カップル、家族連れなどがおり、電車が来るを待っている

 千春以外は話をしている

 

千春「(声 モノローグ)私のことを覚えてもらえてるnoも・・・今だけですかね・・・寂しいですけど・・・」


 電車がホームにやって来る


千春「(声 モノローグ)人間とは・・・子供の時の経験を忘れて、大人になる生き物なのです・・・」


 電車が南波音駅に止まり、扉が開く

 電車から人が降りた後、鳴海たちは電車に乗る


◯1272社殿/稽古場(500年前/昼前)

 ◯1223、◯1232、◯1237、◯1244、◯1247、◯1257、◯1262、◯1268と同日

 武士たちが刀、槍、薙刀の稽古をするための広い和室にいる波音、奈緒衛、凛

 畳に座っている波音、奈緒衛、凛

 波音、奈緒衛、凛の前には木刀が置いてある

 波音、奈緒衛、凛の前に置いてある木刀は、◯1245、◯1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物であり、◯1246、◯1251、◯1253の滅びかけた世界のスズが素振りしていた物と完全に同じ

 稽古場にはたくさんの木刀が壁にかけられている

 話をしている波音たち


凛「悪いふうにはなりませぬよ」

波音「我らの行く末が分かるのか?」

凛「いえ・・申し訳ございませぬ・・・これは予知で申したのではないのです」

奈緒衛「凛の勘だな」

凛「そうでございます、奈緒衛様」

波音「勘とはどういうことなのだ、凛、奈緒衛」

奈緒衛「さっき凛は予知をせずに勘で波音が稽古場に訪れることを当てたんだ」

波音「私が稽古場に訪れるのと、我らの行く末を言い当てるのとでは違いがあるではないか」

奈緒衛「それはそうだが・・・」

凛「波音様、漠然とそう思うのです。悪いふうにはならないと」

波音「いつもの予知とはどのように違うのだ?」

凛「ただ私が悪いふうにはならないと思うだけなのです」


 少しの沈黙が流れる


奈緒衛「波音、凛の勘なら信じても良いだろ?」

波音「う、うむ・・・」

凛「波音様」

波音「何だ?」

凛「動乱の世は常に揺れ動いておりますゆえに、今を生き抜くのも大切でございます」

波音「私もついにお主に諭されるようになったか・・・」

凛「私めは波音様と奈緒衛様にお仕えする身でございます。お二人の役に立つのであれば、時には諭すこともあるでしょう」

波音「そうであるな、それでこそ我が忠実な家臣だ」

凛「はい!!」


◯1273電車内(昼過ぎ)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271の続き

 電車に乗っている鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 電車には鳴海たちの他に学生、カップル、家族連れなどが乗っている

 千春以外は楽しそうに話をしている

 

奈緒衛「(声)波音、凛」

波音「(声)うむ」

凛「(声)何でございましょうか、奈緒衛様」

奈緒衛「(声)俺たちは後悔せずに生きような」

波音「(声)無論だ」

凛「(声)我らには後悔などという言葉は必要ありませぬ」


◯1274社殿/稽古場(500年前/昼前)

 ◯1223、◯1232、◯1237、◯1244、◯1247、◯1257、◯1262、◯1268、◯1272と同日

 武士たちが刀、槍、薙刀の稽古をするための広い和室にいる波音、奈緒衛、凛

 畳に座っている波音、奈緒衛、凛

 波音、奈緒衛、凛の前には木刀が置いてある

 波音、奈緒衛、凛の前に置いてある木刀は、◯1245、◯1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物であり、◯1246、◯1251、◯1253の滅びかけた世界のスズが素振りしていた物と完全に同じ

 稽古場にはたくさんの木刀が壁にかけられている

 話をしている波音たち


奈緒衛「そうか・・・そうだよな。きっと後悔しないで今を生き抜けば悪くはならないさ」

凛「左様でございますよ!!」

波音「念を押しておきたいのだが奈緒衛よ」

奈緒衛「あ、ああ」

波音「私は一度だって後悔したことはないぞ」

奈緒衛「さ、さすがだな波音は・・・」

波音「そなたも後悔しない道を選ぶのだ。そなた自身の行く末のためにも」


◯1275滅びかけた世界:波音博物館(昼)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261、◯1263、◯1265と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 老人は肩にライフルをかけており、手にはかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている

 老人が手に持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真の前にいる

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている

 ロシア語の落書きは赤い文字でされている

 波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254、◯1256、◯1260で鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩が見ていた物と完全に同じ

 波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真の前で話をしているナツたち


ナツ「人生の選択を間違えたって思う瞬間はある?」

老人「何度もあるさ」

スズ「戦争へ行っちゃった時・・・?」

老人「そうだな・・・あの時の俺は・・・戦争へ行くしかないと思い込んでいたが・・・違ったよ。戦争へ行かず、波音町に残って・・・人の命を守るべきだった・・・殺すためにはなく、守るために銃を手にすれば良かったんだろうな」


 少しの沈黙が流れる


老人「全部手遅れだ」

スズ「私たちも・・・?」


 再び沈黙が流れる


老人「お前たちの存在は俺にとって希望だが、お前たちが希望になるか決めるのは俺じゃない」

ナツ「どういうこと?」

老人「子供は無限の可能性を秘めている。大人の失敗を・・・過去の過ちを乗り越えられるのが子供だ」

ナツ「あんたは掃除しか出来ないから・・・私たちに滅びかけた世界の責任を押し付けてるんだよ・・・」

老人「掃除が出来れば十分だと思わないか?ナツ」

ナツ「緋空浜のゴミのことしか考えてない年寄りなんて・・・私たちは求めてない・・・」

スズ「なっちゃん・・・」

老人「ナツ、君は俺に何を望んでいるんだ?」

ナツ「過去にあったことが知りたいんだよ」

老人「それだけか?」


 少しの沈黙が流れる


ナツ「どうやって生きたら良いのか知りたい・・・」

老人「俺はナツと逆だな」

スズ「逆って何なの?ジジイ」

老人「昔から死に方が分からないんだ」

ナツ「鳴海が私たちに必要なことを教えるまで、絶対に死なせるもんか」

老人「悪いが君たちが知りたがっていることは教えられないな」

スズ「何でー?」

老人「何故なら俺も知らないからだ。ナツとスズの悩みはナツとスズにしか分からないだろう?自分たちで答えを見つけるんだ、成長したければ俺を頼らない方が良い」

ナツ「あんたはこの町の人たちから逃げて、戦争からも一人で逃げて、後悔してるのにどうしてまだ隠し事をするの?」


 再び沈黙が流れる


スズ「ジジイ、今は良くなくても、過去が苦しくても、きっと未来は悪くならないよ。私となっちゃんとジジイが幸せになる未来が絶対に来るって」

老人「スズの勘を信じろと言うのか?」

スズ「うん!!信じてみてよ!!」

老人「(声 モノローグ)埋もれていた過去が甦ってきた・・・」


◯1276電車内(昼過ぎ)

 ◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273と同日

 ◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273の続き

 電車に乗っている鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋をしている

 鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、明日香、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋をしている

 マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている

 千春は刃の欠けた剣を持っている

 千春の姿は誰にも見えていない

 電車には鳴海たちの他に学生、カップル、家族連れなどが乗っている

 千春以外は楽しそうに話をしている


老人「(声 モノローグ)昔、よく菜摘が大丈夫だと言っていた」


 電車は波音駅に止まる

 電車の扉が開く

 鳴海たちは波音駅で電車から降りる

 鳴海たち以外にもたくさんの人が波音駅で降車する

 改札に向かって歩いている鳴海たち


老人「(声 モノローグ)俺はあの言葉に騙されていたのだろう。他にも似たような言葉をたくさん聞いた。心配しないでとか、鳴海くんが頑張ってるのを私は・・・とか。何百回聞いたか分からない。あの手この手で菜摘は嘘をつき、俺は騙された」


 改札を通って駅から出る鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩

 千春は改札横の窓口を通って駅から出る

 波音駅の前には学生、カップル、家族連れなどで溢れている


老人「(声 モノローグ)反対に俺は嘘をつくのが苦手だ。誰かのために嘘をついても、かえってそいつが傷つくだけだった」


 鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は波音駅の前で話をしている

 千春は鳴海たちの近くで鳴海たちの話を聞いている


老人「(声 モノローグ)ナツとスズには過去を知る権利がある。それは絶対的だ。あの二人は真実は知って、運命を受け入れなければならない」


 鳴海たちは別れの挨拶をし、それぞれ別行動をし始める

 明日香は響紀と、嶺二は雪音と、詩穂は真彩と一緒に行動をしている 

 千春は少し悩んだ後、走って嶺二と雪音のことを追いかける


◯1277滅びかけた世界:波音博物館(昼)

 ◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261、◯1263、◯1265、◯1275と同日 

 波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人

 老人は肩にライフルをかけており、手にはかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている

 老人が手に持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ

 波音博物館の中は広い

 波音博物館は薄暗く荒れ果てている

 展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている

 ナツ、スズ、老人は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真の前にいる

 緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている

 緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている

 ロシア語の落書きは赤い文字でされている

 波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254、◯1256、◯1260で鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩が見ていた物と完全に同じ

 波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真の前で話をしているナツたち


老人「君たちには導いてくれる人が必要だな」

ナツ「鳴海がその役目を・・・」


 老人は首を横に振る


ナツ「どうして?」

老人「銃の扱い方を教えたり、遠足や社会科見学へ連れて行くことは出来るが、せいぜいその程度なんだ」


 少しの沈黙が流れる


老人「ナツとスズは俺に期待し過ぎている」

ナツ「それはあんたの方だ!!私たちは希望なんかじゃない!!あんたが未来なら私とスズはあんたの過去なんだよ!!私たちは今確実に鳴海と同じ運命を辿ろうとしてる!!貴志鳴海が死んだようにナツとスズも死んでしまいそうだから、私はあんたに助けを求めてるんだ!!」


 再び沈黙が流れる


スズ「ジジイ・・・だいじょーぶだよ。私となっちゃんはジジイに期待し過ぎてない。ありのままを受け止めるよ」


 老人には一瞬、ナツとスズのことが菜摘と汐莉に見える

 老人は菜摘(ナツ)汐莉(スズ)から顔を逸らす

 

老人「(菜摘(ナツ)汐莉(スズ)から顔を逸らしたまま 声 モノローグ)菜摘以外の奴も使っている言葉だったか・・・」


 老人は顔を背けるのをやめて再び菜摘(ナツ)汐莉(スズ)のことを見るが、そこにいるのは菜摘と汐莉ではなくナツとスズ

 

◯1278社殿/稽古場(500年前/昼前)

 ◯1223、◯1232、◯1237、◯1244、◯1247、◯1257、◯1262、◯1268、◯1272、◯1274と同日

 武士たちが刀、槍、薙刀の稽古をするための広い和室にいる波音、奈緒衛、凛

 畳に座っている波音、奈緒衛、凛

 波音、奈緒衛、凛の前には木刀が置いてある  

 波音、奈緒衛、凛の前に置いてある木刀は、◯1245、◯1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256で鳴海、菜摘、汐莉が見ていた物であり、◯1246、◯1251、◯1253の滅びかけた世界のスズが素振りしていた物と完全に同じ

 稽古場にはたくさんの木刀が壁にかけられている

 話をしている波音たち


奈緒衛「波音たちと一緒にいれば、俺は誤った選択をすることもないさ」

波音「我らが近くにおらねばどうするのだ?」

奈緒衛「あー・・・」

凛「奈緒衛様が奈緒衛様の勘を信じて進むしかありませぬよ」

奈緒衛「ま、任せろ!!正しい道を選んでやるから!!」

波音「心配な奴よのう・・・」

奈緒衛「そ、そうか?」

波音「うむ」


 少しの沈黙が流れる


奈緒衛「そ、そういば・・・凛の夢はどうなったのだ?」

凛「夢でございますか?」

奈緒衛「あ、ああ」

波音「お主今話題を変えたな」

奈緒衛「き、気のせいだろ・・・り、凛、夢は見てるのか?」

凛「昨日、お米に囲まれている夢を見ました」

奈緒衛「よ、予知夢ではないよな?」

凛「はい、ただの夢でございます」

波音「貴志鳴海は現れぬのか?」

凛「ここのところはめっきり・・・いっときは集中的に見た予知夢でしたが・・・今となっては全てが謎に包まれております」

波音「では予知が外れたのだろう」

奈緒衛「は、外れることなんかあるのか?」

波音「凛も人の子だ。しくじらないとは限らぬ」

凛「はい・・・申し訳ございませぬ・・・波音様・・・奈緒衛様・・・」

奈緒衛「お、俺は構わないが・・・」

波音「私もだよ、凛。今は明後日の戦で、上杉謙信の家臣共に我らの強さを思い知らせることが最優先だ」

奈緒衛「上杉謙信の家臣との一戦か・・・向こうの数はこちらより大幅に劣るのだろう?凛」

凛「はい、戦局が有利なのは間違いないかと」

奈緒衛「よし・・・」


 波音は立ち上がる


奈緒衛「どこかへ行くのか?波音」

波音「戦を控えた大将が稽古場で長々と駄弁っているのはまずかろう。出陣前に皆に声をかけて士気を上げねば」

奈緒衛「そうだな・・・俺も行くよ」


 立ち上がる奈緒衛


凛「では私め女中たちと共に豪勢なお食事を用意致しましょう」

奈緒衛「それは楽しみだ」


 凛は立ち上がる

 波音、奈緒衛、凛は木刀を手に取り壁にかける


凛「(木刀を壁にかけながら)勝利をお祈りしています」

波音「(木刀を壁にかけながら)頼むぞ、凛」

奈緒衛「(木刀を壁にかけながら)凛が祈ってくれなければ俺たちは全滅だからな」

凛「な、奈緒衛様!!なんてことを申すのですか!!」

波音「凛よ、奈緒衛の悪い冗談を間に受けるではない」

奈緒衛「じょ、冗談ではなく本当のことを言ったまでだ」

波音「お主、凛の祈りがなければ我らが敗北すると思っておるのか?」

奈緒衛「あ、ああ」

波音「私に向かってそのような小生意気な口を聞くとは大した度胸だな、奈緒衛」

奈緒衛「こ、小生意気?な、波音が頑固で凛の祈りを認めようとしないだけだろう?」

波音「頑固なのは私よりもそなたの・・・」

凛「(波音の話を遮って大きな声で)お止めください!!!このような些細な事でお二人が争う姿など見とうありません!!!」


 顔を見合わせる波音と奈緒衛

 波音と奈緒衛は笑っている


波音「(笑いながら)全く凛は可愛い奴よのう」

奈緒衛「(笑いながら)からかいがあるってもんだな」

波音「(笑いながら)うむ!!」


 俯く凛


凛「(俯いたまま)おふざけは程々になさってください・・・」

奈緒衛「程々にか・・・」

凛「(俯いたまま)はい・・・」


 波音は右手で奈緒衛の手を、左手で凛の手を取る


波音「(右手で奈緒衛の手を、左手で凛の手を握ったまま引っ張り)行くぞ、二人とも」


 波音は奈緒衛と凛の手を握ったまま引っ張って行く


奈緒衛「(波音に引っ張られながら)お、おい!!波音!!」

凛「(波音に引っ張られながら)ひ、引っ張らないでください!!」

波音「(右手で奈緒衛の手を、左手で凛の手を握り引っ張ったまま)命令だ!!奈緒衛と凛は私について来い!!逆らうのは許さぬぞ!!」


 波音は奈緒衛と凛の手を握ったまま引っ張ったまま稽古場から出て行く

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