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Chapter6卒業編♯22 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海

向日葵が教えてくれる、波には背かないで


Chapter6卒業編 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海


登場人物


滅びかけた世界


ナツ 16歳女子

ビビリな面も多く言葉遣い荒い。勤勉家。母親が自殺してしまい、その後は一人で旅を続けていたがスズと出会い行動を共にするようになった。


スズ 15歳女子

マイペース、ナツと違い勉強に興味なし。常に腹ペコ。食べ物のことになると素早い動きを見せるが、それ以外の時はのんびりしている。

ナツと共に奇跡の海を目指してやって来た。


老人 男

ナツの放送を聞いて現れた謎の人物。元兵士の男。緋空浜の掃除を一人でしている。Narumi Kishiと彫られたドッグタグを身に付けているがその正体は・・・


中年期の明日香 女子

老人ともう一人の兵士を見送りに来た、中年期頃の明日香。


七海 女子

中年期の明日香と同じく、老人ともう一人の兵士を見送りに来た少女。年齢は15、16歳。


老人と同世代の男兵士1 男子

中年期の明日香、七海に見送られていた兵士。老人、レキ、男兵士2と同じ隊に所属していた。


レキ 女子

老人たちと同じグループの若い女兵士で、年齢は25歳前後。老人、男兵士1、男兵士2と同じ隊に所属していた。老人とは親しかった様子。


老人と同世代の男兵士2 男子

中年期の老人、男兵士1、レキと同じ隊に所属している兵士。






滅んでいない世界


貴志 鳴海(なるみ) 18歳男子

波音高校三年三組、運動は得意だが勉強は苦手。無鉄砲な性格。両親を交通事故で失っている。歳の離れた姉、風夏がいるが仕事で忙しいため実質一人暮らし状態である。文芸部副部長。 Chapter4の終盤に菜摘と付き合い始めた。


早乙女 菜摘(なつみ) 18歳女子

波音高校三年三組、病弱で体調を崩しやすい、明るく優しい性格。文芸部部長。鳴海と付き合っている。生徒会選挙の直後に原因不明の病に襲われ、現在は入院中。


白石 嶺二(れいじ) 18歳男子

波音高校三年三組、鳴海の悪友、不真面目なところもあるが良い奴。文芸部のいじられキャラである。高校卒業後は上京してゲームの専門学校に通うことを考えている。


天城 明日香(あすか) 18歳女子

波音高校三年三組。成績も良くスポーツ万能、中学生の時は女子ソフトボール部に所属していた。ダラダラばかりしている鳴海と嶺二を何かと気にかけては叱る。文芸部部員。夢は保育士になること。最近は受験前のせいでストレスが溜まっている。なんだかんだで響紀とは良い関係。


南 汐莉(しおり)15歳女子

波音高校に通っている一年生、文芸部と軽音楽部の掛け持ちをしている。バンド”魔女っ子少女団”のメインボーカルで歌とギターが得意。20Years Diaryという日記帳で日々の行動を記録している。Chapter5の終盤に死んでしまう。


一条 雪音(ゆきね)18歳女子

波音高校三年三組、才色兼備な女生徒。元天文学部部長で、今は文芸部に所属。真面目な性格のように見えるが・・・


柊木 千春(ちはる)女子

Chapter2の終盤で消えてしまった少女で、嶺二の想い人。


三枝 響紀(ひびき)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のリーダー兼リードギター担当。クールで男前キャラ、同性愛者、 Chapter3で明日香に一目惚れして以来、彼女に夢中になっている。


永山 詩穂(しほ)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のベース担当。基本はマイペースだが、キツい物言いをする時もある。


奥野 真彩(まあや)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のドラム担当。バンドの賑やかし要員。


早乙女 すみれ45歳女子

菜摘の母、45歳には見えない若さ美しさを保つ。優しい、とにかく優しい。


早乙女 (じゅん)46歳男子

菜摘の父、菜摘とすみれを溺愛しており二人に手を出そうとすれば潤の拳が飛んでくる。自動車修理を自営業でやっている。永遠の厨二病。


神谷 志郎(しろう)43歳男子

波音高校三年の教師。鳴海、菜摘、嶺二、明日香、雪音の担任。担当教科は数学。文芸部顧問。Chapter5の終盤に死んでしまう。


荻原 早季(さき)15歳女子

Chapter5に登場した正体不明の少女。


貴志 風夏(ふうか)24歳女子

鳴海の6つ年上の姉、忙しいらしく家にはほとんど帰ってこない。智秋と同級生で親友関係。いつの間にか看護師の仕事を始めている。


一条 智秋(ちあき)24歳女子

雪音の姉。妹と同じく美人。謎の病に苦しんでいたがChapter3の終盤にドナーが見つかり一命を取り留めたものの、再び体調を崩し現在は入院中。


双葉 篤志(あつし)18歳男子

波音高校三年二組、天文学部副部長。雪音とは幼馴染み。


有馬 (いさむ)64歳男子

波音町にあるゲームセンター“ギャラクシーフィールド”の店主。千春が登場したゲーム、”ギャラクシーフィールドの新世界冒険”の開発者でもある。なお現在の”ギャラクシーフィールド”は儲かっている。


細田 周平(しゅうへい)15歳男子

野球部に所属している一年生。Chapter5では詩穂に恋をしていた。


貴志 (ひろ)

鳴海の父親、事故で亡くなっている。菜摘の父、潤と高校時代クラスメートだった。


貴志 由香里(ゆかり)

鳴海の母親、事故で亡くなっている。菜摘の母、すみれと高校時代クラスメートだった。


神谷 絵美(えみ)29歳女子

神谷の妻。Chapter5では妊娠していた。


波音物語に関連する人物






白瀬 波音(なみね)23歳女子

波音物語の主人公兼著者。妖術を使う家系『海人』の末裔、そして最後の生き残り。Chapter4の終盤、妖術を使い奈緒衛の魂を輪廻させ、自らの魂も輪廻出来るようにした。


佐田 奈緒衛(なおえ)17歳男子

波音の戦友であり恋仲。優れた剣術を持ち、波音とは数々の戦で戦果をあげた。Chapter4の終盤に死んでしまった人物。


(りん)21歳女子

波音、奈緒衛を慕う女中。緋空浜の力を持っており、遥か昔から輪廻を繰り返してきた。波音に輪廻を勧めた張本人。体が弱い。奈緒衛と同じくChapter4の終盤に死んでしまった人物。


明智 光秀(みつひで)55歳男子

織田信長と波音たちを追い込み凛を殺した。


織田 信長(のぶなが)48歳男子

天下を取るだろうと言われていた武将。


一世(いっせい) 年齢不明 男子

ある時波音が出会った横暴で態度の悪い男。

Chapter6卒業編♯22 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海


◯1150貴志家鳴海の自室(日替わり/昼)

 外は快晴

 片付いている鳴海の部屋

 鳴海の部屋は物が少なく、ベッドと勉強机くらいしか目立つ物はない

 机の上には菜摘とのツーショット写真と、菜摘から貰った一眼レフカメラが置いてある

 鳴海は立って体温を測っている

 少しすると体温計の音が鳴る

 脇から体温計を取り戻す

 体温計を見る鳴海

 体温計は36.3℃と表示されている


鳴海「よし」


 鳴海は体温計の電源を消す


◯1151貴志家リビング(昼)

 テーブルの上におせち料理を並べている風夏

 おせち料理は黒豆、数の子、田作り、紅白かまぼこ、伊達巻、栗きんとん、鯛の焼き物、エビの焼き物、昆布巻きなど

 テーブルの上にはおせち料理の他にお雑煮と取り皿が置いてある

 リビングにやって来る鳴海


鳴海「明けましてアンド結婚おめでとう」

風夏「(おせち料理をテーブルの上に並べながら)おめでとー、熱は下がったー?」

鳴海「おう。もう平熱だ」

風夏「(おせち料理をテーブルの上に並べながら)そっかそっかー、元気になって何よりだー」


 鳴海はテーブルと対になっている椅子に座る


鳴海「おせち、買ったのか?」

風夏「(おせち料理をテーブルの上に並べながら)うん!二人で過ごす最後のお正月だから、奮発しちゃった」

鳴海「姉貴、おせち料理は不味いから嫌いだって言ってたよな」

風夏「(おせち料理をテーブルの上に並べながら)昔はねー、子供舌だったからさー」


 風夏はおせち料理をテーブルの上に並び終え、鳴海と向かい合って椅子に座る


風夏「じゃあ食べようか」

鳴海「ああ」

鳴海・風夏「(手を合わせて)いただきます」


 鳴海と風夏は取り皿におせち料理を乗せ始める


鳴海「(おせち料理を取り皿に乗せながら 声 モノローグ)元旦・・・年が明け、菜摘や姉貴に移すこともなく、俺の風邪は完治した。因みにインフルエンザではなかったらしい。わざわざ痛い思いをして鼻に棒を突っ込んだのに、ただの風邪だったというわけだ。(少し間を開けて)相変わらず姉貴は家にいる。彼氏・・・というか旦那とは連絡を取っているようだが、今すぐに結婚する!!なんて言って簡単に家を出ていける状態じゃないそうだ。例によって下準備があるのかもしれない。俺が波高を卒業するまではこの家にいると抜かしているのが少し気になるが・・・まあそのうち出て行くだろう」


◯1152貴志家鳴海の自室(夕方)

 夕日が沈みかけている

 片付いている鳴海の部屋

 鳴海の部屋は物が少なく、ベッドと勉強机くらいしか目立つ物はない

 机に向かって椅子に座っている鳴海

 机の上にはパソコン、菜摘とのツーショット写真、菜摘から貰った一眼レフカメラが置いてある

 カーテンの隙間から夕日の光が差し込んでいる

 タイピングをしている鳴海

 鳴海は部誌制作を行っている


鳴海「(タイピングをしながら 声 モノローグ)年末を丸々療養に使ってしまったため、俺はいつかの合宿の時と同じくらいの速さで部誌を書き終えなくてはいけなかった。あの時と違って一人だが、余裕と時間の無さは変わってない。そもそも合宿の時も、今回も、ブランクがあって、直前まで全く部誌を書いてこなかったという共通点がある。ブランクの長さだけで言えば、今回も相当だ・・・なんせ菜摘が入院してからは一度も部誌を書いてこなかったからな」


 時間経過


 外は夜になっている

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる

 鳴海は変わらず部誌制作を行っている

 タイピングをしている鳴海


鳴海「(タイピングをしながら 声 モノローグ)今までは何かとみんなで部誌を作ることが多かったが、よく考えてみれば一人だけの空間で書いている方が作業は捗っているかもしれない。それでも合宿をしたり、みんなの家を日替わりで回って部誌を書いたりしたのは、作業効率よりも思い出作りを優先にしていた菜摘らしいやり方だ」


 時間経過


 深夜

 ベッドの上に横になっている鳴海


鳴海「(声 モノローグ)俺は寝る時と飯を食う時以外の時間を部誌に使った。(少し間を開けて)生徒会選挙が行われる前の・・・懐かしい文芸部の生活に、体が馴染み始めている」


◯1153波音神社(昼)

 神社の中は初詣に来たたくさんの人で溢れており、参拝するために行列が出来ている

 参拝者は老若男女様々

 神社にはフランクフルト、焼きそば、たこ焼き、ベビーカステラなどの出店が開いている

 一眼レフカメラを首から下げた鳴海と風夏が菜摘を探している


鳴海「(周囲を見ながら)人が多過ぎて分からないな・・・」

風夏「(周囲を見ながら)そうだね〜・・・入れ違ってなきゃ良いけど・・・」


 鳴海と風夏は菜摘を探し続ける


菜摘「おーい!!鳴海くーん!!風夏さーん!!」


 菜摘の声が聞こえた方を見る鳴海と風夏

 菜摘、すみれ、潤が神社の鳥居の近くで立っている

 菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 鳴海たちに手を振っている菜摘

 菜摘たちがいる方へ向かう鳴海と風夏


菜摘「明けましておめでとうございます、鳴海くん、風夏さん。昨年はお世話になりました」

鳴海「お、おう。明けましておめでとう」

風夏「菜摘ちゃん、今年もよろしくね」

菜摘「はい!!」

潤「おい挨拶しろよ義理の息子」

鳴海「あ、明けましておめで・・・じゃなくて義理の息子はやめろって言ってるだろ!!」

潤「近頃の若いもんは新年の挨拶も出来ねえのか」

鳴海「悪かったな近頃の若いもんで・・・」

すみれ「今年もよろしくお願いしますね、鳴海くん、風夏ちゃん」

鳴海「は、はい!!」

風夏「今年もうちのアホな弟をお願いします」

すみれ「こちらこそ、うちのアホな娘と夫をお願いします」

菜摘「や、やめてよお母さん・・・」

鳴海「まさかすみれさんがボケて来るとは・・・しかしこのちょっと天然っぽい感じというか、空気を読んでるのか読んでないのか分からないノリとボケ方は、脈々と菜摘に受け継がれてるな・・・」

菜摘「な、鳴海くん!!」

鳴海「じょ、冗談だ」

潤「人の嫁を天然扱いして無傷で帰れると・・・」

すみれ「(潤の話を遮って)潤くん、後でベビーカステラを食べようね」

潤「おうもちろんだ!!」

鳴海「(小声でボソッと)相変わらずチョロいな・・・」

風夏「混んでますけど、並んじゃいますかね?」

すみれ「そうしましょう」

 

 時間経過


 参拝するための列に並んでいる鳴海、菜摘、すみれ、潤、風夏


鳴海「菜摘、出歩いても体は平気なんだよな?」

菜摘「うん!退院する日も決まったんだ!!」

鳴海「(驚いて)ほ、本当か!?」

菜摘「本当だよ鳴海くん!!」

鳴海「退院する日はいつ・・・」

菜摘「(鳴海の話を遮って)一月十日の月曜日!」

鳴海「と、十日ってことは・・・」

菜摘「五日後だよ」

風夏「おめでとう菜摘ちゃん、よく頑張ったね」

菜摘「(笑顔で)風夏さんや先生が力を尽くしてくれたから私は元気になれました!」

風夏「天使みたいに良い子だなぁ菜摘ちゃんは・・・」

鳴海「菜摘、学校には通えるようになるのか?」

潤「一週間自宅で様子を見たらな」

鳴海「じゃ、じゃあ・・・十八日から・・・」

鳴海「登校を再開するよ」

鳴海「そうか・・・それは良かった・・・本当に・・・」

菜摘「いっぱい心配かけてごめんね、鳴海くん」

鳴海「いや、気にするな。それよりも菜摘の退院が決まって良かったよ。きっとみんなも菜摘が戻って来ることに大喜びするぞ」

菜摘「うん。明日香ちゃんたちにも謝らなきゃ」

すみれ「菜摘、学校に通っても無茶はしないようにね?」

菜摘「分かってるよ、お母さん」

すみれ「鳴海くん、菜摘のことをお願いしても良いですか?」

鳴海「はい!!もちろんです!!」

潤「俺とすみれは学校に行けない、だから俺たちの代わりに菜摘のことを頼んだぞ、鳴海」

鳴海「あ、ああ!!」


 時間経過


 一眼レフカメラで写真撮影を行っている鳴海

 菜摘、すみれ、潤、風夏が鳥居の近くに立っている

 一眼レフカメラのファインダーを覗いている鳴海

 本殿の近くに雪音と黒いスーツを着た十数人ほどの男たちがいる

 黒いスーツを着た男たちの中には双葉もいる

 雪音たちは神主と話をしている


鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま大きな声で)すみれさん!!!もっと菜摘の方へ寄ってください!!!」


 すみれは一歩菜摘に近寄る


鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま大きな声で)潤さんは菜摘に近過ぎだ!!!もう少し離れてくれ!!!」

潤「こんな感じかー!?」

鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま大きな声で)その位置で動くなよ!!!菜摘と姉貴は今のままで大丈夫だ!!!」

菜摘「はーい!!」

風夏「可愛く撮ってよー!!」

鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま大きな声で)任せとけ!!!じゃあ撮るぞ!!!3!!!2!!!1!!!はい・・・」


 雪音たちは変わらず神主と話をしている

 鳴海は雪音たちの存在に気がづく


鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗くのをやめて)一条じゃないか・・・というか何だあの集団は・・・」


 周囲にいる人たちはジロジロと雪音や双葉を含む黒いスーツ姿の男たちのことを見ている


潤「おい!!早く撮れよ!!邪魔になるだろ!!」


 鳴海は慌てて一眼レフカメラのファインダーを覗く


鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま大きな声で)3!!!2!!!1!!!はい!!!チーズ!!!」


 写真を撮る鳴海

 撮った写真を液晶モニターで確認する鳴海

 菜摘、すみれ、潤、風夏の後ろに雪音の姿が見切れている

 鳴海は撮れた写真を菜摘たちに見せに行く


菜摘「綺麗に撮れてるね!!」

 

 鳴海は見切れて映っている雪音のことを指差す


風夏「これって・・・雪音ちゃん・・・?」

菜摘「えっ?」


 鳴海は本殿の近くで神主と話をしている雪音と黒いスーツの姿の男たちのことを見る


鳴海「(本殿の近くで神主と話をしている雪音と黒いスーツの姿の男たちのことを見たまま)どうやら来てたらしいな」


 菜摘、すみれ、潤、風夏も本殿の近くで神主と話をしている雪音と黒いスーツの姿の男たちのことを見る

 

風夏「(本殿の近くで神主と話をしている雪音と黒いスーツの姿の男たちのことを見たまま)ありゃりゃ・・・智秋に代わって雪音ちゃんがなっちゃったか・・・」


 神主は雪音の手の甲にキスをする


鳴海「(本殿の近くで神主と話をしている雪音と黒いスーツの姿の男たちのことを見たまま)神社で何てことをしてるんだ・・・」

すみれ「(本殿の近くで神主と話をしている雪音と黒いスーツの姿の男たちのことを見たまま)鳴海くん・・・あの人たちは少し特殊なの・・・」

鳴海「(本殿の近くで神主と話をしている雪音と黒いスーツの姿の男たちのことを見たまま)特殊・・・?」

菜摘「私、雪音ちゃんに挨拶して来る!」


 菜摘は雪音の方へ行こうとする

 潤が菜摘の手を掴み、菜摘のことを止める


潤「(菜摘の手を掴んだまま)今は行かない方が良い」

菜摘「(潤に手を掴まれたまま)え?どうして?」


 潤は菜摘の手を離す

 潤とすみれは顔を見合わせる

 少しの沈黙が流れる


すみれ「(潤と顔を見合わせるのをやめて)本当は私たちも言うべきじゃないんでしょうけど・・・」

潤「(小声で)あの集団はカタギじゃない・・・」

鳴海「か、カタギじゃないって・・・」

すみれ「(小声で)ヤクザよ」

鳴海「そ、そんな馬鹿な・・・あ、あの一条がか・・・?」

風夏「(小声で)鳴海、一条会は波音町周辺を牛耳ってるヤクザだよ。雪音ちゃんの姉の智秋はその会長だった」

鳴海「し、信じられないな・・・」

菜摘「で、でも鳴海くん・・・私一条会って聞いたことあるよ・・・」

鳴海「そ、そうなのか?」

菜摘「うん・・・鳴海くん、雪音ちゃんのお家は覚えてない?」

鳴海「いや・・・覚えてるけど・・・」


◯1154Chapter6◯632の回想/一条家前(放課後/夕方)

 夕日が沈みかけている

 雪音の家の前で立ち止まっている鳴海、菜摘、嶺二、汐莉、雪音

 表札に一条と書かれている

 雪音の家は大きな和風の一軒家

 雪音の家の周りも大きな家がたくさん建っている

 雪音の家の家を見ながら話をしている鳴海たち


菜摘「(一条家を見ながら)ここが・・・雪音ちゃんのお家・・・?」

雪音「(頷き)そう」

鳴海「(一条家を見ながら)あ、あれだな・・・かなり立派っていうか・・・」

雪音「何?」

鳴海「(一条家を見たまま)えっとー・・・」

汐莉「(一条家を見ながら)雪音先輩の家・・・めちゃくちゃ大きいんですね」

雪音「入ってみるとそうでもないよ」


◯1155Chapter6◯633の回想/一条家玄関(夕方)

 雪音の家の玄関に上がる鳴海、菜摘、嶺二、汐莉、雪音

 雪音の家の玄関は広く、巨大な収納棚がある

 雪音の家の玄関を見ている鳴海、菜摘、嶺二、汐莉

 

嶺二「(玄関を見ながら)入ってみると・・・そうでもないだと・・・?」

鳴海「(玄関を見ながら)広過ぎてもうスイートメロンパンだな・・・」

雪音「過剰な表現をどうもありがと」


◯1156回想戻り/波音神社(昼過ぎ)

 波音神社にいる鳴海、菜摘、雪音、すみれ、潤、風夏、双葉を含む黒いスーツを着た十数人ほどの男たち

 神社の中は初詣に来たたくさんの人で溢れており、参拝するために行列が出来ている

 参拝者は老若男女様々

 神社にはフランクフルト、焼きそば、たこ焼き、ベビーカステラなどの出店が開いている

 鳴海、菜摘、すみれ、潤、風夏、鳥居の近くで話をしている

 鳴海は一眼レフカメラを首から下げている

 菜摘は青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている

 雪音たちは本殿の近くで神主と話をしている


菜摘「凄く大きな家だったでしょ?」

鳴海「そう・・・だな・・・」

菜摘「あの家を見た時に、もしかしたら雪音ちゃんがって思ったんだけど・・・やっぱり繋がりがあったんだ・・・」

鳴海「確かに一般人の家には見えなかったが・・・でもまさか一条にそんなバックボーンがあったなんて想像がつかないだろ・・・」

菜摘「鳴海くん、人の過去は簡単には見抜けないよ。だって誰しもが一つくらいは意外な過去を抱えているんだもん」


◯1157帰路(昼過ぎ)

 自宅に向かっている鳴海と風夏

 鳴海と風夏は話をしている


鳴海「一条のこと、姉貴は知ってたんだな・・・」

風夏「高校生の時に智秋から教えてもらったからね〜・・・私も初めは驚いたけど、でも今は慣れちゃって・・・(少し間を開けて)智秋と関わってても、私が事故とか事件を目撃したことは一度もないしさ」

鳴海「智秋さんがリーダーだったのか?」

風夏「前はね・・・ただ今日の雪音ちゃんを見たところ、世代交代したんだと思うな・・・」

鳴海「一条の親は一体何を・・・」


◯1158Chapter6◯635の回想/一条家雪音の自室(夕方)

 広い雪音の部屋

 雪音の部屋には勉強机とパソコンがあり、それ以外に物はない

 パソコンは机に置いてある

 雪音の部屋にいる鳴海、菜摘、嶺二、汐莉、雪音

 床に座り、カバンから筆記用具と学校の教材を取り出し始める雪音


雪音「(カバンから筆記用具と教材を取り出しながら)私、お姉ちゃんと二人暮らしだから」

汐莉「鳴海先輩と同じじゃないですか・・・」

雪音「(カバンから筆記用具と教材を取り出しながら)そう」

菜摘「鳴海くんのお姉ちゃんと雪音ちゃんのお姉ちゃんって、仲良いんだよね?」

鳴海「あ、ああ。高校時代からの友達らしい」

雪音「(筆記用具と教材を持ったまま立ち上がり)姉同士、色々共通点があるから親しくなったんでしょ」


 取り出した筆記用具と教材を机の上に置く雪音


雪音「そういえば私の親も死んでるし」


◯1159回想戻り/帰路(昼過ぎ)

 自宅に向かっている鳴海と風夏

 鳴海と風夏は話をしている


鳴海「そうか・・・あいつも俺たち同じで親がいないのか・・・」

風夏「うん。あ、でもこういう話は雪音ちゃんにはしちゃダメだよ?」

鳴海「す、するわけないだろ・・・」

風夏「私たちは触れない方が良いし、知らない方が良いこともある。新学期からも、雪音ちゃんには今まで通り接してあげな」

鳴海「あ、ああ」


◯1160貴志家鳴海の自室(深夜)

 片付いている鳴海の部屋

 鳴海の部屋は物が少なく、ベッドと勉強机くらいしか目立つ物はない

 机の上にはパソコン、菜摘とのツーショット写真、菜摘から貰った一眼レフカメラが置いてある

 ベッドの上で横になっている鳴海

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる


鳴海「(声 モノローグ)菜摘の退院が決まった喜びと、一条の家庭の秘密を知ってしまった動揺で、部誌への集中力が面白いくらいに削がれた」


◯1161◯1047の回想/波音高校三年生廊下(昼)

 昼休み

 三年生廊下にいる鳴海、明日香、嶺二、雪音

 廊下で話をしている鳴海、明日香、嶺二、雪音

 廊下では喋っている三年生や、昼食を取りに移動している三年生がたくさんいる

 廊下で話をしている鳴海、明日香、嶺二、雪音


明日香「ゆ、雪音はどうするの?」

雪音「私は家業を継ぐよ」

明日香「家業?」

雪音「うん」


 嶺二がチラッと雪音のことを見る

 

雪音「一条家を根絶やしには出来ないから」


◯1162回想戻り/貴志家鳴海の自室(深夜)

 片付いている鳴海の部屋

 鳴海の部屋は物が少なく、ベッドと勉強机くらいしか目立つ物はない

 机の上にはパソコン、菜摘とのツーショット写真、菜摘から貰った一眼レフカメラが置いてある

 ベッドの上で横になっている鳴海

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる


鳴海「一条会か・・・あいつのイカれた性格の根底は家族にあったんだな・・・(少し間を開けて)全部が全部とは言わないが・・・時と場合じゃ、やっぱり家族なんて存在はろくなものにならない・・・」

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