表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/119

Chapter6卒業編♯17 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海

向日葵が教えてくれる、波には背かないで


Chapter6卒業編 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海


登場人物


滅びかけた世界


ナツ 16歳女子

ビビリな面も多く言葉遣い荒い。勤勉家。母親が自殺してしまい、その後は一人で旅を続けていたがスズと出会い行動を共にするようになった。


スズ 15歳女子

マイペース、ナツと違い勉強に興味なし。常に腹ペコ。食べ物のことになると素早い動きを見せるが、それ以外の時はのんびりしている。

ナツと共に奇跡の海を目指してやって来た。


老人 男

ナツの放送を聞いて現れた謎の人物。元兵士の男。緋空浜の掃除を一人でしている。Narumi Kishiと彫られたドッグタグを身に付けているがその正体は・・・


中年期の明日香 女子

老人ともう一人の兵士を見送りに来た、中年期頃の明日香。


七海 女子

中年期の明日香と同じく、老人ともう一人の兵士を見送りに来た少女。年齢は15、16歳。


老人と同世代の男兵士1 男子

中年期の明日香、七海に見送られていた兵士。老人、レキ、男兵士2と同じ隊に所属していた。


レキ 女子

老人たちと同じグループの若い女兵士で、年齢は25歳前後。老人、男兵士1、男兵士2と同じ隊に所属していた。老人とは親しかった様子。


老人と同世代の男兵士2 男子

中年期の老人、男兵士1、レキと同じ隊に所属している兵士。






滅んでいない世界


貴志 鳴海(なるみ) 18歳男子

波音高校三年三組、運動は得意だが勉強は苦手。無鉄砲な性格。両親を交通事故で失っている。歳の離れた姉、風夏がいるが仕事で忙しいため実質一人暮らし状態である。文芸部副部長。 Chapter4の終盤に菜摘と付き合い始めた。


早乙女 菜摘(なつみ) 18歳女子

波音高校三年三組、病弱で体調を崩しやすい、明るく優しい性格。文芸部部長。鳴海と付き合っている。生徒会選挙の直後に原因不明の病に襲われ、現在は入院中。


白石 嶺二(れいじ) 18歳男子

波音高校三年三組、鳴海の悪友、不真面目なところもあるが良い奴。文芸部のいじられキャラである。高校卒業後は上京してゲームの専門学校に通うことを考えている。


天城 明日香(あすか) 18歳女子

波音高校三年三組。成績も良くスポーツ万能、中学生の時は女子ソフトボール部に所属していた。ダラダラばかりしている鳴海と嶺二を何かと気にかけては叱る。文芸部部員。夢は保育士になること。最近は受験前のせいでストレスが溜まっている。なんだかんだで響紀とは良い関係。


南 汐莉(しおり)15歳女子

波音高校に通っている一年生、文芸部と軽音楽部の掛け持ちをしている。バンド”魔女っ子少女団”のメインボーカルで歌とギターが得意。20Years Diaryという日記帳で日々の行動を記録している。Chapter5の終盤に死んでしまう。


一条 雪音(ゆきね)18歳女子

波音高校三年三組、才色兼備な女生徒。元天文学部部長で、今は文芸部に所属。真面目な性格のように見えるが・・・


柊木 千春(ちはる)女子

Chapter2の終盤で消えてしまった少女で、嶺二の想い人。


三枝 響紀(ひびき)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のリーダー兼リードギター担当。クールで男前キャラ、同性愛者、 Chapter3で明日香に一目惚れして以来、彼女に夢中になっている。


永山 詩穂(しほ)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のベース担当。基本はマイペースだが、キツい物言いをする時もある。


奥野 真彩(まあや)15歳女子

波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のドラム担当。バンドの賑やかし要員。


早乙女 すみれ45歳女子

菜摘の母、45歳には見えない若さ美しさを保つ。優しい、とにかく優しい。


早乙女 (じゅん)46歳男子

菜摘の父、菜摘とすみれを溺愛しており二人に手を出そうとすれば潤の拳が飛んでくる。自動車修理を自営業でやっている。永遠の厨二病。


神谷 志郎(しろう)43歳男子

波音高校三年の教師。鳴海、菜摘、嶺二、明日香、雪音の担任。担当教科は数学。文芸部顧問。Chapter5の終盤に死んでしまう。


荻原 早季(さき)15歳女子

Chapter5に登場した正体不明の少女。


貴志 風夏(ふうか)24歳女子

鳴海の6つ年上の姉、忙しいらしく家にはほとんど帰ってこない。智秋と同級生で親友関係。いつの間にか看護師の仕事を始めている。


一条 智秋(ちあき)24歳女子

雪音の姉。妹と同じく美人。謎の病に苦しんでいたがChapter3の終盤にドナーが見つかり一命を取り留めたものの、再び体調を崩し現在は入院中。


双葉 篤志(あつし)18歳男子

波音高校三年二組、天文学部副部長。雪音とは幼馴染み。


有馬 (いさむ)64歳男子

波音町にあるゲームセンター“ギャラクシーフィールド”の店主。千春が登場したゲーム、”ギャラクシーフィールドの新世界冒険”の開発者でもある。なお現在の”ギャラクシーフィールド”は儲かっている。


細田 周平(しゅうへい)15歳男子

野球部に所属している一年生。Chapter5では詩穂に恋をしていた。


貴志 (ひろ)

鳴海の父親、事故で亡くなっている。菜摘の父、潤と高校時代クラスメートだった。


貴志 由香里(ゆかり)

鳴海の母親、事故で亡くなっている。菜摘の母、すみれと高校時代クラスメートだった。


神谷 絵美(えみ)29歳女子

神谷の妻。Chapter5では妊娠していた。


波音物語に関連する人物






白瀬 波音(なみね)23歳女子

波音物語の主人公兼著者。妖術を使う家系『海人』の末裔、そして最後の生き残り。Chapter4の終盤、妖術を使い奈緒衛の魂を輪廻させ、自らの魂も輪廻出来るようにした。


佐田 奈緒衛(なおえ)17歳男子

波音の戦友であり恋仲。優れた剣術を持ち、波音とは数々の戦で戦果をあげた。Chapter4の終盤に死んでしまった人物。


(りん)21歳女子

波音、奈緒衛を慕う女中。緋空浜の力を持っており、遥か昔から輪廻を繰り返してきた。波音に輪廻を勧めた張本人。体が弱い。奈緒衛と同じくChapter4の終盤に死んでしまった人物。


明智 光秀(みつひで)55歳男子

織田信長と波音たちを追い込み凛を殺した。


織田 信長(のぶなが)48歳男子

天下を取るだろうと言われていた武将。


一世(いっせい) 年齢不明 男子

ある時波音が出会った横暴で態度の悪い男。

Chapter6卒業編♯17 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海


◯1045波音高校校門(日替わり/朝)

 晴れている

 たくさんの生徒たちが門を潜って学校の中へ入って行く

 校門の前で部員募集を行っている鳴海、明日香、嶺二、雪音

 鳴海、明日香、嶺二、雪音は部員募集の紙の束を持っている

 通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出している鳴海たち

 明日香は手袋をつけて部員募集の紙を差し出しているが、鳴海、嶺二、雪音は手袋をつけていない

 鳴海、嶺二、雪音の指先が赤くなっている 

 通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出すのをやめる嶺二


嶺二「あーさみー・・・何でこんなに寒いんだよー・・・」

明日香「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出すのをやめて)冬が寒いのは当たり前でしょ」

嶺二「早く夏になんねーかなー・・・」

明日香「真夏になったらなったで早く冬になれーって大騒ぎするくせに」

嶺二「暑過ぎても寒過ぎてもイライラするだろ」

明日香「まあね・・・」

雪音「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出すのをやめて)嶺二さ、冬の間だけオーストラリアに高跳びしたら良いんじゃない?」

嶺二「サンタクロースがサーフィンしながらやって来る国か・・・それよりはやっぱテキサスに行きてーな・・・」

明日香「(呆れて)あんたまーだテキサスって言ってんの?」

嶺二「まだも何も、卒業海外旅行はテキサス一択・・・」

鳴海「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出したまま嶺二の話を遮って)お前ら部員募集をしろよ」

嶺二「すまんすまん」


 明日香、嶺二、雪音が通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出し始める


嶺二「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出しながら大きな声で)文芸部でーす!!!!部員募集をしてまーす!!!!」


 鳴海たちの前を通りかかる生徒たちは、文芸部のことを気に留めず周りの生徒たちと楽しそうに話をしながら校舎内へ入って行く


鳴海「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出しながら 声 モノローグ)一日、数日、一週間、そして更に時間は流れた」


◯1046波音高校三年三組の教室(朝)

 神谷が朝のHRを行っている

 鳴海は神谷の話を聞かずに外を眺めている

 神谷の話を真面目に聞いている明日香

 雪音は神谷の話を聞かずにスマホを見ている

 机に突っ伏して眠っている嶺二


鳴海「(外を眺めながら 声 モノローグ)神谷の説教臭いホームルームに割かれる時間が延びている。日に日に進路のことで焦る三年生たちが増えていた」


◯1047波音高校三年生廊下(昼)

 昼休み

 三年生廊下にいる鳴海、明日香、嶺二、雪音

 廊下で話をしている鳴海、明日香、嶺二、雪音

 廊下では喋っている三年生や、昼食を取りに移動している三年生がたくさんいる

 廊下で話をしている鳴海、明日香、嶺二、雪音

 

嶺二「マジでどーすんだよ、鳴海」

鳴海「どうって言われてもな・・・」

嶺二「波音町で就職すんのか?」

鳴海「分からない・・・」


 少しの沈黙が流れる


明日香「今の鳴海の頭の中は菜摘と文芸部のことでいっぱいなんだから、進路について聞くだけ無駄ね・・・」

嶺二「菜摘ちゃんのことが心配なのは分かるけどよ・・・」

雪音「鳴海、この間の神谷との面談で何も決まらなかったんだ?」

鳴海「いや・・・一応決まったぞ」

明日香「(大きな声で驚いて)えっ!?!?決まらなかったんじゃないの!?!?」

鳴海「俺の中では決まってないが・・・神谷が勝手に決めやがった進路があるんだよ」

明日香「は・・・?意味不明なんだけど・・・」

嶺二「神谷は何を決めたんだよ?」

鳴海「あの適当教師は俺が小説家になると思い込んでるんだ」


 再び沈黙が流れる


明日香「な、何であんたが作家・・・」

鳴海「(明日香の話を遮って)この件については触れないでくれ・・・もう俺の頭は限界なんだ」

明日香「わ、分かった・・・」

嶺二「じゃー鳴海は小説家に・・・」

鳴海「(嶺二の話を遮って)触れるなって言ってるだろぶん殴るぞお前」


 少しの沈黙が流れる


明日香「ゆ、雪音はどうするの?」

雪音「私は家業を継ぐよ」

明日香「家業?」

雪音「うん」


 嶺二がチラッと雪音のことを見る

 

雪音「一条家を根絶やしには出来ないから」

明日香「そ、そうなんだ・・・」


◯1048波音高校特別教室の四/文芸部室(放課後/夕方)

 夕日が沈みかけている

 文芸部の部室にいる鳴海、明日香、嶺二、雪音

 教室の隅にパソコン六台、プリンター一台、部員募集の紙が置いてある

 鳴海、明日香、雪音は朗読劇用の波音物語を手に持って立っている

 嶺二は椅子に座っている

 朗読の練習を行っている鳴海、明日香、雪音

 嶺二は朗読の練習の様子を見ている

 校庭では運動部が活動している


鳴海「(朗読劇用の波音物語を読みながら 声 モノローグ)心では試験や進路が大切だと分かっていたが・・・明日香が言ったように、俺の頭は菜摘と文芸部のことでいっぱいだった」


◯1049波音総合病院/菜摘の個室(放課後/夜)

 外は日が沈み暗くなっている

 菜摘の病室にいる鳴海と菜摘

 菜摘はベッドに横になっている

 鳴海はベッドの横の椅子に座っている

 菜摘は痩せている

 ベッドの隣には棚があり、小さなテレビ、朗読劇用の波音物語、原作の波音物語、パソコン、鳴海がアイリッシュイベントで購入したステンレス製の小さな三つ葉のキーホルダー、筆記用具、ノート、数冊の本などが置いてある

 ステンレス製の小さな三つ葉のキーホルダーの葉の部分には、グリーンのストーンがついている

 窓際には花瓶が置いてあり、花が飾られてある

 話をしている鳴海と菜摘


菜摘「鳴海くん」

鳴海「ん?」

菜摘「風夏さんから聞いちゃったんだけどさ・・・(少し間を開けて)鳴海くん、風夏さんの結婚を許してあげてないの?」

鳴海「ゆ、許してないって・・・べ、別に俺は・・・」

菜摘「風夏さん、言ってたよ、鳴海くんが逃げ出してから結婚の話題が出来なくなったって・・・」


◯1050◯779の回想/貴志家リビング(放課後/夕方)

 外では弱い雨が降っている

 テーブルを挟んで向かい合って椅子に座っている鳴海と風夏

 テーブルの上には家の鍵が置いてある

 話をしている鳴海と風夏


風夏「まあ、籍を入れるのって色々と手間がかかるしさ・・・鳴海も考えてみて」

鳴海「な、何を考えれば良いんだよ・・・」

風夏「私たちのこと・・・家族のこと・・・私の結婚のこと・・・(少し間を開けて)鳴海が嫌だったら・・・私も考えるから・・・」

鳴海「(大きな声で)お、お前の結婚だろ!!!!自分で考えろよ!!!!」

風夏「うん・・・」

鳴海「(大きな声で)結婚したきゃ勝手にしてろ!!!!家族でも子供でも姉貴の好き放題作れば良いじゃないか!!!!」

風夏「鳴海・・・」

鳴海「あ、姉貴の結婚なんて、俺には関係のない話だ・・・」

風夏「鳴海、私の家族が増えれば、あなたの家族も増えるんだよ?」


 少しの沈黙が流れる

 立ち上がる鳴海


鳴海「(小声でボソッと)晩飯の食材を買って来る・・・」

風夏「え?」


 鳴海はテーブルの上に置いてあった家の鍵を手に取る


風夏「ま、待って!待ってよ鳴海!!」


 鳴海は風夏の言葉を無視して家から出て行く

  

◯1051回想戻り/波音総合病院/菜摘の個室(放課後/夜)

 外は日が沈み暗くなっている

 菜摘の病室にいる鳴海と菜摘

 菜摘はベッドに横になっている

 鳴海はベッドの横の椅子に座っている

 菜摘は痩せている

 ベッドの隣には棚があり、小さなテレビ、朗読劇用の波音物語、原作の波音物語、パソコン、鳴海がアイリッシュイベントで購入したステンレス製の小さな三つ葉のキーホルダー、筆記用具、ノート、数冊の本などが置いてある

 ステンレス製の小さな三つ葉のキーホルダーの葉の部分には、グリーンのストーンがついている

 窓際には花瓶が置いてあり、花が飾られてある

 話をしている鳴海と菜摘


鳴海「あ、あれは不可抗力だ!!」

菜摘「何が不可抗力なの?鳴海くん」

鳴海「い、いきなりプロポーズされたなんて言われたら混乱するじゃないか!!」

菜摘「うーん・・・でも逃げるのは良くないよ」

鳴海「そ、それに関しては俺も悪かったと思ってるが・・・」

菜摘「鳴海くん、私にじゃなくて風夏さんに謝ってね」

鳴海「へっ?」

菜摘「風夏さんに」


 少しの沈黙が流れる


鳴海「クソ・・・じゃなくてスイートメロンパンが食べたい・・・」

菜摘「謝れない男の人は格好悪いよ、鳴海くん」


 再び沈黙が流れる


鳴海「な、なあ菜摘・・・」

菜摘「何?」

鳴海「姉貴は・・・結婚するべきだと思うか・・・?」

菜摘「うん」

鳴海「どうしてそう思うんだ・・・?」

菜摘「風夏さんが結婚したがってるんだもん」

鳴海「そ、その情報は確かなのか・・・?」

菜摘「確かだよ。本人が結婚したいって言ってたから」


 少しの沈黙が流れる


菜摘「鳴海くん、風夏さんに写真を見せてもらったけど、凄く幸せそうだったよ」

鳴海「な、何でそんなことを俺に教えてるんだ・・・」

菜摘「鳴海くんの良心が傷めば、風夏さんの結婚を許すかと思って」

鳴海「か、彼氏がクソみたいな・・・(咳払いをして)スイートメロンパンみたいな奴だったらどうするんだよ」

菜摘「写真を見た限りだと良い人そうだったし、風夏さんも二本足で移動する優しさの塊みたいだって言ってたから、全然スイートメロンパンではないと思うけどなぁ・・・」

鳴海「な、菜摘、良い人そうな男の大概は性格が腐ってるんだぞ」

菜摘「それは鳴海くんの偏見じゃないの・・・?」

鳴海「お、俺の人生経験に基づくデータだ」

菜摘「あんまり信用出来そうなデータじゃないね・・・」

鳴海「おい、俺が18年間生きて得た知識に文句をつけるのか」

菜摘「うん」


 再び沈黙が流れる


風夏「貴志姉弟には貴志姉弟なりの決まりがあると思うけど・・・でもね鳴海くん、結婚のチャンスはそう何度もないから、出来れば風夏さんのことを引き止めないで欲しいな・・・」

鳴海「わ、分かってるよ・・・」


◯1052貴志家リビング(夜)

 リビングで夕飯を食べている鳴海と風夏

 鳴海と風夏はテーブルを挟んで向かい合って座っている

 テーブルの上にはカレーライス、サラダなどが並べてある

 鳴海はカレーを食べるのをやめる


鳴海「あ、姉貴・・・」

風夏「(カレーを食べながら)何?」


 少しの沈黙が流れる

 カレーを食べるのをやめる風夏


風夏「どうした?鳴海」

鳴海「い、いや・・・その・・・何て言ったら良いのか・・・」


 再び沈黙が流れる


鳴海「(小さな声で)け、結婚のことは・・・」

風夏「え?何?声が小さくて聞こえないよ」


 俯く鳴海


鳴海「(俯いたまま)やっぱ何でもねえ・・・」

風夏「う、うん」


 カレーを食べ始める風夏


◯1053白石家嶺二の自室(深夜)

 物が散らかっている嶺二の部屋

 机の上には専門学校の資料と受験の合格通知書が雑に置いてある

 ベッドの上で横になって、千春が持っている剣の刃のかけらを見ている嶺二

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる


嶺二「(千春の剣の刃のかけらを見ながら)受験、受かっちまったよ・・・千春ちゃん・・・」


◯1054Chapter◯272の回想/波音総合病院外(夜)

 学園祭の後

 強い雨が降っている

 波音総合病院の外に、嶺二、千春、影のような巨大な悪霊がいる

 千春が剣を使って巨大な悪霊と一人戦っている

 千春のことをじっと見ている嶺二

 千春が力いっぱい剣を悪霊ぶつけている

 何度ぶつけても千春の攻撃は意味がない


千春「(剣をぶつけて大きな声で)何度だって!!!」


 千春が使っていた剣が折れ、欠けた部分が嶺二の足元まで飛んでくる

 悪霊は千春のことを見下ろす

 千春は折れた剣を落とし、その場にがっくりと座り込む

 嶺二は足元に落ちた刃のかけらを拾う


◯1055回想戻り/白石家嶺二の自室(深夜)

 物が散らかっている嶺二の部屋

 机の上には専門学校の資料と合格通知書が雑に置いてある

 ベッドの上で横になって、千春が持っている剣の刃のかけらを見ている嶺二 

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる


嶺二「(千春の剣のかけらを見ながら)一条雪音って子がさ、千春ちゃんをもう一度この世で生きられるように協力してやるって言ってんだけど・・・千春ちゃんはどー思う・・・?」


 カーテンの隙間から差し込んだ月の光が千春の剣のかけらに反射し、キラキラと光る


嶺二「(千春の剣のかけらを見ながら)実を言うと・・・俺はやめた方が良いんじゃねーかって思ってるんだ・・・幾ら千春ちゃんのためでも・・・人の命は借りられねーんだよな・・・(少し間を開けて)だからよ・・・朗読劇で奇跡が起こって、千春ちゃんが生き返ってくれんのが俺的には一番嬉しいんだ。もちろん、俺は奇跡を起こすために全力で朗読劇をやるぜ・・・それでいーだろ、千春ちゃん」


 嶺二は少しの間、月の光を反射させて輝く千春の剣のかけらを見続ける

 体を起こす嶺二

 嶺二は頭を掻く

 ベッドから出る嶺二

 嶺二は机の上に千春の剣のかけらを置き、専門学校の合格通知書を手に取る


嶺二「(専門学校の合格通知書を見ながら)受かったはいーものの・・・素直に喜べねーんだよな・・・」


◯1056◯1047の回想/波音高校三年生廊下(昼)

 昼休み

 三年生廊下にいる鳴海、明日香、嶺二、雪音

 廊下で話をしている鳴海、明日香、嶺二、雪音

 廊下では喋っている三年生や、昼食を取りに移動している三年生がたくさんいる

 廊下で話をしている鳴海、明日香、嶺二、雪音


明日香「ゆ、雪音はどうするの?」

雪音「私は家業を継ぐよ」

明日香「家業?」

雪音「うん」


 嶺二がチラッと雪音のことを見る

 

雪音「一条家を根絶やしには出来ないから」


◯1057回想戻り/白石家嶺二の自室(深夜)

 物が散らかっている嶺二の部屋

 机の前に立って専門学校の合格通知書を見ている嶺二

 机の上には千春の剣のかけらと専門学校の資料が置いてある

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる


嶺二「(専門学校の合格通知書を見ながら)ったく・・・何が家業を継ぐだよ・・・」


◯1058貴志家リビング(日替わり/朝)

 外は快晴

 時刻は七時半過ぎ

 テーブルの上に置き手紙がある

 置き手紙には“昨日何を言いかけてたかお姉ちゃんすっごく気になっちゃう!!”と書かれている

 リビングのテレビではニュースが流れている

 

ニュースキャスター3「米露関係のますます複雑に・・・」


◯1059波音高校校門(朝)

 快晴

 たくさんの生徒たちが門を潜って学校の中へ入って行く

 校門の前にいる鳴海、明日香、嶺二

 鳴海たちは部員募集の紙の束を持っている

 手袋とマフラーをつけている明日香


鳴海「嶺二、一条はどこにいるんだ」

嶺二「知るかよ・・・」


 ポケットからスマホを取り出す嶺二


明日香「連絡は?」

嶺二「(スマホを見て)来てねーな・・・(スマホをポケットにしまい少し間を開けて)しょうがねえ・・・探しに行くか・・」


 部員募集の紙の束を鳴海に差し出す嶺二


嶺二「(部員募集の紙を鳴海に差し出したまま)新入部員の勧誘はお前らに任せたぞ」

鳴海「(嶺二から部員募集の紙を受け取り)あ、ああ」

 

 嶺二は走って学校の中へ入って行く


◯1060波音高校裏庭(朝)

 雪音が三年生の女子生徒5人に囲まれている

 裏庭は花壇があり、枯れた花が植っている

 三年生の女子生徒たちは雪音のボロボロになった教科書やノートを持っている 

 雪音の教科書は汚れ破れており、表紙には”死ね クズ”と赤い字で書かれている

 雪音のノートはボールペンでたくさんの落書きがされている

 三年生の女子生徒1が教科書を落とし、思いっきり踏みつける


三年生女子生徒1「(ボロボロになった雪音の教科書を踏みつけながら)マジで調子に乗んなよ、お前」

雪音「調子に乗るなって何が?」

三年生女子生徒2「とぼけんな」

雪音「ごめんね、馬鹿の言ってることってよく分からないんだ」


 三年生女子生徒2は手に持っていた雪音のノートを半分に破り、花壇の方へ投げる

 雪音の半分に破れたノートは花壇の中に落ちている

 

雪音「(小声でボソッと)死ねよ・・・」

三年生女子生徒3「あ?お前が死ねよ」


 嶺二が裏庭にやって来る

 雪音が三年生の女子生徒たちに囲まれてることに気づき、嶺二は慌てて校舎の壁に身を隠す

 

嶺二「(小声でボソッと)修羅場じゃねーかちくしょう・・・」


 嶺二はそのまま雪音たちに気付かれないように校舎の壁に隠れながら会話を盗み聞きする

 三年生女子生徒4が雪音の肩を勢いよく押す

 雪音は校舎の壁に背中を強くぶつける


三年生女子生徒4「自分から言い寄ったくせに裏切ったんだ。マジで最低じゃんあんた」

三年生女子生徒5「気の毒な双葉くん・・・」

嶺二「(小声でボソッと)双葉ってことは男絡みのトラブルかよ・・・」


 嶺二は変わらず校舎の壁に身を隠しながら雪音たちの会話を盗み聞きしている


三年生女子生徒5「噂になってるからね、あんたが白石とラブホに行ってるところをわざと双葉くんに見せつけてたって」

嶺二「(驚いて大きな声で)ら、ラブホ!?!?」


 雪音と三年生女子生徒5人が一斉に嶺二がいる方を見る


嶺二「(声 モノローグ)やべえやべえやべえやべえ思わず声が漏れちまった!!」

三年生女子生徒1「誰だよ、そこにいんの」


 少しの沈黙が流れる


三年生女子生徒2「うぜえな、いんのは分かってんだから隠れてないで出て来いって」

 

 三年生女子生徒2は雪音の教科書を1ページ破り、クシャクシャに丸めてから嶺二の方へ投げる

 嶺二はクシャクシャに丸まった雪音の教科書の1ページを拾う 

 クシャクシャに丸まった雪音の教科書の1ページを広げる嶺二

 クシャクシャになった雪音の教科書には”姉と一緒に死ね 消えろ 二度と学校に来んな ビッチ メス豚 犯罪者の娘”などと赤い字で書かれている

 嶺二は隠れるのをやめて雪音たちに姿を見せる


三年生女子生徒3「メス豚犯罪者の新しい彼氏じゃん」

嶺二「(クシャクシャになった雪音の教科書を三年生女子生徒たちに見せて)お前らがやったのか?」

三年生の女子生徒1「だから何だよ」


 再び沈黙が流れる


嶺二「一つだけ言わせてくれ」

三年生女子生徒3「お前はキモイから喋んな」

嶺二「どーしてもお前ら言いたいことがあるんだよ。因みに・・・俺の話は現金2万円に関わることだぜ?」

三年生女子生徒4「は?2万って何だよ?」

嶺二「それは聞けば分かることだ」


 少しの沈黙が流れる

 顔を見合わせる三年生の女子生徒たち


三年生女子生徒1「マジで金に関係してる話なの」

嶺二「おう!」

三年生女子生徒1「なら早く言って」

嶺二「仕方がねーな・・・これはちょートップシークレットな話なんだが・・・お前らには特別に許してやるよ・・・(少し間を開けて)実はだな・・・」


 再び沈黙が流れる


嶺二「俺は・・・(かなり間を開けて大きな声で)雪音ちゃんとラブホには行っていない!!!!」


 少しの沈黙が流れる

 大きな声を上げて笑い出す雪音


雪音「(大きな声を上げて笑いながら)最高だよ嶺二!!!あんたってほんと面白いと思う!!!!」

嶺二「だろ!!」


 再び沈黙が流れる


三年生女子生徒5「キモ過ぎ・・・お前らマジでクソキモいじゃん」

雪音「(笑いながら)あんたの語彙力の方がクソ気持ち悪いって」

嶺二「俺と雪音ちゃんの天才っぷりのせいで、こいつらの馬鹿が目立ってるんじゃねーのか?」

雪音「(笑いながら)そうだね、私たち天才だから」

三年生女子生徒2「騙しやがったなお前ら・・・」

嶺二「いや、俺はちゃんと2万円の話をしたぜ?てめーらは知らねーんだろうけど、波音町のラブホ街は一泊の料金が大体2万円なんだよ。(少し間を開けて)ほら、完璧な2万とホテルの話になってんだろ?」

三年生女子生徒5「クソつまらねえこと言ってんじゃねえよ、エセヤンキーが」

嶺二「わりーけど、俺はエセヤンキーじゃなくて活力に満ちた爽やかな男子高校生だ」


 雪音は変わらず笑い続けている


雪音「(笑いながら)嶺二は真面目に部活にも参加して・・・」

三年生女子生徒1「(喋りかけていた雪音の顔面を思いっきり殴って)いつまでヘラヘラしてんだようぜえな!!!」


 殴られた拍子にその場に倒れる雪音


嶺二「(大きな声で)おい!!!」


 三年生女子生徒1は倒れた雪音の顔面を殴り続ける


三年生女子生徒1「(雪音の顔面を殴りながら)死ねよビッチが!!!」


 三年生の女子生徒2、3、4、5も1に便乗し雪音の体を蹴り始める

 雪音は倒れたままうずくまっている

 嶺二が雪音に暴力を振るう三年生の女子生徒たちを止めに入る


嶺二「(三年生女子生徒たちを雪音から無理矢理引き離して大きな声で)やめろお前ら!!!」


 嶺二は三年生女子生徒5人を雪音から引き離す


嶺二「(三年生女子生徒たちを雪音から引き離し終えて息を切らしながら)ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・何て奴らだ・・・」


 息を切らしている嶺二

 倒れてうずくまっている雪音は、顔の目元が赤く腫れ、唇は切れて血が垂れている

 雪音の制服は汚れている

 呼吸を整える嶺二


嶺二「(大きな声で)やり過ぎだぞ!!!!」

三年生女子生徒4「体目当ての男がかっこつけんなよ」

嶺二「俺たちは部活仲間な・・・」

三年生女子生徒2「(嶺二の話を遮って)男はみんな体にしか興味がないくせに」


 体を起こす雪音

 唇から垂れる血を手で拭う

 手の甲に付いた血を見る雪音

 雪音は血を見るのをやめる


雪音「調子に乗ってるのはあんたたちじゃん、ブスが群れてチワワみたいに吠えてさ」


 三年生女子生徒2が雪音に殴りかかろうとするが、嶺二がそれを止める

 学校のチャイムが鳴る


嶺二「教室に行けよ、遅刻になるぞ」


 三年生女子生徒たちは嶺二と雪音のことを睨んでいる

 少しの沈黙が流れる

 三年生女子生徒1は落ちていた雪音のボロボロの教科書を花壇の方へ蹴り飛ばす

 三年生女子生徒3、4、5は花壇の方にボロボロになった雪音の教科書とノートを投げる

 三年生女子生徒たちは嶺二と雪音から離れ、校舎へ向かって歩き始める

 嶺二は三年生女子生徒たちの姿が見えなくなったのを確認した後、ポケットからスマホを取り出し、スマホのライトをつける

 しゃがんで雪音の顔を見る嶺二

 嶺二は雪音の顔にスマホのライトを当てる


嶺二「(スマホのライトを雪音の顔を当てて傷を見ながら)まさか殴って来るとはな・・・最近の女子同士の喧嘩は恐ろしいぜ・・・」


 雪音は眩しそうにスマホのライトから目を逸らす

 雪音の顔は右の目元が赤く腫れ、眼球は充血している


雪音「(スマホのライトから目を逸らしながら)見ないでよ・・・」

嶺二「(スマホのライトを雪音の顔を当てて傷を見ながら)そーゆーわけにはいかねーだろ・・・失明でもされたら朗読劇がお釈迦になっちまうんだから・・・」


 少しの間嶺二は雪音の顔の傷を見続ける

 スマホのライトを消す嶺二

 嶺二は立ち上がり、スマホをポケットにしまう

 雪音に手を差し出す嶺二


嶺二「(雪音に手を差し出して)立てるか?無理ならおぶってやるけど」


 雪音は嶺二の手を取り、立ち上がる

 雪音の制服は土で汚れている

 嶺二は雪音の制服についた土を手で払い落とす


嶺二「(雪音の制服についた土を払い落としながら)階段の時もあいつらにやられたのかよ?」

雪音「(嶺二に制服についた土を払い落としてもらいながら)知らない」


 少しの沈黙が流れる

 雪音の制服についた土を払い落とし続ける嶺二


雪音「(嶺二に制服についた土を払い落としてもらいながら)いたっ」

嶺二「(雪音の制服についた土を払い落とすのをやめて)あっ、悪い・・・」

雪音「ううん・・・」


 嶺二は雪音の制服についた土を優しく払い落とし始める


嶺二「(雪音の制服についた土を優しく払い落としながら)にしてもひでえやられ方だな・・・こりゃいじめだろ・・・」

雪音「(嶺二に制服についた土を優しく払い落としてもらいながら)向こうが一方的に私のことを嫌ってるだけだから」

嶺二「(雪音の制服についた土を優しく払い落としながら)要するいじめじゃねーか・・・」


 雪音の制服についた土を払い落とし終える嶺二

 嶺二は花壇の中に落ちたボロボロの雪音の教科書とノートを拾い始める

 ボロボロになった雪音の教科書とノートは土で汚れている


嶺二「(ボロボロになった雪音の教科書とノートを拾いながら)あーあー・・・テスト前だって言うのによ・・・」

雪音「嫉妬してるんじゃない?私、成績も良いから」

嶺二「(ボロボロになった雪音の教科書とノートを拾いながら)だろーな・・・」

雪音「馬鹿みたいだよね・・・こんなことをしても意味ないのに・・・」

嶺二「(ボロボロになった雪音の教科書とノートを拾いながら)双葉に好意を寄せる連中は馬鹿が多いんじゃねのーか」

雪音「さあ・・・」

嶺二「(ボロボロになった雪音の教科書とノートを拾いながら)あんな外見しか魅力のない男のどこが良いんだか教えて欲しいぜ・・・」

雪音「外見が魅力的だから、みんな好きになるんでしょ」

嶺二「(ボロボロになった雪音の教科書とノートを拾いながら)そーかよ」


 嶺二はボロボロになった雪音の教科書とノートを拾い終える

 ボロボロになった雪音の教科書とノートは土で汚れている

 ボロボロになった教科書とノートの土を手で払い落とす嶺二

 ボロボロになった教科書とノートは切り刻まれていたり、赤い字で悪口が書かれたりしている


嶺二「(ボロボロになった教科書とノートの土を手で払い落としながら)こりゃ後でセロハンで引っ付けなきゃなんねーな・・・」

雪音「無理して直さなくても良いのに・・・」

嶺二「(ボロボロになった教科書とノートの土を手で払い落としながら)無理してるんじゃねーよ。きたねー教科書とノートを見てテンションが下がりまくるのが嫌なんだ」 


 ボロボロになった教科書とノートの土を払い落とし終える嶺二


嶺二「保健室に行くぞ」

雪音「どうして?」

嶺二「その傷で保健室に行かなきゃやべえだろーが」

雪音「女子に殴られてこうなりましたって説明するの?」


 再び沈黙が流れる


嶺二「か、階段でぶつかって転がり落ちたって言うんだよ」


◯1061波音高校保健室(朝)

 保健室にいる嶺二、雪音、保健室の女性教師

 椅子に座っている雪音

 保健室の女性教師が雪音の目に眼帯をつけている

 嶺二が雪音の様子を立って見ている

 保健室にはカーテン付きのベッドが二台、保健室の教師用の机が一台、薬剤などが収納された棚が一台ある


保健室の女性教師「(雪音の右目に眼帯をつけながら)本当にぶつかって階段から落ちたの?」


 雪音の右目に眼帯をつけ終える保健室の女性教師


雪音「はい」

嶺二「お、俺の不注意っすよ。一条さんは何も悪くないんで」

保健室の女性教師「不注意ってあなたねえ・・・一条さんのお家は・・・」


 少しの沈黙が流れる


雪音「先生、叔父さんには自分で説明します」

保健室の女性教師「でも・・・」


 再び沈黙が流れる


保健室の女性教師「一条さん、顔以外に痛むところはないの?」

雪音「お腹が少し・・・」

保健室の女性教師「や、やっぱりこのことは一条さんのお家に連絡します。白石くん、あなたは覚悟してなさい。この件はご両親にもお伝えしますからね」

嶺二「ま、マジっすか・・・」

保健室の女性教師「当然です!!」

雪音「先生、嶺二の家には・・・」

保健室の女性教師「(雪音の話を遮って)そういわけにはいきません!!一条さん、あなたはカーテンを閉めてベッドのところにいて、二人のお家に連絡した後にお腹の状態を見ます。白石くんは廊下に立って、保健室に誰も入らないようにしてなさい」

嶺二「うーっす・・・」


 嶺二と保健室の女性教師は扉を開けて廊下に出る

 嶺二は保健室の前の廊下で腕を組み、壁にもたれる


保健室の女性教師「腕を組まないの」


 腕を組むのをやめる嶺二


保健室の女性教師「壁にもたれないで」


 壁にもたれるのをやめる嶺二


保健室の女性教師「しっかり反省するのよ」

嶺二「任せてください」


 少しの沈黙が流れる


保健室の女性教師「ここで待ってなさい・・・」

嶺二「はーい」


 保健室の女性教師は職員室に向かって歩き出す 

 嶺二は腕を組み壁にもたれる


嶺二「(腕を組んだまま)鳴海と明日香にどんな言い訳をしたもんか・・・」


 少しの間嶺二は腕を組み壁にもたれたまま考え続ける


雪音「(声)嶺二」


 保健室の中から嶺二のことを呼ぶ雪音の声が聞こえて来る


雪音「(声)嶺二ってば」


 腕を組むのをやめて嶺二は壁から離れる

 扉を開けて保健室の中に入る嶺二

 雪音の姿はどこにもない

 一台のベッドのカーテンが閉められている


嶺二「カーテンの中にいるのか」

雪音「うん」


 雪音はカーテン付きのベッドにいる

 ベッドに座っている雪音

 嶺二と雪音はベッドのカーテン越しに会話をする

 嶺二は近くあったクルクル回る椅子に座る


嶺二「何でカーテンを閉じてんだ?」

雪音「制服を脱いでるの」


 雪音はカーテンの中で着替えている

 セーラ服のリボンを外す雪音


嶺二「脱げなんて言ってなかっただろ」

雪音「(セーラ服を脱ぎながら)戻って来たらお腹を見る、ベッドのところにいて、は脱いでなさいと同じ意味でしょ」

嶺二「なるほど、だから廊下に立って誰も入れんなって言ってたのか」

雪音「(セーラ服を脱ぎながら)そう」


 雪音は脱いだセーラ服をベッドの上で丁寧に畳む

 嶺二にはカーテン越しに雪音のシルエットが見えている

 

雪音「嶺二、私今裸だよ」

嶺二「んなわけねーだろ」

雪音「ふーん、信じないんだ」

嶺二「俺は目に見える物以外は信じない主義だからな」

雪音「試しに覗いても良いんだよ、嶺二」

嶺二「カーテンの奥にいるのが雪音ちゃんじゃなくて、モノホンのエイリアンなら覗いてたぜ」


 再び沈黙が流れる


嶺二「どーせほんとは裸じゃねーんだろ?」

雪音「うん」

嶺二「一杯食わせようったって、俺には通用しねーぞ」

雪音「そうだね」


 雪音はセーラ服の下に着ていた白いインナーとスカートという服装になっている

 嶺二は椅子でクルクル回り始める


雪音「ねえ」

嶺二「(クルクル椅子で回りながら)何だよ?」

雪音「嶺二は行ったことあるの?さっき話してた2万円のホテル」

嶺二「(クルクル椅子で回りながら)雪音ちゃんは馬鹿だな。2万のホテルなんてその場で思いついた嘘に決まってんだろ」

雪音「じゃあ今度二人で探して行ってみようよ」

嶺二「(クルクル椅子で回りながら)行きたきゃ一人で行ってこい」


 少しの沈黙が流れる


雪音「後で裏庭置いてきた教科書とノート、持って来てくれる?」

嶺二「(クルクル椅子で回りながら)親に連絡が入ってんのに、裏庭に行けるかよ・・・」

雪音「嶺二のご両親には私から本当のことを言うから」

嶺二「(クルクル椅子で回りながら)別に気は使わなくていーんだぜ」

雪音「筋は通しておきたいの」

嶺二「(クルクル椅子で回りながら)どの道最初に怒られるのは俺だから気にすんなって」

雪音「このタイミングで進路に響いたら嫌でしょ」

嶺二「(クルクル椅子で回りながら)進路かー・・・」


 再び沈黙が流れる

 クルクル椅子で回るのをやめる嶺二


嶺二「俺、合格しちまったんだよな」

雪音「受験に?」

嶺二「ああ。春からは東京暮らしだ」


 少しの沈黙が流れる


雪音「地元に残りなよ」

嶺二「波音町にいてもすることがねーだろ」

雪音「私と一緒に菜摘の生まれ変わりを探して」

嶺二「雪音ちゃん、正直に打ち明けるけどよ・・・俺、そーゆーことはしたくねーんだ」

雪音「柊木千春ともう一生会えなくても良いの?」

嶺二「良くはねーが・・・」

雪音「なら私と一緒に・・・」

嶺二「(雪音の話を遮って)人に頼るのが嫌なんだ。誰かが辛い思いをしなきゃならねーのに、俺だけが千春ちゃんと再会して幸せになるってのは、あまりに虫が良過ぎるだろ。(少し間を開けて)菜摘ちゃんの生まれ変わりってことは・・・菜摘ちゃんと同じよーにその子は病気になったり、大変な思いをするだろーし、その子の周りにいる奴らまで不幸になっちまうかもしれねえ」

雪音「だから何なの?」

嶺二「だから・・・やめよーぜってことだ」


 再び沈黙が流れる


嶺二「雪音ちゃんがやめてくれなきゃ・・・俺は雪音ちゃんから離れると思うぜ」

雪音「離れないでよ」

嶺二「雪音ちゃんは俺のことが好きなのか?」


 唇を噛み締める雪音

 雪音の唇の傷から血が出る


嶺二「双葉じゃなくて・・・俺のことが」


 唇を噛み締めるのをやめる雪音


雪音「分からない・・・けど、きっとこの感情は好きなんだと思う」

嶺二「俺なんかのどこがいーんだよ」

雪音「さあ・・・どこが良いんだろ」

嶺二「繰り返すな、本人に失礼だろーが」


 少しの沈黙が流れる


雪音「私は嶺二と一緒にいたい」

嶺二「マジかよ」

雪音「うん」

嶺二「本気か?」

雪音「前から本気だよ」

嶺二「そうは考えられねーな・・・雪音ちゃんは思わせぶりな態度を取って、俺のことをからかってたはずだぞ」

雪音「からかっちゃいけない?」

嶺二「ああ」

雪音「最初はからかってたよ」

嶺二「今もからかってるんじゃねーのか」

雪音「そうかもね」


 再び沈黙が流れる


嶺二「本当に俺のことが好きなら、菜摘ちゃんの生まれ変わりを探すなんて馬鹿なことはやめるんだな。千春ちゃんがいねー今でも、俺の心は千春ちゃんに掴まれっぱなしだってことくらい分かってんだろ?俺が千春ちゃんと再会したら、本格的に雪音ちゃんは視界から消えるぞ」

雪音「人間じゃない奴に恋してる嶺二だって馬鹿じゃん」

嶺二「そーだよ、俺は馬鹿なんだ」


 立ち上がる嶺二


嶺二「とにかくよく考えてくれ、雪音ちゃん。こんな関係を続けても、お互いにとっていーことは何もないと思うぜ」


 嶺二は扉の方へ向かって歩き出す

 

雪音「嶺二」


 扉の前で立ち止まる嶺二


嶺二「ん?」

雪音「私は嶺二と一緒にいたいから」

嶺二「その気持ちは嬉しいけど・・・俺は今の雪音ちゃんと一緒にいたいと思ったことはねーんだ」


 嶺二は扉を開けて廊下に出る

 雪音はカーテンの内側で声を上げずに泣いている

 雪音の左目から涙が溢れ、ポタポタとベッドに落ちる


◯1062波音高校裏庭(昼)

 一人裏庭にいる嶺二

 裏庭は花壇があり、枯れた花が植っている

 裏庭の隅の方にまとめて置いてあった雪音のボロボロの教科書とノートを手に取る嶺二

 雪音のボロボロになった教科書とノートは切り刻まれていたり、赤い字で悪口が書かれたりしている


嶺二「(雪音のボロボロになったノートを開いて)汐莉ちゃんをいじめてた奴が・・・いじめられる側になるなんてな・・・」


 雪音のボロボロになったノートには、授業のメモの上に大きな赤い字で”学校に来んな”と書かれている


◯1063波音高校波音高校特別教室の四/文芸部室(放課後/夕方)

 夕日が沈みかけている

 文芸部の部室にいる鳴海、明日香、嶺二

 円の形に椅子を並べて座っている鳴海、明日香、嶺二

 教室の隅にパソコン六台、プリンター一台、部員募集の紙が置いてある

 鳴海、明日香、嶺二の中心には一台の机があり、机の上には雪音のボロボロになった教科書とノートが置いてある

 雪音のボロボロになった教科書とノートを呆然と見ている鳴海、明日香


明日香「(ボロボロになった雪音の教科書をノートを呆然と見ながら)酷過ぎる・・・」

嶺二「ああ」

鳴海「(ボロボロになった雪音の教科書をノートから顔を逸らして)一条はいつ戻って来るんだ・・・?」

嶺二「分からねえ・・・今日はもう早退しちまったかもしれねーし・・・」


 少しの沈黙が流れる


嶺二「鳴海、時間がねーのは承知で頼むんだが・・・今日の部活は雪音ちゃんの教科書とノートの手直しに使って欲しい」

鳴海「そう・・・だな・・・(少し間を開けて)分かった・・・」

嶺二「迷惑かけてすまねえ、鳴海」

鳴海「いや、良いんだ」


 時間経過


 鳴海、嶺二、明日香は雪音のボロボロになった教科書とノートの修正を行っている

 鳴海、嶺二、明日香はそれぞれ机に向かって椅子に座っており、各々の机の上には雪音のボロボロになった教科書、ノート、セロハンテープ、修正テープ、消しゴムなどが置いてある

 鳴海は教科書の破れた部分をセロハンテープで貼って直している

 教科書に書かれた悪口を修正テープで消している明日香

 嶺二はノートに書かれた悪口を消しゴムで擦って消そうとしている


嶺二「(消しゴムでノートを擦りながら)クソ!!マジックで書いてるせいで全然消えねえじゃねーか!!」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)修正テープを使いなさいよ」

嶺二「(消しゴムでノートを擦りながら)後で上から字を書くのがだりーだろ馬鹿!!」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)あんたにだけは馬鹿って言われたくないんですけど」

嶺二「(消しゴムでノートを勢いよく擦りながら)うっせえ馬鹿!!」


 嶺二が持っていたノートがビリッと大きな音を立てて破れる


嶺二「あっ、やべ」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消すのをやめて)被害を拡大してどうすんのよ!!」

嶺二「ちゃ、ちゃんと直すから怒んなって・・・」


 嶺二は修正テープでノートに書かれた悪口を消し始める


明日香「(小声でボソッと)全く、無駄な仕事ばっか増やすんだから」

鳴海「(教科書の破れた部分にセロハンテープを貼りながら)結局一番の馬鹿は嶺二だっな」


 明日香は教科書に書かれた悪口を修正テープで消し始める


明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)そもそも文芸部には馬鹿が多過ぎるの」

鳴海「(教科書の破れた部分にセロハンテープを貼りながら)すまん」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)あんたら二人も救いようのない馬鹿だけど・・・同じくらい雪音も馬鹿ね・・・こんなに恨まれてるのに、それを隠そうとするなんて・・・」

嶺二「(ノートに書かれた悪口を修正テープで消しながら)雪音ちゃんはそーゆー子なんだからしょうがねーだろ・・・」

鳴海「(教科書の破れた部分にセロハンテープを貼りながら)明日香も一条が女子たちから嫌われてることは知らなかったのか?」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)知ってたに決まってんでしょ」

嶺二「(ノートに書かれた悪口を修正テープで消すのをやめて大きな声で)な、なら何で止めなかったんだよ!?!?」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)女子同士はそんな単純じゃないの。というか私だって、噂程度に雪音に対する悪口を聞いてだけなんだから」

鳴海「(教科書の破れた部分にセロハンテープを貼りながら)つまり一条が嫌われてることは薄々感づいていたが、こんなに酷いとは思っていなかったんだな」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)そういうこと」


 修正テープでノートに書かれた悪口を消し始める嶺二


明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)元々雪音は嫉妬されやすいタイプなんだろうけど、最近はそれが悪化してるんでしょうね」

鳴海「(教科書にセロハンテープを貼りながら)何で一条は元々嫉妬されやすいタイプなんだ?」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)考えたら分かるでしょ、鳴海」


 教科書の破れた部分にセロハンテープを貼るのをやめて考え込む鳴海

 嶺二は修正テープでノートの破れたページの悪口を消し終え、セロハンテープを貼り始める


鳴海「明日香、真剣に一条が嫉妬される理由を考えてみたが全く分からないぞ」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)馬鹿」

嶺二「(ノートの破れた部分にセロハンテープを貼りながら)鳴海、俺には分かるぜ」

鳴海「あ、あの嶺二ですら分かるのか・・・」

嶺二「(ノートの破れた部分にセロハンテープを貼りながら)俺は鳴海ほど馬鹿じゃねーからな」

鳴海「おい」

嶺二「(ノートの破れた部分にセロハンテープを貼りながら)もっと頭を使えよ、鳴海、雪音ちゃんには圧倒的に秀でてるところがあんだろ?」

鳴海「秀でてるところ・・・?」

嶺二「(ノートの破れた部分にセロハンテープを貼りながら)そーそー」

鳴海「そんなのないだろ」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)あんた、雪音がどんな生徒なのか知らないの?」

鳴海「どんなって・・・一条はちょっと勉強が出来る優等生じゃないのか・・・?」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)ちょっと、ね・・・(少し間を開けて)雪音は三年生の中でもトップクラスの成績だし、加えてあの完璧な容姿・・・どっからどう考えても嫉妬の対象になるでしょ」

鳴海「明日香の言いたいことは分かるが・・・」


 少しの沈黙が流れる


明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)それに最近の雪音は感じも悪いんだから」

鳴海「確かに友好的ではないかもな」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)でしょ」

嶺二「(ノートの破れた部分にセロハンテープを貼りながら)雪音ちゃんはおねーさんのことが心配で、俺らみてーなボンクラ三年生に構ってる暇がないんだろ」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)そうかもね・・・でも一年生や二年生の時の雪音は、もっとみんなに親切だった」

嶺二「(ノートの破れた部分にセロハンテープを貼りながら)八方美人をやめて素の自分を出し始めたんじゃねーのか?波高の卒業で、切れる縁は切れるわけだしよ」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)そんなことをされても困るのは私たちの方なんだけど・・・」

嶺二「(ノートの破れた部分にセロハンテープを貼りながら)誰が困ろうが、雪音ちゃんには関係ねーんだろ」

明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)そういう態度だから最近の雪音は嫌なの」


 再び沈黙が流れる


明日香「(教科書に書かれた悪口を修正テープで消しながら)これ以上私に、文芸部とあんたたちのことを嫌いにさせないでよ」


◯1064帰路(放課後/夜)

 日が沈み暗くなっている

 一人自宅に向かっている鳴海

 部活帰りの学生がたくさんいる


鳴海「(声 モノローグ)結局、この日一条は部活に来なかった」


◯1065一条家洗面所(放課後/夜)

 大理石で出来た広くて綺麗な洗面所の鏡の前に下着姿の雪音が立っている

 雪音は洗面所の大きな鏡を見ている

 右目に眼帯をつけている雪音

 雪音の唇は切れており、お腹には紫色の大きな痣が出来ている

 鏡に映った自分を見ている雪音


鳴海「(声 モノローグ)菜摘が入院してからは・・・あいつが嫌な気持ちになる出来事ばかりが続いてやがる・・・」


 雪音は右目の眼帯を外す

 雪音の右の目元は赤く腫れ、眼球は充血している


鳴海「(声 モノローグ)誰がいけないんだ・・・誰のせいで菜摘は苦しまなきゃならないんだ・・・」


◯1066帰路(放課後/夜)

 一人自宅に向かっている鳴海

 部活帰りの学生がたくさんいる


鳴海「(声 モノローグ)南が傷付けば、菜摘も同じように傷付き、俺が泣いたら、菜摘は涙を流すだろう。あいつはそういう性格だ。だから菜摘には、出来るだけ文芸部と軽音部の中でどんなことが起きているのか教えたくはなかった。(少し間を開けて)だが・・・そんな俺の意志とは関係なく・・・運命か・・・この世界が・・・菜摘を苦しませ、菜摘の涙を奪い、菜摘の心が傷付けるようなことを起こしている・・・」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ