Chapter6生徒会選挙編♯2 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
向日葵が教えてくれる、波には背かないで
Chapter6生徒会選挙編 √文芸部(波音物語)×√軽音部-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
登場人物
滅びかけた世界
ナツ 16歳女子
ビビリな面も多く言葉遣い荒い。勤勉家。母親が自殺してしまい、その後は一人で旅を続けていたがスズと出会い行動を共にするようになった。
スズ 15歳女子
マイペース、ナツと違い勉強に興味なし。常に腹ペコ。食べ物のことになると素早い動きを見せるが、それ以外の時はのんびりしている。
ナツと共に奇跡の海を目指してやって来た。
老人 男
ナツの放送を聞いて現れた謎の人物。元兵士の男。緋空浜の掃除を一人でしている。Narumi Kishiと彫られたドッグタグを身に付けているがその正体は・・・
老人の回想に登場する人物
中年期の老人 男子
兵士時代の老人。
中年期の明日香 女子
老人ともう一人の兵士を見送りに来た、中年期頃の明日香。
七海 女子
中年期の明日香と同じく、老人ともう一人の兵士を見送りに来た少女。年齢は15、16歳。
老人と同世代の男兵士1 男子
中年期の明日香、七海に見送られていた兵士。中年機の老人、レキ、男兵士2と同じ隊に所属している。
レキ 女子
老人たちと同じグループの若い女兵士で、年齢は25歳前後。中年期の老人、男兵士1、男兵士2と同じ隊に所属している。
老人と同世代の男兵士2 男子
中年期の老人、男兵士1、レキと同じ隊に所属している兵士。
アイヴァン・ヴォリフスキー 男子
ロシア人。たくさんのロシア兵を率いている若き将校。容姿端麗で、流暢な日本語を喋ることが出来る。年齢は20代後半ほど。
両手足が潰れたロシア兵 男子
重傷を負っているロシア人の兵士。中年期の老人と出会う。
滅んでいない世界
貴志 鳴海 18歳男子
波音高校三年三組、運動は得意だが勉強は苦手。無鉄砲な性格。両親を交通事故で失っている。歳の離れた姉、風夏がいるが仕事で忙しいため実質一人暮らし状態である。文芸部副部長。 Chapter4の終盤に菜摘と付き合い始めた。
早乙女 菜摘 18歳女子
波音高校三年三組、病弱で体調を崩しやすい、明るく優しい性格。文芸部部長。鳴海と付き合っている。
白石 嶺二 18歳男子
波音高校三年三組、鳴海の悪友、不真面目なところもあるが良い奴。文芸部のいじられキャラである。高校卒業後は上京してゲームの専門学校に通うことを考えている。
天城 明日香 18歳女子
波音高校三年三組。成績も良くスポーツ万能、中学生の時は女子ソフトボール部に所属していた。ダラダラばかりしている鳴海と嶺二を何かと気にかけては叱る。文芸部部員。夢は保育士になること。最近は響紀に好かれて困っており、かつ受験前のせいでストレスが溜まっている。
南 汐莉15歳女子
波音高校に通っている一年生、文芸部と軽音楽部の掛け持ちをしている。明るく元気。バンド”魔女っ子少女団”のメインボーカルで歌とギターが得意。20Years Diaryという日記帳で日々の行動を記録している。Chapter5の終盤に死んでしまう。
一条 雪音18歳女子
波音高校三年三組、才色兼備な女生徒。元天文学部部長で、今は文芸部に所属。真面目な性格のように見えるが・・・
柊木 千春女子
Chapter2の終盤で消えてしまった少女で、嶺二の思い人。
三枝 響紀15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のリーダー兼リードギター担当。クールで男前キャラ、同性愛者、 Chapter3で明日香に一目惚れして以来、彼女に夢中になっている。
永山 詩穂15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のベース担当。おっとりとしている。
奥野 真彩15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のドラム担当。バンドの賑やかし要員。
早乙女 すみれ45歳女子
菜摘の母、45歳には見えない若さ美しさを保つ。優しい、とにかく優しい。愛車はトヨタのアクア。
早乙女 潤46歳男子
菜摘の父、菜摘とすみれを溺愛しており二人に手を出そうとすれば潤の拳が飛んでくること間違いなし。自動車修理を自営業でやっている。愛車のレクサスに“ふぁるこん”と名付けている。永遠の厨二病。
神谷 志郎43歳男子
波音高校三年の教師。鳴海、菜摘、嶺二、明日香、雪音の担任。担当教科は数学。文芸部顧問。Chapter5の終盤に死んでしまう。
荻原 早季15歳女子
Chapter5に登場した正体不明の少女。
貴志 風夏24歳女子
鳴海の6つ年上の姉、忙しいらしく家にはほとんど帰ってこない。智秋と同級生で親友関係。仕事をしつつ医療の勉強をしている。
一条 智秋24歳女子
雪音の姉。妹と同じく美人。謎の病に苦しんでいたがChapter3の終盤にドナーが見つかり、一命を取り留めた。リハビリをしながら少しずつ元の生活に戻っている。
双葉 篤志18歳男子
波音高校三年二組、天文学部副部長。
有馬 勇64歳男子
波音町にあるゲームセンター“ギャラクシーフィールド”の店主。千春が登場したゲーム、”ギャラクシーフィールドの新世界冒険”の開発者でもある。
細田 周平15歳男子
野球部に所属している一年生。Chapter5では詩穂に恋をしていた。
貴志 紘
鳴海の父親、事故で亡くなっている。菜摘の父、潤と高校時代クラスメートだった。
貴志 由夏理
鳴海の母親、事故で亡くなっている。菜摘の母、すみれと高校時代クラスメートだった。
神谷 絵美29歳女子
神谷の妻。Chapter5では妊娠していた。
波音物語に関連する人物
白瀬 波音23歳女子
波音物語の主人公兼著者。妖術を使う家系『海人』の末裔、そして最後の生き残り。Chapter4の終盤、妖術を使い奈緒衛の魂を輪廻させ、自らの魂も輪廻出来るようにした。
佐田 奈緒衛17歳男子
波音の戦友であり恋仲。優れた剣術を持ち、波音とは数々の戦で戦果をあげた。Chapter4の終盤に死んでしまった人物。
凛21歳女子
波音、奈緒衛を慕う女中。緋空浜の力を持っており、遥か昔から輪廻を繰り返してきた。波音に輪廻を勧めた張本人。体が弱い。奈緒衛と同じくChapter4の終盤に死んでしまった人物。
明智 光秀55歳男子
織田信長と波音たちを追い込み凛を殺した。
Chapter6生徒会選挙編♯2 √文芸部(波音物語)×√軽音部-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
◯389滅びかけた世界:緋空浜(昼過ぎ)
晴れている
ゴミ掃除をしているナツ、スズ、老人
浜辺にゴミの山がある
ゴミの山は、空っぽの缶詰、ペットボトル、重火器、武器類、骨になった遺体などが積まれて出来ている
ゴミの山の隣には大きなシャベルが砂浜に突き刺さってる
ゴミの山から数百メートル先の浜辺は綺麗になっている
浜辺には水たまりが出来ており、水たまりの中にもゴミがある
三人は軍手をしている
三人それぞれに一台ずつスーパーのカートがある
三台のカートのカゴにはビニール袋が敷いてあり、その中にゴミを入れていくナツ、スズ、老人
スズは疲れていて、ナツと老人より動きがかなり遅くなっている
ナツ「(トングでゴミを拾いながら)スズ、さっきからほとんどゴミ拾ってないじゃん」
スズ「(ゆっくりトングでゴミを拾いながら)だって〜」
ナツ「(トングでゴミを拾いながら)だって何」
スズ「(ゆっくりトングでゴミを拾いながら)一休みしたくなってきたんだもーん」
老人「(トングでゴミを拾いながら)また休憩したいのか?」
スズ「(ゆっくりトングでゴミを拾いながら)うん」
トングでゴミを拾うのをやめるスズ
スズ「休んでいー?ジジイ」
考え込む老人
老人「仕方ないな・・・」
スズ「やったー!!」
スズはトングをカートに入れる
軍手を外し適当に放り投げるスズ
同様にナツもトングをカートに入れる
老人「ナツ、何故お前まで作業を止めるんだ?」
ナツ「スズだけ休むのはずるい」
軍手を外し、ポケットにしまうナツ
スズ「なっちゃん、遊ぼ」
ナツ「何して?」
スズ「うーん・・・何が良いかなー」
老人「お前たち、休憩するんじゃないのか?」
スズ「遊ばなきゃ休憩にならないよ」
老人「遊ぶんだったら掃除の手伝いを・・・」
ナツ「(老人の話を遮って)ゴミ拾い以外のことがしたい」
少しの沈黙が流れる
老人「分かったよ・・・好きにしろ」
スズ「あっ、暇ならジジイも一緒に遊ぶ?」
老人「結構だ」
スズ「じゃあなっちゃんと私だけで遊ぼ」
ナツ「いいけど、疲れることは嫌だよ」
スズは背中に隠して持っていた小さな銃を取り出す
スズが持っているハンドガンは、Chapter3の冒頭でスズが老人に向けた物と同じ銃
ナツ「(驚いて)な、なんで銃なんか持ってるの!?」
スズ「(自慢げにハンドガンを見せながら)この前緋空浜に来た時、なっちゃんにバレないように拾ったんだ〜。いいでしょ〜?」
ナツとスズのことを見ている老人
ナツ「い、いいでしょって・・・その銃・・・」
スズ「なっちゃん、試し撃ちしてみようよ」
ナツ「えっ・・・」
老人「(スズが持っているハンドガンを見ながら)クソ蓮根野郎共のオートマチック拳銃か・・・」
スズ「くそれんこんやろーどものおーとまちっくけんじゅー?」
老人「(スズが持っているハンドガンを見たまま)ああ」
スズ「なっちゃん、オートマチック拳銃って何?」
ナツ「じ、自動式拳銃のことだよ」
スズ「(ハンドガンを見ながら)ふーん」
老人「(スズが持っているハンドガンを見たまま)死体から盗んだのか?」
スズ「うん」
ナツ「の、呪いのアイテムかも・・・」
老人「(スズが持っているハンドガンを見たまま)おそらく、その銃はロシア兵が使っていた物だ。確かに見覚えがある」
スズ「さすがジジイ、詳しい」
老人「(スズが持っているハンドガンを指差して)弾を確認してみろ」
ハンドガンの弾倉を取り出し、弾丸の数を確認するスズ
弾倉の中には弾丸が装填されている
スズ「(弾倉を見せて)まだまだいっぱいあるみたい」
老人「(スズが持っている弾倉を見ながら)試し撃ちにはちょうど良いか」
弾倉をハンドガンに戻すスズ
スズ「やってみよなっちゃん!!」
ナツ「えー・・・」
時間経過
緋空浜近くの一般道にやってきたナツ、スズ、老人
道には至る所に雑草が生えている
小さなハンドガンと空き缶を持っているスズ
スズは空き缶を道路の真ん中に置く
空き缶から離れるスズ
ナツと老人はスズから少し離れたところでスズのことを見ている
ハンドガンのスライドを後ろに引くスズ
ナツ「き、気をつけろよ!!」
スズ「うん!!」
ポケットからクシャクシャになったタバコの箱と汚れたZIPPOライターを取り出す老人
ハンドガンの安全装置を外すスズ
空き缶を狙ってハンドガンを構えるスズ
クシャクシャになったタバコの箱からタバコを一本取り出す老人
クシャクシャになったタバコの箱をポケットにしまう老人
タバコを咥える老人
両手で耳を塞ぐナツ
老人がライターを使いタバコに火をつけるのと同じタイミングで、スズは空き缶を狙って発砲する
大きな銃声が響く
地面に落ちた一本の薬莢がカランカランと音を立てる
弾丸は空き缶に当たっていない
タバコの煙を吐き出す老人
耳を塞ぐのをやめるナツ
老人はタバコを咥えたまま汚れたZIPPOライターをポケットにしまう
スズ「おっかしいなぁ〜・・・ちゃんと狙ったのにぃ〜・・・」
老人「(タバコを咥えたまま)もう何発か撃ったらどうだ?」
スズ「やってみる」
スズは再びハンドガンを構え、空き缶を狙う
再び両手で耳を塞ぐナツ
今度は続けて数発撃つスズ
数発分の銃声が響く
地面に落ちた数本の薬莢がカランカランと音を立てている
弾丸はまたしても空き缶に当たっていない
耳を塞ぐのをやめるナツ
ナツ「下手くそ」
スズ「(怒りながら)じゃあなっちゃんがやってみてよ」
ナツ「わ、分かった」
ハンドガンをナツに渡すスズ
ハンドガンを受け取るナツ
スズが離れてから、空き缶を狙ってハンドガンを構えるナツ
タバコの煙を吐き出す老人
スズ、老人はナツのことを見ている
空き缶を狙って発砲するナツ
銃声が響く
地面に落ちた一本の薬莢がカランカランと音を立てる
弾丸は空き缶に当たっていない
スズ「なっちゃんも下手くそじゃん!!」
ナツ「い、今のは失敗、次は絶対に当ててやる」
再び空き缶を狙ってハンドガンを構えるナツ
今度は続けて数発撃つナツ
数発分の銃声が響く
地面に落ちた数本の薬莢がカランカランと音を立てている
弾丸はまたしても空き缶に当たっていない
老人はタバコを咥えるのをやめ、タバコを指先で叩いて灰を地面に落とす
老人は再びタバコを咥える
ナツ「か、風のせいだ!!風のせいで失敗するんだよ!!」
スズ「かぜぇ?」
ナツ「そ、そう!!風!!」
スズ「風なんか吹いてるかなぁ・・・?」
老人「(タバコを咥えたまま)ナツ、俺にもその銃を貸してくれ」
ナツ「えっ・・・」
老人「(タバコを咥えたまま)頼むよ」
少しの沈黙が流れる
タバコの煙を吐き出す老人
ナツ「もし、あんたがこの銃で変なことをしたら・・・」
老人「(タバコを咥えたまま)その時は俺をなぶり殺しにすれば良いさ」
ナツ「き、危険なことはしないって約束する?」
老人「(タバコを咥えたまま頷き)約束しよう」
スズのことを見るナツ
スズ「貸してあげなよなっちゃん」
再び沈黙が流れる
渋々ハンドガンを下に向け、老人に差し出すナツ
ハンドガンを受け取る老人
老人はナツとスズから離れず、その場で空き缶を狙ってハンドガンを構える
両手で耳を塞ぐナツ
タバコの煙を吐き出す老人
空き缶を狙って発砲する老人
銃声が響く
地面に落ちた一本の薬莢がカランカランと音を立てる
弾丸は空き缶に当たっていない
耳を塞ぐのをやめるナツ
ナツ「(安心して)下手くそで良かった・・・」
スズ「ジジイ、本当に兵士だったの?」
突然老人は数メートル先の地面を狙って連射する
数発分の銃声が響く
地面に落ちた薬莢がカランカランと音を立てている
老人の突然の行為に驚いているナツとスズ
ナツ「(怒りながら)い、いきなり撃つな!!!びっくりするだろ!!!」
老人はハンドガンの弾倉を取り出し、弾数を確認する
弾倉にはまだ弾丸が残っている
銃の安全装置を戻し、弾倉とハンドガンをスズに差し出す老人
老人「(ハンドガンと弾倉をスズに差し出しタバコを咥えたまま)しまっておけ」
スズ「(ハンドガンと弾倉を受け取り)う、うん」
スズは背中にハンドガンと弾倉をしまう
老人「(タバコを咥えたまま)おそらく何かの拍子にズレたんだろう」
ナツ「ズレた?何が?」
老人「(タバコを咥えたまま)照準と着弾が合ってない」
老人は緋空浜に向かって歩き出す
老人「(タバコを咥えたまま)君たちはここで待っていろ」
老人は一人緋空浜に戻る
顔を見合わせるナツとスズ
老人は緋空浜に向かいながらタバコを咥えるのをやめ、タバコを指先で叩いて灰を地面に落とす
スズ「照準と着弾って?」
ナツ「さあ・・・」
老人は再びタバコを咥える
緋空浜に置いていた自分の大きな銃を手に取る老人
老人が持っている大きな銃はボルトアクションライフル
老人はライフルの安全装置を外す
老人のことを見ているナツとスズ
老人はナツとスズのところへ向かっている
老人は歩きながらライフルのボルトを上げ後ろに引く、そしてボルトを戻す
老人は歩きながらライフルを構える
ナツ「(老人を見ながら)こ、今度は何をする気だ・・・」
老人は止まらずにライフルを構えながらタバコの煙を吐き出す
老人が狙っているのは空き缶
歩きながら発砲する老人
大きな銃声が響く
弾丸が空き缶に当たり、空き缶は宙を舞う
地面に落ちた一本の薬莢がカランカランと音を立てる
老人は歩きながら素早くリロードをする
歩きながら宙を舞っている空き缶を狙う老人
歩きながら発砲する老人
銃声が響く
弾丸が空き缶に当たり、空き缶は宙を舞う
地面に落ちた一本の薬莢がカランカランと音を立てる
老人は歩きながら素早くリロードをする
再び歩きながら宙を舞っている空き缶を狙う老人
呆然と老人のことを見ているナツとスズ
歩きながら発砲する老人
銃声が響く
弾丸が空き缶に当たり、空き缶は宙を舞う
地面に落ちた一本の薬莢がカランカランと音を立てる
老人は歩きながら素早くリロードをする
空き缶が金属音を立てながら地面に落ちる
空き缶はボロボロになっている
空き缶の前で立ち止まる老人
老人はライフルを空き缶に向ける
タバコの煙を吐き出す老人
立ち止まったまま真下にある空き缶に発砲する老人
弾丸が空き缶に当たり、空き缶の破片が周囲に飛び散る
地面に落ちた一本の薬莢がカランカランと音を立てる
老人「(ナツとスズの方を見て)悪くない腕だろう?」
一歩後退りするナツ
怖がっているナツ
少しの沈黙が流れる
スズ「ジジイは兵士じゃなくて殺し屋なんだね」
再び沈黙が流れる
老人「(声 モノローグ)かつて君は暴力を好み、そして憎んだ」
◯390Chapter4◯443の回想/戦場(500年前/昼)
織田軍と上杉軍が戦っている
馬に乗り、槍、刀、薙刀を使って戦っている織田軍の武士と上杉軍の武士
織田軍の中には白瀬波音と佐田奈緒衛がいる
武士たちは皆甲冑を身につけており、波音は兜を被っている
馬に乗ったまま薙刀で上杉軍の武士を斬り殺す波音
同じく馬に乗ったまま槍で上杉軍の武士を刺し殺す奈緒衛
上杉軍も負けじと応戦し、織田軍の武士を刺し殺している
織田軍と上杉軍が入り交じり、ごった返しになっている戦場
死んだ武士、死んだ馬、壊れた武器、肉塊などが戦場の至るところに落ちている
馬に乗った上杉軍の武士が槍を構えて波音に突撃してくる
馬に乗ったまま薙刀を槍で受け流す波音
波音を殺そうとした上杉軍の武士は体勢を崩し、落馬する
馬に乗ったまま上杉軍の武士の首を斬る波音
血が波音の兜にかかる
兜の奥で笑っている波音の顔が見える
老人「(声 モノローグ)今の俺はあの頃の君と同じ瞳をしている」
◯391Chapter4◯566の回想/森(500年前/夜)
濃い霧が出ていて、月が見えない
森の中で波音が凛を抱き抱えている
凛の胸から大量の血が流れている
凛は死んでいる
涙を流している波音
波音と凛から少し離れたところで奈緒衛が倒れている
奈緒衛の太ももが出血している
明智光秀とその家臣たちが波音、凛、奈緒衛を囲んでいる
明智軍は武装し馬に乗っている
霧が晴れ、月が出て来る
月の光が波音の顔を照らす
波音の体がワナワナと震えている
波音の表情は徐々に悲しみから怒りに変わる
波音の瞳にはあるはずもない海が写っている
波音の瞳に反射している海は荒波が立っている
涙を流しながら怒りの表情をしている波音
地面が揺れ始める
老人「(声 モノローグ)怒りと悲しみを宿したその瞳から流れる涙を、俺は拭えなかった」
馬が暴れ出し、明智軍の武士たちが落馬する
武士が落馬すると、火縄銃が暴発し、近くにいた明智軍の武士に当たる
光秀の馬が走り、光秀は刀で波音の首を狙う
突然地割れが起きる
光秀の馬は地割れに足を巻き込む
落馬する光秀
明智軍の武士が刀を振りかざし奈緒衛を殺そうとする
奈緒衛は足の怪我のせいで身動きが取れない
奈緒衛の近くにあった大木が折れ、明智軍の武士を下敷きにする
明智軍の武士が波音と奈緒衛に近づこうとすると落馬、地割れ、倒木が起きる
波音は凛を抱き抱えたままの状態から一歩も動いていない
奈緒衛はほふく前進で波音の方に近づく
明智軍の武士たちは奈緒衛を殺そうとするが、一太刀も浴びせることが出来ない
かまいたちのように風が吹き荒れ、石や木の枝が飛び交っている
波音の元に辿り着いた奈緒衛は、座り直し波音を後ろから抱きしめる
波音と奈緒衛には被害がないが、二人の周囲にいた武士たちは血を上げながら次々に死んでいく
老人「(声 モノローグ)誰かを想う純粋な気持ちが、人を凶暴にさせると知ったら君は嘆くだろう」
◯392交通事故の回想/道路(昼)
激しく損壊している二台の車
血を流しながらふらふらと車から出てくる10歳の鳴海
二台の車の周りには人だかりが出来ている
車の中を覗く鳴海
車の前の座席には損傷の激しい二体の遺体(鳴海の親の紘と由香里)がある
後部座席には血塗れで気絶している姉の風夏がいる
鳴海はその場に座り込む
老人「(声 モノローグ)俺の周りには、死ぬために生まれてきた人たちがたくさんいた」
周りにいた人たちが鳴海の方へ駆け寄ったり、電話をして救急車を呼んだり、車の中にいる鳴海の家族を救出しようとしている
鳴海は声をかけられても返事をしない
老人「(声 モノローグ)彼らにどう謝罪をすればいいのか分からない」
◯393Chapter2◯212の回想/波音高校三年三組の教室(朝)
学園祭当日、教室では縁日が行われている
教室内では射的、スーパーボールすくい、ヨーヨー釣り、綿飴などの小さな出店が出ている
提灯が吊るされ、縁日の飾り付けがされている教室
教室の中には小さい子供がたくさんいる
教室にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春
嶺二に押し倒され、殴られている鳴海
嶺二は鳴海の顔面を殴り続けている
菜摘と明日香が嶺二を止めようとしている
鳴海の顔は血だらけになっている
教室の中にいた生徒たち、子供たち、千春が嶺二と鳴海のことを見ている
嶺二が鳴海の顔を殴るたびに、床に血が飛び散る
老人「(声 モノローグ)もっと俺を殴ってくれ。俺を壊してくれ」
◯394Chapter2◯272の回想/波音総合病院外(夜)
学園祭の後
ザーザーと強い雨が降っている
波音総合病院の外に、嶺二、千春、影のような巨大な悪霊がいる
千春が剣を使って巨大な悪霊と一人戦っている
千春のことをじっと見ている嶺二
千春が悪霊に剣を当ててもはじき返される
悪霊は軽々と千春の攻撃を払い退け、千春を体を吹き飛ばす
千春は立ち上がり勢いよく走って剣をぶつける
千春が悪霊に向かって力いっぱい剣をぶつけ続ける
何度ぶつけても千春の攻撃は悪霊に効かない
老人「(声 モノローグ)君の命を犠牲にしてまで、何故彼らを出会わせたんだ」
とうとう千春が使っていた剣が折れ、欠けた剣先が嶺二の足元にまで飛んでくる
悪霊は千春のことを見下ろす
千春は折れた剣を落としその場にがっくりと座り込む
老人「(声 モノローグ)彼女はもう戻ってこない。再会出来ると言っていたが、それは君の優しさから出た嘘だ」
◯395Chapter3◯407の回想/波音高校一年六組の教室前/軽音部一年の部室前(放課後/夕方)
教室の前にいる鳴海、明日香、嶺二
扉についている窓から教室の中を覗く三人
教室の中には汐莉、響紀、詩穂、真彩がいる
黒板の前には楽器が置いてある
休憩をしている軽音部員たち
扉をノックする明日香
響紀が扉を開ける
響紀は明日香のことを見て、手に持っていたボールペンを落とす
明日香がボールペンを拾う
ボーッと明日香に見惚れている響紀
老人「(声 モノローグ)あいつは苦しんでいた」
◯396◯378の回想/波音高校休憩所(放課後/夕方)
自販機、丸いテーブル、椅子が置いてある小さな広場
椅子に座っている鳴海と汐莉
テーブルの上には鳴海が購入したぶどうジュースが置いてある
汐莉の両手が震えている
震える手でぶどうジュースを持つ汐莉
汐莉は震える手でぶどうジュースのキャップを取り外そうとしている
震えているせいで、汐莉は上手くキャップを取り外すことが出来ない
老人「(声 モノローグ)もし、あの時に戻れるのなら・・・救ってやりたい」
◯397Chapter5◯41の回想/波音高校二年二組の教室/軽音部二年の部室(放課後/夕方)
汐莉と響紀が電子ピアノで遊んでいる
詩穂と真彩は外の野球部の練習を眺めている
野球部が校庭で練習をしている
老人「(声 モノローグ)だがそんなことは不可能だ。あいつは敷かれたレールの上を、そのまま逝ってしまった」
◯398Chapter5◯177の回想/波音高校体育館/始業式会場(朝)
始業式当日
神谷がステージの上に立ち、大きな声で演説を行っている
汐莉、響紀、詩穂、真彩、井沢由香、細田周平を含む三学年全生徒が集まっている
汐莉はスマホで神谷のことを撮影している
ステージの近くにいる教師たちが、神谷のことを見ながらコソコソと話をしている
響紀を含む生徒会役員たちは教師たちの側にいる
神谷の後ろには大きなスクリーンがあり、黒人の男の子が武装した写真が映し出されている
老人「(声 モノローグ)君の期待を裏切ったよ。俺はあいつを気にかけていなかったんだ」
◯399Chapter5◯181の回想/波音高校校庭(朝)
倒れている神谷
神谷の隣で汐莉が死んでいる
汐莉の後頭部は陥没し、足が変な方向に折れ曲がっている
汐莉は微笑んだ表情をしている
老人「(声 モノローグ)すまない・・・本当にすまない・・・」
◯400回想/波音駅の前(昼)
快晴
中年期ごろの老人と、老人と同世代の男兵士1と、中年期の明日香と、七海と、男女十人ほどが駅前にいる
中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1は軍服を着ていて、二人の近くには大きな荷物が置いてある
男女十人ほどが中年期の老人と老人と同世代の男兵士1の見送りに来ており、老人と同世代の男兵士1は駅前で彼らと話をしている
見送りに来ている人たちは、十代の少年少女、中年期の老人と同じくらいの年齢の男女数人、中年期の老人より年上の男女など様々な年齢層、その中には中年期の明日香と七海がいる
七海は俯いている
七海の年齢は15、6歳ほど
中年期の明日香の元へ行く中年期の老人
中年期の老人と中年期の明日香が抱き合う
中年期の明日香「(中年期の老人と抱き合いながら)約束して・・・必ず戻って来るって」
中年期の老人「(抱き合いながら)ああ、約束する」
離れる中年期の老人と中年期の明日香
涙目になっている中年期の明日香
中年期の明日香「(中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1を見て)二人とも・・・馬鹿なことはしないでよ・・・」
中年期の老人「安心しろ、出来るだけ危険は回避するからさ」
中年期の明日香の瞳から涙が溢れる
老人と同世代の男兵士1「そんなに心配すんなよ明日香。俺たちはお前がいなくたって案外上手くやるもんだぜ?」
中年期の老人「ああ」
中年期の明日香は涙を拭い、頷く
中年期の老人は俯いている七海の元へ行く
しゃがんで俯いている七海の顔を見ようとする中年期の老人
俯いたまま顔を逸らす七海
中年期の老人「頼むよ七海、最後に顔が見たいんだ」
七海「(大きな声で)最後なんて言わないで!!」
少しの沈黙が流れる
中年期の老人「悪かった・・・」
顔を上げる七海
七海は泣いている
七海の手を取る中年期の老人
中年期の老人「(七海の手を見ながら)手・・・大きくなったんだな。最初に会った時はもっと小さかったのに」
再び沈黙が流れる
七海「(泣きながら小さな声で)私のせいだ・・・私のせいで二人は戦争に行くことになったんだ・・・」
中年期の老人「(七海の手を握り)違う、そうじゃない。俺たちは七海に助けられたんだ。七海が俺たちを救ってくれたんだよ」
泣きながら首を横に振る七海
中年期の老人「(七海の手を握ったまま)七海がいなかったら・・・七海が俺たち手を差し伸べてくれなかったら・・・(少し間を開けて)ここにいるみんなは、今頃波高でトイレ掃除の仕事をしてるかもしれない」
七海「(泣きながら小さな声で)そっちの方が良い・・・戦争に行くより絶対良い・・・」
中年期の老人「(七海の手を握ったまま)七海・・・無理なんだよ・・・行かなきゃいけないんだ。分かってくれ」
少しの沈黙が流れる
中年期の老人「(七海の手を握ったまま)よし、向こうでお土産を山のように買って来よう。飛行機の中が七海へのお土産でいっぱいになるくらい・・・」
七海「(泣きながら大きな声で老人の話を遮り)物なんか要らない!!!!子供扱いしないで!!!!」
再び沈黙が流れる
老人と同世代の男兵士1、中年期の明日香、そして見送りに来ていた男女十人ほどの人が中年期の老人と七海のことを見ている
中年期の明日香「(七海のことを見ながら)七海・・・」
困っている中年期の老人
七海「(泣きながら小さな声で)行っちゃダメ・・・お願い・・・」
中年期の老人は困りながら、中年期の明日香と老人と同世代の男兵士1の顔を見る
中年期の老人と目が合って、小さく首を横に振る中年期の明日香
中年期の老人「(七海の手を握ったまま)絶対戻って来る・・・絶対に・・・(少し間を開けて)だから・・・その時にまた七海の手を見せてくれ」
七海は泣き続けている
中年期の老人は七海から手を離し、立ち上がる
◯401回想/戦場/森(夜)
積雪した森の中で、日本兵とロシア兵の撃ち合いが起きている
激しい銃声が響いており、木陰に身を寄せながら数十人の日本兵が射撃をしている
日本兵の中には中年期の老人、老人と同世代の男兵士1、レキ、老人と同世代の男兵士2がおり、アサルトライフルを使ってロシア兵と交戦している
レキは中年期の老人、老人と同世代の男兵士1、老人と同世代の男兵士2よりも若い女兵士で歳は25歳前後
レキ「(アサルトライフルを乱射しながら怒鳴り声で)スノーホワイトがキスすんのは弾丸で十分さ!!!!小人以下の腐った蓮根人は愛しの雪の上で眠れ!!!!」
レキが次々にロシア兵を殺して行く
薬莢がどんどん落ちる
雪の上にたくさんの血が飛び散る
レキは使い切った弾倉を投げ捨てて、軍服から新しく弾倉を取り出す
レキ「(アサルトライフルに弾倉を装填しながら)法と秩序を守るには弾も棺桶も足りな過ぎるぜ・・・」
レキは再びアサルトライフルを乱射し始める
時間経過
日本兵とロシア兵の銃撃戦が続いている
森の中では激しい銃声が響き続けている
レキ、中年期の老人と、老人と同世代の男兵士2を含む日本兵たちが、なんとか応戦している
老人と同世代の男兵士1(◯400に出て来た男)が撃たれている
中年期の老人は撃たれた同世代の男兵士1を木の後ろまで引っ張って連れて行く
老人と同世代の男兵士1の胸元から血がどんどん出て来る
中年期の老人は撃たれた同世代の男兵士1を木にもたれさせ、胸元を手で押さえる
口から血を垂れ流している老人と同世代の男兵士1
老人と同世代の男兵士1の出血が酷い
木陰から周囲を見る中年期の老人
中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1の近くにレキがいる
レキは木で身を守りながら、ロシア兵たちを撃ち殺している
中年期の老人「(撃たれた同世代の男兵士1の胸元を押さえながら怒鳴り声で)レキ!!!!衛生兵はどこだ!!!!」
レキ「(アサルトライフルを乱射しながら怒鳴り声で)その辺で死んだか漏らしてる奴が衛生兵だろうよ!!!!」
レキが使っていたアサルトライフルの弾丸がゼロになる
舌打ちをし、アサルトライフルをその辺に投げ捨てるレキ
腰につけていたホルスターからハンドガンを取り出すレキ
ハンドガンのスライドを後ろに引き、ロシア兵の頭を狙って発砲するレキ
レキの撃った弾丸が、ロシア兵の頭に当たる
頭から血を吹き出しロシア兵が倒れる
レキはハンドガンを使って次々にロシア兵を殺していく
中年期の老人は変わらず衛生兵を探し続けている
中年期の老人「(撃たれた老人と同世代の男兵士1の胸元を押さえたまま怒鳴り声で)衛生兵!!!!いないのか!!!!」
少しすると赤十字のマークをつけた衛生兵が医療キットを持って老人の元へ走って来る
中年期の老人「(怒鳴り声で)こっちだ!!!!急げ!!!!」
銃撃戦はますます激しくなる
中年期の老人の元へ向かっていた衛生兵が突然撃たれ倒れる
衛生兵は死んでいる
中年期の老人「(怒鳴り声で)クソッ!!!!」
撃たれていた同世代の男兵士1が激しく咳き込み、口から大量の血を吐き出す
◯402回想/波音駅の前(昼)
◯400と同じシーン
快晴
駅前にいる中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1
二人は軍服を着ている
中年期の老人、老人と同世代の男兵士1の側には大きな荷物が置いてある
中年期の明日香、七海を含めた男女合わせて十人ほどの人が、中年期の老人と老人と同世代の男兵士1の見送りに来ている
涙目になっている中年期の明日香
中年期の明日香「(中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1を見て)二人とも・・・馬鹿なことはしないでよ・・・」
中年期の老人「安心しろ、出来るだけ危険は回避するからさ」
中年期の明日香の瞳から涙が溢れる
老人と同世代の男兵士1「そんなに心配すんなよ明日香。俺たちはお前がいなくたって案外上手くやるもんだぜ?」
中年期の老人「ああ」
中年期の明日香は涙を拭い、頷く
◯403回想/滅びかけた世界:波音町/道路(昼)
晴れている
破壊されたたくさんの民家がある
道路はボロボロで、至るところに死体やら損壊した家のコンクリートなどが転がっている
軍服姿の中年期の老人が一人大きな声を上げて泣きながら歩いている
時間経過
夕方
ひたすら歩いている中年期の老人
周囲の家は損壊していて、家の中にあったはずの家具、食器、衣服、電化製品などが道に散らばっている
道路はボロボロ
道にはたくさんの死体が転がっている
中年期の老人が少し歩くと、どこからか咳き込むような音が聞こえて来る
立ち止まり周囲を見る中年期の老人
民家の瓦礫の下から、誰かが咳き込んでいる
民家は完全に崩れており、瓦礫の山が出来ている
中年期の老人は走って瓦礫の山へ向かう
瓦礫の山を掘り起こし始める中年期の老人
中年期の老人「(瓦礫を掘り起こしながら)待ってろ!!!今出してやる!!!」
中年期の老人は急いで瓦礫をどかし、中にいる人を助け出そうとする
中年期の老人「(瓦礫を掘り起こしながら)もう大丈夫だ!!!」
瓦礫の下で誰かが激しく咳き込んでいる
中年期の老人「(瓦礫を掘り起こしながら)死ぬんじゃないぞ!!!」
徐々に瓦礫の中から軍服が見えてくる
軍服を見た途端、中年期の老人の手が止まる
軍服には大量の血がついている
中年期の老人はゆっくり手を動かし、瓦礫をどかす
瓦礫の下にいたのは負傷したロシア兵
ロシア兵が中年期の老人に向かってロシア語で喋りかけてくる
中年期の老人はロシア兵の言葉を無視し、そのまま瓦礫をどかし続ける
ロシア兵は両手足が潰れており、両手足のあったところから骨と肉塊が飛び出ている
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵を外へ引っ張り出す
両手足が潰れたロシア兵は大量の出血をしており、かなり弱っている
汗を流し息切れをしている中年期の老人
両手足が潰れたロシア兵は起き上がることが出来ない
中年期の老人「(息切れをしながらロシア兵を見て)ハァ・・・ハァ・・・クソ・・・」
汗を拭い、呼吸を整える中年期の老人
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵を見下ろしている
両手足が潰れたロシア兵は中年期の老人に向かってロシア語で喋りかけてくる
中年期の老人「日本語か英語で喋れ」
両手足が潰れたロシア兵「ウォ・・・ウォルター・・・プリーズ・・・」
中年期の老人「ウォーターか?」
両手足が潰れたロシア兵は頷き、ロシア語で何か喋りかけてくる
中年期の老人は少し悩み、軍服のズボンのポケットからスキットル風の小型水筒を取り出す
両手足が潰れたロシア兵に水を飲ませる中年期の老人
ゴクゴクと一気に水を飲む両手足が潰れたロシア兵
両手足が潰れたロシア兵が水を飲み終え、スキットル風の小型水筒をポケットにしまう中年期の老人
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵から少し離れ、別のポケットからクシャクシャになったタバコの箱と汚れたZIPPOライターを取り出す
クシャクシャになったタバコの箱からタバコを一本取り出す中年期の老人
クシャクシャになったタバコの箱をポケットにしまう中年期の老人
両手足が潰れたロシア兵は、再び中年期の老人に向かってロシア語で喋りかけてくる
中年期の老人「日本語で話せと言っているだろう」
タバコを咥える中年期の老人
両手足が潰れたロシア兵「バリショイェ・・・スパシィーバ・・・」
少しの沈黙が流れる
中年期の老人「スパシーバだと・・・?(少し間を開けて)俺に礼を言うのか?」
中年期の老人は咥えていたタバコを両手足が潰れたロシア兵に向かって投げ捨てる
中年期の老人は汚れたZIPPOライターをポケットにしまい、イライラしながら両手足が潰れたロシア兵に近づく
中年期の老人「(怒鳴り声で周りを指差しながら)見ろ!!!!全部お前たちクソロシア人がやったんだぞ!!!!どう直してくれるんだよ!?!?!?」
両手足が潰れたロシア兵「ソ、ソーリー・・・」
中年期の老人「(怒鳴り声で)謝ったら許されると思ってるのか!?!?!?謝ったら死んだ奴らが帰ってくると思ってるのか!?!?!?!?全員だ!!!!!俺の仲間は全員死んだんだ!!!!!お前の友達に殺されたんだよ!!!!!」
◯404回想/波音駅の前(昼)
◯400、◯402と同じシーン
快晴
駅前にいる中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1
二人は軍服を着ており、彼らの側には大きな荷物を置いてある
中年期の明日香、七海を含めた男女合わせて十人ほどの人が、中年期の老人と老人と同世代の男兵士1の見送りに来ている
中年期の老人と中年期の明日香が抱き合っている
中年期の明日香「(中年期の老人と抱き合いながら)約束して・・・必ず戻って来るって」
◯405回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯403の続き
両手足が潰れたロシア兵に怒鳴っている中年期の老人
中年期の老人「(怒鳴り声で)お前らクソ蓮根野郎はイカれてる!!!!!」
◯406回想/戦場/森(夜)
◯401の続き
積雪した森の中で日本兵とロシア兵の銃撃戦が続いている
森の中で銃声が響き渡っている
レキ、老人と同世代の男兵士2を含む日本兵たちが、なんとか応戦している
レキは中年期の老人、老人と同世代の男兵士1、老人と同世代の男兵士2よりも若い女兵士で歳は25歳前後
レキがハンドガンでロシア兵を殺している
老人と同世代の男兵士1が撃たれている
木に隠れている中年期の老人と老人と同世代の男兵士1
老人と同世代の男兵士1は口から血を垂れ流しながら、木にもたれている
中年期の老人は老人と同世代の男兵士1の胸元を押さえているが出血は止まらず、血が溢れ続けている
老人と同世代の男兵士1「いってえ・・・撃たれるのってクソ痛えんだな・・・」
中年期の老人「(老人と同世代の男兵士1の胸元を押さえながら)黙ってろ!!!!」
◯407回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯405の続き
両手足が潰れたロシア兵に一方的に怒鳴っている中年期の老人
怯えている両手足が潰れたロシア兵
中年期の老人「(怒鳴り声で)怖いか!?!?!?怖いのか!?!?!?俺はお前の命の恩人だぞ!!!!!!それなのに俺のことが怖いのか!?!?!?」
両手足が潰れたロシア兵は震えながら小さな声で喋りかけてくる
中年期の老人「(怒鳴り声で)喋るな!!!!!黙ってろ!!!!!」
両手足が潰れたロシア兵は変わらず、震えながら小さな声で喋っている
中年期の老人「(両手足が潰れたロシア兵の顔面を蹴り飛ばし怒鳴り声で)お前に喋る権利はないんだよ!!!!!」
両手足が潰れたロシア兵は激しく咳き込み、血を吐き出す
◯408回想/戦場/森(夜)
◯406の続き
積雪した森の中で日本兵とロシア兵の銃撃戦が続いている
森の中で銃声が響き渡っている
レキ、老人と同世代の男兵士2を含む日本兵たちが、なんとか応戦している
レキがハンドガンでロシア兵を殺している
レキは中年期の老人、老人と同世代の男兵士1、老人と同世代の男兵士2よりも若い女兵士で歳は25歳前後
木に隠れている中年期の老人と老人と同世代の男兵士1
撃たれた老人と同世代の男兵士1は、口から血を垂れ流しながら、木にもたれている
中年期の老人は老人と同世代の男兵士1の胸元を押さえているが、出血は止まらない
中年期の老人が泣きながら老人と同世代の男兵士1の体を激しく揺さぶっている
撃たれた老人と同世代の男兵士1の手には、Chapter2の終盤で柊木千春が使っていた剣のかけらがある
中年期の老人「(泣きながら老人と同世代の男兵士1の体を激しく揺さぶり)返事をしろよ!!!!」
老人と同世代の男兵士1は完全に意識がない
◯409回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯407の続き
両手足が潰れたロシア兵に一方的に怒鳴り続けている中年期の老人
怯え震えている両手足が潰れたロシア兵
中年期の老人「(怒鳴り声で)お前たちさえいなければ!!!!!」
両手足が潰れたロシア兵を見下ろしている中年期の老人
少しの沈黙が流れる
中年期の老人「みんなを返してくれ・・・(かなり間を開けて)姉貴を返してくれ・・・姉貴の家族を返してくれ・・・」
◯410Chapter3◯369の回想/貴志家リビング(夕方)
テーブルの上にはたくさんの寿司と調味料が置いてある
泣きながら姉の風夏に謝っている鳴海
泣きながら謝る鳴海を見て泣きそうになっている風夏
鳴海の頭を撫でる風夏
中年期の老人「(声)俺は約束したんだ・・・姉貴に恩返しをするって・・・あいつは・・・出来の悪い弟を持ったから・・・」
◯411回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯409の続き
両手足が潰れたロシア兵に一方的に喋っている中年期の老人
怯え震えている両手足が潰れたロシア兵
中年期の老人「嶺二と明日香を返してくれ・・・」
◯412Chapter1◯5の回想/波音高校三年生の下駄箱(朝)
神谷を含む教師たちがクラス分けのプリント配っている
生徒たちが新しい組とクラスメートについて大声で語り合ってる
人が少ないところで話をしている鳴海、嶺二、明日香
右手を天高く突き出す鳴海
鳴海と同じように右手を突き出す嶺二
生徒たちが静まり鳴海と嶺二に奇異の目を向ける
鳴海と嶺二の手を引っ張って生徒たちをかき分けながら二人を始業式へ連れて行く明日香
中年期の老人「(声)二人は俺の親友なんだよ・・・高校からの付き合いでさ・・・また三人で馬鹿なことがしたいんだ・・・」
明日香に連れて行かれるままの鳴海と嶺二
◯413回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯411の続き
両手足が潰れたロシア兵に一歩的に喋っている中年期の老人
怯え震えている両手足が潰れたロシア兵
中年期の老人は泣いている
中年期の老人「(泣きながら)すみれさんと潤さんを返してくれ・・・」
◯414Chapter1◯38の回想/早乙女家リビング(夜)
キッチンで料理をしているすみれ
潤が鳴海の胸ぐらを掴んでいる
きょとんとした表情で菜摘が鳴海と潤のことを見ている
すみれが料理をやめ、潤のところへやって来る
すみれが潤に注意をする
中年期の老人「(泣き声)優しくて・・・ユーモアがあって・・・こんな俺を受け入れてくれたあの二人が・・・死ぬなんておかしいだろ・・・」
鳴海のことを放し、テレビの前で寝っ転がる潤
◯415回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯413の続き
両手足が潰れたロシア兵に泣きながら一方的に喋っている中年期の老人
怯え震えている両手足が潰れたロシア兵
中年期の老人「(泣きながら)七海を返してくれ・・・あいつがいなかったら俺は・・・」
◯416回想/波音駅の前(昼)
◯400、◯402、◯404と同じシーン
快晴
中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1と、中年期の明日香と、七海と、男女十人ほどが駅前にいる
中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1は軍服を着ていて、彼らの近くに大きな荷物が置いてある
男女十人ほどが中年期の老人と同世代の男兵士1の見送りに来ており、中年期の老人と同世代の男兵士1は駅前で彼らと話をしている
見送りに来ている人たちは、十代の少年少女、中年期の老人たちと同じくらいの年齢の男女数人、中年期の老人より年上の男女など様々な年齢層、その中には中年期の明日香と七海がいる
泣いている七海
七海の年齢は15、6歳ほど
泣いている七海としゃがんで話をしている中年期の老人
七海の手を握っている中年期の老人
中年期の老人は困っている
七海「(泣きながら小さな声で)行っちゃダメ・・・お願い」
◯417回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯415の続き
両手足が潰れたロシア兵に泣きながら一方的に喋っている中年期の老人
怯え震えている両手足が潰れたロシア兵
中年期の老人「(泣きながら怒鳴り声で)クソが!!!!!」
中年期の老人は拳を強く握りしめる
◯418回想/ロシア軍基地の外れ(夜)
雪が降っている
積雪地帯の開けたところにロシア軍の大きな基地がある
基地の周りは森
数十人のロシア兵に囲まれている中年期の老人、レキ、老人と同世代の男兵士2、そして数人の日本兵
レキは中年期の老人、老人と同世代の男兵士1、老人と同世代の男兵士2よりも若い女兵士で歳は25歳前後
中年期の老人たちは膝をついていて、その周りにロシア兵たちがいる
日本兵の中に、老人と同世代の男兵士1の姿はない
ロシア兵の中に若き将校アイヴァン・ヴォリフスキーがいる
アイヴァン・ヴォリフスキーは容姿端麗
アイヴァン・ヴォリフスキーの周りにいるロシア兵は全て彼の部下たち
アイヴァン・ヴォリフスキーの部下のロシア兵たちは、中年期の老人たちに銃を向け見下ろしている
レキ「(笑いながら)導火線に火をつけるか?チカチーロの亡霊に犯されたいならやれよ」
一人のロシア兵がレキに対してロシア語で怒鳴り、持っていた大きなライフルの銃床でレキの顔面を殴る
倒れるレキ
中年期の老人「(レキに近づき)レキ!!大丈夫か!?」
レキ「(体を起こし)ああ・・・」
唇から血を流しているレキ
レキ「(血を拭いながら)銃のケツで殴られたら・・・あたしの体は嫌でもアチアチになるんでね」
アイヴァン・ヴォリフスキーが腰につけていたナイフを抜きレキの首に向ける
アイヴァン・ヴォリフスキー「(レキの首にナイフを向けたまま流暢な日本語で)意志が強い者は戦場で生き残りやすい。だが、運に見放されたな。侍魂を持ち合わせた女よ」
レキがアイヴァン・ヴォリフスキーのブーツに血痰を吐き出す
レキの首にナイフを向けたまま、自分が履いているブーツを見るアイヴァン・ヴォリフスキー
中年期の老人「(馬鹿にしたように)侍魂なんか信じてるのかよ、馬鹿な蓮根人だな」
アイヴァン・ヴォリフスキーのことを見て笑っているレキ
血痰のついたブーツを見るのをやめ、レキの首にナイフを向けたまま中年期の老人のことを見るアイヴァン・ヴォリフスキー
アイヴァン・ヴォリフスキーは、人間ではない速度でナイフを使い中年期の老人の頬を切る
中年期の老人の頬から血が垂れる
レキの首に向けられていたはずのナイフは、いつの間にか中年期の老人の首元に当てられている
チラッと首元に当てられているナイフを見る中年期の老人
老人と同世代の男兵士2「彼に喧嘩を売るのはやめた方が良い」
中年期の老人の首元にナイフを当てたまま、老人と同世代の男兵士2のことを見るアイヴァン・ヴォリフスキー
老人と同世代の男兵士2「なんせ昔から運の強さだけが取り柄の男だ、彼の周りではいつも奇跡が微笑んでる。だから、敵であれ関わりを持つことはお勧め出来ないな」
少しの沈黙が流れる
老人と同世代の男兵士2「侍魂なんて知らないが、こいつが他の魂を持ってることは確かだ」
再び沈黙が流れる
中年期の老人の首元に当てていたナイフをゆっくり離すアイヴァン・ヴォリフスキー
ナイフをしまい、腰に装備するアイヴァン・ヴォリフスキー
アイヴァン・ヴォリフスキー「(流暢な日本語で)面白い・・・貴様と関わったことで、運命がどう転がるのか私も気になり始めてきた(少し間を開けて)では・・・その運の強さとやらを、一度確かめてみようではないか」
アイヴァン・ヴォリフスキーが周りにいるロシア兵たちにロシア語で喋りかける
少しの間ロシア人同士で話し合いが行われる
アイヴァン・ヴォリフスキーの指示に従い、中年期の老人たちに向けていた銃を下げるロシア兵たち
アイヴァン・ヴォリフスキー「(流暢な日本語で)この極寒の敵地で、果たして生き残れるかな」
再び沈黙が流れる
中年期の老人「試してみるさ」
アイヴァン・ヴォリフスキー「(流暢な日本語で)哀れな日本兵よ、非力ながらに逃げるが良い。そして日本の無力さ、弱さを知れ。貴様たちは何も出来ず我々に敗北するのだ」
◯419回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯417の続き
両手足が潰れたロシア兵を見下ろしている中年期の老人
怯え震えている両手足が潰れたロシア兵
泣いている中年期の老人
中年期の老人は拳を強く握りしめている
深く深呼吸をする中年期の老人
中年期の老人の頬にはアイヴァン・ヴォリフスキーにつけられた切り傷がある
中年期の老人「(涙を流しながら)非力、か・・・」
中年期の老人は拳を開く
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み、体を持ち上げる
震えながら尿を失禁する両手足が潰れたロシア兵
ロシア兵の両手足から骨と肉塊が飛び出ている
ロシア兵の潰れた足から血と尿がダラダラと垂れる
両手足が潰れたロシア兵は恐怖で泣いている
中年期の老人「(両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま)これも戦争だ」
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴る
◯420Chapter1◯5の回想/波音高校三年生の下駄箱(朝)
神谷を含む教師たちがクラス分けのプリント配っている
生徒たちが新しい組とクラスメートについて大声で語り合ってる
人が少ないところで話をしている鳴海、嶺二、明日香
鳴海「このマンモス校で三年間も同じクラスになれるなんて腐れ縁だな俺ら」
明日香「担任もまた神谷だし、意図的にまとめられたのかもね」
鳴海「三年三組問題児三銃士だな!一人はみんなのために!」
右手を天高く突き出す鳴海
嶺二「(鳴海と同じように右手を天に突き出しながら)みんなは一人のために!」
喋っていた生徒たちが静まり鳴海と嶺二に奇異の目を向ける
明日香「問題児なのはあんたら二人ね、ほら!早く始業式に行くよ!!」
鳴海と嶺二の手を引っ張って生徒たちをかき分けながら二人を始業式へ連れて行く明日香
明日香に連れて行かれるままの鳴海と嶺二
◯421回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯419の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
◯422Chapter1◯18の回想/帰路(放課後/夜)
部活見学を終え、帰宅途中の鳴海と菜摘
緋空浜祭りに合わせて等間隔に提灯が吊るされている
鳴海が歩いている真逆の方へ走っていく菜摘
菜摘「私、今から神谷先生に許可もらってくる!!また明日!」
立ち止まり振り返る鳴海
鳴海「(大声で)おい!本当に部活を作るのかよ!?」
立ち止まり振り返る菜摘
菜摘「(大声で)うん!初期衝動ってやつ!今なら出来る気がする!!」
鳴海「(大声で)さっきまで凹んでた奴が何言ってんだよ!?」
菜摘「(大声で)自分の部活だったら、私でもやっていけるかもしれない!」
鳴海「(大声で)部活が出来たら奇跡だぞ!!」
菜摘「(大声で)それなら奇跡を起こしてみたくなったの!!」
学校の方へ向き走っていく菜摘
菜摘の姿を見ている鳴海
◯423回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯421の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
両手足が潰れたロシア兵は泣きながらロシア語で懇願している
中年期の老人は気にせず殴り続ける
◯424Chapter1◯30の回想/波音高校一年生廊下(放課後/夕方)
一年生廊下にある掲示板の近くで話をしている鳴海、菜摘、ギターを背負った汐莉
部員募集の紙を持っている鳴海、菜摘、汐莉
汐莉「では早速先生に確認しに行きたいので失礼します!!」
ギターケースを背負ったまま走って行く汐莉
菜摘「やった!あの子が入ってくれれば・・・!」
鳴海「よかったな早乙女!このペースなら五人は楽勝だぜ!」
菜摘「うん!」
◯425回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯423の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
両手足が潰れたロシア兵は泣きながらロシア語で懇願し続けている
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の話を聞かない
◯426Chapter1◯55の回想/帰路(放課後/夕方)
雨が降っている
傘をさして、信号が青になるのを待っている鳴海
信号が青になり横断歩道を渡り始める鳴海
横断歩道を渡り終えた先で傘をさした千春がビラ配りをしている
横断歩道を渡り終える鳴海
千春「(傘をさしたまま鳴海にビラを渡そうとする)ゲームセンター“ギャラクシーフィールド”で遊んで行きませんか?たくさんのゲーム機を揃えています。お友達と一緒に遊びに来てください」
鳴海は千春の手を払い除ける
千春「(傘をさしたまま鳴海にビラを差し出し続けて)ギャラクシーフィールドはお客様が必要なんです、このままではお店が潰れてしまいます」
千春を無視して歩く鳴海
◯427回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯425の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
両手足が潰れたロシア兵の鼻が曲がり血が垂れる
◯428Chapter2◯212の回想/波音高校三年三組の教室(朝)
学園祭当日、教室では縁日が行われている
教室内では射的、スーパーボールすくい、ヨーヨー釣り、綿飴などの小さな出店が出ている
提灯が吊るされ、縁日の飾り付けがされている教室
教室の中には小さい子供がたくさんいる
教室にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春
嶺二に押し倒され、殴られている鳴海
嶺二は鳴海の顔面を殴り続けている
菜摘と明日香が嶺二を止めようとしている
鳴海の顔は血だらけになっている
教室の中にいた生徒、子供たち、千春が嶺二と鳴海のことを見ている
嶺二が鳴海の顔を殴るたびに、床に血が飛び散る
嶺二「(鳴海の顔面を一方的に殴りながら)人のことを考えられねえなら無責任なことするんじゃねえぞクソ野郎!!お前がやり始めたことなら最後までやり通せよ!!千春ちゃんの気持ちを考えろよ!!!」
千春「(嶺二のことを見ながら)嶺二さん・・・」
◯429回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯427の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
中年期の老人の顔に両手足が潰れたロシア兵の血がかかる
◯430Chapter2◯228の回想/波音高校体育館/学園祭のメイン会場(昼過ぎ)
学園祭当日
体育館内から盛大な拍手が沸き起こる
ステージの照明が全てつく
鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春がステージに出て一礼をする
潤が立ち上がり指笛を吹く
すみれ、風夏、智秋、有馬勇が拍手をしている
鳴海「すげえ・・・拍手されるのも気持ちいいもんだな・・・」
菜摘「本当にそうだね!!このために私たちは部活をやってたんだよ!!」
◯431回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯429の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
両手足が潰れたロシア兵の顔面を殴れば殴るほど老人の顔に血がかかる
◯432Chapter2◯243の回想/波音高校屋上(夕方)
学園祭当日、朗読劇を行った後
夕日が沈みかけている
屋上にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春
千春と話をしている鳴海たち
鳴海「千春・・・ならその奇跡の代償ってやつを俺に払わせてくれ!全て責任は俺にある!!」
千春「代償を払う人はもう決まっています。変えることは出来ないんです」
菜摘「そんなの不公平だよ!!おかしいじゃん!!」
千春「菜摘さん、あなたの心は本当に透き通っていて海のように広いですね。やっぱり私はお二人に拾ってもらって、こんなに素敵な仲間に囲まれて、とても幸運です。鳴海さん、菜摘さん、私には分かります。お二人はこれからとても過酷な運命を背負うことになるでしょう。決して屈してはいけません、諦めないでください」
◯433回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯431の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
両手足が潰れたロシア兵の顔面は、老人が殴ったことにより変形し始めている
◯434Chapter3◯339の回想/波音高校特別教室の四/文芸部室(放課後/夕方)
外で活動している運動部の掛け声が聞こえる
部誌の印刷をしていた鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音
雪音と話をしている菜摘
菜摘と雪音の会話を聞いている鳴海たち
菜摘「大丈夫だよ、ドナーは見つかる」
雪音「どうして言い切れるの?」
菜摘「だってここは奇跡が起きる町だよ(少し間を開けて)波音町の神様は一生懸命頑張っている人のことを見捨てたりしない。きっと今だって雪音ちゃんとお姉さんのことを見てると思う」
雪音「神様なんて・・・そんなのいるかどうか・・・」
菜摘「そうだね、でも必ずドナーは見つかる。近いうちにね」
雪音「それ、私は信じていいの?」
菜摘「信じなきゃ!」
◯435回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯433の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
中年期の老人が両手足が潰れたロシア兵の顔面を殴ると、歯が一本飛んでいく
アスファルトの上に抜けた歯が転がる
◯436Chapter3◯354の回想/波音高校四階階段/屋上前(昼)
天文学部以外の生徒立ち入り禁止という貼り紙がされている屋上の扉
学園祭で使った天文学部の道具が扉の前に置いてある
階段に座って喋っている鳴海、嶺二、雪音
雪音「何かを全力でしているっていうのは、何かを変える可能性がある。そう思わない?」
嶺二「確かに」
雪音「どんなことでも必死にやる、決して諦めない。一生懸命立ち向かってこそ、変えることが出来る。後悔してはいけない、過去を振り返ってはならない、希望は未来にしかない。我々は立ち向かわなけば真価が出ないってね」
鳴海「名言だな」
雪音「昔読んだ本の受け売りだよ、そうやって生きてれば誰かが助けてくれるか・・・(微笑み)運良く奇跡が起こったりしてね」
鳴海「だから頑張るのか」
雪音「ダメになるより頑張った方が良くない?後悔しないように全力で生きるの」
◯437回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯435の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
中年期の老人が両手足が潰れたロシア兵の顔面を殴ると、ロシア兵の歯がまた一本飛んでいく
抜けた歯はアスファルトの上に落ちて転がる
両手足が潰れたロシア兵は、顔面の至るところから血を流している
◯438Chapter3◯363の回想/波音高校四階階段/屋上前(昼)
天文学部以外の生徒立ち入り禁止という貼り紙がされている屋上の扉
学園祭で使った天文学部の道具が扉の前に置いてある
階段に座って話をしている鳴海と嶺二
拳を突き出す嶺二
鳴海も同じように拳を突き出しぶつける
鳴海「(拳をぶつけたまま)何かを全力でするっていうのは」
嶺二「(拳をぶつけたまま)何かを変える可能性がある」
◯439回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯437の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵の胸ぐらを掴み体を持ち上げたまま、ロシア兵の顔面を何度も思いっきり殴っている
両手足が潰れたロシア兵「(小さな声で)プリーズ・・・ヘルプ・・・」
中年期の老人は無視してロシア兵の顔面を殴る
◯440Chapter3◯369の回想/貴志家リビング(夕方)
テーブルの上にはたくさんの寿司と調味料が置いてある
泣きながら姉の風夏に謝っている鳴海
鳴海「(泣きながら)姉貴・・・ごめん!本当に・・・ごめん!心配ばっかりかけてごめん!!」
泣きながら謝る鳴海を見て泣きそうになっている風夏
風夏「(顔を背けながら)いいのいいの!家族はそうやって成り立つものなんだから」
鳴海「(泣きながら)姉貴はこんな俺のことを気にかけてくれて・・・育ててくれて・・・」
風夏「(鳴海の両肩に手を置いて)男だろ!!メソメソすんな!!!」
鳴海「(泣きながら)俺、一生感謝するから!!!必ず恩返しするから!!!」
◯441回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯439の続き
中年期の老人は両手足が潰れたロシア兵を投げ捨てる
道端でうずくまる両手足が潰れたロシア兵
◯442Chapter4◯609の回想/緋空浜(夕方)
水平線の向こうに綺麗な夕日が見える
浜辺には若いカップルや家族連れなどがいる
夕日が波に反射してキラキラと光っている
かつて佐田奈緒衛が死んだ場所と同じ場所に立っている鳴海と菜摘
菜摘の顔を見る鳴海
鳴海の顔が赤い
夕日を背に向かい合っている二人
鳴海「俺は・・・菜摘のことが大好きだ!!学校や部活の以外の時も・・・一緒にいたい!!俺と付き合ってくれ!!!!」
笑顔になり、嬉しさで涙を流す菜摘
菜摘「(泣きながら笑顔で)はい!!!」
◯443回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯441の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
中年期の老人に殴られ続け、両手足が潰れたロシア兵の顔は血まみれになっている
ロシア兵の両手足から骨と肉塊が飛び出ている
中年期の老人は痰を吐き出す
中年期の老人の頬には、切り傷の上に血と涙の跡が残っている
うずくまる両手足が潰れたロシア兵の元へ行く中年期の老人
◯444Chapter6◯343の回想/赤レンガ倉庫/アイリッシュイベント会場(夜)
アイリッシュイベントに参加している鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、潤、すみれ
人で溢れているアイリッシュイベント会場、イベント会場の横には赤レンガ倉庫が立っている
牛肉のシチュー、ラム肉のグリル、パイ料理、フィッシュアンドチップス、酒類、食器、紅茶、お菓子、羊毛の織物、アクセサリーなどを売っている出店がたくさんある
会場にはたくさんの丸テーブルと椅子があり、飲み食いをしている人が利用している
会場全体にアイルランドの国旗である緑、白、オレンジが飾り付けされている
イベント会場ステージには大きなステージがあり、ステージの上では響紀がPaint It Blackを歌っている
雪音について行ってる鳴海
鳴海「教えてくれ」
雪音「嫌」
鳴海「どうして?教えてくれよ」
雪音「自分で考えない人って嫌いなの」
鳴海「俺に言ってんのか」
雪音「鳴海以外に誰かいる?」
鳴海「そうかよ。俺だって馬鹿なりに考えてるつもりなんだけどな」
雪音「その調子で考えればいいんじゃない。私に付き纏わずに」
鳴海「自分で考えるより、一条に教えてもらった方が早いんだ」
雪音「馬鹿ね、そんな簡単に教えるわけないでしょ」
◯445回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯443の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
うずくまったロシア兵を見下ろしている中年期の老人
両手足が潰れたロシア兵は小さな声(ロシア語)で中年期の老人に何か訴えかけてきている
◯446Chapter6◯345の回想/赤レンガ倉庫/アイリッシュイベント会場(夜)
アイリッシュイベントに参加している鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、潤、すみれ
人で溢れているアイリッシュイベント会場、イベント会場の横には赤レンガ倉庫が立っている
牛肉のシチュー、ラム肉のグリル、パイ料理、フィッシュアンドチップス、酒類、食器、紅茶、お菓子、羊毛の織物、アクセサリーなどを売っている出店がたくさんある
会場にはたくさんの丸テーブルと椅子があり、飲み食いをしている人が利用している
会場全体にアイルランドの国旗である緑、白、オレンジが飾り付けされている
椅子に座っている鳴海と雪音、椅子に座っている菜摘と汐莉、椅子に座っている明日香と響紀
三組はそれぞれ別の椅子に座っている
鳴海は波音(菜摘)と凛(汐莉)に手を振っている
波音(菜摘)と凛(汐莉)も鳴海に手を振り返している
鳴海「(手を振りながら)一条、俺、運命なんか信じちゃいなかったけどさ、今は運命があって良かったって思ってるよ」
雪音「どうして?」
鳴海「(手を振りながら)馬鹿だからな俺。運命がなかったら迷子になっちまうよ」
雪音「そうね」
◯447回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯445の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
うずくまったロシア兵を見下ろしている中年期の老人
両手足が潰れたロシア兵は小さな声(ロシア語)で中年期の老人に訴えかけ続けている
片足を上げる中年期の老人
◯448回想/波音駅の前(昼)
◯400、◯402、◯404、◯416と同じシーン
快晴
中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1と、中年期の明日香と、七海と、男女十人ほどが駅前にいる
中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1は軍服を着ていて、彼らの近くに大きな荷物が置いてある
男女十人ほどが中年期の老人と同世代の男兵士1の見送りに来ており、中年期の老人と同世代の男兵士1は駅前で彼らと話をしている
見送りに来ている人たちは、十代の少年少女、中年期の老人たちと同じくらいの年齢の男女数人、中年期の老人より年上の男女など様々な年齢層、その中には中年期の明日香と七海がいる
泣いている七海
七海の年齢は15、6歳ほど
泣いている七海としゃがんで話をしている中年期の老人
七海の手を握っている中年期の老人
中年期の老人は困っている
七海「(泣きながら小さな声で)行っちゃダメ・・・」
◯449回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯447の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
うずくまったロシア兵を見下ろしている中年期の老人
両手足が潰れたロシア兵は小さな声(ロシア語)で中年期の老人に訴えかけ続けている
中年期の老人は足で両手足が潰れたロシア兵の顔面を踏み潰す
両手足が潰れたロシア兵は苦しそうに呻きながら泣いている
◯450Chapter4◯446の回想/社殿/波音の寝室縁側(昼過ぎ)
快晴
それほど広くない畳の部屋
寝るための布団があるだけの部屋
縁側に座っている白瀬波音、佐田奈緒衛、凛
中庭に松の木が生え、小鳥が鳴いている
三人の側には熱々の抹茶が置いてある
腰につけた短剣(鞘にしまったままの状態)を取り出す凛
凛「(短剣を振り回しながら)てやっ!!とうっ!!せいっ!!!」
短剣が抹茶の入っていた器に当たり、抹茶が飛び散らかる
抹茶が奈緒衛にかかる
熱さで悶える奈緒衛
奈緒衛「熱い熱い!!!!!」
凛「も、申し訳ありません!!」
抹茶の付いた装束を慌てて脱ごうとする奈緒衛
奈緒衛の装束はなかなか脱げない
装束を脱ぐのを手伝っている凛
奈緒衛の姿を見て笑っている波音
◯451回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯449の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
うずくまったロシア兵を見下ろしている中年期の老人
中年期の老人は片足を上げる
両手足が潰れたロシア兵は苦しそうに呻きながら泣いている
◯452Chapter4◯443の回想/戦場(500年前/昼)
織田軍と上杉軍が戦っている
馬に乗り、槍、薙刀、日本刀を使って戦っている織田軍の武士と上杉軍の武士
織田軍の中には白瀬波音と佐田奈緒衛がいる
武士たちは皆甲冑を身につけており、波音は兜を被っている
馬に乗ったまま薙刀で上杉軍の武士を斬り殺す波音
同じく馬に乗ったまま槍で上杉軍の武士を刺し殺す奈緒衛
上杉軍も負けじと応戦し、織田軍の武士を刺し殺している
織田軍と上杉軍が入り交じり、ごった返しになっている戦場
死んだ武士、死んだ馬、壊れた武器、肉塊などが戦場の至るところに落ちている
怪我を負った馬の鳴き声や、武器のぶつかる音が響いている戦場
上杉軍の武士「(大きな声で)死ねえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」
馬に乗った上杉軍の武士が槍を構えて波音に突撃してくる
馬に乗ったまま槍を薙刀で受け流す波音
波音を殺そうとした上杉軍の武士は体勢を崩し、落馬する
波音「(馬に乗ったまま薙刀を構えて)貴様が死ね」
馬に乗ったまま上杉軍の武士の首を薙刀で斬る波音
血が波音の兜にかかる
兜の奥で笑っている波音の顔が見える
◯453回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯451の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
うずくまったロシア兵を見下ろしている中年期の老人
両手足が潰れたロシア兵は苦しそうに呻きながら泣いている
中年期の老人は再び足でロシア兵の顔面を踏み潰す
両手足が潰れたロシア兵は動かなくなる
◯454交通事故の回想/道路(昼)
激しく損壊している二台の車
血を流しながらふらふらと車から出てくる10歳の鳴海
二台の車の周りには人だかりが出来ている
車の中を覗く鳴海
車の前の座席には損傷の激しい二体の遺体(鳴海の親の紘と由香里)がある
後部座席には血塗れで気絶している姉の風夏がいる
鳴海はその場に座り込む
周りにいた人たちが鳴海の方へ駆け寄ったり、電話をして救急車を呼んだり、車の中にいる鳴海の家族を救出しようとしている
鳴海は声をかけられても返事をしない
◯455回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯453の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
両手足が潰れたロシア兵は動かなくなっている
動かなくなったロシア兵の体を思いっきり蹴る中年期の老人
◯456Chapter4◯494の回想/本能寺/信長の寝室(500年前/朝)
織田信長のいる寝室に向かって鉄砲隊が発砲を繰り返している
信長の部屋は弾丸のせいで穴だらけになっている
信長の部屋にいる奈緒衛と信長
信長は綺麗な装束を身にまとい、切腹の準備を終えた状態
話をしている奈緒衛と信長
奈緒衛「(動揺しながら)で、出来ません!!」
信長「命令だ!」
奈緒衛「断ります!!!」
信長「(大きな声で)命令に背くのか!!!!」
奈緒衛「俺は・・・あなた様の命を助けに来たのです!首を落とすためではありませぬ!!!!」
◯457回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯455の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
両手足が潰れたロシア兵は動かなくなっている
動かなくなったロシア兵の体を思いっきり蹴っている中年期の老人
◯458Chapter4◯504の回想/音羽川(500年前/夜)
川の周囲は森
自然が多くとても長い川
夜風で草木がなびいている
川の流れは穏やか
月が川に反射している
夏の虫が鳴いている
波音、奈緒衛、凛の三人が川の側で抱き合っている
奈緒衛「(三人で抱き合いながら)すまない ・・・本当にすまない ・・・みんな逃げ出してしまった・・・」
波音「(三人で抱き合いながら)よいのだ・・・奈緒衛が無事ならそれでよいのだ」
凛「(三人で抱き合いながら)このように三人で寄り添っていられるのなら・・・私めは幸せでございます」
◯459回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯457の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
中年期の老人は動かなくなったロシア兵の体を思いっきり蹴り続けている
中年期の老人の蹴る速度が速くなり、力も徐々に強くなる
中年期の老人「(動かなくなったロシア兵を蹴りながら)クソッタレ!!!」
両手足が潰れたロシア兵は既に死んでいる
◯460Chapter6◯343の回想/赤レンガ倉庫/アイリッシュイベント会場(夜)
アイリッシュイベントに参加している鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、潤、すみれ
人で溢れているアイリッシュイベント会場、イベント会場の横には赤レンガ倉庫が立っている
牛肉のシチュー、ラム肉のグリル、パイ料理、フィッシュアンドチップス、酒類、食器、紅茶、お菓子、羊毛の織物、アクセサリーなどを売っている出店がたくさんある
会場にはたくさんの丸テーブルと椅子があり、飲み食いをしている人が利用している
会場全体にアイルランドの国旗である緑、白、オレンジが飾り付けされている
イベント会場には大きなステージがあり、ステージの上で響紀がSatisfactionを歌っている
響紀のライブを聞いている明日香、嶺二、雪音、潤、すみれ
ライブが行われてる中、大きな声で話をしている鳴海と菜摘
菜摘「(大きな声で)凛ちゃんが!!!凛ちゃんがいないの!!!」
鳴海「(大きな声で)ライブの音で聞こえない!!!!誰がいないって!?!?」
◯461回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯459の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
両手足が潰れたロシア兵は死んでいる
中年期の老人は死んだロシア兵を思いっきり蹴り続けている
中年期の老人「(死んだロシア兵を蹴りながら大きな声で)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
◯462Chapter6◯313の回想/コンビニ外/帰路(夜)
鳴海は両手にコンビニのビニール袋を持っている
ビニール袋の中身は大量のエナジードリンク
話をしながら早乙女家に向かっている鳴海と菜摘
菜摘「でも私は鳴海くんが心配してるほど、疲れてないし、苦労もしてない。だから・・・鳴海くんは・・・」
鳴海「何だよ?」
菜摘「私以外の人も心配してあげて」
鳴海「誰のことを言ってるんだ」
菜摘「みんな・・・とか?」
◯463回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯461の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
両手足が潰れたロシア兵は死んでいる
中年期の老人は死んだロシア兵を思いっきり蹴り続けている
中年期の老人「(死んだロシア兵を蹴りながら大きな声で)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
◯464◯378の回想/波音高校休憩所(放課後/夕方)
自販機、丸いテーブル、椅子が置いてある小さな広場
椅子に座っている鳴海と汐莉
テーブルの上には鳴海が購入したぶどうジュースが置いてある
汐莉の両手が震えている
震える手でぶどうジュースのキャップを取り外そうとしている汐莉
汐莉は震えているせいで上手くキャップが取れない
中年期の老人「(大きな声)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
◯465回想/波音駅の前(昼)
◯400、◯402、◯404、◯416、◯448と同じシーン
快晴
中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1と、中年期の明日香と、七海と、男女十人ほどが駅前にいる
中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1は軍服を着ていて、彼らの近くに大きな荷物が置いてある
男女十人ほどが中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1の見送りに来ており、中年期の老人と、老人と同世代の男兵士1は駅前で彼らと話をしている
見送りに来ている人たちは、十代の少年少女、中年期の老人たちと同じくらいの年齢の男女数人、中年期の老人より年上の男女など様々な年齢層、その中には中年期の明日香と七海がいる
中年期の老人と中年期の明日香が抱き合っている
中年期の老人「(大きな声)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
◯466回想/戦場/森(夜)
◯408の続き
積雪した森の中で日本兵とロシア兵の銃撃戦が続いている
レキ、老人と同世代の男兵士2を含む日本兵たちが、なんとか応戦している
レキがハンドガンでロシア兵を殺している
レキは中年期の老人、老人と同世代の男兵士1、老人と同世代の男兵士2よりも若い女兵士で歳は25歳前後
老人と同世代の男兵士1が撃たれている
木に隠れている中年期の老人と老人と同世代の男兵士1
老人と同世代の男兵士1は口から血を垂れ流しながら、木にもたれている
中年期の老人は、老人と同世代の男兵士1の胸元を押さえているが、出血は止まらない
中年期の老人が泣きながら老人と同世代の男兵士1の体を激しく揺さぶっている
撃たれた老人と同世代の男兵士1の手にはChapter2の終盤で柊木千春が使っていた剣のかけらがある
老人と同世代の男兵士1は死んでいる
中年期の老人「(大きな声)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
中年期の老人が揺さぶったことにより、老人と同世代の男兵士1の手の中にあった千春の剣のかけらが落ちる
◯467Chapter4◯561の回想/森(500年前/夜)
月が雲に隠れている
山の中は暗く、濃い霧が出ている
山の道を進んでいる波音、奈緒衛、凛
たくさんの大きな木が生えている
太く大きな木の根が地面から盛り上がっている
突然凛が撃たれる
凛に駆け寄る奈緒衛
凛の胸元からどんどん血が溢れてくる
その場に倒れる凛
凛に駆け寄る波音
凛の手を穴の開いた胸元に置く波音
中年期の老人「(大きな声)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
◯468回想/ロシア軍基地の外れ(夜)
◯418と同じシーン
雪が降っている
積雪地帯の開けたところにロシア軍の大きな基地がある
基地の周りは森
数十人のロシア兵に囲まれている中年期の老人、レキ、老人と同世代の男兵士2、そして数人の日本兵
レキは中年期の老人、老人と同世代の男兵士1、老人と同世代の男兵士2よりも若い女兵士で歳は25歳前後
日本兵の中に、老人と同世代の男兵士1の姿はない
中年期の老人たちは膝をついていて、その周りにロシア兵たちがいる
ロシア兵の中に若き将校アイヴァン・ヴォリフスキーがいる
アイヴァン・ヴォリフスキーは容姿端麗
アイヴァン・ヴォリフスキーの周りにいるロシア兵は全て彼の部下たち
アイヴァン・ヴォリフスキーの部下のロシア兵たちは、中年期の老人たちに銃を向けている
アイヴァン・ヴォリフスキーが中年期の老人の首元にナイフを当てている
中年期の老人「(大きな声)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
◯469Chapter3◯298の回想/波音高校のベンチ(昼)
快晴
外のベンチに座っている鳴海と菜摘
鳴海はコンビニのパンを食べ終えている
菜摘はすみれの手作り弁当を食べている
ベンチはたくさんあり、友達同士やカップルがご飯を食べるのに使っている
菜摘が箸で卵焼きを割る
卵焼きの半分を鳴海に差し出す
中年期の老人「(大きな声)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
◯470Chapter6◯331の回想/早乙女家庭(深夜)
月が出ている
スズムシが鳴いている
庭のウッドデッキに座って、流れ星を見ている鳴海と菜摘
中年期の老人「(大きな声)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
◯471Chapter3◯322の回想/波音高校特別教室の四/文芸部室(放課後/夕方)
雨が降っているのが見える
軽音部員がQUEENのコピーライブを行っている
軽音部のライブを楽しんでいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二m雪音
中年期の老人「(大きな声)クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!」
◯472回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯463の続き
道端でうずくまっている両手足が潰れたロシア兵
両手足が潰れたロシア兵は死んでいる
中年期の老人は死んだロシア兵を思いっきり蹴り続けている
中年期の老人「(死んだロシア兵を蹴りながら叫び声で)クソッ!!!!クソッ!!!!俺の人生を返してくれ!!!!」
中年期の老人はロシア兵の顔面を足で踏み潰す
中年期の老人「(死んだロシア兵を足で踏み潰しながら叫び声で)みんなを返してくれ!!!!!」
死んだロシア兵の顔面は完全に潰れ、脳みそが散乱している
老人は再び思いっきり死んだロシア兵の体を蹴る
徐々に息切れをし始める中年期の老人
夕日が沈みかけている
死んだロシア兵の両手足からは骨と肉塊が飛び出ている
中年期の老人が死んだロシア兵の体を思いっきり蹴ると、死んだロシア兵の左腕の肉塊からキラキラと光る指輪と血まみれになった一枚の写真が出てくる
死んだロシア兵の指輪がコロコロと転がり止まる
死んだロシア兵の指輪は夕日の光を反射させキラキラと光っている
死んだロシア兵の体は両手足、顔がボロボロになっている
中年期の老人は死んだロシア兵を蹴るのをやめ、呼吸を整える
中年期の老人は死んだロシア兵の左腕の肉塊から出てきた一枚の写真を手に取って見る
写真は死んだロシア兵の血で酷く汚れている
血まみれの写真には死んだロシア兵の妻らしき女性と、2、3歳ばかりの子供が写っている
中年期の老人は自分の左手を見る
中年期の老人の左手の薬指にはシンプルなデザインの指輪がつけてある
中年期の老人の左手の薬指についている指輪は、死んだロシア兵の指輪と同じように、夕日の光を反射させ赤く光っている
老人の瞳から涙が溢れる
◯473◯366の回想/早乙女家菜摘の自室(放課後/夜)
綺麗な菜摘の部屋
菜摘の部屋にはベッド、低いテーブル、勉強机、パソコン、プリンターなどが置いてある
菜摘の部屋にいる制服姿の鳴海と菜摘、二人は朗読劇用の波音物語を制作している
テーブルの上には波音物語、パソコン、筆記用具、菜摘が創作で使っているネタノートが置いてある
床に座って話をしている鳴海と菜摘
菜摘「鳴海くん、何事も過激は良くないよ。穏やかに行こう?」
◯474回想/滅びかけた世界:波音町/道路(夕方)
◯472の続き
中年期の老人は死んだロシア兵の前で泣き崩れる
夕日が中年期の老人の背中を真っ赤に照らしている
老人「(声 モノローグ)危ない、戻って来れなくなるぞ、誰かがそう言っていた。(少し間を開けて)俺は今どこにいるのだろう」
◯475回想/緋空浜(夕方)
制服姿の鳴海と菜摘が楽しそうに喋りながら浜辺を歩いている
浜辺にはペットボトルやお菓子の袋のゴミなどが少し落ちている
夕日の光が波に反射し、キラキラと光っている
老人「(声 モノローグ)君と一緒に過ごしたあの町は、もう消えてしまったよ」
◯476回想戻り/滅びかけた世界:緋空浜(昼過ぎ)
緋空浜近くの道路にいるナツとスズと老人
老人の目の前には撃たれてボロボロになった空き缶がある
ボーッとしながらタバコを吸っている老人
老人のことを見ているナツとスズ
ナツ「ね、ねえ」
老人「(タバコの煙を吐き出し)何だ?」
ナツ「なんで急に黙ったの?」
老人はライフルを肩にかける
老人「(少し笑いながら)宇宙人と交信してたのさ」
ナツ「は・・・?」
スズ「(驚いて)う、宇宙人と交信ってどうゆうことジジイ!?ジジイ宇宙人と喋れんの!?」
老人「かもな」
スズ「かもなじゃなくて教えてよー!!!」
老人「スズにはまだ早い」
スズ「えー!!!なっちゃんも宇宙人と交信する方法知りたいよね!?!?」
ナツ「スズ、私そういう話は興味ない」
スズ「な・ん・で!!!」
ナツ「だって宇宙人なんて存在してないし」
老人「さすが現実主義者だ」
スズ「なっちゃん!!絶対宇宙人はいる!!いるったらいる!!」
老人「スズがそう言うなら、いるんじゃないか。宇宙人」
スズ「うん!!」
老人は歩き出す
ナツ「ど、どこに行くんだ!」
老人「仕事に戻る」
スズ「私たちはー?」
老人「好きにしろ。その辺で遊んでて良いぞ」
スズ「分かったー!!」
老人は後ろ姿のままナツとスズに手を振り、一人緋空浜に向かう
ナツ「(緋空浜に向かう老人を見ながら)スズ、やっぱりあいつ変だよ」
スズ「良いな〜、私も宇宙人と喋ってみたいな〜」
スズのことを見るナツ
スズ「どうしたのなっちゃん、お腹でも空いた?」
少しの沈黙が流れる
ナツ「(スズのことを見ながら)時々、スズの思考回路がどうなってるのか物凄く興味が湧くんだけど」
スズ「もしかして・・・私の脳みそを食べようとしてるってこと?」
再び沈黙が流れる
スズ「なっちゃんには悪いけどあげないよ?(自分の頭をぽんぽんと叩きながら)これは私の非常食だもん」
ナツ「(スズのことを見ながら)生きるために自分の脳みそを自分で食べちゃうのか」
スズ「(頷き)うん!!!」
ナツ「(スズのことを見ながら)スズもサイコパスだ」
スズ「サイコパスじゃないけどオクトパスは好きだよ」
ナツは黙ってスズのことを見ている
スズは不思議そうにナツのことを見ている
スズ「(不思議そうにナツのことを見ながら)どうしたのなっちゃん、お腹でもすい・・・」
ナツ「(スズの話を遮って大きな声で)空いてない!!!!」
老人は一人で緋空浜のゴミをトングで拾い、そのゴミをカートの中に入れている
老人が使っていたライフルは、浜辺の遠くの方に置いてある
浜辺にゴミの山がある
タバコを吸っている老人
風が吹き、一枚の新聞紙が老人の足元にまで飛んで来る
トングで新聞紙を拾う老人
新聞紙を見た途端、老人の動きが止まる
新聞紙の見出しには大きく”ロシアの若き将軍 アイヴァン・ヴォリフスキーが世界初の強化人間へ”と書かれている
新聞には大きく写真が掲載されており、アイヴァン・ヴォリフスキーが軍隊の一番前で敬礼している
タバコの煙を吐き出す老人
老人は新聞のアイヴァン・ヴォリフスキーを見ている
老人は唇を噛み締める
アイヴァン・ヴォリフスキー「(声)哀れな日本兵よ、非力ながらに逃げるが良い・・・そして日本の無力さ、弱さを知れ・・・貴様たちは何も出来ず我々に敗北するのだ・・・」
新聞紙の中のアイヴァン・ヴォリフスキーの顔にタバコを強く押し付けて火を消す老人