Chapter7♯25 √鳴海(菜摘−由夏理)×√菜摘(鳴海)×由夏理(鳴海+風夏−紘)=海の中へ沈んだ如く
向日葵が教えてくれる、波には背かないで
Chapter7 √鳴海(菜摘−由夏理)×√菜摘(鳴海)×由夏理(鳴海+風夏−紘)=海の中へ沈んだ如く
登場人物
貴志 鳴海 19歳男子
Chapter7における主人公。昨年度までは波音高校に在籍し、文芸部の副部長として合同朗読劇や部誌の制作などを行っていた。波音高校卒業も無鉄砲な性格と菜摘を一番に想う気持ちは変わっておらず、時々叱られながらも菜摘のことを守ろうと必死に人生を歩んでいる。後に鳴海は滅びかけた世界で暮らす老人へと成り果てるが、今の鳴海はまだそのことを知る由もない。
早乙女 菜摘 19歳女子
Chapter7におけるもう一人の主人公でありメインヒロイン。鳴海と同じく昨年度までは波音高校に在籍し、文芸部の部長を務めていた。病弱だが性格は明るく優しい。鳴海と過ごす時間、そして鳴海自身の人生を大切にしている。鳴海や両親に心配をかけさせたくないと思っている割には、危なっかしい場面も少なくはない。輪廻転生によって奇跡の力を引き継いでいるものの、その力によってあらゆる代償を強いられている。
貴志 由夏理
鳴海、風夏の母親。現在は交通事故で亡くなっている。すみれ、潤、紘とは同級生で、高校時代は潤が部長を務める映画研究会に所属していた。どちらかと言うと不器用な性格な持ち主だが、手先は器用でマジックが得意。また、誰とでも打ち解ける性格をしている
貴志 紘
鳴海、風夏の父親。現在は交通事故で亡くなっている。由夏理、すみれ、潤と同級生。波音高校生時代は、潤が部長を務める映画研究会に所属していた。由夏理以上に不器用な性格で、鳴海と同様に暴力沙汰の喧嘩を起こすことも多い。
早乙女 すみれ 46歳女子
優しくて美しい菜摘の母親。波音高校生時代は、由夏理、紘と同じく潤が部長を務める映画研究会に所属しており、中でも由夏理とは親友だった。娘の恋人である鳴海のことを、実の子供のように気にかけている。
早乙女 潤 47歳男子
永遠の厨二病を患ってしまった菜摘の父親。歳はすみれより一つ上だが、学年は由夏理、すみれ、紘と同じ。波音高校生時代は、映画研究会の部長を務めており、”キツネ様の奇跡”という未完の大作を監督していた。
貴志/神北 風夏 25歳女子
看護師の仕事をしている6つ年上の鳴海の姉。一条智秋とは波音高校時代からの親友であり、彼女がヤクザの娘ということを知りながらも親しくしている。最近引越しを決意したものの、引越しの準備を鳴海と菜摘に押し付けている。引越しが終了次第、神北龍造と結婚する予定。
神北 龍造 25歳男子
風夏の恋人。緋空海鮮市場で魚介類を売る仕事をしている真面目な好青年で、鳴海や菜摘にも分け隔てなく接する。割と変人が集まりがちの鳴海の周囲の中では、とにかく普通に良い人とも言える。因みに風夏との出会いは合コンらしい。
南 汐莉 16歳女子
Chapter5の主人公でありメインヒロイン。鳴海と菜摘の後輩で、現在は波音高校の二年生。鳴海たちが波音高校を卒業しても、一人で文芸部と軽音部のガールズバンド”魔女っ子の少女団”を掛け持ちするが上手くいかず、叶わぬ響紀への恋や、同級生との距離感など、様々な問題で苦しむことになった。荻原早季が波音高校の屋上から飛び降りる瞬間を目撃して以降、”神谷の声”が頭から離れなくなり、Chapter5の終盤に命を落としてしまう。20Years Diaryという日記帳に日々の出来事を記録していたが、亡くなる直前に日記を明日香に譲っている。
一条 雪音 19歳女子
鳴海たちと同じく昨年度までは波音高校に在籍し、文芸部に所属していた。才色兼備で、在学中は優等生のふりをしていたが、その正体は波音町周辺を牛耳っている組織”一条会”の会長。本当の性格は自信過剰で、文芸部での活動中に鳴海や嶺二のことをよく振り回していた。完璧なものと奇跡の力に対する執着心が人一倍強い。また、鳴海たちに波音物語を勧めた張本人でもある。
伊桜 京也 32歳男子
緋空事務所で働いている生真面目な鳴海の先輩。中学生の娘がいるため、一児の父でもある。仕事に対して一切の文句を言わず、常にノルマをこなしながら働いている。緋空浜周囲にあるお店の経営者や同僚からの信頼も厚い。口下手なところもあるが、鳴海の面倒をしっかり見ており、彼の”メンター”となっている。
荻原 早季 15歳(?)女子
どこからやって来たのか、何を目的をしているのか、いつからこの世界にいたのか、何もかもが謎に包まれた存在。現在は波音高校の新一年生のふりをして、神谷が受け持つ一年六組の生徒の中に紛れ込んでいる。Chapter5で波音高校の屋上から自ら命を捨てるも、その後どうなったのかは不明。
瑠璃
鳴海よりも少し歳上で、極めて中性的な容姿をしている。鳴海のことを強く慕っている素振りをするが、鳴海には瑠璃が何者なのかよく分かっていない。伊桜同様に鳴海の”メンター”として重要な役割を果たす。
来栖 真 59歳男子
緋空事務所の社長。
神谷 志郎 44歳男子
Chapter5の主人公にして、汐莉と同様にChapter5の終盤で命を落としてしまう数学教師。普段は波音高校の一年六組の担任をしながら、授業を行っていた。昨年度までは鳴海たちの担任でもあり、文芸部の顧問も務めていたが、生徒たちからの評判は決して著しくなかった。幼い頃から鬱屈とした日々を過ごして来たからか、発言が支離滅裂だったり、感情の変化が激しかったりする部分がある。Chapter5で早季と出会い、地球や子供たちの未来について真剣に考えるようになった。
貴志 希海 女子
貴志の名字を持つ謎の人物。
三枝 琶子 女子
“The Three Branches”というバンドを三枝碧斗と組みながら、世界中を旅している。ギター、ベース、ピアノ、ボーカルなど、どこかの響紀のようにバンド内では様々なパートをそつなくこなしている。
三枝 碧斗 男子
“The Three Branches”というバンドを琶子と組みながら、世界中を旅している、が、バンドからベースとドラムメンバーが連続で14人も脱退しており、なかなか目立った活動が出来てない。どこかの響紀のようにやけに聞き分けが悪いところがある。
有馬 千早 女子
ゲームセンターギャラクシーフィールドで働いている、千春によく似た店員。
太田 美羽 30代後半女子
緋空事務所で働いている女性社員。
目黒 哲夫 30代後半男子
緋空事務所で働いている男性社員。
一条 佐助 男子
雪音と智秋の父親にして、”一条会”のかつての会長。物腰は柔らかいが、多くのヤクザを手玉にしていた。
一条 智秋 25歳女子
雪音の姉にして風夏の親友。一条佐助の死後、若き”一条会”の会長として活動をしていたが、体調を崩し、入院生活を強いられることとなる。智秋が病に伏してから、会長の座は妹の雪音に移行した。
神谷 絵美 30歳女子
神谷の妻、現在妊娠中。
神谷 七海 女子
神谷志郎と神谷絵美の娘。
天城 明日香 19歳女子
鳴海、菜摘、嶺二、雪音の元クラスメートで、昨年度までは文芸部に所属していた。お節介かつ真面目な性格の持ち主で、よく鳴海や嶺二のことを叱っていた存在でもある。波音高校在学時に響紀からの猛烈なアプローチを受け、付き合うこととなった。現在も、保育士になる資格を取るために専門学校に通いながら、響紀と交際している。Chapter5の終盤にて汐莉から20Years Diaryを譲り受けたが、最終的にその日記は滅びかけた世界のナツとスズの手に渡っている。
白石 嶺二 19歳男子
鳴海、菜摘、明日香、雪音の元クラスメートで、昨年度までは文芸部に所属していた。鳴海の悪友で、彼と共に数多の悪事を働かせてきたが、実は仲間想いな奴でもある。軽音部との合同朗読劇の成功を目指すために裏で奔走したり、雪音のわがままに付き合わされたりで、意外にも苦労は多い。その要因として千春への恋心があり、消えてしまった千春との再会を目的に、鳴海たちを様々なことに巻き込んでいた。現在は千春への想いを心の中にしまい、上京してゲーム関係の専門学校に通っている。
三枝 響紀 16歳女子
波音高校に通う二年生で、軽音部のガールズバンド”魔女っ子少女団”のリーダー。愛する明日香関係のことを含めても、何かとエキセントリックな言動が目立っているが、音楽的センスや学力など、高い才能を秘めており、昨年度に行われた文芸部との合同朗読劇でも、あらゆる分野で多大な(?)を貢献している。
永山 詩穂 16歳女子
波音高校に通う二年生、汐莉、響紀と同じく軽音部のガールズバンド”魔女っ子少女団”に所属している、担当はベース。メンタルが不安定なところがあり、Chapter5では色恋沙汰の問題もあって汐莉と喧嘩をしてしまう。
奥野 真彩 16歳女子
波音高校に通う二年生、汐莉、響紀、詩穂と同じく軽音部のガールズバンド”魔女っ子少女団”に所属している、担当はドラム。どちらかと言うと我が強い集まりの魔女っ子少女団の中では、比較的協調性のある方。だが食に関しては我が強くなる。
双葉 篤志 19歳男子
鳴海、菜摘、明日香、嶺二、雪音と元同級生で、波音高校在学中は天文学部に所属していた。雪音とは幼馴染であり、その縁で”一条会”のメンバーにもなっている。
井沢 由香
波音高校の新一年生で神谷の教え子。Chapter5では神谷に反抗し、彼のことを追い詰めていた。
伊桜 真緒 37歳女子
伊桜京也の妻。旦那とは違い、口下手ではなく愛想良い。
伊桜 陽芽乃 13歳女子
礼儀正しい伊桜京也の娘。海亜中学校という東京の学校に通っている。
水木 由美 52歳女子
鳴海の伯母で、由夏理の姉。幼い頃の鳴海と風夏の面倒をよく見ていた。
水木 優我 男子
鳴海の伯父で、由夏理の兄。若くして亡くなっているため、鳴海は面識がない。
鳴海とぶつかった観光客の男 男子
・・・?
少年S 17歳男子
・・・?
サン 女子
・・・?
ミツナ 19歳女子
・・・?
X 25歳女子
・・・?
Y 25歳男子
・・・?
ドクターS 19歳女子
・・・?
シュタイン 23歳男子
・・・?
伊桜の「滅ばずの少年の物語」に出て来る人物
リーヴェ 17歳?女子
奇跡の力を宿した少女。よくいちご味のアイスキャンディーを食べている。
メーア 19歳?男子
リーヴェの世界で暮らす名も無き少年。全身が真っ黒く、顔も見えなかったが、リーヴェとの交流によって本当の姿が現れるようになり、メーアという名前を手にした。
バウム 15歳?男子
お願いの交換こをしながら旅をしていたが、リーヴェと出会う。
盲目の少女 15歳?女子
バウムが旅の途中で出会う少女。両目が失明している。
トラオリア 12歳?少女
伊桜の話に登場する二卵性の双子の妹。
エルガラ 12歳?男子
伊桜の話に登場する二卵性の双子の兄。
滅びかけた世界
老人 男子
貴志鳴海の成れの果て。元兵士で、滅びかけた世界の緋空浜の掃除をしながら生きている。
ナツ 女子
母親が自殺してしまい、滅びかけた世界を1人で彷徨っていたところ、スズと出会い共に旅をするようになった。波音高校に訪れて以降は、掃除だけを繰り返し続けている老人のことを非難している。
スズ 女子
ナツの相棒。マイペースで、ナツとは違い学問や過去の歴史にそれほど興味がない。常に腹ペコなため、食べ物のことになると素早い動きを見せるが、それ以外の時はのんびりしている。
柊木 千春 15、6歳女子
元々はゲームセンターギャラクシーフィールドにあったオリジナルのゲーム、”ギャラクシーフィールドの新世界冒険”に登場するヒロインだったが、奇跡によって現実にやって来る。Chapter2までは波音高校の一年生のふりをして、文芸部の活動に参加していた。鳴海たちには学園祭の終了時に姿を消したと思われている。Chapter6の終盤で滅びかけた世界に行き、ナツ、スズ、老人と出会っている。
Chapter7♯25 √鳴海(菜摘−由夏理)×√菜摘(鳴海)×由夏理(鳴海+風夏−紘)=海の中へ沈んだ如く
◯2313波音駅/ホーム(日替わり/朝)
快晴
波音駅のホームにいる鳴海と菜摘
波音駅のホームには鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がおり、電車が来るのを待っている
波音駅のホームは◯1961の鳴海が夢で見た約30年前の波音駅のホームとは違って、古い木造のホームではなくなっている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
鳴海と菜摘は手を繋いでいる
鳴海と手を繋いだまま俯いている菜摘
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)は、晴れてて良かったな。この天気なら花火も見れるぞ菜摘」
菜摘「(俯いて鳴海と手を繋いだまま)私・・・緋空祭りで花火が見たかった・・・」
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)じ、地元の小さな祭りよりもさ、遊園地でアトラクションに乗りながら花火を見る方が楽しいと思わないか?」
菜摘「(俯いて鳴海と手を繋いだまま)思わない・・・」
少しの沈黙が流れる
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)ひ、緋空祭りならまた来年に行けば良いだろ?」
再び沈黙が流れる
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)ぐ、グラスリスワールドには最新のジェットコースターからお化け屋敷まで何でもあるんだぞ。も、もちろん俺は菜摘が乗りたいアトラクションにとことん付き合うからな。きょ、今日だけは苦手なジェットコースターに繰り返し乗っても・・・」
鳴海は俯いている菜摘と手を繋いだまま一人で話を続ける
◯2314電車内(朝)
電車に乗っている鳴海と菜摘
電車の中には鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がいて混んでいる
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
椅子に座っている菜摘
鳴海は菜摘の前で立っており、吊り革に掴まっている
俯いている菜摘
鳴海「(吊り革に掴まりながら)電車・・・混んでるな・・・」
少しの沈黙が流れる
菜摘は顔を上げる
菜摘「(顔を上げて)鳴海くん!!」
鳴海「(吊り革に掴まりながら)な、何だ?」
菜摘「遠足みたいだね!!」
鳴海「(吊り革に掴まりながら)お、俺たちはもう高校生じゃないんだぞ」
菜摘「二人だけの遠足だよ鳴海くん!!」
鳴海「(吊り革に掴まりながら)そ、それをデートって言うんだろ」
菜摘「うん!!デート!!」
菜摘は立ち上がる
吊り革に掴まる菜摘
鳴海「(吊り革に掴まりながら)す、座ってろよ菜摘」
菜摘「(吊り革に掴まりながら)私元気だもん!!鳴海くんこそお仕事で疲れてるんだから座らなきゃダメだよ」
鳴海「(吊り革に掴まりながら)お、俺だって元気だぞ」
菜摘「(吊り革に掴まりながら)鳴海くん、途中で倒れたりしない・・・?」
鳴海「(吊り革に掴まりながら)ど、どうして俺が倒れるんだよ」
菜摘「(吊り革に掴まりながら)だ、だって今日はいっぱい遊ぶし・・・」
鳴海「(吊り革に掴まりながら)じぇ、ジェットコースターに乗せまくる気か?」
菜摘「(吊り革に掴まりながら)それも楽しそうだけど・・・私たちにはもっと素敵な場所が待ってるよ鳴海くん」
鳴海「(吊り革に掴まりながら)す、素敵な場所ってどこだ?」
菜摘「(吊り革に掴まりながら)鳴海くんがよく耳を澄ませたら分かるんじゃないかな・・・?私には声も聞こえるし・・・」
鳴海「(吊り革に掴まりながら)な、何も聞こないんだが・・・」
菜摘「(吊り革に掴まりながら)本当に?奇跡と海、それからみんなが私たちのことを呼んでるんだよ」
鳴海は吊り革に掴まりながら耳を澄ます
電車内のスピーカーから戸川純の”リボンの騎士”が流れている
菜摘は吊り革から手を離す
菜摘「(吊り革から手を離して)王子様と王女様のお出かけだね、鳴海くん」
菜摘は吊り革に掴まっている鳴海に手を差し出す
鳴海「(吊り革に掴まりながら菜摘に手を差し出されて)ど、どこに行くんだ」
菜摘「(吊り革に掴まっている鳴海に手を差し出したまま)一緒に夢に入らなきゃ」
鳴海「(吊り革に掴まり菜摘に手を差し出されたまま)ゆ、夢?」
菜摘「(吊り革に掴まっている鳴海に手を差し出したまま)うん!!」
再び沈黙が流れる
鳴海は少し考えた後、吊り革を離す
差し出されている菜摘の手を取る鳴海
鳴海が差し出されている菜摘の手を取った瞬間、電車内のスピーカーから流れていた戸川純の”リボンの騎士”の音が大きくなる
鳴海が差し出されている菜摘の手を取った瞬間、電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせてトランペットを吹かれ始める
いつの間にか電車に乗っていたたくさんの人たちが、スピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせてトランペットを吹いている
鳴海が差し出されている菜摘の手を取った瞬間、電車に乗っていたたくさんの人たちが鳴海と菜摘に向かって拍手を送り始める
鳴海が差し出されている菜摘の手を取った瞬間、鳴海と菜摘に向かって花びらが投げられ始める
いつの間にか電車に乗っていたたくさんの子供たちが、鳴海と菜摘に向かって花びらを投げている
鳴海は菜摘のことを見る
菜摘の服はいつの間にか純白のウェディングドレスに変わっている
鳴海と菜摘は手を繋いでいる
菜摘「(鳴海と手を繋いだまま)鳴海くんも似合ってるね!!」
鳴海は菜摘と手を繋いだまま菜摘のことを見るのをやめる
菜摘と手を繋いだままもう片方の手でポケットの中から手鏡を取り出す鳴海
鳴海は菜摘と手を繋いだまま手鏡で自分の姿を確認する
手鏡に反射して映っている鳴海は白のタキシードを着ている
鳴海「(菜摘と手を繋ぎ、手鏡に反射して映っている白のタキシードを着た自分のことを見ながら)た、タキシードも悪くないな」
菜摘「(鳴海と手を繋いだまま)悪くないどころか格好良いよ!!」
鳴海は菜摘と手を繋ぎ、手鏡に反射して映っている白のタキシードを着た自分のことを見るのをやめる
菜摘と手を繋いだままもう片方の手で手鏡をポケットにしまう
菜摘「(鳴海と手を繋いだまま大きな声で)みんな!!!!」
菜摘は鳴海と手を繋ぐのをやめる
電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて手拍子を始める菜摘
鳴海と菜摘に向かって拍手をしていたたくさんの人たちは拍手に続けて、電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせながら手拍子を始める
電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせてトランペットを吹いていたたくさんの人たちは、行進を始める
電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて手拍子をしていたたくさんの人たちの中の何人かが、トランペットの行進と共にダンスを始める
電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて踊っているダンサーたちは、バク転やバク宙を織り交ぜながらダンスをしている
菜摘「(電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて手拍子をしながら、大きな声で)鳴海くんも手拍子をしなきゃ!!!!」
鳴海「あ、ああ」
鳴海は電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて手拍子を始める
鳴海と菜摘が乗っている電車の後ろの貫通扉が開き、後ろの車両からたくさんのダンサーたちが鳴海と菜摘の車両にやって来る
後ろの車両からやって来たたくさんのダンサーたちは、電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせてダンスをしている
後ろの車両からはたくさんのダンサーたちに続いて、トロンボーン、ユーフォニアム、マーチングドラム、マーチングシンバル、チューバなどの楽器を電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて演奏している人たちが、行進しながら鳴海と菜摘の車両にやって来る
鳴海と菜摘が乗っている電車は、スピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて手拍子をしている人たち、花びらを投げている子供たち、スピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせてバク転やバク宙を織り交ぜながら踊っているダンサーたち、スピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて楽器を演奏している人たちで溢れている
鳴海と菜摘は変わらず、電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて手拍子をしている
鳴海と菜摘が乗っている電車の後ろの車両からは数匹の馬と馬を連れている数人の人たちが、スピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて行進しながら鳴海と菜摘の車両にやって来る
菜摘「(電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて手拍子をしながら、大きな声で)生きてるだけで毎日が楽しいね!!!!鳴海くん!!!!」
鳴海は電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて手拍子をするのをやめる
菜摘のことを見る鳴海
少しの沈黙が流れる
菜摘は椅子に座ったまま俯いている
菜摘の服は純白のウェディングドレスから元の服に戻っている
吊り革に掴まったまま菜摘のことを見ている鳴海
鳴海は吊り革に掴まったまま菜摘のことを見るのをやめる
吊り革に掴まったままゆっくり周囲を見る鳴海
電車の中には学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がいて混んでいるが、手拍子をしていた人、花びらを投げていた子供たち、バク転やバク宙を織り交ぜながら踊っていたダンサーたち、楽器を演奏していた人たち、数匹の馬と馬を連れていた数人の人たちはいなくなっている
電車内のスピーカーから流れているのは戸川純の”リボンの騎士”ではなく、”優先席付近では、携帯電話の電源をお切りください”という機械音のアナウンス
鳴海は吊り革に掴まったまま周囲を見るのをやめる
周囲を見るのをやめて吊り革に掴まったまま、もう片方の手でポケットの中からスマホを取り出す鳴海
鳴海は吊り革に掴まったままスマホの内カメラで自分の姿をする
スマホの内カメラに写っている鳴海は白のタキシード姿ではなく、元の服を着ている
鳴海は吊り革に掴まったままスマホの内カメラで自分のことを見るのをやめる
吊り革に掴まったままもう片方の手でスマホをポケットにしまう鳴海
菜摘が顔を上げたところから、菜摘が電車内のスピーカーから大きな音で流れている戸川純の”リボンの騎士”に合わせて手拍子をしながら、大きな声で”生きてるだけで毎日が楽しいね!!!!鳴海くん!!!!”と言ったところまでは全て鳴海の頭の中で起きていた出来事
再び沈黙が流れる
変わらず俯いている菜摘
◯2315Chapter6◯345の回想/赤レンガ倉庫/アイリッシュイベント会場(夜)
アイリッシュイベント会場にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、すみれ、潤
人で溢れているアイリッシュイベント会場
アイリッシュイベント会場の横には赤レンガ倉庫がある
牛肉のシチュー、ラム肉のグリル、パイ料理、フィッシュアンドチップス、酒類、食器、紅茶、お菓子、羊毛の織物、アクセサリーなどを売っているたくさんの出店がある
会場にはたくさんの丸テーブル、椅子、ベンチがあり、飲み食いをしている人が利用している
会場の奥には大きなステージがある
会場全体にアイルランドの国旗である緑、白、オレンジが飾り付けされている
鳴海、明日香、雪音、響紀はテーブルに向かって椅子に座っている
鳴海は雪音と話をしている
鳴海と雪音から少し離れたところでは明日香と響紀が話をしている
菜摘と汐莉はステージから離れたところにあるベンチに座っている
嶺二は出店で飲み物を買おうとしている
すみれと潤は出店を見て回っている
話をしている菜摘と汐莉
汐莉「私・・・菜摘先輩の役に立てるように頑張りますから・・・だから、先輩は無理をしないで、鳴海先輩と仲良く過ごしてください」
菜摘「汐莉ちゃん・・・」
◯2316電車内(朝)
電車に乗っている鳴海と菜摘
電車の中には鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がいて混んでいる
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
椅子に座っている菜摘
鳴海は菜摘の前で立っており、吊り革に掴まっている
俯いている菜摘
菜摘「(俯いたまま小さな声で)仲良く・・・」
鳴海「(吊り革に掴まりながら)えっ?」
菜摘「(俯いたまま)何でもない・・・」
◯2317グラスリスワールド入場ゲート前(昼前)
グラスリスワールドの入場ゲート前にいる鳴海と菜摘
グラスリスワールドの入場ゲート前には学生、カップル、家族連れなどたくさんの人が列に並んでおり混んでいる
グラスリスワールドの入場ゲート前に出来た列は長くなっている
グラスリスワールドの入場ゲートの横にはたくさんのチケット売り場がある
グラスリスワールドの入場ゲートの横にあるたくさんのチケット売り場には誰もいない
グラスリスワールドの入場ゲートの上には”Glassris World”と書かれた華やかな装飾が施してある
グラスリスワールドの入場ゲートの向こうにはグラスリスワールドの園内が見える
グラスリスワールドの入場ゲートからは大きなジェットコースター、観覧車、フリーフォールが見えている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
鳴海と菜摘は手を繋いでいる
鳴海と手を繋いだまま俯いている菜摘
鳴海は俯いている菜摘と手を繋いだままグラスリスワールドの入場ゲートを見ているう
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いでグラスリスワールドの入場ゲートを見たまま)す、凄い数の人だな・・・」
菜摘「(俯いて鳴海と手を繋いだまま)うん・・・」
鳴海は俯いている菜摘と手を繋いだままグラスリスワールドの入場ゲートを見るのをやめる
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだままグラスリスワールドの入場ゲートを見るのをやめて)ま、まずはチケットを買うか」
鳴海は俯いている菜摘と手を繋いだまま歩き始める
俯いて鳴海と手を繋いだまま鳴海の後ろをついて行く菜摘
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)な、菜摘は何に乗りたいんだ?」
菜摘「(俯いて鳴海と手を繋いだまま)何でも良い・・・」
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)こ、コーヒーカップに連続で100回乗せても良いのか」
菜摘「(俯いて鳴海と手を繋いだまま)それは嫌だ・・・」
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)こ、このまま暗い雰囲気でいるならコーヒーカップに乗せるぞ」
菜摘「(俯いて鳴海と手を繋いだまま)だったら私帰る・・・」
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)か、帰るのは無しだ菜摘」
少しの沈黙が流れる
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)ぜ、絶対楽しめるんだから今日は一日遊んで行くぞ、い、良いな菜摘」
再び沈黙が流れる
鳴海と菜摘はチケット売り場に辿り着く
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)ち、チケットを買って来るから菜摘は待っててくれ」
鳴海は俯いている菜摘の手を離そうとする
鳴海は俯いている菜摘の手を離そうとするが、菜摘は鳴海の手を離さない
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)お、おい」
少しの沈黙が流れる
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)ち、チケットがなきゃ入れないんだぞ菜摘」
菜摘は変わらず俯いたまま鳴海の手を離そうとしない
鳴海「(俯いている菜摘と手を繋いだまま)は、離すんだ」
再び沈黙が流れる
菜摘は俯いたまま鳴海の手を握り締めている
俯いている菜摘の手を無理矢理離そうとする鳴海
鳴海「(俯いている菜摘の手を無理矢理離そうとして)な、何でこんなところに来てつまらないショートコントの延長みたいなことをしてるんだよ菜摘!!」
菜摘「(俯いて離そうとして来ている鳴海の手を握り締めたまま)だって・・・」
鳴海「(俯いている菜摘の手を無理矢理離そうとしながら)だっても納豆巻きもないんだ!!」
菜摘「(俯いて離そうとして来ている鳴海の手を握り締めたまま)私納豆巻きなんて言ってない・・・」
鳴海は俯いている菜摘の手を無理矢理離す
鳴海「(俯いている菜摘の手を無理矢理離して)お、俺がチケットを買って来る間、菜摘はここで待って・・・」
グラスリスワールドのスタッフ1が話途中の鳴海と菜摘のところにやって来る
グラスリスワールドのスタッフ1「(鳴海の話を遮って)お客様」
鳴海「な、何すか?」
グラスリスワールドのスタッフ1「大変申し訳ないのですが、本日のグラスリスワールドのチケットは売り切れになりました」
鳴海「はい・・・?」
少しの沈黙が流れる
グラスリスワールドのスタッフ1「大変申し訳ございません、本日のチケットは完売しました」
鳴海「ま、まだ昼前ですよ!!」
グラスリスワールドのスタッフ1は頭を下げる
グラスリスワールドのスタッフ1「(頭を下げて)大変申し訳ございません」
再び沈黙が流れる
鳴海「か、完売してるなんて聞いてない!!」
グラスリスワールドのスタッフ1「(頭を下げたまま)申し訳ございませんお客様、チケットをお買い求めになる場合はオンライン、またはお近くのコンビニで購入されるか、朝の9時までに売り場に並ばれるのが確実だと思われます」
鳴海「そ、そんな朝一に来いって言うのか!!」
菜摘「(俯いたまま)鳴海くん・・・やめなよ・・・」
鳴海「せ、せっかく来たんだぞ菜摘!!」
菜摘「(俯いたまま)また来れば良いし・・・」
グラスリスワールドのスタッフ1は頭を上げる
グラスリスワールドのスタッフ1「(頭を上げて)お客様、またのお越しを心よりお待ちしています」
グラスリスワールドのスタッフ1は鳴海と菜摘から離れて行く
少しの沈黙が流れる
鳴海「(小声でボソッと)使えない奴め・・・」
菜摘「(俯いたまま)仕方がないよ・・・お仕事なんだから・・・」
鳴海「お、俺や伊桜さんは毎日人々に寄り添うことをしてるんだぞ」
菜摘「(俯いたまま)そんなことを言ったって・・・全ての人が緋空事務所で働いているような環境とは限らないよ・・・」
鳴海「(小声でボソッと)クソッ・・・」
再び沈黙が流れる
菜摘「(俯いたまま)鳴海くんの嘘つき・・・」
鳴海「す、スイートメロンパンが食べたい気持ちは嘘じゃないぞ」
菜摘「(俯いたまま)鳴海くん・・・絶対楽しいって言っていたのに・・・」
鳴海「にゅ、入場出来ると思ってたんだよ」
菜摘は俯いたままどこかを指差す
菜摘が俯いたまま指差した方を見る鳴海
菜摘が俯いたまま指差したところには”チケット 完売”と書かれた紙が貼ってある
鳴海「(”チケット 完売”と書かれた紙を見ながら)な、菜摘は売り切れだって知ってたのか!?」
菜摘は俯いたまま”チケット 完売”と書かれた紙を指差すのをやめる
菜摘「(俯いたまま”チケット 完売”と書かれた紙を指差すのをやめて)さっき気付いたんだよ・・・」
鳴海「(”チケット 完売”と書かれた紙を見るのをやめて)ど、どうして教えてくれなかったんだ!!」
菜摘「(俯いたまま)教えようとしたけど・・・鳴海くんは私の話を聞いてくれそうにないし・・・手を振り解いちゃったから・・・」
少しの沈黙が流れる
菜摘「(俯いたまま)元気付けようとしてくれてありがとう鳴海くん・・・でも・・・今日は・・・もう帰ろう・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海「ち、近くに植物園と水族館があるはずだ、そこに行くぞ菜摘」
菜摘は顔を上げる
菜摘「(顔を上げて)でも・・・」
鳴海「俺の言ってることが嘘かどうか・・・今日が楽しくない日なのかは・・・まだ決めないでくれ」
◯2318植物園/食虫植物温室(昼)
植物園の食虫植物温室の中にいる鳴海と菜摘
食虫植物温室の中には様々な大きさの食虫植物が育っている
食虫植物温室の中には鳴海と菜摘の他に客はいない
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
食虫植物温室の中を見て回っている鳴海と菜摘
大きなウツボカズラの前で立ち止まる鳴海
大きなウツボカズラの横には”触らないでください”と書かれた小さな看板が立っている
鳴海は大きなウツボカズラを見ている
鳴海「(大きなウツボカズラを見ながら)か、カエルを食ったこともあるらしいぞ」
少しの沈黙が流れる
鳴海「(大きなウツボカズラを見ながら)お、俺の手も溶けると思うか?」
菜摘「(食虫植物温室の中を見て回りながら)触らないでって書いてあるよ・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海は大きなウツボカズラを見るのをやめる
右手を服の袖で隠す鳴海
鳴海は右手を服の袖で隠したまま右手を押さえる
鳴海「(右手を服の袖で隠したまま右手を押さえて大きな声で)た、助けてくれ菜摘!!!!う、腕が!!!!」
菜摘は食虫植物温室の中を見て回るのをやめて鳴海の元に駆け寄る
菜摘「(鳴海の元に駆け寄って)ど、どうしたの鳴海くん!!だ、大丈夫!?」
鳴海「(右手を服の袖で隠し右手を押さえたまま)しょ、食虫植物の胃酸にやられたみたいだ・・・」
菜摘「さ、触らないで書いてあったのに!!」
鳴海「(右手を服の袖で隠し右手を押さえたまま)は、早く・・・だ、誰かを・・・」
菜摘「ま、待ってて鳴海くん!!い、今を助けを呼ぶから!!」
菜摘は急いで助けを呼びに行こうとする
右手を押さえるのをやめて右手を服の袖から出す鳴海
鳴海は助けを呼びに行こうとする菜摘の手を右手で掴む
菜摘「(鳴海に手を掴まれたまま)は、離してよ鳴海くん!!」
鳴海「(助けを呼びに行こうとする菜摘の手を右手で掴んだまま)人は必死な時ほど周りをよく見てないってことだな」
菜摘「(鳴海に手を掴まれたまま)は、離してってば!!」
鳴海「(助けを呼びに行こうとする菜摘の手を右手で掴んだまま少し笑って)その前に俺の手を見たらどうだ?怪我の状態が分からずに突っ走ったら無駄足になるかもしれないぞ菜摘」
菜摘「(鳴海に手を掴まれたまま大きな声で)む、無駄じゃないよ!!!!(掴んで来ている鳴海の右手を見て)な、鳴海くんの手は大怪我を・・・」
菜摘は掴んで来ている鳴海の右手を見て黙る
少しの沈黙が流れる
鳴海は菜摘の手を離す
鳴海「(菜摘の手を離して)昼飯は野菜カレーにでもするか、菜摘」
再び沈黙が流れる
鳴海「(少し笑って)まるで雪男かUFOでも見たような顔だな」
菜摘「(鳴海の右手を見たまま)鳴海くん・・・」
鳴海「何だ?」
菜摘「(鳴海の右手を見たまま)手を・・・怪我したんじゃないの・・・?」
鳴海は右手と左手を開いたり閉じたりする
鳴海「(右手と左手を開いたり閉じたりしながら)いや、見ての通り無傷だが」
菜摘は開いたり閉じたりしている鳴海の右手を見るのをやめる
菜摘「(開いたり閉じたりしている鳴海の右手を見るのをやめて)もしかして・・・私のことを・・・」
鳴海「(右手と左手を開いたり閉じたりしながら菜摘の話を遮って)そうだ、騙したんだ」
少しの沈黙が流れる
鳴海は右手と左手を開いたり閉じたりするのをやめる
鳴海「(右手と左手を開いたり閉じたりするのをやめて少し笑って)菜摘が心配してくれたことも嬉しいが、それよりも菜摘のでかい声を久しぶりに聞けたことの方が俺は・・・」
菜摘「(鳴海の話を遮って大きな声で)馬鹿!!!!」
鳴海「昔から散々言われて来た言葉だな、お前馬鹿だろって」
菜摘「(怒鳴り声で)本気で心配したのに!!!!」
鳴海「俺だっていつも菜摘のことを心配してるんだが・・・というか今日はいつも以上に心配してたんだぞ」
菜摘「(怒鳴り声で)そんなこと知らないよ!!!!」
鳴海「な、菜摘にしては力技で怒ってるな・・・」
菜摘「(怒鳴り声で)だって私は怒ってるんだもん!!!!」
鳴海「き、キレるあまりに語彙力まで低下してるぞ」
菜摘「(怒鳴り声で)鳴海くんが怒らせたんだよ!!!!」
鳴海「で、でもちょっとだけ面白かっただろ?」
菜摘「(怒鳴り声で)面白くない!!!!」
鳴海「お、俺は菜摘に元気を出して欲しかったんだ」
再び沈黙が流れる
鳴海「いたずらが過ぎたなら謝るよ菜摘」
菜摘「(怒りながら)わ、私・・・もう元気だから・・・」
鳴海「えっ?」
少しの沈黙が流れる
菜摘は鳴海の手を掴む
鳴海の手を引っ張って歩き始める菜摘
鳴海「(菜摘に手を引っ張られながら)お、おい」
菜摘「(鳴海の手を引っ張って怒りながら)な、鳴海くんが悪いことをしないようにするの!!」
鳴海「(菜摘に手を引っ張られながら)そ、そうか・・・(少し間を開けて)し、しかしいくら巨大な食虫植物とは言え、人間の手を一瞬で溶かすなんておかしいと思わなかったのか?」
菜摘「(鳴海の手を引っ張って怒りながら)お、思ったよ!!思ったけど・・・」
鳴海「(菜摘に手を引っ張られながら)お、思ったけど何だ」
菜摘「(鳴海の手を引っ張って怒りながら)な、鳴海くんが大怪我をしているかもしれないっていう状況でそれどころじゃなかったよ・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海「(菜摘に手を引っ張られながら)菜摘も俺と同じで、特に好きな人のことになると必死だな」
菜摘「(鳴海の手を引っ張って怒りながら)鳴海くんと一緒にいる時は・・・私はいつでも捨て身の覚悟なの」
鳴海「(菜摘に手を引っ張られながら)やめてくれ、そういうのは・・・南みたいじゃないか・・・」
菜摘「(鳴海の手を引っ張りながら)そうだよ・・・誰だって汐莉ちゃんのように愛する人の役に立ちたいという想いを抱えてるんだ・・・」
◯2319植物園/熱帯温湿ドーム(昼)
植物園の熱帯温室ドームの中にいる鳴海と菜摘
熱帯温室ドームは球体型の形をしている
熱帯温室ドームの中にはたくさんの熱帯植物が育っている
熱帯温室ドームの中に育っている熱帯植物は大きいものから小さいものまで様々
熱帯温室ドームの中には人工の小さな滝がある
熱帯温室ドームの中には鳴海と菜摘の他にも数人の客がおり、熱帯温室ドームの中を見て回っている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
熱帯温室ドームの中を見て回っている鳴海と菜摘
鳴海「(熱帯温室ドームの中を見て回りながら)実際に役に立てる相手は想像以上に限られていて少ないだろ」
菜摘「(熱帯温室ドームの中を見て回りながら)うん・・・(少し間を開けて)だから汐莉ちゃんには私たち以外の人を選んで欲しいんだ」
鳴海「(熱帯温室ドームの中を見て回りながら)そうだな・・・」
少しの沈黙が流れる
菜摘「(熱帯温室ドームの中を見て回りながら)汐莉ちゃんに言い損ねちゃったけど・・・時には誰かの役に立つよりも・・・自分自身のために生きる方が良いかもしれないよね」
鳴海「(熱帯温室ドームの中を見て回りながら)好きなように人生を過ごすってことか?」
菜摘「(熱帯温室ドームの中を見て回りながら)そうだよ、思うがままに、全てを謳歌するんだ」
時間経過
鳴海と菜摘はサガリバナを見ている
サガリバナの横には”サガリバナの花言葉は幸福が訪れる”と書かれた小さな看板が立っている
サガリバナを見ながらチラッと菜摘のことを見る鳴海
鳴海「(サガリバナを見ながらチラッと菜摘のことを見て)汐莉ちゃんに幸福が訪れますように、って願ってるんだろ?」
菜摘「(サガリバナを見ながら)うん・・・」
鳴海「(サガリバナを見ながら)あいつに幸せになって欲しいと思う奴は俺たち以外にもたくさんいる、だからきっと奇跡が応えてくれるさ」
時間経過
鳴海と菜摘はたくさんの葉を宿したヒカゲヘゴを見ている
ヒカゲヘゴの大きさは5mほどある
菜摘「(たくさんの葉を宿したヒカゲヘゴを見ながら)鳴海くん、前はそんな簡単に奇跡って言わなかったよね」
鳴海「(たくさんの葉を宿したヒカゲヘゴを見ながら)今だってタイミングを見計らって言ってるつもりだぞ」
菜摘「(たくさんの葉を宿したヒカゲヘゴを見ながら)そうかもしれないけど、前はもっと嫌がってたよ」
鳴海「(たくさんの葉を宿したヒカゲヘゴを見ながら)俺も大人になったってことさ」
時間経過
鳴海と菜摘は人工の小さな滝を見ている
鳴海「(人工の小さな滝を見ながら)昔、家族で本物の滝を見たことがあったんだ。枝分かれした部分が竜の頭に見えるからって理由で、竜頭の滝っていう名前でさ。(少し間を開けて)滝の名前だけじゃないが、こういうことは今でもくだらないって思う時がある。頭の中で、存在しない生き物の名前を付けるなんて馬鹿げてるだろってなるんだ」
菜摘「(人工の小さな滝を見ながら)馬鹿げているから素敵なのかもしれないよ」
少しの沈黙が流れる
鳴海「(人工の小さな滝を見ながら少し笑って)菜摘のそういうところは俺よりも更に大人だな」
◯2320植物園/カフェ(昼過ぎ)
植物園の中のカフェにいる鳴海と菜摘
植物園の中のカフェはオシャレなデザインをしている
植物園の中のカフェには鳴海と菜摘の他にも数人の客がいる
鳴海と菜摘はテーブルを挟んで向かい合って椅子に座っている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
鳴海と菜摘のテーブルの上には野菜カレーが置いてある
昼食を食べている鳴海と菜摘
鳴海は野菜カレーを一口食べる
鳴海「(野菜カレーを一口食べて)魚なんて普段は市場で並んでる奴らを見る方が多いくらいだぞ」
菜摘「じゃあ金魚はいると思う?」
鳴海「祭りじゃあるまいし金魚はいないだろ・・・」
少しの沈黙が流れる
鳴海「ぺ、ペンギンとかイルカは見れるぞ菜摘」
菜摘「じゃあイルカショーも・・・?」
鳴海「あ、ああ。う、噂によるとご長寿イルカが名物らしいんだ」
菜摘「お爺ちゃんなの?」
鳴海「じ、ジジイだったかババアだったかは忘れたが長生きなのは間違いない」
菜摘は野菜カレーを一口食べる
菜摘「(野菜カレーを一口食べて)クジラはいるかな、シロナガスクジラ」
鳴海「何で小さい金魚か巨大なクジラにしか興味がないんだ・・・」
菜摘「シロナガスクジラはいると思う?」
鳴海「いないだろ・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海は野菜カレーを一口食べる
鳴海「(野菜カレーを一口食べて)な、菜摘は水族館に行ったことがないのか?」
菜摘「小さい頃に一回だけあるよ」
鳴海「通りでシロナガスクジラを期待するわけだな・・・」
菜摘「早乙女家は動物園に行くことの方が多かったんだ」
鳴海「目当ての動物でもいたのか?」
菜摘「うん、私はキツネで、お父さんはライオン、お母さんはツキノワグマ」
鳴海「ワイルドだな・・・すみれさん・・・」
菜摘「お母さんは実は大胆なんだよ鳴海くん、5歳の私が触れ合い広場でモルモットを抱っこしている間、お母さんは爬虫類コーナーで大蛇を首に巻いてたくらいだもん」
鳴海「じゅ、潤さんは何をしていたんだ」
菜摘「お父さんは私と一緒に触れ合い広場でうさぎを撫でてたよ」
鳴海「そ、そうか」
少しの沈黙が流れる
菜摘は野菜カレーを一口食べる
菜摘「(野菜カレーを一口食べて)鳴海くんも大蛇を首に巻ける?」
鳴海「あー・・・ど、どうだろうな」
菜摘「水族館にも大蛇がいたら良いね」
鳴海「か、仮に大蛇がいたとしたら何をするんだ」
菜摘「それはもちろん写真を撮らないと」
鳴海「そ、そんな写真要らないだろ」
菜摘「もしかして鳴海くん・・・怖いの・・・?」
鳴海「こ、怖くはないぞ!!だ、大蛇なんてチワワみたいなもんだからな!!」
菜摘「でもチワワ10匹よりも大蛇の方が長いよ」
再び沈黙が流れる
鳴海「そ、それにしてもイルカショーが楽しみだ、ご、ご長寿イルカが飛んだり跳ねたりする姿は滅多に見れないはずだぞ菜摘」
菜摘「飛ぶのも跳ねるのも意味は同じだと思う」
少しの沈黙が流れる
鳴海「俺も歳を取ったら、すみれさんが潤さんを軽くあしらってるみたいに菜摘に受け流されるようになるのかもしれないな・・・」
菜摘「お母さんは時々お父さんのことを構ってあげてるよ」
鳴海「その言い方からして潤さんはもう旦那というより子供じゃないか・・・」
菜摘「賑やかなのも面倒を見るのも好きなのが私のお母さんだもん。だから鳴海くんのことを我が子同然だって言ったのは、鳴海くんが親友夫婦の息子なのと、純粋に楽しいって気持ちの両方があるからじゃないかな」
鳴海は野菜カレーを一口食べる
鳴海「(野菜カレーを一口食べて)俺の両親もすみれさんくらいしっかり者だったら良かったよ、全く」
菜摘「しっかりしてなかったの?」
鳴海「親がしっかりしていたら俺はもっと真面目な奴になってたさ」
菜摘「鳴海くんは真面目だよ」
鳴海「食虫植物でいたずらするけどな・・・」
菜摘「それは・・・そうだけど・・・(少し間を開けて)私はしっかりしてないし・・・弱いし・・・一人じゃ何も出来ないし・・・周りにいる人たちのことも分かってなかった・・・私は劣等生だよ鳴海くん」
鳴海「な、何を言うんだ、高三の時くすぶっていた俺や嶺二の道を切り開いたのは菜摘なんだぞ」
再び沈黙が流れる
鳴海「み、南のことを忘れろとは言わないが、これ以上あいつのことで頭を悩ませたって楽しい時間が無駄に過ぎるだけだろ菜摘」
菜摘「うん・・・」
◯2321水族館前(昼過ぎ)
水族館の前にいる鳴海と菜摘
水族館は大きい
学生、カップル、家族連れなどたくさんの人が水族館に向かっている歩いている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
水族館の前にはA型看板が立っている
A型看板には”イルカのストロベリーちゃんが老衰で亡くなったため、本日のイルカショーは中止とさせていただきます”と書かれてある
A型看板を見ている鳴海と菜摘
鳴海「(A型看板を見ながら)イルカなのにストロベリーって・・・しかも中止か・・・」
◯2322水族館/珊瑚礁エリア(昼過ぎ)
水族館の中の珊瑚礁エリアにいる鳴海と菜摘
水族館の中の珊瑚礁エリアにはたくさんの水槽があり、様々な種類の熱帯魚が泳いでいる
水族館の中の珊瑚礁エリアには鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がいる
水族館の中の珊瑚礁エリアにいる人たちはスマホで写真を撮ったりしている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
水族館の中の珊瑚礁エリアを見て回っている鳴海と菜摘
鳴海と菜摘は大きな水槽の前で立ち止まる
大きな水槽の中にはたくさんの熱帯魚が泳いでいる
大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見ている鳴海と菜摘
鳴海「(大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見ながら)綺麗だな」
少しの沈黙が流れる
菜摘「(大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見ながら)今の汐莉ちゃんは・・・水槽の中を泳ぐ魚よりも狭い世界で生きているのかも・・・」
鳴海「(大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見ながら)た、多少狭くてもその分危険はないし仲間に囲まれてるんだから幸せさ」
菜摘「(大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見ながら)でも・・・この間の汐莉ちゃんは幸せそうじゃなかった・・・」
鳴海「(大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見ながら)む、昔動物園でモルモットを抱っこした時もそんな複雑なことを考えていたのか」
菜摘「(大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見ながら)昔は・・・違うよ・・・(少し間を開けて)私だって大人になったんだもん・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海は大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見るのをやめる
鳴海「(大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見るのをやめて)し、幸せには色んな種類があるだろ菜摘、だから南だってそのうち今の生活に見合った幸福を見つけるはずだ」
菜摘は大きな水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見るのをやめる
俯く菜摘
鳴海「く、暗いことは考えずに楽しもうじゃないか菜摘」
菜摘「(俯いたまま)そうだね・・・」
菜摘は俯いたまま歩き出す
俯いている菜摘について行く鳴海
鳴海「い、イルカは見れないが、あ、アシカのショーならやってるらしいぞ、後で行ってみないか?」
菜摘「(俯いたまま)鳴海くんは見たいの・・・?」
鳴海「も、もちろんだ」
少しの沈黙が流れる
鳴海は数匹のイヌザメが泳いでいる水槽の前で立ち止まる
鳴海「(数匹のイヌザメが泳いでいる水槽の前で立ち止まって)ま、待ってくれ菜摘
菜摘は俯いたまま立ち止まる
菜摘「(俯いたまま立ち止まって)何・・・?」
再び沈黙が流れる
鳴海は水槽の中で泳いでいる一匹のイヌザメを指差す
鳴海「(水槽の中で泳いでいる一匹のイヌザメを指差して)こ、このサメ誰かに似てると思わないか」
菜摘は顔を上げる
鳴海が指差している水槽の中の一匹のイヌザメを見る菜摘
菜摘「(鳴海が指を差している水槽の中の一匹のイヌザメを見たまま)誰かって・・・?」
鳴海「(水槽の中で泳いでいる一匹のイヌザメを指差したまま)よ、よく目を凝らして見るんだ菜摘、答えが自ずと浮かび上がって来るだろ・・・?」
菜摘「(鳴海が指を差している水槽の中の一匹のイヌザメを見たまま)誰のことを言ってるのか分からないよ」
鳴海「(水槽の中で泳いでいる一匹のイヌザメを指差したまま)こ、こいつは嶺二にそっくりじゃないか!!」
菜摘「(鳴海が指を差している水槽の中の一匹のイヌザメを見たまま)れ、嶺二くんに?」
鳴海「(水槽の中で泳いでいる一匹のイヌザメを指差したまま)そ、そうだ」
少しの沈黙が流れる
菜摘「(鳴海が指を差している水槽の中の一匹のイヌザメを見たまま)嶺二くんとは波音高校を卒業して以来会ってないけど・・・こんな顔じゃなかったと思う・・・」
鳴海「(水槽の中で泳いでいる一匹のイヌザメを指差したまま)いや、あいつにそっくりだろ。もしかするとこの水槽の中には嶺二の生き別れの妹が・・・」
菜摘「(鳴海が指を差している水槽の中の一匹のイヌザメを見るのをやめて鳴海の話を遮って)鳴海くん、嶺二くんは人だよ」
鳴海「(水槽の中で泳いでいる一匹のイヌザメを指差したまま)な、何でそんなことが分かるんだ、あいつは魚と人間のハーフって可能性もあるんだぞ」
再び沈黙が流れる
菜摘「私、クラゲのエリアを見に行きたい」
鳴海は水槽の中で泳いでいる一匹のイヌザメを指差すのをやめる
鳴海「(水槽の中で泳いでいる一匹のイヌザメを指差すのをやめて)お、おう、俺も嶺二よりもクラゲが見たいと思ってたところだ」
菜摘「嶺二くんには似てないよ」
鳴海「そ、そうか?お、俺はてっきり沈没しかけた嶺二かと・・・」
◯2323水族館/クラゲエリア(昼過ぎ)
水族館の中にあるクラゲエリアにいる鳴海と菜摘
水族館の中のクラゲエリアにはたくさんの水槽があり、様々な種類のクラゲが泳いでいる
水族館の中のクラゲエリアは薄暗く、弱い青の照明が水槽とクラゲエリアを照らしている
水族館の中のクラゲエリアには鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がいる
水族館の中のクラゲエリアにいる人たちはスマホで写真を撮ったりしている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ている鳴海と菜摘
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ながら)猛毒があるのか・・・ま、まるで一条だな」
菜摘「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ながら)雪音ちゃん?」
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ながら)あ、あいつは少しでも近付くと猛毒を振るうだろ」
菜摘「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ながら)そうかな」
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ながら)何度俺が一条の毒にやられては立ち上がったか・・・」
菜摘「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ながら)いつそんなことがあったの?」
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ながら)きょ、去年だ」
菜摘「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ながら)去年のいつ・・・?」
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見ながら)俺がスキップで下校をしているとだな、あいつが背後から毒を塗った吹き矢で俺を狙って来たんだよ」
菜摘は水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見るのをやめる
菜摘「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見るのをやめて)な、鳴海くんがスキップしながら下校・・・?」
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハブクラゲを見るのをやめて)な、何かおかしいか」
菜摘「な、鳴海くんがスキップをしてる姿なんて想像がつかないよ」
鳴海「そ、想像がつかないようなことをしてるから面白いんだろ」
菜摘「そ、そうだね、(少し間を開けて)確かに考えただけでもちょっと笑えちゃうかも」
鳴海はチラッと菜摘のことを見る
◯2324水族館/淡水魚エリア(昼過ぎ)
水族館の中にある淡水魚エリアにいる鳴海と菜摘
水族館の中の淡水魚エリアにはたくさんの水槽があり、様々な種類の淡水魚が泳いでいる
水族館の中の淡水魚エリアには鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がいる
水族館の中の淡水魚エリアにいる人たちはスマホで写真を撮ったりしている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
水槽の中を泳いでいるハイギョを見ている鳴海と菜摘
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハイギョを見ながら)こ、こいつは明日香に似てるな」
少しの沈黙が流れる
菜摘「(水槽の中を泳いでいるハイギョを見ながら)鳴海くん」
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハイギョを見ながら)な、何だ」
菜摘「(水槽の中を泳いでいるハイギョを見ながら)本人たちがいないからって何でも言って良いわけじゃないと思うよ」
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハイギョを見ながら)お、俺は感じたことをそのまま口にしてるだけだ」
菜摘「(水槽の中を泳いでいるハイギョを見ながら)鳴海くんに悪意がなかっとしても、言っちゃいけないことがあるんじゃないかな」
再び沈黙が流れる
鳴海は水槽の中を泳いでいるハイギョを見るのをやめる
鳴海「(水槽の中を泳いでいるハイギョを見るのをやめて)か、完全にすみれさんが潤さんを悟すのと同じムーブメントが出来上がってないか」
菜摘「(水槽の中を泳いでいるハイギョを見るのをやめて)変なことを言う鳴海くんがいけないんだもん」
◯2325水族館/触れ合いエリア(昼過ぎ)
水族館の中にある触れ合いエリアにいる鳴海と菜摘
水族館の中にある触れ合いエリアには小さな磯場が出来ており、ヒトデ、なまこ、ウニ、ヤドカリ、蟹などに触れることが出来るようになっている
水族館の中にある触れ合いエリアには鳴海と菜摘の他にも小さな子供とその保護者たちがたくさんいる
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
イトマキヒトデを手に持って見ている鳴海
菜摘は小さなヤドカリを手のひらに乗せている
鳴海「(イトマキヒトデを手に持って見ながら小声でボソッと)い、いきなり大蛇は無理だよな・・・」
菜摘「(小さなヤドカリを手のひらに乗せたまま)ヤドカリって可愛いんだ・・・」
◯2326水族館/トンネル水槽(昼過ぎ)
水族館にあるトンネル水槽の中にいる鳴海と菜摘
水族館にあるトンネル水槽の中ではウミガメ、トラフザメ、ウツボ、エイ、ナポレオンフィッシュ、アジ、フグなど様々な生物が泳いでいる
水族館にあるトンネル水槽の中には鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がいる
水族館にあるトンネル水槽の中にいる人たちはスマホで写真を撮ったりしている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
トンネル水槽の中を泳いでいる生物を見ている鳴海と菜摘
鳴海「(トンネル水槽の中を泳いでいる生物を見ながら)ウミガメもいるのか」
菜摘「(トンネル水槽の中を泳いでいる生物を見ながら)えっ?どこ?」
菜摘はトンネル水槽の中を泳いでいる生物を見ながらウミガメを探す
菜摘はトンネル水槽の中を泳いでいる生物を見ながらウミガメを探すが、見つけられない
トンネル水槽の中を泳いでいる生物を見ながらウミガメを指差す鳴海
鳴海「(トンネル水槽の中を泳いでいる生物を見ながらウミガメを指差して)ほら、あそこだ」
菜摘「(トンネル水槽の中を泳いでいる生物を見てウミガメを探しながら)分からないよ」
鳴海はトンネル水槽の中を泳いでいる生物を見ながらウミガメを指差すのをやめる
トンネル水槽の中を泳いでいる生物を見るのをやめる鳴海
鳴海は菜摘の後ろに周り、菜摘の腕を上げてトンネル水槽の中を泳いでいるウミガメを菜摘の手で指差す
鳴海「(後ろから菜摘の腕を上げ、トンネル水槽の中を泳いでいるウミガメを菜摘の手で指差して)見えたか?」
菜摘「(鳴海に腕を上げられてトンネル水槽の中を泳いでいるウミガメを指差したまま)う、うん」
鳴海「(後ろから菜摘の腕を上げ、トンネル水槽の中を泳いでいるウミガメを菜摘の手で指差して少し笑って)良かったな」
鳴海は菜摘の腕を上げるのをやめて菜摘から少し離れる
トンネル水槽の中を泳いでいるウミガメを指差すのをやめる菜摘
鳴海「写真、撮ってやるぞ菜摘」
菜摘「い、良いの?」
鳴海「当たり前だ、そのためにこいつを持って来たんだからな」
鳴海は一眼レフカメラの電源を入れる
一眼レフカメラのファインダーを覗く鳴海
鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いて)後で今日撮った写真をCGグラフィックで加工して人魚とか魚人を追加するか」
菜摘「そ、そんな加工要らないよ」
鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま)菜摘」
菜摘「な、何?」
鳴海は一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま菜摘とトンネル水槽の中を泳いでいる生物を撮る
鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま菜摘とトンネル水槽の中を泳いでいる生物を撮って)人魚と魚人はただの冗談だ」
菜摘「(一眼レフカメラで鳴海に写真を撮られて)わ、分かってるよ!!」
鳴海は一眼レフカメラのファインダーを覗くのをやめる
鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗くのをやめて)ウミガメに写真が撮り辛いからなるべくじっとするように伝えてくれ菜摘」
菜摘「ど、どうやって伝えれば良いの?」
鳴海「以心伝心・・・いや、テレパシーと言うべきか」
菜摘「そ、そんなの出来ないよ」
鳴海は再び一眼レフカメラのファインダーを覗く
鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いて)動かないでくれって菜摘が念じたらウミガメも言うことを聞いてくれるはずだ、イメージ的にはスプーン曲げと同じだな」
菜摘「わ、私スプーン曲げなんかしたことないもん」
鳴海は一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま菜摘とトンネル水槽の中を泳いでいる生物を続けて何枚か撮る
鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま菜摘とトンネル水槽の中を泳いでいる生物を続けて何枚か撮りながら)俺もないぞ」
菜摘「(一眼レフカメラで鳴海に写真を撮られながら)か、からかわないでよ鳴海くん」
鳴海「(一眼レフカメラのファインダーを覗いたまま菜摘とトンネル水槽の中を泳いでいる生物を続けて何枚か撮りながら)悪い、菜摘を笑わせたかったんだ」
菜摘「(一眼レフカメラで鳴海に写真を撮られながら)も、もう笑ってるから鳴海くんは変なことを言わなくても良いのに・・・」
◯2327水族館/ガチャガチャコーナー(昼過ぎ)
水族館の中にあるガチャガチャコーナーにいる鳴海と菜摘
水族館の中にあるガチャガチャコーナーにはたくさんのガチャガチャが設置されており、海洋生物の小さなフィギュア、キーホルダー、缶バッジなどが売られている
水族館の中にあるガチャガチャコーナーには記念メダル販売機が設置されている
水族館の中にあるガチャガチャコーナーに設置されている記念メダル販売機は、名前や日付が彫れるようになっている
水族館の中にあるガチャガチャコーナーには鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がいてガチャガチャを回している
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
鳴海と菜摘はそれぞれガチャガチャをしている
鳴海と菜摘がしているガチャガチャのラインナップはイルカ、ウミガメ、ミズクラゲ、コウテイペンギン、ジンベイザメ、ダイオウグソクムシのフィギュア
鳴海はガチャガチャに100円玉を3枚入れる
ガチャガチャを回す鳴海
鳴海が回したガチャガチャからカプセルが1つ出て来る
鳴海はガチャガチャから出て来たカプセルを手に取る
鳴海「(ガチャガチャから出て来たカプセルを手に取って)来てくれ!!ジンベイザメかイルカ!!」
鳴海と同じフィギュアが出るガチャガチャを鳴海の隣で回している菜摘
菜摘はガチャガチャに100円玉を3枚入れる
菜摘が回したガチャガチャからカプセルが1つ出て来る
菜摘はガチャガチャから出て来たカプセルを手に取る
カプセルを開ける鳴海
鳴海のカプセルの中身はミズクラゲ
鳴海「ハズレを引いちまった・・・」
菜摘「何が出たの?鳴海くん」
鳴海「ハズレと言ったらあれしかないだろ・・・」
菜摘「えっ?も、もしかしてダイオウグソクムシ・・・?」
鳴海「いや・・・ミズクラゲだ・・・」
菜摘「み、ミズクラゲはハズレなんだね」
鳴海「そりゃそうだろ・・・」
菜摘「わ、私はミズクラゲ狙いだよ」
鳴海「じ、ジンベイザメじゃないのか」
菜摘「うん」
菜摘はカプセルを開ける
菜摘のカプセルの中身はダイオウグソクムシ
少しの沈黙が流れる
鳴海「ど、どうかしたのか菜摘」
菜摘「ハズレが・・・出ちゃった・・・」
鳴海「と、ということはミズクラゲだったんだな」
菜摘「違うよ・・・」
鳴海「な、何が出たんだ?」
菜摘はカプセルの中のダイオウグソクムシを鳴海に見せる
鳴海「(菜摘が持っているカプセルの中のダイオウグソクムシを見て)お、おう・・・こいつか・・・水中ダンゴムシ・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海「(菜摘が持っているカプセルの中のダイオウグソクムシを見たまま)で、でもよく見たら格好良いよな!!あ、足もいっぱい生えてるしさ!!」
菜摘「(カプセルの中のダイオウグソクムシを鳴海に見せたまま)ぜ、全然格好良くないよ!!むしろ気持ち悪いもん!!」
鳴海「(菜摘が持っているカプセルの中のダイオウグソクムシを見たまま)む、虫みたいな見た目なのに水の中で暮らしてるって凄いじゃないか」
菜摘「(カプセルの中のダイオウグソクムシを鳴海に見せたまま)そ、そんなことを言われても全く魅力を感じないよ!!」
鳴海「(菜摘が持っているカプセルの中のダイオウグソクムシを見たまま)た、例えるならバッタの容姿を持ちながら犬のように嗅覚が優れてるのと同じだぞ菜摘」
菜摘「(カプセルの中のダイオウグソクムシを鳴海に見せたまま)鳴海くんの言ってること・・・めちゃくちゃになってない・・・?」
少しの沈黙が流れる
鳴海「(菜摘が持っているカプセルの中のダイオウグソクムシを見たまま)も、もう一回回せば良いじゃないか」
菜摘はカプセルの中のダイオウグソクムシを鳴海に見せるのをやめる
菜摘「(カプセルの中のダイオウグソクムシを鳴海に見せるのをやめて)やめとくよ・・・またダイオウグソクムシが出ても困るし・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海は菜摘が持っているダイオウグソクが入っているカプセルを奪い取る
菜摘「(鳴海にダイオウグソクが入っているカプセルを奪い取られて)い、いくら気持ち悪いからって捨てなくても良いよ鳴海くん」
鳴海「別に捨てるわけじゃないけどな・・・」
鳴海はミズクラゲが入っているカプセルを菜摘に差し出す
鳴海「(ミズクラゲが入っているカプセルを菜摘に差し出して)交換だ」
菜摘「(ミズクラゲが入っているカプセルを鳴海に差し出されたまま)えっ・・・い、良いの・・・?」
鳴海「(ミズクラゲが入っているカプセルを菜摘に差し出したまま)お、俺は元からダイオウグソクムシの一点狙いだったからな」
菜摘「(ミズクラゲが入っているカプセルを鳴海に差し出されたまま)な、鳴海くん、来てくれ!!ジンベイザメかイルカ!!って言ってたよ」
鳴海「(ミズクラゲが入っているカプセルを菜摘に差し出したまま)あ、敢えて狙いと違う奴を口にした方が当たりが出るかと思ったんだ」
菜摘「(ミズクラゲが入っているカプセルを鳴海に差し出されたまま)そ、そうなの・・・?」
鳴海「(ミズクラゲが入っているカプセルを菜摘に差し出したまま)あ、ああ。な、菜摘はミズクラゲが欲しかったんだろ?」
菜摘「(ミズクラゲが入っているカプセルを鳴海に差し出されたまま)うん・・・」
鳴海「(ミズクラゲが入っているカプセルを菜摘に差し出したまま)だ、だったら交換しようじゃないか」
菜摘「(ミズクラゲが入っているカプセルを鳴海に差し出されたまま)で、でも・・・ダイオウグソクムシ・・・気持ち悪くない・・・?」
鳴海「(ミズクラゲが入っているカプセルを菜摘に差し出したまま)か、格好良いって言っただろ」
少しの沈黙が流れる
鳴海「(ミズクラゲが入っているカプセルを菜摘に差し出したまま)お、俺はガキの頃から虫が好きでさ、だからダイオウグソクムシの見た目は全く気にならないんだ」
菜摘「わ、私だって虫は平気だよ」
鳴海「(ミズクラゲが入っているカプセルを菜摘に差し出したまま)と、とにかく交換するぞ」
鳴海はミズクラゲが入っているカプセルを無理矢理菜摘に持たせる
鳴海「(ミズクラゲが入っているカプセルを無理矢理菜摘に持たせて)取引成立だ」
再び沈黙が流れる
菜摘「あ、ありがとう鳴海くん」
◯2328水族館/パフォーマンススタジアム(昼過ぎ)
水族館の屋外にあるパフォーマンススタジアムにいる鳴海と菜摘
水族館の屋外のパフォーマンススタジアムには大きなプール、たくさんの座席、動物と調教師が乗るための台がある
水族館の屋外のパフォーマンススタジアムではアシカのショーが行われている
水族館の屋外のパフォーマンススタジアムにある座席に座っている鳴海と菜摘
水族館の屋外のパフォーマンススタジアムにある座席には鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人が座っている
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
水族館の屋外のパフォーマンススタジアムにある台にはアシカとアシカの調教師が乗っている
アシカの調教師はバレーボールを持っている
アシカの調教師「アシカのミカンちゃんにボールをパスしたい人はいるかなー?」
アシカのショーを見ていた子供たちが一斉に手を挙げる
子供たちに混ざって鳴海が勢いよく手を挙げる
鳴海「(勢いよく手を挙げて大きな声で)は、はい!!!!」
菜摘「(手を挙げた鳴海のことを見て驚いて)ええっ!?な、鳴海くん!?」
鳴海「(手を挙げたまま)ま、任せとけ菜摘!!あ、アシカよりも俺の方が器用だってことを証明してやるぞ!!」
菜摘「(手を挙げている鳴海のことを見たまま)しょ、勝負じゃないんだよ鳴海くん」
鳴海「(手を挙げたまま)い、いや、これは男と男の戦いだ」
菜摘「(手を挙げている鳴海のことを見たまま)み、ミカンちゃんは女の子だって言ってたけど・・・」
鳴海「(手を挙げたまま)そ、そんなことは関係ないんだよ菜摘」
菜摘「(手を挙げている鳴海のことを見たまま)そ、そうかな・・・」
アシカの調教師は手を挙げている鳴海のことを指差す
アシカの調教師「(鳴海のことを指差して)じゃあそこのお兄さん!!」
鳴海「(手を挙げたまま)よ、よし、お、俺の曲芸を見ててくれ菜摘」
菜摘「(手を挙げている鳴海のことを見たまま)う、うん・・・」
鳴海は手を挙げるのをやめて立ち上がる
時間経過
鳴海はバレーボールを持っている
台に乗っているアシカから少し離れたところにいる鳴海とアシカの調教師
菜摘を含むアシカのショーの観客たちは鳴海とアシカのことを見ている
アシカの調教師「ボールは下から投げてくださいね」
鳴海「は、はい」
鳴海は台の上に乗っているアシカに向かってバレーボールを下投げする
鳴海「(台の上に乗っているアシカに向かってバレーボールを下投げして 声 モノローグ)こ、これも菜摘を楽しませるためだ!!きょ、協力してくれよアシカ!!」
鳴海が台の上に乗っているアシカに向かって下投げしたバレーボールはアシカの真下に落ちて来る
鳴海が下投げしたバレーボールを鼻で受け止めるアシカ
鳴海が下投げしたバレーボールをアシカが鼻で受け止めた瞬間、菜摘を含む観客から拍手が起きる
鳴海「信じてたぞアシカのミカン!!」
アシカは鼻で受け止めているバレーボールを鼻で押しプールの中に入れて鳴く
菜摘「(拍手をしながら)す、凄い!!鳴海くんの言葉に反応してる!!」
◯2329水族館/カフェテラス(夕方)
夕日が沈みかけている
水族館の屋外にあるカフェテラスにいる鳴海と菜摘
水族館の屋外のカフェテラスにはたくさんのテーブルと椅子がある
鳴海と菜摘はテーブルを挟んで向かい合って椅子に座っている
水族館の屋外のカフェテラスには鳴海と菜摘の他にも学生、カップル、家族連れなどたくさんの人がいる
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
メロンソーダを飲んでいる鳴海と菜摘
鳴海と菜摘は話をしている
鳴海「だ、だから言っただろ?お、俺とアシカは常にお互いを高め合いながら曲芸の修行をして来たって」
菜摘「鳴海くん・・・アシカよりも俺の方が器用だってことを証明してやるって言ってたよ・・・」
少しの沈黙が流れる
鳴海はメロンソーダを一口飲む
鳴海「(メロンソーダを一口飲んで)お、俺はライバルと協力したんだ」
菜摘「アシカが鳴海くんのライバルなの・・・?」
鳴海「ま、まあな。ち、因みに最後は和解したんだぞ」
菜摘「鳴海くん、アシカと喋ってたもんね」
鳴海「おう」
再び沈黙が流れる
菜摘は遠くを見る
鳴海「な、菜摘」
菜摘「(遠くを見たまま)何・・・?」
鳴海「きょ、今日・・・楽しかったか・・・?」
菜摘「(遠くを見たまま)うん、凄く楽しかったよ、ありがとう、鳴海くん」
少しの沈黙が流れる
菜摘は遠くを見るのをやめる
立ち上がる菜摘
鳴海「な、菜摘・・・?」
菜摘「ちょっと待ってて」
菜摘はどこかに走って行く
鳴海「お、おい!!どこに行くんだよ菜摘!!」
菜摘は鳴海の声を無視してそのまま走って行く
再び沈黙が流れる
鳴海「楽しんで・・・くれたんだよな・・・」
鳴海はポケットの中からダイオウグソクムシのフィギュアを取り出す
ダイオウグソクムシのフィギュアをテーブルの上に置く鳴海
少しの沈黙が流れる
ダイオウグソクムシのフィギュアを手に持つ鳴海
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを手に持って)俺の名前はゴメス、ダイオウグソクムシ界の若き王子にして人類の支配を目論むリーダーだ。任務を達成するためにも、まずは水族館にいる人間たちの神経回路をコントロールしなければならない」
再び沈黙が流れる
鳴海はダイオウグソクムシのフィギュアをテーブルの上に置く
ダイオウグソクムシのフィギュアをテーブルの上に置いて頭を抱える鳴海
鳴海「(頭を抱えて)何をやっているんだ俺は・・・こんな小芝居で菜摘が喜ぶわけないだろ・・・」
少しの沈黙が流れる
鳴海は頭を抱えるのをやめる
テーブルの上のダイオウグソクムシのフィギュアを手に取り、頭の上に乗せる鳴海
鳴海「(頭の上にダイオウグソクムシのフィギュアを乗せて)お、俺の前頭葉がダイオウグソクムシのゴメスによって支配される!!」
鳴海の周りにいる人たちは、頭の上にダイオウグソクムシのフィギュアを乗せている鳴海のことを不思議そうに見ている
再び沈黙が流れる
鳴海はダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたままため息を吐き出す
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたままため息を吐き出して)大切な人の役に立つのって難しいな・・・(少し間を開けて)一年間馬鹿な先輩たちに振り回されて来た南は・・・俺なんかよりも・・・もっと・・・」
菜摘「し、汐莉ちゃんがどうかしたの・・・?」
鳴海はダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま慌てて横を見る
鳴海の横には大きなビニール袋を持った菜摘が立っている
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま)な、菜摘、も、戻って来てたのか」
菜摘「う、うん」
菜摘はテーブルを挟んで鳴海と向かい合って椅子に座る
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま)ど、どこに行ってたんだ?」
菜摘「しょ、ショップだよ」
菜摘は大きなビニール袋からイルカのぬいぐるみを取り出す
大きなビニール袋からイルカのぬいぐるみを取り出して鳴海に差し出す菜摘
菜摘「(イルカのぬいぐるみを鳴海に差し出して)な、鳴海くんにプレゼントがしたくて」
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せて、イルカのぬいぐるみを菜摘に差し出されたまま)お、俺にか?」
菜摘「(イルカのぬいぐるみを鳴海に差し出したまま)う、うん、さ、さっきガチャガチャでもイルカを欲しがってたし・・・み、ミズクラゲとダイオウグソクムシを交換してくれたから・・・そのお返しに・・・(少し間を開けて)や、やっぱりサメの牙の化石の方が良かったかな・・・」
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せて、イルカのぬいぐるみを菜摘に差し出されたまま)そ、そんなことないぞ!!ちょ、ちょうどぬいぐるみが欲しいと思っていたんだ」
菜摘「(イルカのぬいぐるみを鳴海に差し出したまま)ほ、本当?」
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せて、イルカのぬいぐるみを菜摘に差し出されたまま)あ、ああ!!」
鳴海はダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま、イルカのぬいぐるみを菜摘から受け取る
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま、イルカのぬいぐるみを菜摘から受け取って)あ、ありがとな菜摘」
菜摘「う、ううん」
鳴海はダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま、イルカのぬいぐるみを膝の上に置く
菜摘「ふ、ふわふわしてて気持ち良いぬいぐるみなんだよ」
鳴海はダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま、膝の上のイルカのぬいぐるみを触る
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま、膝の上のイルカのぬいぐるみを触って)そ、そうだな、た、確かに良い素材だ」
菜摘「う、うん」
菜摘はメロンソーダを一口飲む
少しの沈黙が流れる
菜摘は再び遠くを見る
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま、膝の上のイルカのぬいぐるみを触って 声 モノローグ)ま、まずい・・・な、菜摘はもう水族館に飽きてるぞ・・・(少し間を開けて)ど、どうする俺、ここはダイオウグソクムシのゴメス作戦で一旦場を盛り上げ・・・いや、そもそも盛り上がるとは限らないな・・・こ、こうなったら今から動物園に・・・そ、それもダメだ・・・動物園はもうすぐ閉まるはず・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海はダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま、膝の上のイルカのぬいぐるみを触るのをやめる
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せたまま、膝の上のイルカのぬいぐるみを触るのをやめて)な、なつ・・・」
菜摘「(遠くを見たまま鳴海の話を遮って)鳴海くん」
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に、イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)な、何だ?」
菜摘「(遠くを見たまま)今から・・・どうしよう」
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に、イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)ど、どこかに行くか?」
菜摘は遠くを見たままゆっくり首を横に振る
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に、イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたままま)そ、それなら・・・(少し間を開けて)一緒に・・・い、家に帰るっていうのはどうだ、お、俺の家にさ」
菜摘は遠くを見るのをやめる
ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に、イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海のことを見る菜摘
菜摘「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に、イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海のことを見て)鳴海くんのお家に・・・?で、でもそれって・・・」
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に、イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)な、菜摘」
菜摘「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に、イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海のことを見たまま)な、何・・・?」
鳴海「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に、イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)お、俺と・・・(少し間を開けて)結婚、してくれないか」
少しの沈黙が流れる
沈みかけていた夕日が鳴海と菜摘のことを真っ赤に照らしている
菜摘「(ダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に、イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海のことを見たまま)な、鳴海くん、頭の上にダイオウグソクムシが乗ってるよ」
鳴海はイルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま、慌ててダイオウグソクムシのフィギュアを頭の上に乗せるのをやめてテーブルに置く
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま、慌ててダイオウグソクムシのフィギュアをテーブルに置いて)わ、悪い!!」
菜摘「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海のことを見たまま)う、ううん!!」
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)い、イルカは乗せたままで良いよな、菜摘から貰った物だし」
菜摘「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海のことを見たまま)も、もちろんだよ」
再び沈黙が流れる
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)お、俺と結婚してくれるか、菜摘」
菜摘「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海のことを見たまま)私で・・・良いのかな・・・鳴海くんのことを・・・悲しめたり・・・苦しめたり・・・他にも色々・・・しちゃうと思うけど・・・」
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)そ、そんな心配・・・菜摘はしなくて良い」
菜摘「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海のことを見たまま)私・・・まだまだ子供っぽいし・・・体のこともあるし・・・鳴海くんと・・・鳴海くんと一緒にいて、迷惑をかけるんじゃないかって・・・(少し間を開けて)い、嫌とかそういうのじゃないんだよ」
菜摘はイルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海のことを見るのをやめる
俯く菜摘
菜摘「(俯いて)鳴海くんと・・・結婚したい・・・だけど・・・汐莉ちゃんのこともあったから・・・本当に良いのかなって・・・私心配なんだ・・・ほ、本当に・・・私は・・・」
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま菜摘の話を遮って)菜摘」
菜摘「(俯いたまま)な、何?」
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)俺も・・・未熟者だ・・・不器用で・・・面白いことも・・・手品も出来ない・・・でも俺は・・・何があっても・・・どんなことがあっても・・・絶対に菜摘を守ってみせる」
菜摘は顔を上げる
鳴海「結婚ってさ、お互いの足りないところを補うって言ったりするだろ?もちろんそれも正しいんだろうけど、俺はお互いの弱いところを守って支え合うのも結婚なんじゃないかって気がするんだ。辛い時とか、苦しい時は・・・夫婦で守り合うんだよ、姉貴と龍さんも・・・すみれさんと潤さんも・・・(少し間を開けて)俺の・・・両親も・・・そうしていたと思うんだ。だから・・・俺たちも・・・そ、そんな夫婦になれば良いんじゃないか」
菜摘は涙を流す
菜摘「(涙を流して)私たちに・・・出来るかな・・・」
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)何を言ってるんだ菜摘、むしろ俺たちじゃなきゃ出来ないことだぞ」
菜摘「(涙を流しながら)う、うん・・・」
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)一緒に帰ろう、菜摘」
菜摘「(涙を流しながら)い、一緒に・・・鳴海くんのお家に・・・」
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)お、俺の家じゃないだろ」
菜摘「(涙を流しながら)えっ・・・?」
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)ま、間違えるなよ、俺たちの家だ」
菜摘「(涙を流しながら)そ、そっか・・・二人で暮らすことになるんだもんね・・・」
鳴海「(イルカのぬいぐるみを膝の上に乗せたまま少し笑って)ああ」
菜摘は涙を流しながらイルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海に笑顔を見せる
菜摘「(涙を流しながらイルカのぬいぐるみを膝の上に乗せている鳴海に笑顔を見せて)私、鳴海くんと一緒に帰るよ、私たちの家に」
◯2330貴志家玄関(夜)
玄関にいる鳴海と菜摘
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
鳴海はイルカのぬいぐるみが入った大きなビニール袋を持っている
靴を脱ぐ鳴海
鳴海は家に上がる
鳴海「(家に上がって)菜摘も上がれよ」
菜摘「う、うん」
菜摘は靴を脱ぐ
家に上がる菜摘
菜摘「(家に上がって)お、お邪魔します」
鳴海「そ、その挨拶はおかしいだろ」
菜摘「えっ?お、おかしいかな?」
鳴海「ふ、普通自宅に戻った時はただいまじゃないか」
菜摘「そ、そうだね・・・(少し間を開けて)た、ただいま・・・」
鳴海「お、おかえり菜摘」
◯2331貴志家キッチン(夜)
キッチンにいる鳴海と菜摘
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
冷蔵庫の中を覗いている鳴海と菜摘
冷蔵庫の中には2リットルのお茶、卵、醤油やケチャップなどの調味料しか入っていない
鳴海「(冷蔵庫の中を覗きながら)しまった・・・食材が全然ないんだった・・・」
菜摘「(冷蔵庫の中を覗きながら)す、スーパーに寄って行けば良かったね」
鳴海「(冷蔵庫の中を覗きながら)だな・・・」
鳴海は冷蔵庫を閉じる
鳴海「(冷蔵庫を閉じて)インスタント麺もないし、何か頼むか・・・」
鳴海はポケットの中からスマホを取り出す
スマホのインターネットでデリバリーを調べる鳴海
鳴海「(スマホのインターネットでデリバリーを調べて)デリバリーで良いよな?菜摘」
菜摘「だ、大丈夫だよ」
鳴海「(スマホのインターネットでデリバリーを調べながら)ピザ・・・ハンバーガー・・・中華・・・寿司・・・カレー・・・カレーはないな・・・さっき食ってるし・・・」
鳴海はスマホのインターネットでデリバリーを調べ続ける
スマホのインターネットでデリバリーを調べ鳴海に気付かれないように、冷蔵庫の冷凍室を開ける菜摘
冷蔵庫の冷凍室の中には、◯1896の鳴海が残した椎茸のバター醤油焼きがある
◯1896の鳴海が残した椎茸のバター醤油焼きは、◯1896で菜摘が作った物の残り
◯1896の鳴海が残してタッパーに入れた椎茸のバター醤油焼きを見ている菜摘
鳴海「(スマホのインターネットでデリバリーを調べながら)菜摘は食べたいものはあるか?」
少しの沈黙が流れる
鳴海はスマホのインターネットでデリバリーを調べるのをやめる
鳴海「(スマホのインターネットでデリバリーを調べるのをやめて)菜摘?どうかしたか?」
菜摘は◯1896の鳴海が残してタッパーに入れた椎茸のバター醤油焼きを見るのをやめる
菜摘「(◯1896の鳴海が残してタッパーに入れた椎茸のバター醤油焼きを見るのをやめて)な、何でもないよ」
鳴海はチラッと◯1896の鳴海が残してタッパーに入れた椎茸のバター醤油焼きを見る
冷蔵庫の冷凍室を閉じる菜摘
再び沈黙が流れる
鳴海は再びスマホのインターネットでデリバリーを調べ始める
鳴海「(スマホのインターネットでデリバリーを調べながら)た、食べたいものがあったら言ってくれ」
菜摘「な、鳴海くん」
鳴海「(スマホのインターネットでデリバリーを調べながら)な、何だ?き、気になる店でも思いついたか?」
菜摘「私、コンビニで大丈夫だよ」
鳴海はスマホのインターネットでデリバリーを調べるのをやめる
鳴海「(スマホのインターネットでデリバリーを調べるのをやめて)こ、コンビニはないだろ」
菜摘「だ、ダメ・・・?」
鳴海「い、一日俺に付き合わされてやっと帰って来たのにまた出かけたら菜摘の疲れが取れないじゃないか」
菜摘「そ、そんなことないよ、私元気だもん」
少しの沈黙が流れる
鳴海「こ、こういう日はさ・・・な、何か特別なものを食った方が雰囲気も出ると思うんだ」
菜摘「そ、それはそうだけど・・・」
再び沈黙が流れる
菜摘「な、鳴海くん!!わ、私とんでもないことを思いついちゃったかも!!」
鳴海「な、何だよとんでもないことって」
菜摘「い、今からピクニックしよう!!」
鳴海「ピクニック・・・?」
菜摘「う、うん!!こ、コンビニでお弁当を買ってピクニックだよ!!」
鳴海「な、菜摘、お前は今何時か知ってるのか・・・?」
菜摘「うーん・・・分からないけど多分8時半くらい・・・?」
鳴海「残念だが今は短針が9を指し長針が2を通り越したところだ」
菜摘「す、凄いね鳴海くん、体内時計でそこまで正確に測れるなんて機械要らずだよ」
鳴海「(呆れて)感心している場合じゃないだろ・・・しかも俺が時間を知っているのはさっきスマホの時計を見たからだ」
菜摘「そ、そっか。(少し間を開けて)な、鳴海くん」
鳴海「ピクニックも楽しいよ、か?」
菜摘「な、何で私が言おうとしたことが分かったの?」
鳴海「濃い一年間をずっと一緒に過ごして来たんだぞ、こういう時の菜摘の発言を予想するのは簡単なことだ」
菜摘「じゃ、じゃあ私が今何を考えているか分かる・・・?」
鳴海「レジャーシート、あるかな?だろ」
菜摘「ち、違うよ」
鳴海「レジャーシートがあるか気にならないのか?」
菜摘「そ、それも気になるけど・・・」
少しの沈黙が流れる
菜摘「な、ないの・・・?」
鳴海「多分あると思うぞ」
菜摘「よ、良かった・・・ち、因みに私が考えていたことは、コンビニのお弁当、まだ残ってるかな・・・だよ」
鳴海「レジャーシートとほとんど同じじゃないか・・・」
菜摘「そ、そうかな・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海「とりあえず今晩は中華で決まりだ」
菜摘「ぴ、ピクニック・・・」
鳴海「ピーナッツを鼻に詰めるのはやめておけ菜摘、昔それで病院に運ばれた人がいるらしいからな」
菜摘「そ、そんなことしたら危ないよ」
鳴海「だからやめておけと俺も言っているんだ」
菜摘「わ、私がしたいのはピーナッツを鼻に詰めることじゃなくてピクニックだよ」
鳴海「騙されなかったか・・・」
菜摘「な、鳴海くんにからかわれるのは私慣れてるもん」
鳴海「そのようだな・・・」
少しの沈黙が流れる
鳴海「ピクニック・・・本気でしたいのか・・・?」
菜摘「う、うん!!な、鳴海くんが良ければやりたい!!」
鳴海「分かったよ・・・(少し間を開けて)今晩だけディナーはピクニックだ」
菜摘「(嬉しそうに)やった!!ありがとう鳴海くん!!」
鳴海「おう。ピクニックで最も重要なアイテムであるレジャーシートを探して来るから菜摘は待っててくれ」
鳴海はリビングに行く
菜摘「わ、私も手伝うよ」
菜摘は鳴海について行く
鳴海「そうか、悪いな」
菜摘「う、ううん!!レジャーシートが見つからなかったらどうする?」
鳴海「その時はブルーシートを売っているスーパーかホームセンターを探すさ」
菜摘「い、急がないとお店が閉まっちゃ・・・」
鳴海と菜摘は話を続ける
鳴海「(菜摘と話をしながら 声 モノローグ)ありがとう、誰もが投げかけられたいこの言葉は、例外なく俺や南も待ち望み、一度でも聞けば心が明るく満たされるだろう。しかしそれを言って欲しい相手は限られていた。(少し間を開けて)俺たちはどうしたって、愛する人には敵わないのだ」
◯2332公園(夜)
公園にいる鳴海と菜摘
公園にレジャーシートを敷きその上に座っている鳴海と菜摘
公園には鳴海と菜摘以外に人はいない
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
夕飯を食べている鳴海と菜摘
鳴海と菜摘はコンビニのおにぎりを食べている
おにぎりを一口食べる菜摘
菜摘「(おにぎりを一口食べて)ピクニックだね、鳴海くん」
鳴海「これはピクニックというよりは、夜の10時前に公園でレジャーシートを敷いてコンビニ食を食べているだけだろ」
菜摘「お、お花見だって今の私たちと似たような感じだと思うよ」
鳴海「その花がないじゃないか」
菜摘「そ、それはちょっと時期が悪いせいだし・・・」
鳴海はおにぎりを一口食べる
鳴海「(おにぎりを一口食べて)すみれさんたちに泊まるって連絡したか?」
菜摘「ううん」
少しの沈黙が流れる
鳴海「ま、待て菜摘、れ、連絡をしてないとはどういうことだ」
菜摘「無断で外泊だよ」
菜摘はおにぎりを一口食べる
鳴海「の、呑気におにぎりを食ってる場合じゃないだろ!!」
菜摘「新発売のピリ辛エビマヨ味、鳴海くんも一口食べてみる?」
鳴海「それは美味そうだな、お言葉に甘えて少しだけ俺も・・・ってそんなことしている場合か!!」
菜摘「切れ味の良いノリツッコミが飛び出たね鳴海くん」
鳴海「な、何で連絡の一つくらいしないんだよ!!」
菜摘「だ、だって・・・(少し間を開けて)今日は鳴海くんと二人きりでエッチなことをする日だから・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海「ま、まずいぞ菜摘が壊れちまった・・・お、俺が無理矢理植物園と水族館に連れて行ったせいでおかしくなったのか・・・?それともダイオウグソクムシに脳を支配・・・(少し間を開けて)お、落ち着け俺・・・あ、明らかに自分の思考回路まで掻き乱されているぞ・・・」
菜摘「鳴海くん」
鳴海「あ、ああ」
菜摘「私最近凄いことに気付いたんだよ」
鳴海「な、何に気付いたんだ」
菜摘「鳴海くんは・・・」
鳴海「お、俺が・・・?」
菜摘「私がちょっとでも変なことを言うと尋常じゃないくらい慌てるって」
鳴海「お、俺は慌ててない!!」
菜摘「そうなの・・・?」
鳴海「こ、こう見えてもいつもの菜摘とは大幅に違う言葉に少し焦っているだけだ」
菜摘「マンネリの防止が愛の秘訣だって風夏さんが言っていたよ」
鳴海「あ、姉貴のせいで菜摘はおかしくなっているのか・・・」
菜摘「ピリ辛エビマヨ味、食べる・・・?刺激があってマンネリ防止にもなるよ」
少しの沈黙が流れる
鳴海「い、今頃俺以上にすみれさんと潤さんが慌てているんじゃないのか」
菜摘「そうだね、不在着信がたくさん入ってたもん」
鳴海「(大きな声で)な、何で無視してるんだよ!!!!」
菜摘「だって・・・お母さん・・・怒ったら怖いし・・・」
鳴海「(大きな声で)無視したらもっと怒らせるだろ!!!!」
菜摘「大丈夫だよ、多分。お父さんが警察に通報するだけだもん」
鳴海「(大きな声で)全然大丈夫じゃねえ!!!!」
菜摘「鳴海くん・・・警察のお世話になるような悪い大人になっちゃダメだよ・・・」
鳴海「(大きな声で)こ、この状況でお世話になるんだとしたら菜摘のせいだぞ!!!!」
再び沈黙が流れる
菜摘「な、鳴海くん」
鳴海「や、やめろ、い、言い訳を聞く気はない」
菜摘「ぜ、全部冗談だよ」
少しの沈黙が流れる
菜摘「お、面白かった・・・?」
鳴海「(大きな声で)お、面白いわけあるか!!!!」
菜摘「こ、渾身の連続ボケだったんだよ」
鳴海「た、頼むから次はもっと柔らかいボケにしてくれ・・・」
菜摘「う、うん・・・」
鳴海「す、すみれさんたちには連絡してるんだな?」
菜摘「し、してるよ」
鳴海「不在着信っていうのは嘘か・・・」
菜摘「う、嘘じゃなくてボケだもん」
鳴海「ど、どちらも同じだ」
菜摘「わ、私鳴海くんほどぽんぽん嘘はつかないよ」
鳴海「お、俺の嘘は仕方がなく罪悪感に胸を痛めながらついているんだぞ」
再び沈黙が流れる
鳴海「す、すみれさんや潤さんに心配をかけ過ぎないようにな、親なんだからさ」
菜摘「それは鳴海くんにも言えるんじゃないかな・・・」
鳴海「俺の親は・・・(少し間を開けて)ああ・・・気を付けるよ」
菜摘「う、うん」
菜摘はおにぎりを一口食べる
鳴海「いつか・・・みんなで集まって騒ぐか・・・」
菜摘「さ、騒ぐって何するの?」
鳴海「何も考えずに遊んで、飯を食って、日が登るまで適当にどんちゃん騒ぎをするんだ」
菜摘「楽しそうだね」
鳴海「そうだろ」
鳴海はおにぎりを一口食べる
鳴海「(おにぎりを一口食べて)因みに俺のおにぎりもピリ辛エビマヨ味だぞ菜摘」
菜摘「えっ?同じ味だったの?」
鳴海「まあな、マンネリ対策だ」
菜摘「わ、私は美味しそうだと思って買ったんだよ」
鳴海「俺だってそうだぞ」
菜摘「ま、マンネリ対策じゃなかったの?」
鳴海「(少し笑って)毎日幸せで楽しく過ごしてるんだからマンネリ対策なんか必要ないだろ」
◯2333貴志家リビング(深夜)
リビングに一人いる鳴海
鳴海はテーブルに向かって椅子に座っている
鳴海の髪の毛は綺麗な金髪になっている
テレビのワイドショーを見ている鳴海
ニュースキャスター1「減刑と引き換えに自衛隊で労働するというこのシステム、大きく物議を醸している一方で、若い世代の間では早くも受け入れる声が上がっています。東京、渋谷でインタビューした・・・」
お風呂上がりの菜摘がリビングにやって来る
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっており、濡れている
菜摘は鳴海の部屋着を着ている
菜摘が着ている鳴海の部屋着は大きく、サイズが合っていない
菜摘「お、お待たせ鳴海くん」
鳴海はテレビのワイドショーを見るのをやめる
鳴海「(テレビのワイドショーを見るのをやめて)お、おう。お、温泉みたいな風呂だったろ」
菜摘「ふ、普通のお風呂・・・う、うん!!そ、そうだね!!お、温泉みたいだったかも!!」
鳴海「俺のボケが逆に菜摘に気を遣わせたようだな・・・」
菜摘「で、でも本当に良い湯加減だったよ」
鳴海「そ、そうか」
鳴海は立ち上がる
鳴海「(立ち上がって)じゃ、じゃあ俺も風呂に入って来るからさ」
菜摘「う、うん、の、のぼせないようにね鳴海くん」
鳴海「おう」
◯2334貴志家鳴海の自室(深夜)
鳴海の部屋にいる鳴海と菜摘
鳴海の部屋は物が少なく、ベッドと勉強机くらいしか目立つ物はない
机の上にはパソコン、菜摘とのツーショット写真、菜摘から貰った一眼レフカメラ、くしゃくしゃになったてるてる坊主、フレームに入った一枚の写真、◯2091の結婚式会場/披露宴場で鳴海と菜摘が風夏に抱き寄せられて写っている写真、菜摘がクリスマスに汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレット、水族館のガチャガチャで手に入れたダイオウグソクムシのフィギュア、ミズクラゲのフィギュア、菜摘が鳴海にプレゼントしたイルカのぬいぐるみが置いてある
机の上のてるてる坊主には顔が描かれている
机の上のフレームに入った一枚の写真には、ホテルらしき披露宴場で水色のウェディングドレスを着た20歳頃の由夏理と、タキシードを着た同じく20歳頃の紘が写っている
机の上のフレームに入った一枚の写真は、◯2097で約30年前に潤が披露宴場で由夏理と紘を撮った時の物
机の上の◯2091の結婚式会場/披露宴場で鳴海と菜摘が風夏に抱き寄せられて写っている写真には、手書きの赤い文字で”我が愛する弟と妹に幸あれ❤︎”と書かれている
机の上の◯2091の結婚式会場/披露宴場で鳴海と菜摘が風夏に抱き寄せられて写っている写真は、滅びかけた世界の老人が持っている写真と完全に同じ
同じベッドの上で横になっている鳴海と菜摘
菜摘はクリスマスに鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスを首にしている
鳴海と菜摘の髪の毛は綺麗な金髪になっている
菜摘は鳴海の部屋着を着ている
菜摘が着ている鳴海の部屋着は大きく、サイズが合っていない
カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる
鳴海「せ、狭いだろ?」
菜摘「ううん、平気」
少しの沈黙が流れる
鳴海「ベッド、大きいのを買わないとな」
菜摘「キングサイズ・・・?」
鳴海「そ、それはでか過ぎるだろ」
菜摘「でもキングだよ、鳴海くんの好きなキング」
鳴海「いつ俺はキングが好きだなんて言ったんだ・・・」
菜摘「じゃあクイーンサイズ・・・?」
鳴海「だ、ダブルで良いじゃないか」
菜摘「だ、ダブルだと二人しか寝れないよ」
鳴海「ふ、二人以上で寝ることなんかないだろ」
菜摘の顔が真っ赤にしている
再び沈黙が流れる
鳴海は体勢を変える
顔を真っ赤にしている菜摘のことを見る
鳴海「(顔を真っ赤にしている菜摘のことを見て)菜摘・・・」
菜摘「(顔を真っ赤にしたまま)うん・・・」
時間経過
鳴海は眠っている
両目を瞑っている菜摘
菜摘は両目を瞑ったまま汗だくになっている
少しすると菜摘は両目を開ける
ゆっくり体を起こす菜摘
再び沈黙が流れる
菜摘はチラッと机の上にある菜摘がクリスマスに汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットを見る
眠っている鳴海のことを見る菜摘
菜摘は眠っている鳴海のことを見たままベッドから出る
菜摘「(眠っている鳴海のことを見たままベッドから出て)お母さんが呼んでいるから・・・」
菜摘は眠っている鳴海のことを見たまま鳴海に手をかざす
眠っている鳴海に手をかざしたまま両目を瞑る菜摘
菜摘「(眠っている鳴海に手をかざしたまま両目を瞑って)今度は・・・私が鳴海くんを運ぶよ・・・」
眠っている鳴海が金色に光り輝き始める
菜摘「(両目を瞑り眠りながら金色に光り輝いている鳴海に手をかざして)行ってらっしゃい・・・鳴海くん・・・」