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白黒リータ!  作者: ヒラ系
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第7話『喧嘩』

何気に、見てくれる人がいらっしゃるようです。

心より感謝を。


 「おっお主がそこまで言うのなら! ……だな。仕方ない。私の配下においてやってもいい……ぞ」


 「「「……は?」」」


黒の女王、リアリーが放ったその言葉は、メアリーはおろか自国の兵ですら首をかしげるものだった。

 

 「……リアリー……?あなた一体何を……」

 「わっ私はこのメアリーのように怯えてなどおらんというのだ……。私の下で共に白を占領しようではないか……」


 髪をまたファサっとなびかせ、そう言いだすリアリー。

綺麗な細い脚はガクガクと震え、平気を装うもその澄んだ瞳は涙でいっぱいになっている。


 「バババババギャをいっ言わないで!あたしこそ配下にしてあげるんだから! しかも直属のね! あたしの配下になった挙句には、あなたの望みを存分に叶えなさい! ……黒で」

 「メッメアリー! ……貴様私を売る気かー!!」

 「リアリーこそあたしを売る気だったじゃないの!!」


 お互い恐怖のあまりか過剰に防衛本能が働いたようで、どちらかが犠牲にならねばという結論で話を進めていく。

確かにその解釈は間違っていないけれど……

 もう数分前までの威厳は微塵もなく、ただの小学生。泣きながら喧嘩する小学生そのものだった。


 

 もう思ってた展開と全然違うし、二人がどちらかを差し出さないとって必死になるもんだから僕までどちらか選ばないとって複雑な気持ちでいっぱいになった。


 そんなに泣きながら「嫌だ、嫌だ」って連呼されるの僕も嫌だ。

ごめん本当……もうどちらも選ばないしいっそのこと黙って殺されておけば良かったなんて思う。


「もう♡お兄ちゃんったら~♡人間のクズ♡」

初めて脳内妹ミニピンクちゃんを「うざい」と思った。


 「……もうどちらも選ばないから……選んだりできないから……」


 「「 ヒィッ!! 」」


 僕が口を開いた瞬間二人はピタリと言い合いをやめた。

相変わらず目は怯えている様子で、項垂れる。


 「メッメアリ―……今日の話、太陽と月の件だが……」

 「ええ……それどころじゃないわね……ここは協定を結びましょう。」

 「仕方ないな……お互いに休戦。」

 

ヒソヒソと話しているつもりなのだろう。筒抜けである。


 「えー……コホン。……あなたの望みはあたし達どちらかと結婚する事。それだけかしら」

 「え……どうして?」

 「それはだな、今お主に対する処理……失礼、対応をだな~決めているからだ。」


 本当に扱いが犯罪者や第一級危険人物に対するモノだと、処理というワードで察し、余計に後悔する。自分が良かれと思い口走った事に。


 「……僕はもう家に帰りたいです……」


 僕の放った本音は更に事態を悪化させてしまった。


 「家……だと!」

 「あなたのお家……」

そう言って二人の少女は顔を見合わせる。


 「黒ね」

 「白だろう」


 「は」


互いに一層表情を険しくし、訳の分からない言い争いを始めた。


 「こやつは見てわかる通り白の服だ! 」

 「バギャァ!? 黒でしょ?」

 「いやメアリー、よく見るのだ。白が大体を占めているじゃないか!」

 「それはあたしのセリフよ! 黒が多いわよ!」


 「一体何を……」


 「なぁお主! お主の服に多い色は白であろう?!」

 「いーえあなた! 黒が多いのよね?! そう言って頂戴!!」


 あー、なるほどね。

 白側のメアリーが黒を推し出し、黒側のリアリーが白を推し出すから何事かと思いきや、僕の服の色かよ。

 僕のボーダーは完全に均等な配色だろうし…って数えないしわかんないよ!

……なによりもどうして互いが互いの色を……?


 「どうして色を……?」


 「お主が帰りたいというのは自分の家であろう! お主は白多き体故、きっと帰る場所はメアリーの白き国であると確信したからだ!」

 「いーえ!あなたが帰る場所はご自分でおわかりですわよね? だから黒多き体なのでしょう?」


 「………………」


 先程までお互いの国へ僕を引き込もうとしていた少女達が今、僕をお互いの国から遠ざけようとしているのである。

 一体、彼女達は何に怯えているのだろうか。

そして、全てを察した僕の顔から表情と人間であった事実が消えてしまったのだが、何を訴えかけているのだろうか。


「だから僕はどっちの色でもないよぉー!!」



 今のは少女達に対してだけじゃなく、くだらない事で言い争う。

はたまた他人まで巻き込む自分の姉達に対しての怒りでもあった。

 だけど多分、この場にいない姉には届いていないだろうね。

この場にいる二人にさえ届かないんだから。


 「ふふふっごめんなさいねリアリー……あなたの負け。黒が多いわ。」

 「まだ言うかメアリー! 何度言ったら―――――」

 「頭を御覧なさい!! 間違いない確たる証拠よ!!」

 「……ハッ!! ぬわぁぁぁぁ!! 黒だー! あの美しい色は間違いなく黒だぁー!!」


僕の髪は黒だった。





同情してやってくれると公は助かるでしょう。

純粋とは、時に刃と成り得るのです。

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