第6話『芝居と覚悟』
姉さん達が、僕に着せる服は白か黒で言い争いを始めたので、僕が急遽洋服棚から引っ張り出してきた服、ボーダー。
これで姉さん二人の言い争いは止まるだろと思ったが何も効果なかった服。
それがまさかこんな場面で効果を発揮してしまった。悪い意味で。
だってまさか白と黒で別れてる国があるだなんて思わないだろ。しかも国を挙げて争ってるだなんて。
「黒の地に白を持ち込むのは大罪も大罪。死罪に値する行為と知っての行動か?」
「白の地に黒を持ち込むのは……以下省略。なぜならあたしのセリフだからよ。」
半身しか起き上がっていない状態だから、小さいであろう少女二人に見下ろされる僕。
死刑だなんて絶望的な状況にも関わらず、どこかご褒美であると思う僕の思考回路は姉さん達によって毒されていたのだろう。
「だって、パンツ見えてるんだからさぁ~死んだって悔い無いでしょ」と脳内妹、ミニピンクちゃんが囁く。
(……まずい。この少女達にとって自分のパンツを見られる事よりも、白か黒の些細な事の方が何倍も重要なのか……)
暑さと寒さが入り混じるこの環境にも完全に慣れたのか、すんなりとした動作で立ち上がる。
「……現状を打破することが何より……か。」
「何を言い出すかと思えば、抵抗する気か……」
「あたしの軍をみてもそんな気をおこすなんて、大したものね……」
「……パンツ!」
「ッな!!」
「えっち!!」
自分達のスカートを抑え、顔を赤らめる二人。
「(永遠に眺めていたかった……パンツ)僕は死なないんだよ……君たち如きの力では!」
「なにッ!? お主、この私を誰と知って言っておるのだ! 」
「そっそうよ! 破裂されたいみたいね……」
「(は……破裂!? 怖ぇ……)ハッハハハ! 実に好みな容姿だぜぇ……!(人間性よ……さらば)」
「こっこやつ……イっておるのか……!?」
「いいえリアリー……御覧なさい……目が、目が本気よ……」
「(こ、この子達は僕が猟奇的な人間の芝居をすることでこの場を去ってくれる筈……) 僕は君達のどちらかと結婚するまでは、死なないようにプログラムされた特殊な人間なのさ……。つまり僕から逃げるなら今のうちだぁ! さぁ逃げろぉ! (はやく逃げてくれぇ! 自分が恥ずかしい!) 」
己の身を守ろうとするが故に自分を傷つけるその姿は、少女二人の目にどう映っているのか。
僕は自分の勝ちを確信。交番があれば即座に出頭する覚悟でいるのだ。
ただ少女二人に恐怖してもらいたい為に。
せっかく会えた理想のロリだったけれど、自分の命を守るためだ。仕方ない。
僕はこの先、一生ロリとは縁の無い姉に囲まれた生活を送るんだろうな。
あぁ、我が妹人生に一片の悔いなし……
「……さあ! 僕から離れ――――――」
主人公がとった行動は果たして正解だったのか……