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白黒リータ!  作者: ヒラ系
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第9話『エセヴァンパイアに魔法あれ?』


「そのピ●コロというのはよくわからんが反応は面白い。褒めてつかわす」

 

あの龍玉を知らないなんて、ここはやはり僕が知る世界じゃないんだという事実を再確認する。


 「僕は君に雇われたの? 配下? まだ自分の立場がよくわかってないんだけど……」

 「なっ!命を助けた恩人に対し、まだお主は結婚をせがむか! ……こやつやはり恐ろしい……」


 どうやらリアリーも何かを再確認したらしい。

そして言葉のキャッチボールが少し苦手らしい。


 「確かに殺さないでくれたのと、温めて助けてくれたことに感謝はしてるよ。ただ、結婚は君たち二人からうまい具合に逃がして貰おうとして言っただけで、襲う気なんて微塵もなかったんだって」


 「ふんっ。大罪人は必ずそう言うのだ。」

 「本当だって!僕が今本当に望んでいるのは何より家に帰ることなんだし……」

 「はぁ……だから私の国に連れてきたのだろう……まったく、こんな恐ろしいやつ、私は見た事ないぞ……」

 「でしょ!? 僕だってこんな世界知らないんだよ! 」

 「だがメアリーと約束してしまったからなぁ~。私から休戦を申し出たがばっかりに……家まで送り届けるという実に面倒な条件を提示されてしまった……」

 「はぁ?そんな約束いいよ!家なんてここにはないんだし……」


頭を抱え、項垂れていたリアリーは僕がそう言うと急に立ち上がる。


 「ダメだ! 約束は約束! これは教育機関から課せられた試験と一致しているのだ! 必死になって回答したのに、返却された答案に刻まれていたのは0点の文字! どうしてもお父様に見せたくないが故、破り捨てたいが破るともっと怒られる! そんな状態と今回の約束はとても似ているのだ! 」


 小さな手を馬車の天井に突き上げガッツポーズ。

ちゃんと天井はリアリーの身長に配慮されて作られている。可愛い。

 それと試験0点でよく王女になれたなと感心もした。


 いや、やっぱり感心したってのは取り消し。

試験の答案と約束、破りたいのはわかるけど何が一緒の状況なの。


 「……ってことで破れん。」

チョコンと座りなおすリアリー。

 キョトンと首を傾げる僕。


 「まぁまぁ、ちゃんと探してやるから。家が見つかるまでの間私の城に住まわしてやるからな。怖いけど。本当に怖いけど。」

 「あの……念押ししないでくれるかな……傷付く。」


 「何を言うか! この国はもうじき元に戻る。お主がいるおかげでな。」

 「……なんで僕のおかげなんだよ。それに‶戻る″て何が」

 「お主がいればメアリーとの対談、争いごとで優位にたてる。だから月が取り戻しやすくなるという算段だ」


 膨らみつつある小さな胸の前で腕を組み、ここぞとばかりのドヤ顔を決めるリアリーだったが、僕の頭はついていけない。

 月は人間の思考回路を遮断する「うざい」に続く魔法の言葉だったんだ。

意味わかんない。



 「……なぁ、その月ってあの月なのか?空に浮いてる月でいいんだよな?クッキーじゃなくて。」

 「……お主……もしかして、頭悪いのか?」

 「君にだけは絶対に言われたくなかったよ。全然話が理解できないんだ、太陽とか月とか普通は奪ったりできないだろう」


 「まぁそれもそうだろう、現実的に考えて無理な話、加えて自分の家がわからないのに帰りたいなどとほざいておるお主には、もう一度この国が二つに別れた経緯やら全て叩き込みなおす必要がありそうだ……面倒メンドー。」


 「あからさまにめんどくさがるなよ……頼む教えてくれ」

 「仕方ない……――――」


 リアリーは始終めんどくさそうだったけれど、僕にこの国が分裂した理由を話してくれた。

どうやらパステル王国という国が分裂する前の国名で、元はリアリーとメアリーの父が国王だったこと。彼女たちが双子だということ。

 そして彼女達女王が互いの国で恐れられていることを教えてくれた。


 「――――― 国の事はここまで、お主が本当に結婚出来れば詳しい事を思い出すであろう。きっと結婚したい願望の塊が、お主の記憶を消したのだ。」

 「(……僕の演技はどれだけ迫真だったんだ……)……本心で言ってないって、いつになれば信じてもらえるんだろう……」


 「はぁ……お主重症の中の重症だなぁ~自分が記憶喪失という事すら忘れてるのか……? 結婚したいと申したのはお主だ。……メアリーなら結婚しても良———」

 「もういいよ。次、太陽と月の話。」


分からずやのリアリーを急かすとリアリーはニヤッと笑う。


 「‶魔法″だ。」

 「‶魔法″ッ!? 」


 「嘘だ」

 「嘘ッ!?」

 

 見た目が抜群の妹体形だから我慢できるんだろう。

これが後10回続くようなら僕の理想を変える、自分を変えなきゃいけないくらいむかつくこのロリ。


 ケタケタと満足そうに笑うリアリー。


 「嘘だが、嘘じゃない。……つまり‶魔法″と思われている。という事だ。」

 「思われてるって何が?」

 「私が太陽を消したと」

 「そっそんなことできるはず――――」


 「だからできるわけないと言っておるだろぉ! このバギャ!」


 リアリーが身を乗り出して怒鳴る。怒鳴るとはいえ、小さいし可愛い声だから可愛いとしか言えない。

僕は生まれつき語彙力が無い。


 「できないものはできないのだ! 私がもし太陽を消せるなら全部消すは! バギャ!」

 「つまり……リアリーは太陽を、奪ってない……ってこと?」

 「しつこいバギャ」

 「メアリーは勘違いしてて……いや、メアリーだけじゃない。全国民が……?」


 「ボソボソとうるさいバ――――」

 「バギャって何のことだよ!? 」


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