prologue パステル王国
よろしくお願しまス
昔々、それはそれは栄えた国があったそうだ。
その王国の名はパステル王国。国王の統治の下、国は活気で満ち溢れ、思いやりと愛情を大事にする民は、それは王国での暮らしに満足していたのである。
国王には二人の娘がいた。
名を‶リアリー″と〝メアリー″。不幸にも男の子は生まれず、王亡き後王位を継ぐのは二人のうちどちらかと言われていた。
だが、国王にはある不安があった。
リアリーとメアリーはとても仲が悪く、ことあるごとに喧嘩が絶えないという事だった。
互いの我が強すぎるせいで、何に対しても白黒付けたがる。
そんな孫娘が国王唯一の不安であったのだ。
リアリーとメアリーが11歳になった時、
国王はそんなリアリーとメアリーを残し、最愛の国民に見送られ永遠の眠りについた。
王亡き後国民はどちらの皇女が王位につくのか、そんな期待と不安に包まれながら暮らしていた頃。
リアリーとメアリーは「自分が王になった時、どんな〝色″のドレスを着るか」という実に些細な事を言い争っていた。
二人の言い争いは日をまたぐごとに激化。
国民の中には、王が依然決まらない状況に腹を立てる者もいれば、先代国王の統治下でなければ、と国を出で行く者さえ現れた。
リアリーとメアリーが12歳になった日。
約一年かけて行われた言い争いは彼女達を完全に分裂させる戦争へと発展。
白が王に相応しいとするメアリー・パステル。
黒が王に相応しいとするリアリー・パステル。
二人の皇女は王国を二つに分断。
栄華を誇ったパステル王国は白と黒の王国になってしまったのである。
国民は皆正気を失い、どちらかの国を亡ぼす他無いと。
王国は廃れてしまったという---------。