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「6まおう」

「6まおう」

夜闇に、流されたような、上空を、眺め、一人の男が

立ち尽くしていた

足下には、家来や、家臣だった者の死んだ遺体が、散在し床を、赤黒く染めていた

男は、胸元に、魔王と言う名札を付けたマントを羽織り

そんな中に、立っているのであった


「あなたの財産の半分以上を、借金に充てさせていただきます」

顔の半分を、金メッキに覆った人間族の男が、

マントの下から出したそろばんをはじきながら

魔王に、直に言ってくる

家臣たちは、今、晒し首を、城のしたらへんにさらされていた

「しかし、家臣すべてを殺さなくても良かったではないか」

魔王は、男に言うが、聞く耳を持たず

「何を今更、国民すべての命を、引き替えと考えれば、たった三人の命なんて

そうでしょ、元王様」

そろばんから目をそらし、男は、焦点の合っていない目を、魔王に向ける

「む・む・む・」

魔王は、腕を組み深くため息を付いた

すべてが、代々受け継がれてきた家臣であり

能力にしても、悪くはないのであるが

しかし、昔からの伝統を引きずり

無い金で、遊びほうけていたことを考えてみれば

そう言う政権が終わっても良かったのかも知れない

しかし、かといって新しい政治が、正しくなるとも限らない

「じゃあ、予定通り、王様には、新しい居住地の開拓

を、お願いします、もし其れが成功しましたら

伯爵の地位を約束いたします」

王と呼ばれた魔王は、丸められた羊皮紙を、受け取ると、部屋を出ていった猫背の男を見ていた

「あれが、人族という者か、なんと姑息か」

彼らの戦いは、技術大国魔界において

さも有りなんと言う風に決着を見せた

物質の変化、薬品の実験 武器の改造

などを、他の国に売ることにより

野菜の育たないこの地において

生計を、成り立たせていたが

所詮、戦争がなければ、この地など無用の産物どころか危険因子である

あらかたの戦争が終り

種族間の交配が進んだ今

部族の誇りは失われ

有るのは、快楽をよりスマートに摂取する事のみであった

その結果、戦争の火種を、我が国で、いくら起こそうとも

湿った闘志を前に、為すすべもなく

財力がつきかけたところを、あっさりと、討ち滅ぼされたわけだ

と言っても、その戦略は、トップの首を、三人差し出す

それだけであり、其れが出来ないときの報復が重すぎただけのことであった


「しかし、父上」

まだ五歳の娘が、白衣のまま

父親の下から上を見上げる

「白丸国家の言い出した条件

世界の端

つまり、この国の端に位置する

魔界に、この国の住人を移転させ

実質、将来的には、奴隷にするつもりではないでしょうか」

その土地は、ここよりも酷く

水はなく、掘って出てくる物は

硫黄を強く含んだ物ばかりであり

そんな土地に、住み着いている生物も

異様な物ばかりであり

唯一会話できる物も

ゴーストと言う意識に、写り込むあやふやなものでしかない

しかし、ここは、鉱物資源と言う意味においては

非常に優れており

命さえ、投げ出せば、非常に豊かな場所ではある

しかし、命に見合う程の物ではないと言う過去の教訓から技術大国としての発展を急いだのだ

「仕方がないだろう、ここでもう一戦するわけにもいかないだろうし」

「そうでしょうか」

娘はそう言うと、懐から、一枚の硬いカードを取り出した

いぶかしむ魔王

「其れは何だ」

娘は、少し笑った気がしたが

うつむいているのでよくは見えない

「はい、特殊な電磁波を流し思考を停止して

快楽を追い求めるようになる機械です

これを、相手国に流せば

我々が、この国を立つ前に

相手の国すべての人間が、有りもしない幻想においすがり、いつもまにか、我々のことしか聞かなくなるはずです」

本当なのかと男はいぶしがる

「それならなぜ、今まで使わなかったのだ」

いえ

彼女は首を振った

「人間たちがどれくらいで、快楽に溺れるのか

今まではかっていたのです

彼らは、少しだけの快楽でさえ

それに溺れ

ともとの友情

家族との愛

それらよりも優先して

我々が作ったこのテストの微弱な自分勝手な快楽に

溺れ、危険思考さえも優先して快楽に溺れることを優先したのです」

娘の手の中で、青いカードが、クルリと周り

裏側の赤色と混ざり其れは紫色の丁を見せた

「やるべきだろうか」

娘は、小さく首を傾げ

「これでまた武器が売れますね」

とそう、つぶやいた

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