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俺までホームランされてヤバイ

 金色の金属を合成し、更に巨大化したキングベヒモスが怒りの雄叫びを上げ、大地を揺らした。


「でっかいね〜」


 アップウが呑気な事を言っているが、とても呑気で済む話ではない。

 万物合成前でも硬くて傷が付けられない装甲だったのに、明らかに強度が増しているのがわかる。

 キングベヒモスの体の周りに、オーラのような青い光が見える。硬い上に聖障壁(ホーリーガード)付きか。どんだけチートなんだよ。


「行くぞ! 王者の烈風(キングハリケーン)


 キングベヒモスが金色の縁取りの青い両刃の両手剣を構え、横に回転しながら薙ぎ払う。

 衝撃波を伴いながら斬撃が迫る。


 ヴァイザーシールドで防ぐ。強化した装甲ですら、あまりにも強い衝撃にギリギリと音を立て始める。


「こいつはヤバイな」

「何がヤバイんだ?」


 衝撃波と斬撃を防ぎきったと思ったら、正面に見えていたはずの巨体が見当たらない。


「ヤマト! 後ろだよ〜」

「何っ!」


 慌てて振り向くが、それより先にベヒモスの両手剣がレオヴァイザーの脇腹を捉えた。

 ドギャンと言う音が響く。レオヴァイザーはまるで野球のボールのごとく神殿まで吹き飛ばされた。

 剛球となった白獅子によって神殿の壁が破壊され、もろくも崩れ落ちた。



「なんだよ。やっぱり一撃か。ハッハッハッハッハ。噂の白獅子もこんなもんだ」


 高笑いを上げるレンヤ。正直危なかった。聖剛壁ホーリープロテクションを脇腹に集中し、城壁防御(ランパート)を重ねがけしなかったら真っ二つだった。

 と、いうかキングベヒモスの両手剣はレオヴァイザーを切り裂き、運転席に座る俺の脇腹まで届いていた。

 ほんのわずかなかすり傷だが、脇腹から出血していたのだ。


「イテテ。危なかった」

「ヤマト〜大丈夫?」

「ああ、キングベヒモスは想像より遥かに強いな。まさかレオヴァイザーに穴を開けるとは」

「勝てそうなの〜?」

「わからんけど、やるしかない。同じヘマはしないさ」


 キングベヒモスが追撃してこない事をいいことに、回復の時間を稼ぐ。かなりのダメージだが、数分で治りきるはずだ。俺の脇腹かすり傷はすでに治っていた。


 硬い、攻撃力も高い。おまけに素早い。あの巨体が一瞬で背後に回ってきた。恐ろしい奴だ。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ヤマトが崩れた神殿の中で回復していた時、外ではキングベヒモスとディオニュソスが睨み合っていた。


「おい、そこの黒い奴。お前は来ないのか?」

「あぁん? 俺か?」

「ああ、お前は雑魚狩り専門だったな。ハッハッハッハッハ」

「ジン! あんな奴やっちゃいましょう!」

「黙ってろドロシー!」

「ドロシーさん。騒がなくてもジン様はあんな奴コテンパンだワン」

「ちっ! うるせぇ犬だ。こんな事なら拾わなきゃ良かったぜ」

「そんなー。あんまりだワン」


 ディオニュソスの中では、猫妖精と犬獣人の女の子が、レンヤの挑発に引っかかって騒いでいた。


「あーわかったわかった。やればいいんだろ。まったく効率悪いぜー」

「噂の白獅子の次は噂の黒豹か。丁度いい機会だから潰しておくか」

「へっへっへ。そう簡単に行くかな?」

「いいぞ。野球をしよう。お前がボールだ」

「バットが折れることもあるんだぜ?」

「折ってみろっヨッ!」


 レオヴァイザーをホームランしたキングベヒモスの両手剣が、衝撃波を起こしながら大地を薙ぎ払う。

 余裕で回避したディオニュソスの背後にキングベヒモスが現れ、鋭い斬撃が走る。

 真っ二つになるディオニュソス。


「なにっ!」

「残像だよ」


 斬られたディオニュソスが幻となって消えると同時に、キングベヒモスの頭めがけて二刀流が稲妻の様に襲った。


 ガチン! 頭に直撃したディオニュソスの雷光二刀流が強固な装甲に弾かれる。


「チッ! 白獅子よりカテェ。ったく何なんだよ」

「当たり前だろう。俺が生成し、俺が合成したゴールドアダマンはどの鉱物よりも硬い」

「何だ、ただのインチキか」

「インチキじゃねぇ! スキルだ!」


 キングベヒモスが両手剣を振り回す。だが、ディオニュソスには当たらない。

 正確に言うと当たるときもあるが、当たると幻が残像となって消える。


「空蝉か・・・お前もインチキじゃねぇか」

「インチキじゃねぇ。魔法・・・いや、忍術だ」

「そうか。ならこれはどうかな?」


 キングベヒモスの体に魔力が集まる。刹那、蒼い閃光が走る。


 眩しい光がおさまると、あわれにも崩れさりそうな忍者がいた。


王者の怒り(サンダースパーク)。全方位範囲攻撃なら避けれないだろう」

「くっ、麻痺付きか・・・体まともに動かねぇ」


 キングベヒモスの放ったサンダースパークを喰らい、麻痺状態となるディオニュソス。


「苦しいだろう? 今解放してやるよ」

「んだーっ! くそっ! 奥の手行くぜ!捕まってろ! ドロシー! ポン太!」

「はい!」

「ワン!」


 ディオニュソスが印を結ぶ。周囲から爆発的なエネルギーがディオニュソスに集まる。


臨兵闘者皆陣列在前りんひょうとうしゃかいじんれつざいぜん!」


 黒豹の赤い瞳が輝く。


「微塵隠れの術!!」




 ・・・・・・・



「あれっ? ジン? 何が起きたの?」

「てっきり爆発するかと思ったワン」


 黙るジン。


「麻痺」

「え?」

「麻痺で発動しなかかった」

「えええええ!?」


 何も起こらない事を確認して、両手剣を構えるキングベヒモス。


「終わりか? 潔く死ぬんだな!!」

「ちょっと! ジン! 奥の手!奥の手もう一回!」

「そうだワン!」

「うるせーリキャストは二時間後だ!」

「ぎゃー」


 ディオニュソスの中が大騒ぎになっているが、御構い無しに両手剣が襲う。

 ギリギリ回避する黒豹。


「お前ら、体に捕まるんじゃねぇ!」


 ディオニュソスがピンチを迎えているなか、空ではロックに乗ったポポルが助けを求めて叫んでいた。




「早く来てー早く来てーヤマトー!」


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



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