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俺のステータスでギルドが沈黙してヤバイ

 俺はギルド水晶に手を当てる。

 ギルド水晶は一瞬光ると俺のステータスを表示した。


名前  サガワ ヤマト  

種族  エルフ

性別  男

年齢  20

JOB   聖操者

レベル 1

HP    5/20

MP    5/5

STR   8

DEX   4

VIT   10

INT   3

MND   5


ギフト

無し


スキル

無し


称号

理の破壊者(フラグブレイカー)


 なんと……女神のギフトが無くなっていた。


 なるほど……どうりで脇腹が痛いままの訳だ。


 HPも残り5しかない。本当に死ぬ寸前だったんだな。

 

 冒険者4人は俺のステータスを確認すると、ヒソヒソ話しながら席に戻って行った。

 

 リンダは無言で受け付けに戻ると、イライラした顔をしながら紙に何かを書いて持って来た。

 

 こちらに目線を一切向けずにバンッと叩き付けたその紙は、なんと俺の冒険者ギルドカードだった。


「ヤマトギルドカードよかったね〜Gランクだって〜」


「G?話が違うじゃないか。ステータスを確認したらSランク確定じゃなかったのか?」


 書き殴った俺の名前と、ハサミで適当に切ったから台形になっている、ペラペラの俺のギルドカード。


 Gランクが冒険者のランクとしてどのくらいのレベルかは、俺に渡された雑なカードで何となくわかった。


 リンダは無言で、俺に向かってシッシッと追い払うジェスチャーをしている。


 まるで餌をやった野良犬を追い払うが如くだ。


 俺は折れたままの脇腹を抑え、冒険者ギルドから旅立つことにした。


 もう戻る事はないだろう。たとえリンダが泣きながら追いかけて来たとしても。




……一応ギルドの前で10分待ってみたが。やはりリンダは来なかった。




 ぐぅ〜〜


 怪我の痛みですっかり忘れていたが、そもそも腹も減っていたんだった。


 そういえば、ギルドに来る途中の路地に何件か食堂があったはず。


 幸い金はある。俺の財布はこっちの世界でも財布のままだったからだ。


 俺の財布の中には元々53200円入っていたが、その日本円は見たこともない金貨5枚銀貨3枚銅貨2枚に変化していた。

 

 たまたま家賃を振り込もうと多く持っていたからラッキーだった。


 金の確認をすますと、俺は客入の多いよさげな食堂に入る。


 メニューはまったく読めないが、適当に真ん中あたりのをジェスチャーで頼んだ。


 日本の定食屋に来た外国人はきっとこんな感じなんだろう。


 異世界の料理か……果たしてどんな料理が出てくるのだろうか?


 やはり謎のトカゲの丸焼きとかだろうか?


 注文してしばらく待つと、店員がパンと焼肉とサラダのワンプレートを持って来た。


 ボリューム満点だった。家の近くにあったら毎日でも来たい。


 問題は何の肉かだが、それは気にしない事とする。美味いんだからそれでいいのだ。


 店員が言った値段はわからなかったが、銀貨を一枚渡すと銅貨が二枚返って来た。


 ふむ。800円って事か。まあまあだな。また来よう。



 

 俺は食事を済まし、腹が膨れたのでレオヴァイザーに戻る事にした。


 店を出て、食堂近くの露天で林檎に似た果物を買う。アップゥが食べたいと騒ぐからだ。


 アップゥが林檎をかじるのを横目に街の門に向けて歩きながら不安になる。


 平原にはまだあの魔王ウサギが居るかも知れない。


 たしかに元勇者の門番は魔王ウサギを倒した。


 だが第二、第三の魔王ウサギが現れるかも知れない。


 今の俺には確実に勝ち目がない。


 何しろ俺のHPは5だ。肋骨も複数折れているし、汚い唾まで付いている。



 異世界の旅ももはやここまでかもしれない。すまない女神マゼンダよ。俺は何も出来なかった。


 城壁の門の出口付近で、恐怖のあまり前に踏み出せないずにいると、元勇者の門番が現れた。


《坊主、怪我はどうだ?ちゃんと身分証明書は出来たか?》


「ヤマト〜カードを見せろっ言ってるよ〜」


 俺はリンダから渡されたGランクのペラペラな台形ギルドカードを元勇者に渡す。


《なんだこりゃギルドカードじゃねぇか。お前冒険者登録しちまったのか? しかも一番下位のFより下のGじゃないか。幼稚園児用がお遊びで作る奴だぞ。こんなモン渡されるなんて、ある意味すごいレアだなガッハッハ》


「Gランクとはすごいレアだなガッハッハ〜だって〜」


 ほぅ、流石元勇者。勇者にはGランクの隠された秘密が見えてしまうんだろうな。


《おじさ〜ん。ヤマトはあそこの森まで行きたいんだって〜》


《あそこの森までか、この平原には食用ウサギが沢山いるからな。アイツらは縄張りに入って来る格下を追い出す習性がある。俺の娘が兎を狩りに行きたいって騒いでいたから護衛を頼んでやろう》


「おじさんの娘が守ってくれるって〜よかったね〜ヤマト〜」


 ほう。元勇者の娘か。


 女に守って貰うのは少し恥ずかしいが、俺は怪我をしている。申し訳ないがお願いしよう。


 それにこういった場合、元勇者の娘は高確率で美人だ。

 

 そして異世界から来た俺と冒険し、恋をし、魔王を倒したりしちゃうんだよな。


 うむ。


 頼もう。


「アップゥよ。お義父さんにお願いしよう。そしてよくお礼を言っておいてくれ」


《ヤマトがおと〜さんおねがい。ありがとうだって〜》


《おと〜さん?よくわからんがちょうど今こっちに走って来るのが娘だ》



 路地の方から元気よく走って来たのは小学4年生位の小さな女の子だった。

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