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俺まで汚れてしまってヤバイ

 聖竜の代わりにポポルが攫われてしまった。邪竜が体から出た後、聖竜のベッドに寝かせていたので勘違いされたようだ。


「ヤマト様、追いかけますか?」

「・・・あいつらは間違いなく戻って来る」


 そして奴は必ずこう言うだろうな。「ポポルの命が惜しかったら聖竜を渡せ」と。

 レオヴァイザーが飛べれば即追いかけるのだが・・・レオヴァイザーの『改造』で確認すると、飛べるまであと70日。追いかけるのは無理そうだ。

 レンヤとかいう奴がお仲間の女の子を必死に守っていたところを見ると、女を殺す悪趣味はなさそうだ。・・・そう信じたい。


 問題はいつ戻って来るかだ。

 聖竜とポポルの取り間違いに気づき、ボコボコにされた仲間の獣人機を強化した後に来る可能性が高い。次の戦闘は激しいものになる。

 全力を見ていないからわからないが、ほぼ完勝の白虎玄武リヴァイアサンが、今度は苦戦するかもしれない。


 それと、ベヒモスの聖獣機を倒す方法も考えなくてはならない。これについては何個か思い付いたので後でスキルを覚えておく必要がありそうだ。


「ノリコ達はどうやってこの島に来たんだ?海底洞窟か?」

「飛んできたにゃ」

「何!? 白虎と玄武は飛べるのか?」

「うーん。白虎は飛べにゃいけど玄武は・・・あれは()()()と言っていいのかにゃあ?」

「飛べる。白虎も乗せて来た」


 首を傾げるノリコと自慢げに首を縦に振るマモル。


「あいつらが戻って来る前に、モリオアの海岸からフェンリルとユニコーンも連れてきて欲しいんだが」

「わかった」

「・・・辞めた方がいいとおもうにゃあ」

「少しでも戦力があった方がいい。セリスとエイジを乗せて海岸に向かってくれ」

「玄武の中は狭いけど我慢してくれ」

「はい。お願いします」

「マモルが女の子だったら大歓迎だったのにな。まぁしゃーないか」


 ノリコが小声で止めていたが、どうしても必要なのでお願いする。

 丁寧に頭を下げたセリスと、軽口を叩いてマイに睨まれるエイジ。二人は玄武に乗り込んだ。

 大男のマモルの後ろにギリギリ二人乗る。確かに狭い。こうしてみるとレオヴァイザーの快適さがよくわかる。


「じゃあ飛ぶぞ。みんな離れててくれ」

「・・・辞めた方がいいとおもうにゃ」


 玄武は亀型聖獣機へ変形し頭と手足を甲羅の中へしまった。

 頭と手足の穴からジェットエンジンの用な炎が噴き出て回転を始める。


「まさか・・・」

「そのまさかにゃ・・・」

「セリス、エイジ・・・バイバイビー」


 玄武は高速でグルグル回転し、ガ○ラのように空を飛んだ。

 乗っているセリスとエイジの悲鳴が外まで聞こえて来た。

 あの速さでの回転・・・中がすさまじい事になっていることは想像できる。

 俺達は空を見上げ、小さくなる玄武を見送った。

 アップゥと聖竜邪竜姉妹は大喜びだった。


「なぁ、セリスは車酔いするんだけど大丈夫かな?」

「・・・着替え用意しとこうか」

「そうだな。後でお風呂も入ってもらおう・・・」

「ガタッ! お風呂!? 今お風呂っていったにゃ!」

「あーそうそう、レオヴァイザーの中に温泉があるんだよ。マジウケるよ。あと個室とトイレも洋式だったかな」

「個室、トイレ、温泉・・・」


 信じられない様子でレオヴァイザーを見つめるノリコ。そりゃそうだよな。


 しばらくすると、玄武がフェンリルを乗せて帰って来た。クルクル回って・・・

 フェンリルからヨロヨロと降りて来るエイジ。想像通り汚物まみれだった。


「おい・・・セリスが大噴射だったぞ」

「うわっ・・・エイジくっさ・・・お風呂に入りなよ」

「言われなくても入るわ!」

「じゃあセリスさんを迎えに行ってくる」


 マモルもゲロまみれだったが、文句も言わずに迎えに行ってくれた。優しくて番長みたいな男だ。

 マイはエイジに連れ添ってレオヴァイザーに入って行った。


 玄武は炎をだしながら再び回転を始め。空高くへ飛んで行った。


 待つ事20分。玄武がユニコーンを乗せて帰って来た。

 到着すると2往復が流石にこたえたのか、ヘロヘロになったマモルが出て来た。


「ウップ・・・」

「マモル大丈夫かにゃ?」

「・・・問題ない」


 セリスはユニコーンから降りてこなかった。降りれなかったと言うべきか。

 助けに行きたいのだが、ユニコーン乗れない。乗れるのは処女のみだ。


「ノリコさん。すまないがセリスを降ろしてくれないか」

「ヤマトの彼女なんだからヤマトが降ろすにゃ」

「彼女・・・ではないが、男はユニコーンに乗れないんだよ。変な力で弾かれちまう」

「もう、しょうがにゃいにゃあ」


 ノリコはユニコーンに乗り込み、中から汚物まみれのセリスを救出してきた。

 処女しかのれないユニコーンに乗れたって事はノリコは・・・うん、マモル頑張れ。

 しかし、この判定装置は実に優秀だ。知ってどうするんだって情報だが、お互いの関係がしれてよい。

 なんとなく女性陣には黙って試し乗りしてもらいたい気分になる。イサム組に合ったら是非サチコさんに乗ってみて貰いたいもんだ。



 お姫様抱っこでセリスを受け取る。ごめん正直クサイ。

 レオヴァイザーの部屋の中まで連れて行くとセリスは目を覚ました。


「ハッ・・・ヤマト様。世界が・・・世界が回って・・・ウップ・・・」


 セリスは少し吐きそうになりながらも、俺がお姫様抱っこしている事に気づき赤面した。照れてる場合じゃないと思いながらも、ソファーに優しく降ろし、頭を軽くなでた。彼女がうつむき加減で元気がない事に気づいたからだ。

 セリスは目の前でポポルが攫われたことに、責任を感じているようだった。


「ポポル。大丈夫ですよね」

「大丈夫だ。必ず助ける」

「・・・ヤマト様」


 ちょっといい雰囲気で見つめあっていると、俺達の後を追って聖竜と邪竜もレオヴァイザーの中へ入って来た。慌てて離れる俺とセリス。姉妹は神殿から出ても平気なのか。


「すごいな! この白獅子の中は!」

「お姉様! あちらに誰も使っていない部屋がありました!」

「何! 行くぞ! 早い者勝ちだ!」

「はい!」


 え? 君達ここに住む気なの? だめだよだめだめ。レンヤ達を倒したら神殿に戻りなさい。


「おい、ヤマト、マモル。風呂入ろうぜ」


 サンタコスを脱いでパンツ一丁のエイジがタオル片手に歩いて来た。


「風呂か・・・ずっと入ってないな」

「ああ、セリスも入れ」

「はい。わかりました。エイジ様、マモル様。汚してしまってすみませんでした」

「問題ない」

「いいって事よ。おっさんのゲロは勘弁だけどな。それに汚れたのはサンタコスだしな」



 エイジもマモルも気にしていない様で助かった。



 俺達は汚れと疲れを癒す為に温泉に入る事にしたのだった。

次回、温泉回(3回目)

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