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俺まで獣人機同時の戦闘を繰り広げてヤバイ

 攻撃の手を止めたグリフォンのジョゼに対して、微動だにしていなかった玄武のマモルが口を開く。


「もう終わりか?」

「・・・」


 使えるすべてのスキルを駆使して、一方的に攻め続けたグリフォン。そのアダマンチウムで作られた爪は、すでにボロボロになっていた。腕や脚の装甲にもヒビが入り、中のミスリルが露出していた。

 グリフォンは最早行動不能になっていた。


「そんな!? 鷲獅子爆裂爪しゅんじしばくれつそうまで効かないなんて・・・」

「お前の拳はノリコと比べものにならない位軽い」

「くっ・・ご主人さまっ」

「終わりならこちらからいくぞ。玄武大地斬(げんぶだいちざん)!」

「ひっ・・・」


 玄武の両手斧が唸りをあげてグリフォンを襲う。

 グリフォンは最後の力を振り絞って両腕を上げ、ガードを試みる。

 ドガグシャッ!グリフォンの両腕が潰れる音が響く。


「なんだと・・・」


 マモルが驚きの声をあげた。

 玄武大地斬(げんぶだいちざん)が直撃し、両腕を破壊した勢いで胴体ごと真っ二つにしたはずのグリフォンが、ズギャンという音と共に地面から噴出した黒い金属の棒によって持ち上げられたのだ。


 * * *


「いい加減降りてきろし! 激おこだよ」

「・・・乱れ撃ち」


 ハーピーのセイラが雨の様に矢を降らす。


「バブルバリア!」


 リヴァイアサンがシャボン玉につつまれる。一見すると矢が当たれば割れてしまうのではないかと不安になるくらい薄いシャボン玉だが、薄いけど矢が多い日も安心なのだ。


「・・・魔法使い・・・ズルイ」

「飛ぶ方がずるいっしょ! ドードーセイセイと勝負しろし」

「・・・無理」

「もーなんなのよそのしゃべり方! 完全にムカチャッカファイアだよ!」


 リヴァイアサンの目が赤く光り、空からスポットライトが照らす。

 ミニスカローブの魔導士型ロボのキレキレダンスが始まる。


「・・・なにそれ・・・ふざけてるの?」

「ごめんね、ワタシ、魔法使いじゃなくて踊り子なんだっ!雷雨の熱狂祭サンダーレインフィーバー


 ミニスカローブのリヴァイアサンの聖獣人機が、左手を腰に当て、右手は天高く指さすと、稲妻が上空の広範囲に走る。ハーピーは光の速さで広がった稲妻を避けるが出来ず墜落した。


 墜落した衝撃と稲妻の追加効果で麻痺し、ハーピーの神獣人機は身動きのとれない状態となった。


「やっと降りて来たね。それじゃバイビー」

「・・・レンヤ」


 リヴァイアサンの杖に魔力が溜まり、圧縮された水流がレーザーのようにハーピーを襲う。


「なんなの・・・」


 水流によって大きな穴が開いたはずのハーピーの前に、黒い金属で出来た巨大な盾が出現し攻撃を防いでいた。


 * * *


「にゃーにゃー言うのはやめなさいよっ!」

「わかったにゃー」


 サリアのペガサスが全力で振り下ろした両手斧を、ノリコの白虎は軽く回避しつつ右手で払いのけ、バランスを崩したペガサスへ足払いを仕掛ける。

 ペガサスは足払いを受けた威力を利用し、空中で回転しながら両手斧で力任せに振り払う。


「ほいにゃんにゃんにゃん」


 白虎は片手で両手斧を受け止めた。


「ちょっと! なんなのよあんた達!」

「うーん。本物の両手斧使いを見た事あるかにゃ?」

「うるさいうるさい! にゃーにゃー言うなっっての! 天馬流星斧(ペガサスリュウセイブ)!!」

「しょうがにゃいにゃあ」


 サリアの天馬流星斧(ペガサスリュウセイブ)が音速を超える速さで白虎を襲う。

 振り下ろされた斧を避け、懐に突撃する白虎。腰を下ろし腹部に掌打を決め、背中で体当たりする。たまらずよろけたところに背後から両手での掌打がさく裂した。


崩撃猫身白虎掌ほうげきにゃんしんびゃこしょう!!! だにゃ!」


 両手斧は吹き飛ばされ、四つん這いになったペガサスに白虎の飛び蹴りが襲う。


猛襲白虎脚もうしゅうびゃっこきゃく! あ、にゃあ!」

「レンヤッ!!」


 白虎の猛襲白虎脚がペガサスを捉えたと思った瞬間、無数の黒い金属の弾丸が白虎を狙い、白虎はギリギリのところで回避した。


「にゃんだと・・・」


 * * *


 俺は連続で放たれる稲妻の玉をホバーで避けながら接近し、ヴァイザーソードで斬りかかったが、分厚いべヒモスの装甲によって弾かれてしまった。反撃をヴァイザーシールドで防ぎながら下がる。


「お前も硬いじゃねぇか」

「俺が強化したべヒモスを舐めるなよ」


 確かに硬い、装甲だけならレオヴァイザー以上の硬さがある。装甲に強化を集中した分、攻撃の手が少ないのが救いだ。防御にばっかり全力で振りやがって・・・俺と同じか。


 背後からの攻撃には強力なカウンターがあるので、正面から戦うしかない。といっても向こうの装甲を貫く手段がない。このままじゃジリ貧だ。

 なにしろ今ある攻撃手段はスピンスラッシュと獅子十文字斬り位だ。二つともすでに使用し、見事に弾き返された。こんな硬い奴が出て来るなら攻撃についてもちゃんと考えておけばよかった。


 一方で、べヒモスのレンヤも同じ事を考えていたようで、お互いにらみ合いになってしまった。


「レンヤとか言ったな。いいのか?」

「なんだ?」

「お前の可愛いガールフレンド達がピンチだが」


 レンヤが慌てて周りを見た。グリフォンは立ち尽くし、ハーピーは地に落ち、ペガサスは四つん這いだった。


「チッ・・・万物錬成(ばんぶつれんせい)応急処置(リペアー)!」


 レンヤが万物錬成(ばんぶつれんせい)とかいうのを使用すると、それぞれが黒い金属によって守られピンチを脱した。金属はそのまま三機を包みベヒモスの元へ運ぶ。


「お前ら化物か・・・まぁいい。目的は達した」

「目的だと?」

「ヤマト~神殿を見て~」


 神殿の屋根を突き破って黒い棺桶の様な物が宙に浮かび、べヒモスの機体の上に移動していく。

 べヒモスの装甲はどうやら万物錬成と同じ金属でできているようで、棺桶はまるで吸収するかのように機体の中へとけた。


 と、同時に応急処置が終わった三機がベヒモスを吊り下げ、空に飛んだ。


「聖竜は貰っていく」

「なに!!」

「フハハハハハ。寝ている幼女をこっそり攫うのは趣味じゃないが、これで俺は魔王になれる!!」

「待てっ!」

「追いたければいつでもこい! その頃には俺は魔王になっているだろうがな! ハッハッハッハッハ」


 周りで見ていた雑魚の獣人機達が、いっせいに押し寄せて追わせない様にしてくる。

 ヴァイザーソードで切払うが数が多い。


 雑魚を処理し終わる頃には、ベヒモス達の姿が見えなくなっていた。


 神殿からセリス達が出て来る。




「ヤマト様! ポポルが・・・ポポルが黒い金属に飲み込まれて・・・消えてしまいました」

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