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俺まで神殿を守るために戦う事になってヤバイ

 ヘリが飛ぶような爆音に驚き、俺達は慌てて外に出る。


 遠くの空を見上げるとそこには獣機が30機位飛んでいた。

 カバやサイをベースにした獣機の背中にヘリのようなプロペラが付いている。

 サバンナ系って事はギバライ国の獣機なのだろうか・・・

 サバンナ系にまじって神獣人機か聖獣人機っぽいのも何機か見える。

 こちらに向かって来ていることから、戦闘になることは間違いない。


「エイジとセリスは神殿で聖竜達を守ってくれ。残りは聖獣人機で迎撃するぞ」

「よくわからないけどわかったにゃあ」

「俺にまかせろい」

「ほいほーい。あんなの余裕っしょ」


 ノリコとマモルはさっき会ったばかりなのに、疑いもせず即了承してくれた。

 ギバライ国と二人が先に出会っていたら、間違いなくギバライ軍に利用されていただろう。

 俺達が先に出会ってよかった。敵になっていたとしたら恐ろしい相手だ。


 ギバライ国の狙いはわかっている。聖竜を封印し魔王になることだ。

 かなりの高確率で悪意を持った転生者がいるのは間違いない。

 転生者はいい奴しかいないと褒めたばっかりなのにこれだよ。


 俺達は急いで各聖獣機に乗り込み迎撃態勢をとった。

 空飛ぶ獣人機か・・・めんどくさそうだ。空から爆弾みたいなのを降らされた勝ち目はないぞ。


 ・・・


 先方にいたサバンナ系獣機軍団はあっさり着地した。

 ・・・馬鹿が。いやカバか。

 背中にヘリのプロペラを付けたサバンナ系獣機達は、俺達の前に着地し獣人機へ変形した。


 後方に続いたのは、頭が人で体が鳥のハーピー、白い翼と鷹の顔にライオンの体のグリフォン、白馬に翼の生えたペガサス、牛と猪を混ぜたような角の生えた巨大な獣の4機だ。獣は自分で飛べないのか3機に吊られてきた。


 4機が聖獣機か神獣機なのは間違いない。

 翼のある三機は巨大な獣を地面に降ろすと、着陸し女型へ変形した。

 ペガサスは両手斧の女戦士。ハーピーは弓の女狩人。グリフォンは爪の女闘士。獣は巨大な両手剣の騎士だ。


 ナビ水晶に通信が入る。若い糸目の男が映っていた。見るからに少年。中学生か高校生位だろう。


「こんにちは。噂の白獅子さん。俺はレンヤ。ちょっとそこの神殿に用事があるんだけど、通ってもいいですか?」

「・・・断る」


 俺が間髪入れずに断ると、レンヤの仲間の女性陣がわめき立てる。


「ほら、だから言ったでしょレンヤ」

「レンヤ様ここはもっと強気で行くべきかと」

「・・・ご主人様・・・ファイト」


 わめいているのはみんな若い女の子だ。

 うらやま・・・けしからん。


「・・・じゃあもう一度。死にたくなかったら今すぐここから消えろ!」

「断る。ここには何もないぞ。さっさと帰るんだな」

「な、なんだと・・・まさかお前が聖竜を封印したのか? もう魔王になったのか?」

「知らんな。ここには何もないと言っている」

「糞が! こっちが下手にでりゃ調子に乗りやがって!! べヒモスの聖獣人機が見えないのか? 死にたいなら今すぐ殺してやる!!」


 巨大な剣を構える巨大なべヒモスの聖獣人機。

 奴の目的はやはり聖竜のようだ。

 レンヤがどんな野望を抱いてここに来たのか知らないが、叩き返した方がよさそうだ。


「ノリコさんはペガサスを、マモルはグリフォン。マイはハーピーを頼む。周りの雑魚に気を付けろよ」

「了解にゃ」

「鳥さんね。余裕があったら周りのもやっとくし」

「グリフォンだな。わかった」


 ペガサスなどの武器から想像して、マイ達がいつも行動している相方のJOBの組合せにした。

 普段見ている分少しは闘いやすいだろう。武器を見て決めただけだから、JOBが違ったらすまない。


 当然俺はべヒモスだ。騎士(ナイト)タイプのレオヴァイザーは、なぜだかべヒモスと戦いたくなる。

 よくわからないが、ディオニュソス(忍者)が出て来るんじゃないかと不安になった。


「サリア! ジョゼ! セイラ! 気を抜くなよ!こいつら全員転生者だ!」

「えー! レンヤ早く言ってよペガサスじゃ勝てないんじゃない? 頑張るけどっ!」

「レンヤ様無茶もいいとこです。が、こういうのは嫌いじゃありません」

「任務・・・了解」



 ベヒモスの聖獣人機と睨みあう。サイの獣人機がレオヴァイザーに斬りかかるのをキッカケに戦闘が始まる。


 サイの剣を回避しながらベヒモスに斬りかかる。ベヒモスはヴァイザーソードを巨大な両手剣で受け止め、そのまま振り払う。あまりの怪力に空へ吹き飛ばされる。吹き飛ばされた先に、カバの獣人機がいたので斬り裂きながら着地する。

 着地の瞬間を狙ってベヒモスが両手剣で薙ぎ払う。巻き込まれて破壊されるキリンの獣人機。

 盾防御術(シールドバッシュ)で弾き返し、よろめいたベヒモスめがけてヴァイザーソードを投げる。


「ヴァイザーブゥメラン!」


 投げると同時に短距離高速移動(とんずら)を発動する。


 ギリギリヴァイザーブーメランを回避したベヒモスの背後へ移動し、雑魚を斬り裂きながら戻って来たヴァイザーソードをキャッチしてそのまま斬りつける。

 浅い。いや、硬いのか。ソードはベヒモスの硬い装甲に弾かれた。


「甘いぜ! 背面逆襲脚(バックカウンター)


 ベヒモスの放った飛び後ろ回し蹴りをヴァイザーシールドで防ぐが、凄まじい威力に弾き飛ばされ、轟音共に神殿の壁にめり込む。


「サンダーボルト!」

「ヤマト〜前から来てるよ〜」

「アップウ! わかってるから座ってろ!」


 ベヒモスの角から放たれた追撃のサンダーボルトがレオヴァイザーを襲う。

 ヴァイザーシールドに聖剛壁(ホーリプロテクション)を全開にし、電撃の球を防ぐ。

 青いイナズマが俺を攻める。


「なんて硬さだ! インチキだろ」

「硬いのだけが自慢でな」


 神殿の壁から無傷で這い出て来たレオヴァイザーを見て、レンヤが驚いていた。


 * * *


 一方、玄武のマモルも苦戦していた。

 グリフォンを操るジョゼは素早い動きで玄武の周りを飛び回り、一方的に攻撃していたのだ。


「こいつ! ご主人様に逆らいやがって!」

「・・・・」

「うりゃりゃああ! 正拳! 裏拳! ひじうちー!」


 打撃音がまるでドラムの様に響きわたる。早すぎて捉えられないのだろうか。

 マモルは微動だにしなかった。


「相手になんないね。さっさとご主人様に泣いて謝んな! ただし謝るのは棺桶の中だよ!」


 よく考えられた上段下段中段の連携攻撃が炸裂する。


「トドメだ! 火炎無双脚!」


 灼熱の火炎を纏ったグリフォンの飛び蹴りが、避ける暇も与えずに玄武の頭に直撃した。


 * * *


「・・・ホーリーアロー」

雷の矢(サンダーアロー)っと」


 ハーピーを操るセイラが空から光の矢を放ち、マイが雷の矢で迎撃した。

 狩人タイプのハーピーが、空を飛び周りながら一方的にマイのリヴァイアサンへ攻撃していた。


「ブンブンブンブン本当ウザいし。もうめんどくさいなぁ! 激おこだよ」

「・・・任務だから」

「ハァ? 任務だから? しつこいっての!」

「・・・フレイムアロー」

泡の爆弾(バブルボム)! 舞い上がれ!」


 ハーピーの放った火属性の矢達が無数の泡の球に当たり爆発する。爆発に巻き込まれたサイやカバの獣人機が爆発する。

 ハーピーが爆発を器用に避けながら矢を放つ。読んでいたマイが範囲系の水魔法で迎撃する。


「降りて来なさい!」

「・・・やだ」


 * * *


 ペガサスを操るサリアが、巨大な両手斧を振り回してノリコの白虎に攻撃していた。

 紙一重で避ける白虎。素早く追撃するペガサス。

 追撃して来たペガサスにカウンターを合わせる白虎。

 カウンターにカウンターを合わせるペガサス。

 それを回避し、ポーズ決めた白虎と、それを見て構えるペガサス。


「レンヤの馬鹿! やっぱり全然当たらないじゃない」

「もう終わりかにゃ?」

「うるさいうるさいうるさい!」


 両手斧の重さを全く感じさせない動きで、ブンブン振り回すサリアのペガサス。

 まるで扇風機のように斧を回転させ、高速で突進する。


「当たりなさい! 天馬回転撃ペガサススピンクラッシュ

「にゃ、にゃんと!? 聖闘士(ホーリーバトラー)にそんな名前の技を!いけにゃいにゃ」

「うるさいうるさい! ギリギリセーフよ!」




 危ない名前の技を、危ない名前のJOBが回避したのだった。


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