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俺に沢山の象が襲いかかってきてヤバイ

タキア鍾乳洞。モリオア国からタニガイ峡谷までの間を繋げる長い洞である。その名の通り、何万年もの歳月をかけて作られた鍾乳石が、天井から氷柱の様にぶら下がっていた。鍾乳石からすれば、たった数十年の人間の寿命など一瞬の出来事である。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


爆発音と共に吹き飛んだ象の獣機の破片が天井に当たり、数万年もかけて作られた鍾乳石が崩れ落ちる。


「ヤマト様。囲まれています」

「あぁ。その様だな」


俺達を取り囲む象の獣人機約数十機。俺達を待ち伏せしていたようなのだ。ただで通してくれる訳もなく、象の顔型両手斧で襲いかかってくる獣機をユニコーンが斬り払う。虹色の長剣が鍾乳洞の中に虹の橋を作ると、象の獣人機は真っ二つに斬り裂かれた。

象達はしっかりと隊列を組んで攻撃してくる。いつもの野良獣機とは明らかに違う動きに戸惑う。中に人がいる動きだ。散々訓練を繰り返してきたセリスは、襲いかかって来る象の獣人機を次々と破壊する。


「象の奴らは近接が得意だ。俺とマイで遠い奴をやるから、ヤマト達は抜けて来たのを頼む」


エイジのフェンリルが放った光の矢が、遠距離の象達を射抜いていく。頭部を破壊された象は動きを止める。爆発させずに動きだけを止めるその弓の腕前は、流石だ。

マイのリヴァイアサンも象を狙って杖を構え魔法を放つ。


「いっくよー! 雷の槍(サンダーランス)!」


電撃の槍がリヴァイアサンの杖から(ほとばし)り、直撃を受けた象の獣人機は激しい光をあげながら爆発した。


フェンリルとリヴァイアサンの遠隔攻撃を抜けて来た獣人機を、レオヴァイザーとユニコーンで始末する。

何機か倒していると、取り囲んでいた象達の動きが止まった。同じ攻め方では無駄に戦力を減らすだけだとわかったのだろう。


4機の獣人機が前に出る。今までとは違う色、明らかに強化された機体だ。リーダー格と思われる青い象の獣人機は腕が四本あり、それぞれに両刃の斧を持っている。人型だが顔は象のままだ。

他の3機は白い象の獣人機で、象の顔が阿修羅様に三個ついていた。3機それぞれが長剣、弓、杖と違う武器を持っており、なんとなく戦う相手がどれかわかる。間違いなく俺が青い四本腕の象だろう。


それぞれが睨み合っているとナビ水晶に通信がはいる。髭面のナイスミドル。どこかで見た気がする。


「白獅子聞こえるか? ギバライ国特務部隊幻象(エレファントム)バラライだ」


バラライ? 確か砂漠であった青い象の奴か?


「ああ。聞こえるぞ。すまないが通らせてもらえないか?」

「悪いがこっちも仕事なんでな。特にその狼とウナギはダメだ。死にたくなければ置いていけ」

「リヴァちゃんはウナギじゃないし。べ〜だ」

「ギバライ国への協力する理由はもう無い。フェンリルはアイツに返さん」

「だ、そうだ。どうする? って言うまでも無いか」


四本の腕の斧を構える象の獣人機。やるしかなさそうだ。


「ギバライ国特務部隊幻象(エレファントム)のガネーシャを舐めるな。全力で来い。ムンゾ。ギリカメラ隊は任せるぞ」

「了解しました。バラライ様」


ギリカメラ隊と言われた3機の白い象達が陣形を取る。ムンゾの乗る長剣タイプが前衛で、杖と弓が後衛だ。同じくセリス達が陣形を取る。セリスが前、残りが後ろだ。


「行くぞ! 白獅子!」


ガネーシャが斧を構えて突進してくる。ホバーだ。スケートの様に滑りながら斬りかかってくる。予想外の動きに驚くがヴァイザーシールドで防ぎ、ヴァイザーソードで切り払う。


「ホバーだと!? 」

「砂漠で見たお前の動きぐ素晴らしかったのでな。真似させてもらったぞ」


真似したってレベルじゃない。完全に使いこなして攻撃してくる。すでに聖剛壁ホーリープロテクションが、なければ致命傷になっている攻撃が何回かあった。

四本の腕を自在に動かしながら、攻めたてるガネーシャ。こちらも反撃を試みるが、斧で払われてしまう。


「ただの象とは違うのだよ! 象とは!」


ホバーで突進しながら四本の腕をクロスさせ、力を最大まで高めた攻撃を繰り出すガネーシャ。


巨象四連撃(エレファンガス)!」


一斉に襲いかかる四本の両刃斧。巨象がフィギュアスケートの選手の様にクルクル回る。一太刀目を盾で防ぎ、二太刀目をしゃがんで避ける。三太刀目を回転しながら剣で切り払う。四太刀目をジャンプして回避し、そのままガネーシャの鼻を切り取る。一瞬硬い反応があった事から、ガネーシャには魔導障壁(マジックガード)もある様だ。


「なんだと!? 白獅子は化け物か!」


巨象四連撃(エレファンガス)を全て防がれた上に、鼻まで斬られたバラライが驚く。


一方で、ムンゾ率いるギリカメラ隊も驚いていた。聖獣人機との性能の差に。


鷹の目(イーグルアイ)! セリスさん。マイ。奴らの弱点は鼻だ! 鼻を狙ってくれ」

「オッケー!水泡泡と帰す(バブルの終わり)!」

「マイ様流石です!」


マイのリヴァイアサンが杖から放ったバブルが、後衛のギリカメラ2機を封じ込める。すかさず攻め入るユニコーンだが、ギリギリのところでムンゾに切り払われる。

ムンゾがセリスが斬り合いをしている間に、エイジのルナティックアローが、杖型のギリカメラの鼻を三本串刺しにし、雷の槍(サンダーランス)が一纏めにされた鼻ごと三個の頭部を破壊した。


「俺がせっかく鷹の目(イーグルアイ)で弱点を調べたのに、あまり関係ないな」

「そだねー。一応GPとかいうので魔法の威力アゲアゲしたし。強すぎてウケるね」


バブルから抜けた弓型ギリカメラが、ユニコーンを狙って弓を放つが、ユニコーンは虹の幻影となって消えた。

次にユニコーンが現れたのは弓型の背後で、胴体を真っ二つに切り裂いた。


「セリスさんまで鼻狙ってないし、弱点とはなんだったのか・・・」

「雑魚には必要ないですね」

「お前ら、ギリカメラは我がギバライ国最新型の神獣機なんだぞ」


雑魚扱いされたムンゾが怒りの声をあげた。が、同時に放たれたルナティックアローと雷の槍(サンダーランス)に貫かれ、動きを止めた所をユニコーンによって八つ裂きにされた。


「セ、セリスさんって意外に容赦ないな」

「怒らせない様にしようね。エイジ」




ムンゾ達ギリカメラ隊が壊滅した頃、俺とバラライとの勝負も決まろうとしていた。

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