俺に迫り来る巻貝二匹とのバトルでヤバイ
狩野 英治25歳は女神の間6に召喚された転生者である。サーフィン中に落雷にあい、女神の間へと召喚された。6の女神の担当JOBは聖狩人である。狩人の強化JOBである聖狩人は剣技にもすぐれ、狩人の弱点でもある接近戦を克服していた。
エイジは異世界への転生について女神に状況を問い詰め、自分の適性JOBである聖狩人の役に立ちそうな願いをいくつか望んだ。
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「ヤマト様。あれはフェンリルの聖獣機です」
赤い巻貝のタニガイを伝って降りて来た銀色の狼の獣機は、フェンリルの聖獣機らしい。セリスの水晶には獣機名まで記載されているらしく、間違いないだろう。俺のナビ水晶にはただの赤い点だけだが。
フェンリルは少し離れた所に立つと、ガチョンガチョンブッピッガンと人型へ変形し、巨大な銀色の弓を構えた。騎士タイプとは違い、軽装の動きが速そうな形態だ。
「お前らギバライ国の奴らじゃないな」
「ああ、所要でな。敵意はない。通してくれないか」
「断ると言ったら?」
「降り掛かる火の粉は掃わせてもらおう」
「え!? あああああああああ!! エイジじゃん。ウケる!」
「げっ!? マイ! なんでここに!」
「エイジも死んだの? マジウケるんですけど」
油断したエイジのフェンリルに、巻貝を傷付けられたタニガイが襲い掛かる。シュルシュルと触手がフェンリルに巻き付き締め上げる。
「ちっ」
「チャンスだ。先を行くぞ」
「ヤマト様。いいのですか?」
「ちょっ! ヤマトっちお願い!元彼なんだよ」
少し悩んだが助ける事にした。悩んだ理由は二つ。一つはギバライ国軍を蹂躙したタニガイカブリもこちらへ向かい始めていた事。もう一つは・・・
「きゃあああああああああああああ」
「ヌルヌルだしあああああああん」
もう遅かった。触手のある敵と戦うと、一回はイヤラシイシーンに合うギフトでも持ってるのか?
「悪くないな」
「ああ、悪くない」
エイジと呼ばれた男と同調する。ヌルヌルの触手がセリスのユニコーンとリヴァイアサンを締め上げる。もちろんヌルヌルの触手は2機の体を弄りながらだ。OH!yes!! これにはなぜかポポルもガッツポーズ。
ちなみにフェンリルは隠し持っていたナイフで触手を斬り、縛られる女型人機を堪能していた。充分満喫した後、レオヴァイザーとフェンリルで、2機を縛る触手を斬り、あられもない姿から助け出す。
「話は後で聞こう。俺とエイジでタニガイ。セリスとマイでタニガイカブリを倒すぞ」
「いい組み合わせだ」
「はぁはぁ・・・了解です」
「はぁ・・・ん・・・りょ」
悩ましい声を上げながら返事をする二人。前衛と後衛の2組が完成し、それぞれが巻貝に立ち向かう。
タニガイは口から水をジェット噴射してくる。当たった岩が砕けるくらいすごい威力だ。聖剛壁を全開にしたヴァイザーシールドで防ぎながら接近する。が、刃が届きそうな範囲に来ると巨大な尻尾を振り回して薙ぎ払って来る。ギリギリシールドで防いだが、直撃するとただではすまない。
一方でエイジもジェット噴射を避けながら矢を放っているので、ダメージソースが足らないらしい。巻貝に当たっても弾かれている様だ。
「ヤマト!挑発して引き付けてくれ。2分でいい!」
「挑発?」
「戦士と騎士のスキルにあるはずだが、まさか覚えてないのか?」
「ああ、俺はどちらでもないからな。今覚えてみる。メニュー!」
俺はメニューを開き、戦士のスキルの中から挑発を見つけると、貯まっていたスキルポイントで覚え、タニガイに向け発動する。
「ヘイ! タニガイ、いつまでママのスカートに隠れるんだい?」
「なんだその台詞は?」
「わからんが勝手にでたぞ」
謎の台詞を聞いたタニガイはこちらに向かってヌルヌルと突進してくる。迸る殺気。ママの悪口が気に障ったのだろうか。我を忘れて攻撃してくる。
ホバーでジェット噴射を回避しながら、触手を斬る。ヴァイザーシールドで本体の頭突きと尻尾を受ける流す。こうして攻撃を防ぎながら待つ2分はとても長い。
「待たせたな! 鷹の目、一点集中、ルナティックアロォォォォ!」
フェンリルは空高く跳ね、月面宙返りを行いながら1発の光輝く矢を放つ。光の弾丸となった矢は赤い巻貝の中心を貫き、巻貝の中で跳弾する。体の中で動き回る弾丸の激痛に身悶えるタニガイ。
「ヤマト!その穴が奴の弱点だ!」
「わかった!!獅子ぃ十文字!斬りぃぃぃぃ!!!」
「いっちゃえええええ~」
短距離高速移動でフェンリルの開けた穴の弱点まで突っ込み獅子十文字斬りを放つ。穴の開いた巻貝の殻ごと十文字に斬り捨てる。タニガイは力尽き、大きな音をたてながらズシンと倒れた。
一方、セリス組も丁度タニガイカブリを倒すところだった。マイの水泡の魔法で巻貝を空高く取り上げられ、丸裸にされたタニガイカブリが、青騎士の薔薇で手足をもぎ取られ、空中で逆さまにされた巻貝を背中に落とされ、串刺しとなり止めを刺された。結構苦戦した様で二人の聖獣人機はボロボロだ。
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タニガイカブリによって完全に壊滅したギバライ国軍が横たわる横で、俺達は集合してキャンプする。焚き火でヤドカリの肉を焼いて食べる。上手い。カニだ! タニガイもコリコリしてうまい!
飯を食べながらエイジと話をする。
「やだーマジエイジじゃん。何その赤い髪!ウケる」
「マイ。なんでお前高校生のままなんだ?もう二十、ブベラッ」
何か言いかけたエイジの口に、石が突っ込まれる。明らかな口封じだ。薄々感じていたが、マイは現役女子高生ではないな。あの踊りはパラパラとかの時代だ。
聞けば彼らは高校の時の同級生で、昔付き合っていたそうだ。エイジがサーフィンにハマって放ったらかしにしたのが別れの原因らしい。
「なるほど。モリオア国にその子を連れて行くのか」
「そうそう。エイジも行くっしょ?」
「どうやらギバライ国の奴らには騙されていたようだし、どうしようかな」
「騙されるってなんだ?」
「いやな。モリオア国には悪い竜王が、ヴァチには魔王がいて世界が危ないとかな。何しろギバライは情報規制が厳しい。そちらの嬢ちゃんを見れば、モリオアに悪い竜王が住んでるとは思えん」
「ポポルはモリオア国のお姫様だぞ!えっへん」
「そうだな。こんな可愛い子が悪い訳がない!一緒について行くとしよう」
ポポルの頭を撫でながら、ウンウンうなずくエイジ。まさかロリ・・・
「しかし、聖獣機に乗ってるって事はみんな転生者か?」
「俺も転生者だ。セリスは違う。普通の操者だ」
「ただの操者だと?転生者しか聖獣機には乗れないはずだぜ」
「そうなのか?ユニコーンは処女しか乗れない別条件があるみたいだからな。他にも条件があるのかもしれないぞ」
「そうか。処女か」
「ヤマト様。処女とはなんでしょうか?病気か何かでしょうか?」
心配そうな顔で悩むセリス。
思わずエイジと顔を見合わせる。やれやれお前も大変だなという顔をするエイジ。
「お子様って事だよセリスさん」
「お、お子様ですか」
「あははは。大人にしてやんなよヤマトッチ」
「ヤマト!ポポルも大人にして!」
ポポルさん。言っていい事と悪いことがありますよ?今回は聞かなかった事にしてあげるから二度と言わない様に。
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