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俺にヤドカリと貝が迫って来てヤバイ

 タニガイ峡谷。谷の断面はV字形になっていて、両岸が険しい崖になっている。落差は500m超え、左右にどころか上にも逃げ場がないことを暗示していた。下部にはタキア鍾乳洞から流れ出た川がY時となり、一方はマグン湿地帯、もう一方はギバライ国方面へと流れていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ポポル。ヴァチへ来る時も大変だったんじゃないか?」

「ううん!お船で来たから平気だったよ」

「船が正解だったのかもしれないな・・・」


 タニガイ峡谷の前についた俺は、その峡谷の大きさに圧倒されていた。この大きな峡谷をひたすら進んだ先には、タキア鍾乳洞とかいう大きな洞窟まで待ち構えているという。正直げんなりだ。海路で水着の方がよかったかも知れない。


 川の深さはそれほどでもなかったので、3機とも人型で進む。俺が先頭で、続いてセリス、マイだ。左右を崖に挟まれているので、前方からの攻撃を俺が防ぐこの陣形がベストだ。一応ナビ水晶でサーチしながら進んでいるので、突然攻撃されるなんてことはないはずだ。


 と、思っていた時期もありました。突然マイの後ろの川の底から、200m位の大きさの巻貝が突き出てきたのだ。巻貝だが中身はカニ・・・いやヤドカリか。

 ワチャワチャと音を立てながら追いかけて来る巨大なヤドカリ。背中の巨大な巻貝がガツンガツンと崖に当たっている。


「ヤマト様。タニガイカブリです。おとなしいと聞いていたのですが・・・変ですね」

「ヤマトっちどーするー?倒す?」

「あれおいしいんだよー」

「むやみに殺すのはやめておこう」


 タニガイカブリはこっちを追いかけている様だが、走る速度は遅いので振り切れそうだ。倒す必要はないだろう。もしこちらに追いついてきた場合は仕方がないが。

 しばらく走るとタニガイカブリは見えなくなった。振り切った様だ。なごり惜しそうにポポルが手を振っていた。


「まずったな。この先に結構な数の何かがいるみたいだ」

「ギバライ軍でしょうか?」

「わからないが・・・100匹はいるな」


 ナビ水晶のMAPは、この先の三差路に無数の何かがいる事を表していた。隊列を組んでいる事から間違いなく人工物だろう。峡谷になっているので避けては通れないようだがどうしたもんか。


「そうだな。アップゥ。妖精の隠れんぼ(フェアリーインビジ)をみんなに使えるか?」

「一日一回だけど~お手て繋いどけばみんな消えるよ~」

「そうか。よろしく頼む」


 レオヴァイザーとユニコーンとリヴァイアサンの手を繋ぐ。


「アップゥ。やってくれ!」

「うん!妖精の隠れんぼ(フェアリーインビジ)~」


 アップゥが3機の周りをクルクルと回る。キラキラと鱗粉が舞い散り、やがて三機は姿を消隠した。


「マジ消えってし、アップウちゃんやるじゃん!」

「ヤマト様。この後は?」

「何もしない。端によって待まつぞ」


 3機は手を繋いだまま崖に寄りかかる様に端に立つ。しばらく待つとワチャワチャガンガンと聞こえて来た。


「来たぞ。タニガイカブリだ。通り過ぎたら後を追うぞ」

「ドキドキ~マジウケる」

「ぎりぎりだね~」

「おいしそう!」


 横を通り抜けて行くタニガイカブリ。真横で見るとその大きさは異常だ。赤い巻貝だけで200mはある。本体は紫色の水玉模様で、巨大な鋏を振りながら前に進んでいる。無事見つからずに済んだので後を追う。


「この先で、何かの大軍とタニガイカブリが出会ったら、その隙に先を進むぞ」

「了解です。ヤマト様」

「りょ」 


 タニガイガブリを追いかけて進み、やがて三差路が見えて来た。見えて来た大軍は、国旗の紋章から間違いなくギバライ軍の様だ。三差路の縁を利用して休憩中の様だ。見張りの兵士がタニガイカブリを発見した様で大慌てで走って行った。


 数分後、そこは修羅場とかした。タニガイカブリの巨大な鋏が獣人機を薙ぎ払う。恐ろしいのはあの巨体で数十m飛び跳ね。その重さで獣人機を潰していることだ。ズシーーーーン! ズシーーーーーーン!と跳ねる度に大地が揺れた。突然襲われたギバライ軍は、多大な被害を受けていた。


「うわぁ・・・大変な事になっちゃったぞ」

「ヤマト様。早く行きましょう」


 タニガイカブリが三差路で大暴れしている内に、俺達はモリオア方面へ抜ける事が出来た。が、困った問題も起きた。抜けた先にも赤い巨大な巻貝が居座っていたのだ。どうやらギバライ軍は、この貝が邪魔で先に進めず、三差路で戦略を練っていた様だ。

 居座っていた貝には、ヤドカリではなく中身がちゃんとがいた。紫のヌルヌルした体で峡谷を塞ぎ、崖のコケを食べている様だ。先ほどのタニガイカブリと同じくらいの大きさで、巨大な貝に前と後ろを挟まれる形になってしまった。


 後ろの修羅場はまだ収まる気配はないが、前のタニガイは段々とこちらに迫って来ていた。


「ちょマジキモ~ヤマトッちどうする?」

「このままでは接触してしまいます」

「おおきいね~」

「両方倒して食べよう!!」


 妖精の隠れんぼ(フェアリーインビジ)は触れられれば効果が切れてしまう。いっそ先制攻撃でタニガイを攻撃するか。と、考えていた時である。ナビ水晶に通信が入る。赤い長髪の男が映っていた。


「そこの三機。動くなよ!!」


 三機とはこちらの事だろうか? 俺達の姿は見えていないはずだが。通信が入るという事はバレている様だ。


流星矢(メテオレイン)!!」


 男がそう叫ぶと、峡谷の崖の上から俺達の立っている場所以外に、光の矢が降り注ぐ。その数はまさに雨だ。何本もの矢を受けて、タニガイは貝の中へ避難した。巻貝には光の矢によって出来た穴が多数出来ていた。


「今の内に進むぞ!」

「おっと、動くなと言ったろ!!」


 俺達めがけて3本の光の矢が降って来る。正確に撃たれた光の矢は、聖剛壁ホーリープロテクション聖障壁(ホーリーガード)で防がなければ脚部を貫いていた。そして攻撃を受けたことによって妖精の隠れんぼ(フェアリーインビジ)の効果も切れてしまった。

 




崖の上から、巻貝を伝って降りて来るその獣機は、銀色の狼の獣機だった。

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