俺に踊りを見せたせいでムラムラしてヤバイ
申し訳ないが、結局宴に出た料理には全く手を付けなかった。セリスとポポルは美味しいと言っていたが見た目がアレじゃなぁ。鯛や平目の舞い踊りに混じりながらマイが聞いてきた。
「ヤマトっち達はどこ行くのー?」
「モリオア国までこの子を送るのが仕事なんだ」
「へー」
一瞬付いてくる気かと身構えたが、そんな気は無いらしくポポルに踊りを教えていた。流石聖踊り子だけあって、踊るだけ周りが不思議な空間になる。なんというか元気になるというか・・・その・・・ムラムラする!!やめろ!
「ホレホレぇ魅惑の踊りアハハハハ!みんなアゲアゲ!マジウケる!」
宴に参加していた男達は気持ちを抑えきれず、お目当ての女達に声をかけ始め、出来たカップルが宴会場から一組ずつ消えて行った。魅惑の踊りは当然女性にも効果がある様で、隣のセリスも何やら赤面しながら俺の上着の袖をつかんでいた。その表情はすでに放送出来ないレベルのトロ顔だ。乙女になんて技を・・・許さん!
このままではまずいと思い、セリスを連れムラムラ空間から出る。どうやら完全に腰が抜けてしまったらしく、仕方ないのでお姫様抱っこで連れて行くことにした。揺れる度に乙女が出してはいけない声を上げるセリスに、俺の危険も危なかったが、どうにかレオヴァイザーの中の、セリスの部屋まで連れて行くことが出来た。俺はベットにセリスを優しく降ろし、首に抱きついたままの腕を外そうとする。
「ほら、部屋についたぞ」
「んっ・・・ヤマト様っ・・・あんっ」
吸い込まれそうな潤んだ瞳で俺を見つめるセリス。腕は俺の首に絡まったままだ。セリスの甘い吐息が首筋に当たる。やがてゆっくりとセリスは瞼を閉じた。細い腕で俺の顔が引き寄せられていく。
バタン!
「!!」
「あーマジウケる。みんなどこ行っちゃったしってお取込みchu?アハハメンゴメンゴ」
セリスの唇まであと数Cmのところで、ドアを開けて部屋に入って来たのはマイだった。悪いと思ったのかすぐにドアを閉めて出て行った。俺とセリスはお互いの顔を見合わせる。
バタン!
「!?」
「あっ!そうそう。魅惑の踊り、もう切れてっから。ヨロシク~ごゆっくり!」
マイは再び部屋を出て行った。残された俺とセリス。セリスは視線を外し髪を触っている。
「えっと・・・おやすみ」
「・・・はい。ヤマト様」
ご自慢の青いチェストアーマー以上の強敵が現れてしまったなと思った日であった。
セリスの部屋から出ると、廊下ではマイが壁に空のコップを当てて中の音を聞こうとしていた。ジト目で問い詰めるとそそくさと奥の部屋に入っていった。
「あ、この部屋ワタシの部屋にしたからヨロシク、後でお風呂かしてね~・・・あーやらないのかマジウケる」
最後のは独り言のようだったようだがしっかり聞こえたぞ。それになんで勝手に自分の部屋にしてるんだ。怒りにプルプル震える俺の足元を見るとポポルがつんつんしていた。
「もうポポルもセリスの部屋に入っていい?今やってるから入るなってマイにいわれたんだけど」
「ああ、入っていいよ」
あの淫乱JKが!!子供に何を教えとるんじゃい!!セリスの部屋からやったやってないの話がヒソヒソ聞こえてきたので自分の部屋に戻る事にした。ベットに倒れこむと、色々あって疲れていたのか朝までぐっすり寝てしまった。
朝になり目を覚ますと、俺のベットにはいつも通りポポルとセリスが寝ていた。俺の右側にセリスとポポル。そして俺の左にはマイ。ってなんでお前までここで寝てるんだ!!
タンクトップにパンツというものすごいラフな格好で寝ているマイ。目のやり場に困る。なんとかセリス達に気づかれない内に出て行ってもらおうと小声で起こす。
「おい、おい、なんでここにいるんだ。早く部屋に戻れ」
中々起きないので体を揺する。ようやく起きたのか目をこすり始める。
「あーおはヨー!昨日サー!お風呂の場所聞こうと思って来たらついつい寝ちゃってさーウケるー」
寝起きなのに大声で話し始めるマイ。思わず手の平で口をふさぐが、時すでに時間切れ。その声にビックリしたセリスとポポルが起きてこっちを見ていた。
「ポポル・・・帰りましょう」
「うん・・・セリス」
「ちょっと待ってくれ誤解だ誤解。」
「ん~久しぶりに寝て(ベットで)気持ちよかった~」
おいこら大事なとこを端折るんじゃない!二人の誤解を解くのに小一時間かかってしまった。
誤解を解いた後、みんなで朝ごはんを食べた。マイは和食だしマジウケる!とか騒いでいた。
ツクサ村を出る準備をしているとマイが話しかけてきた。
「あーヤマトっち?ワタシもついて行く事にしたからヨロシク~」
「!?」
「お風呂とベットがあるなんて最高ジャン。行くとこないし頼むネ!じゃ!」
それだけ言うとセリスとポポルの方へ歩いて行ってしまった。俺に拒否権はないのか?
盛大な送別会の後、ツクサ村を出発した。
ツクサ村を出てマグン湿地帯を抜けたら、次の目的地はタニガイ峡谷だ。その先のキアタ鍾乳洞を抜ければモリオア国につくらしい。まだまだ先は長そうだ。
レオヴァイザーの上にユニコーンを乗せ湿地帯を走る。リヴァイアサンもくねくねとついて来る。リヴァイアサンにホバー機能はないが、水面を器用に泳いでいる様だ。
GPで強化出来る事を教えたら試してみると言っていた。変な技とか覚えないといいけどな。魅惑の踊りみたいな技はやめてほしい。
リヴァイアサンには俺もセリスも乗れた。ただし操縦は出来ない様だ。初めに登録された人間のみ操縦できる様だ。ユニコーンにマイは乗れなかった。お察しである。「ちょっとマジ乗れないし。ウケる!」と喜んでいたので、処女しか乗れないことは教えないでおこう。
たまに出て来る野良獣機を倒しながら進むこと5日。湿地が段々と減って行き、遂には荒れた大地に変化した。
ナビ水晶通りに進むこと更に三日。俺達はタニガイ峡谷に着いたのだった。
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