俺にたこ焼き屋さんをやらせようとしていてヤバイ
花乃 舞25歳は女神の間12に召喚された転生者である。スマホを見ながら歩いていたところ事故にあい、女神の間へと召喚された。12の女神の担当JOBは聖踊り子である。踊り子の強化JOBである聖踊り子は踊りだけでなく、様々な幻術魔法も使えるという。
舞は暇を持て余したスマホ依存症だった。死んでもスマホを手放さなかったのである。そんな彼女の願いは、[異世界では面白おかしく生きたい]と[女子高生の頃の姿へ戻りたい]だった。女神から与えられたギフトは波瀾万丈とあの頃の私だった。死んでも手放さなかったスマホは、当然転生時も手放さなかった。
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リヴァイアサンの背後から現れた獣機は、蛸の様な足が15本あり、背中には黒い亀の甲羅がついていた。全高はレオヴァイザーの3倍以上ある。体にかかれた紋章からギバライ国の獣機だという事がわかった。
「ヤマト様。神獣テュポーンの獣機の様です。お気を付けください」
「ああ、やるしかないようだな。そこの青いのに乗ってる奴。危ないから離れていろよ」
「マジイケメン!サンキュー!」
「マイさんお礼くらいちゃんと言わないと」
「スマちゃんマジメ!ウケる」
リヴァイアサンを下がらせ、騎士型になったレオヴァイザーとユニコーンでテュポーンを迎え撃つ。迫りくる15本の足を切払いながら前へ進む。
一本の足がセリスの乗るユニコーンを掴んだ。と、思ったらユニコーンは幻影の様に消えてしまった。
「セリス。今消えたのは?」
「レインボーミラージュです。残像を残して移動できます」
「結構強化したんだな」
「はい。強化しました。最初から使えたスキルもありますが、他にもありますヨッと青騎士の薔薇!!」
セリスが技名を叫ぶと同時に、高速で移動しながら連続で斬撃を加え、テュポーンの足15本を全て切り取った。もう俺いらないんじゃないかな?
テュポーンに背を向け決めポーズを取るユニコーン。
だが、テュポーンの切れたはずの足は一瞬で生え変わりユニコーンを襲う。
「きゃああああああああああぁ!」
テュポーンの足がユニコーンを絡めとる。今度は幻影ではない。人間だったらものすごくいやらしいシーンになっているはずだ。というか、ユニコーンが女騎士型なので十分エロイ!グイグイ締め付けながら、ウネウネと動く蛸足がユニコーンの体を弄る。OH! yes!
ハッ!? 喜んでいる場合ではない。セリスを助けなくては。
「ヴァイザーブゥゥメラン!!」
ヴァイザーソードにある程度軌道を覚えさせ投げる。技名を叫ぶのは恥ずかしかったが大分慣れてきた。セリスを掴んでいた何本かの蛸足を斬り、戻って来たソードをキャッチする。ユニコーンは残りの数本の足を自力で斬りこちらへ退避してきた。
「すみません!助かりました!」
「ああ。足が復活する様だな」
「ですね。胴体を狙いたいところですが足と甲羅がじゃまで」
「足を斬った後に、一瞬でも動きが止められれば俺が胴体を攻撃出来るんだが」
会話しながらも、襲い掛かって来る足を斬り続ける。もし本物の蛸でたこ焼き屋さんがいたら、無限に生えてくる足で大儲けだろう。無限に生える蛸足を見たアップゥとポポルは面白がって喜んでいた。
切っても切っても生えて来る足に苦戦する。かなり面倒なタイプな敵だ。蛸足がウネウネと予測外の動きをするのもいやらしい。
さがっていたリヴァイアサンから通信が入る。
「あのサ!ワタシのリヴァイアサンも、なんか出来そうでウケるんだけどどするー?」
「出来るって何がだ?」
「一瞬なら動きを止めれそうなんだよね。失敗したらマジメンゴね」
「セリス。どう思う?やれそうか?」
「試してみましょう。失敗しても他の手を考えればいいです」
「青い奴。じゃあ頼む!次のタイミングで行くぞ」
ナビ水晶の中の女子高生がブンブンと首を横に振る。
「マイだよ」
「ん?」
「マイ!名前だよ!あんたの名前は?自己紹介もなしとかウケるんですけど」
「ヤマトとセリスだ。よろしく頼む!マイ!」
「りょ」
リヴァイアサンが龍の様な姿から人型へ変形する。こちらもやはり女型だが、魔導士の様な形だ。透明な青いミニスカのローブはフリフリが沢山付いている。青い水晶の様な杖は金の装飾がなされ光り輝いていた。聖獣人機を作った奴らは相当ご趣味がいいらしいな。
「マジ可愛いじゃんウケる。インシタ映え~」
リヴァイアサンは杖を構え魔力を溜め始める。
「いつでもOK! やっちゃってー」
「セリス!」
「はい!行きます!!青騎士の薔薇!!」
ユニコーンが高速で接近し青騎士の薔薇を放つ。器用に蛸足の攻撃を避けながら、瞬く間にテュポーンの足を斬り落としていく。その軌跡は青いバラを描いていた。
「マイ!頼んだ!」
「りょ!いっくよ~水泡泡と帰す!!いっけぇええ!」
リヴァイアサンが魔力を込めた青い水晶の杖を、テュポーンの胴体に投げつける。突き刺さった杖から巨大なシャボン玉が発生し、テュポーンを包み込んで動きを封じる。杖を投げたリヴァイアサンはキレキレのダンスを踊っていた。
「いまだ!!獅子!!!十文字斬り!!!」
短距離高速移動で接近し、高度跳躍でテュポーンの胴体目がけ飛び込み、十文字に切り裂く。意外にもかなりの威力で、堅そうだった背中の甲羅も突き破った。
テュポーンが爆発するのを確認し、ヴァイザーソードを収める。
直後にリヴァイアサンが抱きついてくる。ユニコーンの視線が熱い。
「ヤマトっちやるじゃん!」
「ああ、マイもいい魔法だったぞ」
「ゴホン。マイ様。ヤマト様から離れて貰えますか?」
「あ、ごめーんセリスっちのカレシだった?イケメンいいなぁ」
「え、あの・・・彼氏ではありませんが・・・」
「なーんだ!じゃあいいジャン!」
「よくありません!離れて下さい!」
「ヤマトはポポルの!」
「モテモテだね~」
レオヴァイザーを取り合い、両手を引っ張り合うユニコーンとリヴァイアサン。ナビ水晶に向かってい怒りを表すポポル。
えっと・・・どういう状況?普通生身でやらない?
マイの胸があたってぽわーんとか、セリスが逆に抱き着いてきて倒れてChuとかじゃないの?
レオヴァイザーに女型の聖獣人機の胸がゴッツンゴッツン当たってるんだが・・・
これも理の破壊者の力か・・・
「と、とりあえずツクサ村に帰ろう」
「あ~あのゲテモノ料理の村ネ。OKだけど食べないからヨロシク」
ツクサ村からいなくなった転生者はマイだったようだ。確かに俺もヒポカンポスの料理は見たくない。
村に着き、聖獣機からそれぞれが降りる。マイはブレザーにチェックのミニスカートで、どこからどうみてもお茶らけた女子高生だった。伸長はセリスとほとんど変わらない小柄な感じだった。小柄なマイは俺の姿を見てマジデッケェ! ウケる!と騒いでいた。
マイと一緒にいたスマホ妖精はスマちゃんという名前の男の子だった。金髪のホストの様な恰好だが、しゃべり方や性格はものすごくマジメな様だ。アップゥやポポルと仲良く遊んでいる。というか遊ばれていた。
「いやなんかサ。死んだら女神様の前にいてマジウケたし、ぶっちゃけ暇だったから面白い事がいっぱいあったらイーナーて頼んだら、モー大変だったヨ。転生したら池の上ジャボーン! で、魚の人に拾われるし、ゲログロなの食べさせられるしサ、逃げたら変な奴らに捕まって、リヴァイアサンに乗せられてウケる!って感じだったワケ」
「あの・・・ヤマト様この方は本当に日本人でしょうか?」
「ああ、若気の至りだ。許してやってくれ」
「あー信じてないっしょ。大変すぎてマジウケるんだからね」
追いかけて来たのがギバライ国の神獣機だったことから、マイを連れて行ったのはギバライ国で間違いないだろう。カバやサイなどのアフリカ系動物から神話に登場する化物にコンセプトに変わった様だ。正直趣味が悪いと思う。
「リヴァイアサンはどうしたんだ?ギバライが作ったのか?」
「あーリヴァちゃん?森で拾ったとか言ってたみたいな」
森というと世界樹の森か。ユニコーンと同じ聖獣機が他にも眠っていたという事だろう。転生者のマイを乗せてみたら、まんまと取り逃げた感じか。リヴァ取り逃げでネットに晒されたりしないといいな。
俺達が情報交換しているとカサナ村長がやって来た。
「皆さまお待たせしましたでギョ。ヒポカンポスの丸焼きでギョざいます」
巨大な皿を村人十人がかりで持ってきて、2m位の大きな蓋をパカッと開けた。禿げたおっさんが丸焼きになっているのを見せられて、絶叫する俺とマイであった。