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俺だって3対1の戦いはしたくなくてヤバイ

目を覚ますと目の前には高さ3m程の身鏡があった。不思議な赤い光に包まれた私が映っていた。先程まで見ていた不思議な夢・・・もう思い出せない。ただ懐かしい夢だった。私は鏡にそっと手を触れ、頬を当てる。冷たい感触で我に帰る。

そうだ、私は帰らなくてはならない。レオヴァイザーのところに。ヤマトのところに。


鏡越しに見えるアレに乗って・・・


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


レオヴァイザーにケルベロスとオルトロスとディオニュソスが迫る。ケルベロスの獅子の尻尾が、レオヴァイザー目掛けて薙ぎ払われる。かろうじて左手のヴァイザーシールドで防ぐが、その隙を狙ってディオニュソスが斬撃を入れようと突進して来る。右手のヴァイザーソードで斬り払うが、軽く避けられ、オルトロスの尻尾が放った火球がレオヴァイザーの胴に直撃する。


聖剛壁ホーリープロテクションが発動し、業火を打ち消す。が、ケルベロスに蹴られ、大理石製の白い遺跡にぶち当たる。レオヴァイザーの厚い装甲も、流石に傷だらけになる。


「・・・ヤバイ」


女神のギフトのおかげで装甲の傷は治って行くが、三匹の波状攻撃が激しく間に合っていない。

ダメージが積み重なり、レオヴァイザーの動きも悪くなっていく。


三匹で相談したかの様な連携攻撃だが、オルトロスとケルベロスはディオニュソスにもたまに攻撃していた。もちろん、ディオニュソスが軽く避けるので無駄だが。


オルトロスの重い一撃をくらい、動けなくなったレオヴァイザー目掛けて、トドメを刺そうと三匹が力を溜め始める。確実に仕留める気の様だ。


ケルベロスが全身に炎を纏いながら突進してくる。その影に隠れてディオニュソスも続く。オルトロスは強大な魔力を溜めているのか、口元へ赤い光が収縮していく。


「ヤマト様!お逃げください!」


突如ナビ水晶にセリスが映り叫ぶ。

オルトロスが何かに突撃されて、悲痛な叫びをあげた。

突進してきたケルベロスとディオニュソスを、スピンスラッシュで迎撃しケルベロスを吹き飛ばす。ディオニュソスは残像だった。


オルトロスの脇腹には虹色の角が刺さっていた。

その角の持主は、虹色の一本角に光り輝く虹色のたてがみをなびかせたユニコーンの獣機だった。

ユニコーンは角を引き抜き、後ろ足でオルトロスを蹴り飛ばす。


「ヤマト様!ご無事ですか?」

「セリスか!セリスこそ無事だったのか!」

「はい!ご心配をおかけしました。この子に呼び寄せられてしまった様です」

「ユニコーンだな」

「聖獣人機だそうです」


セリスがそう言うと、ユニコーンはガチャンガチャンブッピガンと人型へ変形した。

全高はレオヴァイザーより若干低く16mくらいだろうか。虹色の長い一本角のヘルムを被った女騎士タイプだ。ロボットなのに、ちゃんとミニスカなのは作った奴の拘りだろうか?綺麗に装飾された青い鎧は、ご自慢の青いチェストアーマーによく似ている。光り輝く虹色の長剣と、背中になびく虹色のマントがド派手だ。


「すんごーい!虹の騎士だ!」


起きてきたポポルが叫ぶ。いや、いままで寝ていてくれて良かったか。先程までの苦戦を見られたら大騒ぎして戦いにならなかったかもしれない。


「ポポル。すまないがアップゥを探して来てくれ」

「わかった!」

「ヤマト様。オルトロスは私がやります。ケルベロスの方をお願いします」

「わかった。セリス。無理はするなよ!」


セリスは人型を動かした事がないはずだ。いきなり戦闘は・・・ってスゴイ。

まるで自分の体の様にユニコーンを動かし、オルトロスに様々な剣技を仕掛けている。見たことの無い技ばかりだ。

夜の闇に光り輝く虹色の斬撃が乱舞する。尻尾やたてがみを斬られ、たまらず悲痛な鳴き声をあげるオルトロス。


「ヤマト様!確かに獣機でもスキルが使えます!これなら・・・きゃあああ」


悲鳴と共にユニコーンがこちらに飛ばされて来る。

ディオニュソスに蹴り飛ばされた様だ。


「俺を忘れてないか?アッハッハッハッ」

「しつこい奴だ」


ユニコーンが加勢したとはいえ、未だ3対2だ。ピンチな事に変わりはない。


「アップゥ連れて来たよー!」

「でかした!」


ポポルが両手でアップゥを握って連れてきた。潰れてないよな?

ポポルが手を開くとアップゥが呑気に寝ていた。


「アップゥ!起きろアップゥ!」

「ふぇ〜朝〜?」

「朝じゃない!アップゥ!あの黒い奴の目印(マーキング)の色を変えれるか?」

「消せないけど〜色は変えれるよ〜」

「そうか!じゃあゴニョゴニョゴニョ」

「わかった〜」


アップゥが目を閉じて、手拍子を一つポン! とすると、ディオニュソスの体がミラーボールの様に光り輝きく。ナビ水晶に眩しい光で苦しむ、黒いフルフェイスとドロシーが映る。


「うぉっ!? まぶしッ!?何しやがった!」

「ジン!眩しいよー目がぁぁクラクラするぅ」


深夜の森に光り輝くミラーボールとなったディオニュソスに、ケルベロスとオルトロスが襲いかかる。


「ゲッ!おいおいやめてくれよ!一緒に白獅子を倒そうと誓った仲じゃないか!」

「これで4対1だな」


オルトロスとケルベロスが襲いかかって来たのは、光に釣られたからだった。

もっと強い光があれば、そちらに目標を変えるかもしれないと賭けたのだ。

もし目標を変えなくても、あれだけ眩しければ、まともには動けないだろう。


「ヤマト様!ディオニュソスが逃げて行きます!」

「勝ったと思うなよぉぉぉぉ!」


オルトロスとケルベロスを引き連れて、森の奥へ逃げて行くディオニュソス。ミラーボールに釣られてモンスターが増えていく。大名行列の様になりながら消えていった。


やがて、モンスターの鳴き声が遠くへ行き、なんとか危機を脱した事に安堵する。



レオヴァイザーから降りる。ユニコーンから降りたセリスは俺の元へと駆け寄り、気づいた時には飛び込んで来たセリスを抱きしめていた。


「探したぞ」

「すみませんでした」


・・・・・・



無言になる。抱きしめたはいいが、何もプランが無いのだ。

いなくなって始めて、セリスを大切に思っていた事に気づいた。

もう、離したくないと思った。離れたくないと思った。


 セリスはどう思っているのだろうか?

イサムが言っていた様に、俺が好きなのだろか?

うまく言い出せないし、聞き出せない。


飛び込んでままの形で抱いたので、セリスの足はブラブラと浮いている。泥だらけの素足が自分の意志で行動していた訳ではない事を現していた。身体は完全に俺に預け、顔は俺の肩に乗っていた。顔は見えないが泣いている様だ。ぎゅっーと締め付ける腕が愛おしい。


ゆっくりセリスを地面に降ろした。

アップゥの目印(マーキング)のせいで、セリスは淡い赤い光に包まれ、俺は白い光に包まれていた。


「・・・ヤマト様」


見つめ合い、ゆっくり瞼を閉じるセリス。




二つの月が照らす深い深い森の中、赤い光と白い光は交わり、桃色の光になった。

四章終わります。


いつもお読み頂きありがとうございます。

よろしければブクマ及び評価など頂けると執筆の励みになります。


ユニコーンの聖獣人機の名前いいのないですかね?

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