俺の聖獣の設定でヤバイ
「うわぁ・・・大変な事になっちゃったぞ・・・」
超次元破壊砲の薙ぎ払いで消滅した獣機軍団。
地面は扇状に陥没しえぐれていた。
巨大なゾウガメ城は左半分が消え去り、残った右半身も爆発四散した。
上に乗っていた城は脆くも崩れ去った。
一万機以上いた獣機軍団はほぼ全てが消滅し、僅かに残った獣機も撤退して行く。
「PON!超次元破壊砲のリキャストタイムは300日です」
ナビがリキャストタイムを告げると同時にレオの変形が始まりライオン形態に戻った。
次に超次元破壊砲が撃てるのは300日後か。
撃つ様な場面が来なければいいが・・・って今も逃げれば良かっただけな気がするが。
まぁボタンを押したのはアップゥだし、俺は悪くない。
「俺は悪くない!」
「あははは〜いきなり叫んで変なヤマト〜」
いきなり最終兵器っぽいのをぶちかましたお前だけは言われたくない。
「とりあえずレオが動かせるみたいだから逃げるか。ここにいたんじゃ犯人扱いされてしまうし」
アクセルだった場所のプレートを軽く踏むと少し前に歩いた。ブレーキも効くようだ。移動だけなら問題無く操作出来るだろう。
思い切って強くアクセルプレートを踏む。
レオがダカッダカッと走りだす。ハンドルを切ってUターン。
「すごいすごい〜」
笑いながら車内を飛び回るアップゥを横目にナビの水晶を確認する。
どうやらこの先にワラサという街があらしい。
流石ナビさん。頼れるのはナビさんだけだ。
街へ向けて1時間程走ると、ふと違和感に気づいた。
かなりの速さで走っているが車内がまったく揺れていないのだ。
これはアレだな。カーレースのTVゲームをやっている感じだ。揺れないし加速や減速のGも感じない。
窓を開けても風は入って来ない。
変な感じだ。
レオってライオン形態なんだよなぁ。なんでコックピットはトラックのままなんだろう。
「なるほどわからん」
わからない事が多すぎて思わず口に出てしまった。
「ヤマト〜大丈夫〜」
アップゥが心配して俺の顔の前に飛んでくる。
前が見えないからやめて下さい。
「大丈夫だ。街の近くの森にレオを隠そう」
「了解〜かくそ〜かくそ〜」
アップゥが嬉しそうに笑顔で飛び回る。
無邪気なアップゥはとても可愛い。ともかく勝手な行動だけ謹んでいただきたい。
「まぁ、この辺でいいか」
ワラサの街が見える森の中にレオを停めた。
あんまり奥に停めると魔物やモンスターが出るかも知れないので入り口付近にしておいた。
幸い周りに人の気配はない。
「さて、街に行く前にレオの事を調べるか」
「しらべよ〜しらべよ〜」
ナビ水晶を触ると項目が表示された。
「目的地検索」
「形態変更」
「設定」
目的地検索は地球のナビと同じように使用できる様だ。
魔法で検索しているのか、この世界にもGPSがあるのかはわからない。
形態変更はさっきの人型に変える時に使用する。
とりあえず、設定でも弄ってみるか。
設定をタップするとあらたな項目が表示された。
「武装強化」
「改造」
「形態追加」
「詳細設定」
武装強化をタップするとツリー式の強化項目が表示される。剣や盾、遠隔とウェポンスキル欄があってGP(獣機ポイント)でアンロックしていくらしい。
当然GPの貯め方も現在のGPも不明だ。
ちなみに超次元破壊砲は単独ツリーでアンロックされていた。
改造はレオのステータスを10段階まで強化するものとスキルを取得するものだった。
こちらも改造にはGPが必要な様だ。
形態追加はレオの形態変更を追加させる項目らしい。
「騎士」アンロック済み
「トラック」100GP
「飛行」1,000,000GP
「条件を満たしていない」- GP
「条件を満たしていない」- GP
騎士はアンロック済みだ。先程の超次元破壊砲とセットで解除されたのだろう。
ほぅ、どうやらトラックにも戻れるようだ。運搬の時には便利かもしれないな。
そういえば満載だったお客様の荷物はどこに行ったのだろうか。
届かなかった皆さん俺のせいではありませんからね。
「わ〜レオ飛べるんだ〜良かったね〜おんなじだ〜」
アップゥがナビ水晶を見つめてニコニコしている。飛べない。そんなGPありませんし。
夢を壊す様で悪いが、そもそも俺は高所恐怖症なんだ。うんうん。
「PON!飛行形態アンロックされました。変更可能まで後150日です。残りGPは32Pです」
「おい!アップゥ何をした?」
「さわっただけだよ〜」
何度も言うが勝手に触るんじゃない。俺はアップゥを小一時間問い詰めた。
アップゥはごめんごめんと謝っていたが、あまりよくわかっていない様子だった。絶対またやらかすぞ。
今後ナビには近づかせない様にしなくては。
どうやらGPは表示されていないだけで、100万Pあったらしい。
後で知ったが「詳細設定」でGP表示の切り替えが出来た。
とりあえずレオは飛べるらしい。ただし150日後に・・・
残り32GPでアンロック出来る項目は当然無かった。
アップゥは罰として飯抜きだな。
「ハッ!?」
ぐーーー
異世界に来てから何も食べていない事を思い出した。
「とりあえず飯行くか」