表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/72

俺だってマイホームパパでヤバイ

「俺は正気に戻った・・・」


肉まんの呪縛から解け、辺りを見渡す。あの二人が見当たらない。

口からはほのかな肉まんの香りが漂っていた。うまい肉まんで気分は最高だが、現状は最悪だ。


どうやら勝手にレオヴァイザーのナビ水晶を弄られたらしい。GPがスッカラカンになっている。

あいつら一体何にGPを使ったんだ。7000以上あったはずだぞ。

武相強化や改造の項目に変化はなかった。何をしたんだ?


見つけた。あいつら・・・


そこに表示されていたのは。


ディメンションマイホーム(10%)1500GP

ディメンション温泉(5%)1500GP

ディメンション例のプール(1%)4000GP


ポポルとアップゥは設定の項目から、ディメンションルームの拡張を勝手にやったのだ。

マイホームとは倉庫みたいな部屋が家になるのかな?1500GPも使いやがって。

1500GPあればステータスの項目を5段階も上げれるんだぞ。1段階毎に100上がるので100→200→300→400→500の合計1500だ。その先は1000だったので止めたのだが。


温泉とプールは見つけて勢いで押したのは間違いない。そもそもなんでプールなんてあるんだよ。

キャンセル出来ないか試したがダメだった。

シュン。


あの二人の会話はどうせこんな感じだろう。


「ヤマト〜肉まん美味しい?」

「ダメだね。ヤマト食べるのに夢中になってる。あ、これ何?」

「レオをね〜強くしたり〜お部屋広くしたりできるよ〜」

「すごいね!部屋広くしよ!!」

「しよ〜ポチッ〜」

「他にはなんて書いてあるの?」

「ここには〜温泉とプールってあるよ〜」

「温泉とプール?」

「えっとね〜温泉は大っきなお風呂で〜プールは泳げるの〜」

「大っきなお風呂!泳げるプール!わーい!」

「ポチッポチッ〜」

「他には他には〜?」

「もう出来ないみたいだよ〜」

「な〜んだ。つまんないの〜行こ行こ!」


ヤマトの予想はほぼ当たっていた。


「後でお説教だな」

独り言をつぶやきながらレオから降りる。

外ではセリスが待っていた。

「ヤマト様。準備はいかがですか?」

「ああ、想定外の事があったが大丈夫だ」

「世界樹の森ルートですよね・・・ディオニュソスが居ないといいです」

あー確かに潜んでいる可能性もあるな。レオの強化をしたとはいえ、まだ会いたくない相手だ。

「森のルートだが端を通るだけのつもりだ」

「すみません」

セリスが丁寧に頭を下げた。

「どうして謝るんだ?」

「私が酔うから、海ルートを森へ変えて頂けたのでしょう?ありがとうございます」

「気にするな。セリスの水着も見てみたかったけどな」

軽く冗談を言う。久しぶりの赤面が見たいだけでセクハラではない。

「海に行くかと思って用意しましたが、置いていきます」

セリスが赤面せずに、ニコッと笑いながら言ったので、少しドキッとした。

水着。異世界にもあったんだな。

「ああ、水着は持って来ていいぞ」

「では、やはり海にいくのですか?」

「海には行かないが、きっと役に立つ」

怪しんだセリスがジト目で見てくる。何の役に立てるつもりなのって顔だ。

「わかりました。では荷物の整理をして来ます」

プールの事を説明しても良かったが、出来た時のお楽しみにしておこう。


セリスが準備すると言って2時間経つが戻って来ない。女の準備は長いのだ。待ってやるのが男だろう。


「お待たせしました」

レオに寄りかかりウトウトしていた俺に、セリス達が声をかけて起こしてくれた。

ネールやライリー、学校長もいた。研究所の職員達も整列していた。

学校長はなにやら、水着回か残念など独り言をブツブツ言っていた。それ未来の事言ってない?


セリスが遅かったのはライリーに捕まっていたかららしい。しきりにお姉様に手を出すなと忠告された。

皆に手を振りながらレオに乗り込み発進する。


目指すは遥か北のモリオア国。最初の目的地は、世界樹の森の手前にあるハイママ鉱山だ。

ハイママ鉱山にはデーニズ村があり、鉱山のおかげでかなり人が多く、たまに入村制限もあるらしい。

何となくだがネズミの獣機だけは出ないで欲しいと思った。


ハイママ鉱山までの道のりはかなり楽だった。農地を抜け、牧場を抜け、林を抜ける。

途中何匹か野良獣機がいたので念のため倒しておいた。

野良だと知ったのはネールに教わったからだ。操者が遠隔操作している時に死ぬと、暴走し、野良になると話していた。知り合いが死んだから世界中に野良獣機が溢れてしまったと。


見つけたら倒して欲しいにゃ!と頼まれていたのもあるが、レオヴァイザーの強化を試して見たいのもあって、野良獣機は見つけたら倒すことにした。


ヴァイザーソードだがやはり装備していなかった様で、アンロックした事で扱いやすくなった。

ソードを覆う様に聖障壁(ホーリーガード)みたいなオーラが出来た。そういえばディオニュソスも刀に黒いオーラを纏っていたな。


カバの獣機が数匹いたので試してみる。ヴァイザーソードで首を狙って斬ったら嘘のように切れた。

覚えたばかりのスピンスラッシュを試す。レオヴァイザーの周囲をまとめて攻撃出来る様だ。回転斬りだな。連続使用は出来ずリキャストタイムは1分だった。

獅子十文字斬りは名前の通り、横と縦に斬る大技だ。かなりの威力だが、リキャストタイムも5分と長い。

トドメか奥の手としておこう。


野良の獣機を倒しながら進む事約半日。

「PON! ディメンションマイホーム。アンロックしました。」

お、出来たか。勝手に注文されたマイホームが。

わざとらしくアップゥとポポルに言う。

「お?何だ?こんなの設定したかな?」

ポポルは下を向いて汗を流している。

アップゥは何も気にしていない。

「ポポル。何だろう。マイホームって」

ポポルを問い詰める。

「お、大っきなお部屋かな?」

「アップゥがね〜レオにお願いしたの〜」

ポポルをかばうアップゥ。いや、こいつの場合はかばったというよりも、天然なんだろう。

「ポポルもアップゥも勝手に触るなと言ったろ!パパ許さんぞ!な!セリス!」

「え、ぱ、パパ?じゃあ私はマ・・・」

冗談の通じないセリスが赤面したところで、早速、我が家を探検するか。


レオを停めて、ディメンションマイホームに上がる。どうやらキッチンの床下収納に繋がっている様だ。

オーマイホーム。勝手に設定されたが、これはあたりだった。


ベット一つだったあの倉庫が・・・なんということでしょう。5LDKの素敵なマイホームに。

乱雑に並んでいた木箱達は納戸にしまわれ、窓がなかったこの部屋は立派なリビングルームに。大きな窓は外からの明かりと雄大な異世界の景色を取り込みます。お子様達もおお喜び。

匠の仕事はまだまだ続きます。リビングから繋がる階段を上がるとそこには・・・なんということでしょう。個室のなかったこのレオヴァイザーに、4部屋も個室が用意されたのです。それぞれの個室にはベットと机も用意されており、大事なプライベートを守ります。ヤマトさん一家はこれからも幸せな家族を築けるでしょう。

今回の費用は匠の設計料を含む1500GPでした。


一番大きな角部屋を俺が、隣をセリスが使うことにした。ポポルは子供なのでセリスと同じ部屋だ。アップゥは好きにフラフラするから部屋はいらないらしい。そもそも部屋の大きさが合わないしな。

二階にもトイレがついていて匠の仕事にびっくりした。


夜も深くなってきたので、風呂に入り、お揃いのパジャマを着て、リビングで夕飯を食べ、並んで歯磨きして、寝ることにする。

「か、家族みたいですね」

セリスが真っ赤な顔で俺のパジャマを摘んで言った。

「ああ、こんなの初めてだよ」

リビングで走り回るポポルを抱っこしてセリスの部屋に連れて行きベットに寝かせる。

「ちゃんと寝るんだぞ!おやすみ」

「はーい、おやすみー」

完全にパパだこれ。よその子だよ君は。

「あの、ヤマト様・・・」

「なんだ?セリス」

「あ、後でへや・・・何でもないです。おやすみなさい」

慌ててベットに入るセリス。なんだ?部屋に何か付けて欲しいのかな?

まぁ、急ぐことじゃないんだろう。

「ああ、おやすみ」


俺は部屋を出てドアをバタンと閉めた。


そういえばレオヴァイザーのベットで寝るのって初めてだな。

いつもはセリスがベットで俺は運転席だったし。




今日はゆっくり寝れそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ