俺だって真面目にレオの強化を考えてヤバイ
モリオア国第一王女ポポル。5歳のステータス確認で操者と表示され、モリオア王室初の操者だったことから、操者教育学校のあるヴァチ国へと来ていた。ヴァチ国とモリオア国は古くから友好関係にあり、領土は接していないが貿易なども盛んであった。
だが、ヴァチ国とモリオア国の間にあるギバライ国と戦争になった為、ポポルは帰国が難しくなってしまった。
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超大型獣機艦スレイプニルは見事に故障した。ネールが言うには直すのに何カ月もかかるらしい。
なんでも操作部分のミスリルが溶けてしまったとのこと。いったい誰がそんな酷いことを・・・
サカオオ国がスレイプニルに傷一つ付けれず撤退した事から、攻め手が出来るまでは一時休戦状態になるだろうとの事だった。
つまり、次にサカオオ国が攻めて来る時にはスレイプニルを打ち破る何かがあると思ったほうがいい。だが、あんなでかくて堅いバリアがある馬を倒せる物なんてそうそうないだろう。
と、いう事で予定通りポポル姫の配達をする事になった。目的地は遥か北のモリオア国。
問題はルートだが、西の世界樹の森と東の海を船で渡るルートがある。
世界樹の森は大型のモンスターがいる危険な森らしい。一方で海は船での移動になるのだが、レオヴァイザーが泳げるのか不安だ。もし戦闘になったりして船から落ちたら死ぬかもしれない。ホバーで、もしかしたら沈まない可能性もあるが。
「どっちがいいんだろうな」
学校長の顔を見る。
「何も言えん。未来の事じゃてな」
「チっ!くそじじいが・・・・」
今回、モリオア国へ向かうのは俺、ポポル、セリス、アップゥの4人だ。
ライリーも行きたがっていたが、スレイプニルの調整に必要だそうでネールに捕まっている。
もちろん学校長も仕事があるので行かない。本人は行きたそうだが。
モリオア国から来ていたポポルのお供3人は今だ床に伏せている。
「ヤマト様、姫をお願いします」と何度も言っていた。
俺はポンポンと銀色のボールを地面に弾ませながら悩んでいた。このボールはネールから貰ったミスリルを操者力で球体にした物だ。操者力の制御の練習になるから常に持ってろにゃと言われたのだ。
鋭く針の様にしたり球体にしたりウネウネ動かしたりして遊んでいる。
「皆はどっちがいい?」
「ポポルは海!!泳ぐ!!」
「アップウ~も海~」
「ヤマト様、海は酔うかも・・・まぁ森でも酔うかもしれませんが」
「じゃあこうするか」
机の上に借りた地図を置き、ミスリルの球を地図の上に落とす。球はコロコロ転がって行く。
みんなの視線が球に集まる。
コロコロ転がって南のサカオオ国の方へ転がる。
・・・
違う・・・そっちじゃない。そっちは逆や。
失敗した事に恥ずかしくなり地図を丸める。
「ヤマト様・・・今のは?」
「何でもない。気にするな」
じゃあ棒倒しとかで決めるか・・・正直どっちでも危険は変わらない気がするから困る。
運ぶならなるべく安全に行きたいもんだ。
「よし、世界樹の森を抜けるぞ」
「え~ポポル海がいいー」
「船で行くと船と船員まで守らないと行けなくなるし、難破して無人島に流れ着くのが落ちだろう」
「わかりました。ヤマト様。ポポル姫様も我慢しましょうね」
「ちぇ~」
「海みたかったね~」
残念そうにするポポルとアップゥだが仕方がない。
「じゃあ出発するか。ヴァチ国を観光出来なかったのは残念だがな」
ポポルはおてんばなクソガキなのだが、モリオア国の大事な第一王女だそうで、今すぐにでも帰国させて欲しいそうだ。その為、ヴァチ国の国王に呼ばれていたのだがキャンセルして出発する事にした。
俺を国王が呼んだ理由は、サカオオ国を撃退した表彰とスレイプニルを壊したお説教だ。
表彰もお説教もいらなかったので断る理由が出来て良かった。
出発する前にレオヴァイザーの強化について考える為に、一人でレオに乗りナビ水晶を操作する。
一人で乗るのはもちろん邪魔者が入らない様にだ。前回は勝手に100万GPも使ってしまった奴がいるからな。
あらためてレオヴァイザーの強化項目を見る。
「武装強化」
「改造」
「形態追加」
「詳細設定」
武装強化をタップするとツリー式の強化項目が表示される。剣や盾と遠隔とウェポンスキルがあってGP(獣機ポイント)でアンロックしていくらしい。
改造はレオのステータスを10段階まで強化するものとスキルを取得するものだった。
こちらもGPが必要な様だ。
現在のGPは18265Pだ。ゲイナ村で朝まで獣機を倒した事や、最近の蛇やらトカゲやらとの戦闘で貯まったのだろう。
試しに武装強化の剣のツリーを開く。一番最初の「ヴァイザーソード」をアンロックする。必要なGPは100Pだ。ん?じゃあ今まで持ってた剣は何だったんだ?
もしかしてRPGによくある武器は装備しないといけませんよ的な奴か?
ヴァイザーソードを使いこなせなかったのはこれが理由か。
「ヴァイザーソード」の項目はレベル5まであって、その先は「?????」になっている。
レベル5にするか何かの条件を満たさないとわからない仕様だ。
同じく「ヴァイザーシールド」もレベル5の先は「?????」だ。
今後、どうしても必要になったらアンロックを目指そう。
とりあえず、今は命の危険を防ぎたいのでステータス各5レベル上げて2個ウェポンスキルを行った。
残りは貯めておく事にする。
結果、レオヴァイザーのステータスはこうなった。
聖獣人機
レオヴァイザー
操者 サガワ ヤマト
属性 聖
HP 7000/7000 (2500up)
EN 280/280 (100up)
装甲値 3300 (1000up)
運動性 165 (50up)
照準値 180 (50UP)
サイズ M
ヴァイザーソード レベル1 (1up)
ヴァイザーシールド レベル3 (2up)
シールド防御
ホバー移動
残りGP7565P
女神のギフト
状態異常無効化
体力自動回復(S)
魔力自動回復(S)
スキル
不意打ち
短距離高速移動
高度跳躍
聖障壁
ウェポンスキル
ヴァイザーブーメラン
スピンスラッシュ
獅子十文字斬り
形態変更
人機形態
トラック形態
飛行形態(作業状態10%)
少しは戦える状態になったのだろうか?ディオニュソスにはまだまだ敵わない気がする。
「PON!ステータス5レベルアンロックによりボーナスを得ました。聖障壁の効果が上がります」
ナビ水晶の音声が強化のお知らせをする。ボーナスなんてものがあったのか。ラッキーだった。
「ね~おいしかったでしょ~」
「ポポルこんなおいしい食べ物初めて食べた!」
強化の終了と共にディメンションルームからアップゥとポポルが降りてきた。君たち上にいたのか!危うくまた出たらめなボタンを押されるところだった。
「お前らまた勝手に忍び込んで!何食べてるんだ!」
「ポポルはこれを食べたの」
言いながらアップゥの持つ肉まんを指さした。
ああ、湯気の立つ暖かくて柔らかい肉まん。すごくいい匂い。食べたい・・・・
殺してでも奪い取りたい・・・・
・・・
ハッ!
俺が肉まんの呪縛から気づくと二人の姿は消えていた。
レオヴァイザーのGPは15Pになっていた。