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俺も青薔薇と赤薔薇に挟まれたくてヤバイ

 ヤマト達が操者教育学校で戦っていた一方で、ヴァチ国操車研究所とヴァチ国軍本部基地も獣機の大軍によって攻められていた。その獣機の編成は主に爬虫類であり、サカオオ国の獣機である事を示していた。

今まさにヴァチ国は絶体絶命のピンチを迎えたのである。

 完成したばかりの獣人機で立ち向かうヴァチ国軍と、獣人機には変形出来ないが機動力で勝るサカオオ国軍は一進一退の攻防戦へとなった。

 時間が立つにつれヴァチ国軍本部基地の獣人機達は力を発揮しだす。羊型のファルシープは片手斧でトカゲの獣機を破壊し、狼型のファルウルフィは槍でワニの獣機を破壊する。

 

 徐々にサカオオ国軍は不利な状況になり、本部基地から撤退を開始し始める事となった。


 敗因は簡単である。武装が無いからだ。

爬虫類の獣機は確かに素早かったが、攻撃方法が体当たりか噛みつきしかなかったのだ

まさか人型に変形し、武装までするとは思ってもおらず、ヴァチ国軍の獣機を甘く見ていたのだ。


サカオオ国軍は目標を変え、獣機研究所の破壊を優先し総力戦に挑むのであった。



 剣や魔法で直接戦闘する時代は獣機の開発によって終わった。

だが、獣機同士での戦闘も獣人機が開発され、武装する事で早くも終わりの日が来のだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 羊の操者達が女騎士を救出する。若い男の子達には目の毒・・・いや、ご褒美か。

赤いチェストアーマーに包まれた亜麻色の髪の女騎士は、兵士達に治療され目を覚ました。

しばらく兵士達と話をした後、レオの方へ歩いてきた。

「ヤマト様、ちょっと行ってきますね」

「知り合いだとか言っていたな」

「はい、後ほど紹介いたします」

セリスを降ろす為、ライオンへ変形しフセ状態にした。

「ポポルもおりる」

「アップゥ~も~」


 セリスを追って全員降りてしまったのでレオの中に取り残されてしまった。なんか嫌な予感がするんだよな。降りたら地獄を見るような。セリスと話をする女騎士。こちらからは何なの話をしているのか不明だが、たまにレオを睨みつけている。

アップウが女騎士の耳元で何か喋ると同時に怒りで顔が真っ赤になった。お前はそっちで赤面するんかい。

セリスは頬に手をあててクネクネしながら赤面している。

ポポルは赤面の真似がしたいのか息を止めて顔を赤くしている。


 よし、降りるのはやめよう。俺にだって危険地帯に踏み入らなくてもいい権利くらいあるだろう。

でも駄目みたいだ。来ちゃったし。赤い女騎士が青い女騎士を引っ張って・・・

怖いからドアは開けずに見ている。赤い騎士の女は口パクでなにか伝えようとしている。


コ・・・ロ・・・ス・・・・


 なんで助けた俺が殺されないといけないんだ。

「ヤマト~呼んでるよ~」

おおおおおおおおおい勝手にあけるなアップゥ!!!!

「お前がヤマトか!お姉様に手をだしやがって!!!!」

怒涛の勢いで乗り込んで来る赤い女騎士。あっという間に首根っこをつかまれて外に放り出される。


「死ぬ準備は出来ているようだな」

外に放り出されて罪人の様に冷たい床で正座させられる俺。

そこへセリスが飛び出てかばってくれた。

「ライリー!ヤマト様に無礼はやめなさい!」

「で、ですがお姉様。その男はお姉様をたぶらかし、て・・・て、手までだしたというではありませんか!そこの妖精が証言しましたよ!」

またアップゥか!

操者学校の生徒たちから上がるオーという声。

ライリーは自分で言って恥ずかしかったのか赤面する。


「てててて、手なんて出されていません。握っただけです」

セリスも負けじと赤面する。君らが乙女なのはよくわかったから誤解を早く解いてください。

「一緒に寝ただけだよね~」

「ポポルのパパママも一緒にねるよ」

全然フォローになってないっすマジ簡便っす。

「一緒に・・・・ねねねね寝ただとおおおお」

怒りが有頂天になったライリーはついに長剣を鞘から出し、俺に向かって振り下ろす。

「ライリーおやめなさい!」

セリスも長剣を鞘から出し振り下ろされた剣を切払う。切払われたライリーの剣は宙を舞う、スポッと学校長の手元に落ちてきた。無駄にギフト使ってるなあの人。

「くっ・・・お姉様・・・どうして・・・」

「ライリーは勘違いをしているだけです。ごにょごにょごにょ」

 

 セリスがライリーに耳打ちする。ポポルとアップゥもそれに混ざる。ついでに学校長も混ざる。

ええっ! 本当ですか! よかった! やっぱり許さん! 過去の事じゃてなど色々聞こえてきたが、最終的には怒りを収める事が出来たようだ。

異世界には本人からの供述は受け入れないシステムでもあるのか?


「ヤマト様。失礼した。私は特務獣人機部隊(ファルビースト)隊長ライリーだ。助けて頂いて感謝する。あとセリスお姉様に手を出したら殺す」

えっとむちゃくちゃ笑顔ですごい事言わなかった?

「サガワヤマトだ。よろしく頼む。セリスに妹がいたんだな」

「もうヤマト様。妹ではありませんよ」

ああ、そういう事・・・


「しかしあの蛇の獣機を倒すとは、流石白獅子のヤマト様ですね。私のブケパロスなど捕まって頭以外破壊された様です」

すかさずアップゥが飛び出して来る。

「それはヤマトがね~」

「アップゥちゃん!!リンゴあげるからね!あっちいってようね~」

ポポルも負けてはいられない。

「あのブーメランとかいうのすごかったね!!」

「はいはい。ポポル姫ちゃんもリンゴね~」

買いだめしたリンゴが無ければ即死だった。


「ライリー。ヤマト様は聖操者なのですよ。私たちとはレベルが違うのです」

「聖・・・という事は転生者ですか? 強さには納得です。ですが転生者・・・特に男の転生者は女性に目がないと聞きます。お姉様には・・・」

「もう!()()()()()()()()()()。ライリーしつこいですよ」

何がいいのか。今の一言はかなりギリギリの誤解を生むラインだぞ。


ライリーの鋭い視線を感じる中、羊の獣機の操者が走って来る。

「隊長!研究所と軍本部基地が襲撃された様です」

「なんだと!!」

「ライリー隊長とセリス様は研究所に向かうようにとの事です」

「わかった!と言いたいところだが私のブケパロスはもう・・・・」


・・・・・・


ん?


そのなんでもしますから乗せて下さい的な目は・・・


「ヤマト様・・・ライリーと私を研究所までお願いします」

「ヤマト様。なんでもしますからお願いします」


 セリスはいいけどライリーはなぁ・・・危険が危ない。

いつ刺されるかわからないぞ。ああ。レオの中なら死にはしないか。

「ほれ、何もせんでも向こうからやってくるじゃろ」

「くそじじいが・・」

つい口にでてしまったが、全く気にせずアップウとポポルと遊ぶ学校長。

「わかったわかった。行くから乗れ」

「かたじけない!」


・・・・きつい。


 元々運転席は3人乗りだ。運転手と助手席の間にわずかだがもう一人座るスペースがある。

ちゃんとシートベルトもついてるんだぞ。

助手席側からセリス爺ライリー俺の順番だ。ポポルは爺の上の膝の上に座っている。アップゥはいっぱいだね~といいながら車内を飛び回っている。


そもそもなんで当然の様に学校長も乗ってる訳?乗るならせめてディメンションルームにいけよ。

「せ、狭いし誰か上に行かないか?」


静まり返る車内


えっと・・・無視ですか?

確かにディメンションルームに行くと景色が見えないから面白くないかもしれないが。

「ラ、ライリーさん?上に行きませんか?」

「ハッハッハ! ヤマト様。そんな事いってお姉様に近づこうとしても駄目ですよ」

駄目だこいつ。早く何とかしないと。


「おいじじい・・上に行けよ」

「はぁ?なんじゃ?最近耳が遠くなってのう」

こいつもか・・・そもそも女の子二人に囲まれてずるくない?両手に花じゃないか。


「セ、セリス・・・」


・・・・


 潤んだ瞳で見つめて来るセリス。捨てられる前の子猫か。

目と目があっている事に気づいたライリーが邪魔してくる。

ええい狭いけど仕方がない。研究所に向かうぞ



俺はギッチギチの車内の中、研究所へ向かってレオを走らせるのだった。


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