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俺もミスリルで遊びたくてヤバイ

 ヴァチ国獣機研究所では徹夜での作業が続いていた。

ギバライ国のの宣戦布告に続いてサカオオ国まで宣戦布告して来たのだ。

秘密裏に開発、生産していた獣機もついにロールアウトする事になった。

悔やむべきはギバライ国との初戦でもあるネト川での戦いに間に合わなかった事である。

ギバライ国から亡命したネールは、当然ギバライに獣機があるのを知っていた。

だが、昨日のフレイムサラマンダーを用いた戦法は間違いなくサカオオ国のものだ。

つまり、サカオオにも獣機は存在する。

「こりゃあ多分どの国も持っているにゃ・・・」

赤いカメレオンの獣機の残骸を見ながら呟くネールの予感は当たっていた。

ちょうど同じ頃、ギバライ国の一番北、つまりモリオア国に接するミト街に獣機が攻め入ったのである。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 帰るタイミングを探して困る俺。

何か言いたい事がある様子だが口を開かないセリス。


・・・・


無言の時間が続く


研究所にコアを運び終わったネールが走ってきた。

「そこのエルフ。こっちに来るにゃ」

「いや、俺はちょっと用事が・・・」

「いいから来るにゃ!!!」

ネールはジャンプすると俺の片耳を手につかみ、引っ張りながら歩き出した。

こ、この感じ・・・覚えがある・・・(かあ)ちゃん!?


 あたふたしながらセリスもついて来る。

ちょっとガッツポーズしてた気がする。


「わかった、行くから手を離してくれ」

耳を引っ張られて痛い上に腰も曲がって歩き憎い。俺は母ちゃんの奴隷じゃないっつーの。


 俺とセリスはネールの研究室に連れてこられた。

研究室の中はは物で散乱し、真ん中の大きな机に様々な謎の鉱石や謎の骨など不気味な物が並んでいた。

ネールはその机の上の物を両手でザーッと端に寄せると、ポケットの中から水晶を取り出し机の上に乗せた。

「これは知っているかにゃ?ステータスを見る水晶にゃ」

「ああ、ワラサの街で使ったことがあるぞ」

「わかってるなら早く触るにゃ」

言われたまま触る。ワラサの街で触った時はギルドの受付嬢がドン引きして冷たくなったな。

強いのか弱いのかよくわからなかったが。


ステータスがヴァチ国語で表示される。


名前  サガワ ヤマト  

種族  エルフ

性別  男

年齢  20

JOB   聖操者

レベル 15

HP    300/300

MP    75/75

STR   23

DEX   19

VIT    25

INT     17

MND   19


スキル

不意打ち(バックスタブ)

短距離高速移動(とんずら)

高度跳躍(ハイジャンプ)


称号

理の破壊者(フラグブレイカー)


ふむ。レベルが7上がって高度跳躍(ハイジャンプ)が追加されているな。

ステータスについてはわからん。とりあえずセリスと腕相撲したら確実に負ける。

それどころかアップゥにすら負ける可能性がある。

以外に痛いんだよなぁアップゥの体当たりとか。

女神のギフトはやっぱり消えている。

レオに乗ってる時だけか・・・

降りてる時に誰かに攻撃されたら死ぬ。

確実に死ぬ。


 覗き込んでいたセリスが驚愕の眼差しで俺を見ている。

「聖・・・操者・・・」

それを聞いたネールはうんうんとうなずいている。

「ああ。セリスもそうだろ?アレイオンを動かしていたんだし」

「いえ、私は操者です。[聖]ではありません」

うんうんとうなずきながらネールが持ってきた針金をセリスに渡した。

「セリス。これを操作して見るにゃ。そうだにゃあ。お題は薔薇でいいかにゃ?」

「はい」


 セリスが針金に力を加えるとウニョウニョと動き出した。まるでミミズだ。

やがてその針金は器用に織曲がり薔薇を造形していく。

なんだっけ?ワイヤーアート?

見事な針金で出来た薔薇が完成した。


「腕をあげたにゃ」

えへへと照れながら頭を掻くセリス。


「次はエルフにゃ」

ポーンと針金をこちらに放り投げるネール。

「ちょまっおっおっと」

俺は慌てて受け取ろうとするが、手の上で何度かバウンドして落としてしまう。


「おー」

ネールの驚きの声。

気付くと床付近まで落ちた針金は俺の手元にあった。

「ヤマト様。今のは何をしたのですか?」

「わからん。落としたはずなのに手元にあった」

「床から戻ってきたのにゃ。その針金を操作してみるのにゃ。お題はセリスの顔にゃ」


床から戻った・・・バウンドして偶然手に帰ってきたのか?


「操作?操作ってなんだ?」

「ヤマト様。それはミスリルです。魔力を込めて操作するとこの様に」

セリスの手元の薔薇がウニョウニョと動き出し、ハートの形になった。

セリスがハートの形のミスリルを胸の前に持ち、ニコッとした後すこし赤面した。

楽しそうだけど魔力を込めるってなんだ?


「魔力の込め方がわからんのだが」

「いつもレオヴァイザーを動かしてる時みたいに念じてみて下さい」


俺はミスリルを持ってセリスの顔を作る様に念じる


セリスの顔。


セリスの顔・・・


じっと見つめながら念じる。


セリスの顔。綺麗な顔だ。金髪なのに日本人の様な顔。

ああ、ハーフっぽいのか。

吸い込まれる様な青い瞳。小さくてプルンとした唇。

そういえば俺とセリスは今日でお別れだったな。


正直に言えば別れたくない・・・


のかもしれない?


そもそも俺とセリスの関係はなんだ?


ただ仕事を頼まれて一緒に過ごしただけじゃないか。


俺はセリスの事をどうしたいと思っているんだ?


セリスは俺の事をどう思っているんだ?


これ以上仲良くなるのはアイツへの裏切りか?


心のどこかにいるアイツが俺を締め付ける。


アイツは許してくれるだろうか?


許すってなんだ?


何も悪い事はしていないだろう。


自問自答を繰り返す。


「ヤマト様!!」


セリスに体を揺すられ気づいた。

俺の手の中のミスリルは液体になり床にドロドロに溶けていた。


「だめだったよ。才能がないみたいだ」

首を振りながら答える。

「そんな!練習すれば出来ますよ!」

セリスは何故か必死な表情だった。

ただミスリルの工作が失敗しただけなのに何故だ?


「その必要はないにゃ。ミスリルの純度が悪かっただけにゃ」

ネールは俺をじっと見ながら続ける。

「操者の力が強すぎるにゃ。流石聖操者にゃ」

「ヤマト様の聖操者は間違いないのですね」

うんうんと頷くネール。


ネールはしばらく黙った後、意を決して様に口を開く。



「ズバリ言うにゃ。ヤマトは地球の日本から来た転生者にゃ」

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