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俺もフラグを立てたくてヤバイ

 万機将軍ギズモの操っていた獣機は、約8000機が超次元破壊砲(ディメンションノヴァ)で消滅した。

残った2000機の万機操縦術(メガマニューバ)で操作されていた獣機は、そのマスターであるギズモが死んだ事により暴走状態となった。

100機の獣機で10万の軍が壊滅した事から、2000機の暴走した獣機の恐ろしさがわかるだろう。

暴走した獣機はワラサ街を中心にジパンゲア大陸全土へ広がった。


 ヤマト達が獣機を倒し終わったのは朝日が昇った後だった。

朝焼けの中立ち尽くすレオヴァイザー。

中ではヤマトとセリスが爆睡していた。


手を繋いだまま。


「こら~いつまでラブラブしてるの~おきなさ~い」

お昼になってお腹の空いたアップゥが拍手しながら車内を飛び回る。

「ふぁ~あ。朝か」

起きようとすると左腕が重くて動かない。

ん?なんだ?

そこにはセリスが俺の腕に抱きついたままでその胸が・・・


ガチン!!


はい、ざんねーん!ご自慢の青いチェストアーマー。

ぜーんぜん柔らかくないぜーんぜん。


もしかして、俺の称号と関係あるのだろうか?


称号 理の破壊者(フラグブレイカー)


女の子とのエッチなイベントフラグを破壊する称号?

もしくは恋愛には陥れない称号?


わからんけど・・・多分魔法だな。

セリスのご自慢の青いチェストアーマーに「エッチなのはいけないと思います」魔法が付いている説もあるけど。


とりあえずセリスを起こす。

起こすと自分が抱きついているモノが俺の腕だと気づき赤面した。

「あっすいません」

慌てて腕を話し、恥ずかしがりながら髪を整える姿は、どうみても事後です本当にありがとうございました。


昼飯を食べてから出発する事にする。

ゲイナ村からヴァチまではレオのスピードで半日で着くだろう。

何もなければだが。


昼飯はアップゥに頼んだ。


アップゥは今まで頼んだ事を何倍にもした。

氷を頼めば雪原にし、火を頼めば地獄の業火だ。

料理を頼んだらうんまーーーーいのメシ顔になる物が出来るかもしれない。

ちなみに電子レンジだけは絶対頼まないつもりだ。

きっと電子だか陽子だかよくわからんものが融合して滅びる。


 しばらくすると料亭の女将みたいな恰好でアップゥがおにぎりを持ってきた。

えっとまぁ見た目は普通だな。というか米なんてあったのか。


おにぎりを見る。


不思議だ。


このおにぎりを見ていると何がなんでも食べたくなる。

例え殺してでも奪い取りたい。


ハッ!


気づくと俺とセリスの手元のおにぎりがなかった。


誰か盗んだのか?


いや・・・俺とセリスの口元には米粒がついている。

食べたのだ。


無我夢中で食べていることすら忘れ、感じる事も出来ずに。


「ヤマト様! 今のは? 三角のアレは!? よくわからなかったけどお腹がいっぱいです」

「ああ。どうやら既に俺たちは食べてしまった様だ」

「どう~?おいしかった~?」

ドヤ顔するアップゥに今度は普通のおにぎりを頼むと言っておいた。


 ヴァチへ向かう前にゲイナ村長のビレジに挨拶する。

ビレジは元ヴァチ国軍の兵士だったらしい。

「セリス様()()()()()もらえましたか?」

「馬鹿!言うなビレジ!内緒だと言っただろう」

「なぐさめてもらったよね~」

アップゥがニコニコ言う。

「ほぅ〜セリス様もついに大人に。老婆心ながらビレジは嬉しゅうございます」

「お、大人ってどういうこと?」

セリスはビレジにからかわれて赤面していた。


セリスが怪しかったのは、「何も出来なかったからヤマト様になぐさめて貰えるように協力して欲しい」とビレジに頼んだかららしい。

ビレジの言う()()()と、セリスとアップゥの言う()()()()()はきっと意味が違うと思ったが、ややこしい事になりそうなのでつっこまない。


ビレジとアップゥが仲よさそうによかったですな~よかったね~と言い合っている。

「だ、だってアップゥがヤマト様がなぐさめてくれるって言ったから」

セリスはプイッと横を向いていたが耳が真っ赤だった。


そろそろ俺もこう言いたい。こいついつも赤面してんな。



「ではヤマト殿、セリス様をよろしく」

ビレジと村人達が手を振る中、レオトラックを走らせ出発した。


しばらく走ると急に景色が変わった。

ヴァチまでの街道沿いには農地が続いていたのだ。

小麦がたわわに実って黄金に輝いていた。

丁度収穫時期なのだろうか?

沢山の農夫が小麦を狩っている。


スースー寝息が聞こえてくる。

セリスが疲れて寝てしまった様だ。

助手席を見ると、寝ているセリスの金髪と小麦の黄金の光のコントラストがとても美しく見えた。

スマホがあったら迷わず撮影していただろう。

ああ、スマホはあるんだった。


よくわからんスマホ妖精が。

俺は胸ポケットで眠るアップゥの頭を撫でてやる。


よかったな。猫耳の可愛い女の子の妖精で。

猫耳のおじさんの妖精だったら投げ捨ててるぞ。

投げ捨ててもすぐ戻ってくるだろうが。


二人とも寝てしまったので走りながら今後の事を少し考えた。

やはりヴァチにコアを届けたら、セリスとはお別れだろうな。


配達業でも始めるか。


レオの宅急便。なんちゃって。


そんな空が飛べるだけの魔女がやりそうな仕事はやっぱりだめか。

目立ちすぎるよな。レオヴァイザーは。


目立つとアイツが来る。

ディオにゃんソスだったかな?あの黒豹。

次にあいつが立ち塞がったら・・・必ず負ける。

間違いなく俺は死ぬだろう。

逃げる訳じゃないが戦う理由もない。

戦争が起きるかもしれないなんてセリスも言っていたな。

モンスターや獣機とは戦えても、生身の人間と戦えるだろうか?

今まで戦った獣機にはたまたま人が乗っていなかったが、青い象の奴みたいなのもいるかも知れない。

人類皆仲良くとは難しいのだろうか?


そもそも戦争の原因てなんだろう。


ヤマトは未だ原因が自分達である事を知らなかった


 街道を何事も無く走り続け、予定より早く首都ヴァチが見えてきた。

セリスがディメンションルームで寝た事で本気をだし、短距離高速移動(とんずら)を連発したからだ。


ワラサと同じく巨大な城郭に囲まれたその街は、深夜だというのに明かりがあふれていた。

「流石首都だな夜でも明るいな」


近づいていて気づく、明かりというよりも・・・炎?



そう。ヴァチは戦火の炎に包まれていたのだった。

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