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俺が象と協力してヤバイ

時間は少し戻る。

バラライ達はグランドワームの通り道を通り、オアシスへ向けて進んでいた。

カバを元に作られたヒポタスが二機。

サイを元に作られたライノスが二機。

そして最新型でもありバラライの乗るゾウを元に作られたファントス。

バラライの乗るファントスは青く塗られ、細かな装飾がなされていた。

ファントスの高さは22mもあるが、このグランドワームの通り道は倍位の高さがあった。


「こいつはでけぇな。お寝んねしていてくれよ」

まだ見ぬ不安を感じ、バラライは天井を見上げながら呟いた。


ひた走る5機。はじめに違和感を持ったのはムンゾである。

「バラライ様。少し様子がおかしくなってきましたな」

言われてバラライも気づく。

「少し寒いな。雲でもでたか」

「マヤタチ砂漠に50年に一度来るスコールかも知れませんな」

「いや、それは一昨年来たはずだ。先を急ぐぞ」


後ろを走るヒポタス2機では操者達がなにげない会話をしていた。

「マイク。聞いてくれよ。俺はこの任務が終わったら酒場のあの子と結婚するんだ」

「本当かスティーブ! あのジェシカと遂にか!結婚式には呼んでくれよ」

「あぁ、是非君にきてもら・・・ぐわぁぁぁぁぁ」

突如叫び声をあげるスティーブ。

マイクはスティーブのヒポタスを探す。隣を走っていたはずのヒポタスが見つからない。

「スティーブ!スティーブ!どこだ!返事をしろ!」

「マイク・・・ジェシカに伝えてくれ・・・愛し・・・ぐわぁぁぁ」

「スティーブ!どこだ!スティーブ」

バラライがスティーブを探すマイクを止める。

「マイク!スティーブはもう駄目だ!飲み込まれちまった!お前の後ろだ!」

マイクは言われて気づく。自分のヒポタスの後ろが暗闇になっている事を。

暗闇ではない。


グランドワームの通り道と同じ大きさの口だ。


バラライが声をあげる。

「貴様ら逃げるぞ!ついてこい!」

「了解!」

4機となった ギバライ国特務部隊幻象(エレファントム)はグランドワームの通り道を最高速で走り抜ける。

それをグランドワームが追う。

「バラライ様!あれはマザーです」

「ああ、確かにデカイ!ムンゾよお前の嫁の胸もあれくらいか?」

「はは。ご冗談を。あれほど出かければ後二人は子供がいますぞ」

「ガッハッハ。それもそうだ。む、出口が近い!はぐれるなよ!」


4機は地表への出口へ向け突き進む。

「なんだ!様子がおかしいぞ!これは・・・雪だ!」

外へ出た4人が見たものは砂漠ではなく、雪原であった。


通り道を抜けたら雪国だった。


ズガァァァァン!!!

特務部隊幻象(エレファントム)を追ってマザーワームが地面を突き破って出てくる。

走る4機の正面にはヤマトのトラックが止まっていた。



「マザーワームです!」

セリスが顔を青くしながら叫んだ。


「おっきいミミズだね〜」

大きいなんてもんじゃない。レオが人型になった時の高さが多分18m位だ。

あのミミズはその倍以上の大きさはある。


逃げている4機の最後尾のカバが食われた様だ。

食べたカバが爆破した事により怒り暴れ回るマザーワーム。

「ヤマト様今のうちに逃げましょう」

セリスが怯えて言う。

奇遇だな俺も全く同意見だ。


トラックを走らせようとするが前に進まない。

どうやら新雪でスタッグしてしまった様だ。

トラックには良くある事だ、無理もない。

雪は降り止む事を知らず、1m以上積もっていた。

ディメンションルームのコアが気になるが、白獅子に変形し四つ足で雪の中を走り出す。

爆発されては困るのでアップゥに確認してもらったが大丈夫の様だ。

積み降ろしの時だけトラックになればいいな。


レオの後を象達が追いかけて来る。

その象達を追いかけて来るマザーワーム。

お前ら俺の後をついて来るんじゃねぇ!


「PON! この先、ゲイナ村です」

「ヤマト様いけません!」

「わかってる!」

このまま前に進んだらゲイナ村にマザーワームを連れて行ってしまう。

そうすれば間違いなく村は全滅だ。

しかしあんなデカイ奴どうすりゃいいんだ。


俺は覚悟を決める。

とりあえずやるしかない。


レオを止め、象獣機達に先に行けとアピールをする。

俺は人型に変形し剣を構える。

相変わらず無様な構えだが仕方がない。

「セリス! 酔うから目をつぶってろ!」

「いいえ! ヤマト様の戦いを私にも見させて下さい!」

つい見つめあってしまった。

「ラブラブだね〜」

「アップゥは黙って(ろ)」

アップゥは黙ってニコニコしだした。


迫り来るマザーワームへ構え戦闘をイメージする。

そこへ象獣機達が集まって来る。

「PON! 強制通信です。通信機能をアンロックします」


なんだ?強制通信だと?


ナビ水晶を見ると髭のおっさんが映っていた。

「ギバライ国特務部隊幻象(エレファントム)バラライだ。マザーワームを連れて来てすまん」

「ミミズは俺がなんとかする。お前らは国へ帰れ!」

「そうはいきませんな。自分の尻拭いくらいしないと部下に笑われるもんで」

「お前ら死ぬぞ!」

「ギバライ国特務部隊幻象(エレファントム)を舐めてもらっては困る」

バラライがそう言うと青い象が変形し出した。


ガチョンガチョンプッピッガン!


青い象だった獣機は、フルプレートアーマーの騎士に変形した。

象の顔は巨大な両刃の斧になった。

「ファントス!参る!」

「お前も変形するのか?」

「当然だ。白獅子殿お名前は?」

「ヤマトだ」

「ではヤマト殿!行きますぞ! 」


ついつられて名前を言ってしまった。

人型になるのは当然らしい。

当然と聞いてセリスはブツブツ何か言っていた。

「このままでは・・・ヴァチ国軍は勝てない・・・」


ヤマトとセリスはまだ知らない。

ヴァチ国軍はすでにボロ負けし敗走した事を。


さて、マザーワームとの戦いだが、特に作戦はない。

大きさにびびって逃げてしまったが、動きはそこまで早くない。

回避しながら切り続ければ倒せるだろう。


ファントスがマザーワームの正面から斬りかかる。

「受けてみよ!青い巨象の一撃を!ウォォォォ!」

ズバシュ!

体重を乗せた重い一撃が突き刺さる。


マザーワームは突き刺さった斧ごと体を振り回し、ファントスを吹き飛ばす。

そこへサイ二匹が突進しダメージを与える。

ズガァン! ズガァン!


怯んだ隙にレオが剣で斬りかかる。


カチーン!


見事に弾き返される。


剣を突き出す様に構え加速して突き刺す。


カチーン!


弾かれる。


マザーワームの尻尾を避けながら巨大な口へ斬りかかる。


カチーン!


構えが悪いのか、剣スキルがないからだろうか、弾かれてしまう。

助手席でセリスがアーとかうーんとか何度も言っている。


「あのヤマト様?」

「なんだ?気持ち悪くても我慢してくれ」

「そうではなくてですね。もしかして剣を持った事がありませんか?」

何故わかった! 隊長クラスともなるとそりゃわかるか。

「実は触った事もない。だからカバも剣を持って刺しただけだ。」

「そうだったんですね。では・・・」


セリスは助手席からゆっくり手をのばすと俺の左手を握った。

「ゆっくりリラックスしてください。構えに力が入りすぎて斬る時に力が抜けています」

童貞だったら美女に手を握られて力が抜けるどころか入るだろうが、どどどどうていちゃうし。

セリスに言われた通り構えの力緩める。

「斬る時に力の流れを意識して下さい。大地を蹴りその反動を筋肉に乗せます」

大地を蹴り!反動からっ!


ズバシュ!


先程まで弾かれていたマザーワームの厚い皮を斬ることが出来た。

「お上手です。後は剣を叩きつけるのではなく斬る時に引いて下さい」

斬る時に!引くっ!

ズバシュ!

吹き出るマザーワームの体液。

深く斬りつける事が出来た様だ。


「上手でした!それを200回!はい始め!」

「え?ええええ」

マザーワームのたまに来る尻尾攻撃をホバーの移動でかわしながら斬りつける。

いくら動きが遅いといっても直径40mの尻尾だ。

当たったらひとたまりも・・・レオなら大丈夫かも知れないが。


ひたすら斬りつける。

すでに1時間は斬り続けている。

マザーワームは傷の痛みか、攻撃の当たらない苛立ちからか全身を赤くし始めた。


バラライから通信が入る。

血だらけのおっさんが水晶に映る。


「どうやら時間のようだな」

ん?時間?


「ヤマト様。マザーワームが帰って行きます」


ズルズルと地中に入って行くマザーワーム。


「マザーは気温が上がったから帰るようだ。我等も帰還する。ヤマト殿すまなかった」

空を見上げると黒い雲は晴れ、砂漠の太陽が顔を出していた。

積もった雪は溶け始めていた。


「おぅ象のおっさん。村を守ってくれたんだろ。助かったよ」

「なーに偶然だ。次は戦場で会おう。ガッハッハ」


バラライは笑いながら言ったが ギバライ国特務部隊幻象(エレファントム)はほぼ壊滅である。

ファントスの鼻は折れ、アックスの両刃はボロボロに欠けてしまった。

ライノス二匹は破壊された。中の二人はどうにか無事だ。


一方でヤマトの白獅子は傷ひとつ無く。剣は刃こぼれさえしていない。

ヴァチ国の獣機は恐ろしく硬い。そして早い。

性能が段違いな事を報告しなくてはならない。

ヴァチ国軍が獣機を配備したらギバライ国は負ける。



「結局倒せなかったな」

「ウッヤマト様アレを倒すのは無理かとオエ」

酔ったセリスは窓から吐いていた。

「いい線いってたと思うんだよなぁ。多分後二、三発で倒せたかも知れないな」



「ヤマト〜マザーワームの残りHPは72万だったよ〜すごいね〜」


なんてアップゥがマザーワームの残りHPを知ってるか知らないがそりゃ倒せないな。

もはやヒロインならぬゲロインさん可愛そう

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