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俺が休憩してたら砂漠に雪が降ってヤバイ

マヤタチ砂漠はジパンゲア大陸の中でも最大の広さを誇る砂漠だ。

今回ヤマト達が通過するのは、マヤタチ砂漠の端を通るだけだなのだが、それでも命の保証は無い。

大きな危険は三つある。

一つ目は気温。最高気温は50度を越え、夜間は逆に氷点下まで下がる。

幸いレオの中は気温と湿度が一定に保たれているので問題はない。


二つ目は地形の形状だ。マヤタチ砂漠はただ砂地が広がっているだけではない。

砂で出来た小山や大山で段丘になっている。

その為、街道を離れて進もうとするのは、レオでも難しそうだった。

MAPを頼りに慎重に街道を進む。


三つ目はモンスターだ。

リナター平原やクサラ峠には、人を襲う大型モンスターはいなかった。

だが、セリスが言うにはマヤタチ砂漠にはレオよりでかいモンスターが地中にいるらしい。

地中にいる奴らはナビにも反応せず、どこにいるかもわからない。

出会わない事を祈っておく。


一方その頃、ヴァチ国とギバライ国の国境を流れるネト川を挟んで睨み合いを続けていた両軍は、その火蓋を切って落とした。

ワラサ街に2回目の奇襲が伝わった事で、ヴァチ国軍が痺れを切らし攻撃を開始したのだ。

ヴァチ国軍は10万。一方のギバライ国は1万。

戦う前から勝負はついていたかの様に見えた。


結果はヴァチ国軍の惨敗。

ギバライ国は秘密兵器でもある獣機を惜しみなく投入したのだ。

その数はたった100機程であったがヴァチ国軍を壊滅させるには十分だった。

ヴァチ国でも獣機は開発されていたが、武装や操者不足な点で出撃出来なかった。

カバやサイに突進され蹂躙されていくヴァチ国軍。

ヴァチ国軍の壊滅により、この世界の戦争が変わった日である。



「バラライ様。我が国の勝利の様です」

ムンゾが、本国からの報告を受けバラライに伝える。

ギバライ国は獣機同士の遠距離通信を開発していた。


「無様だな。ギズモが失敗していなければ誰も死なんで済んだものを」

バラライは研究対象として軍部に連れさられギズモと出会った。

研究と称した苦痛を何年も受けた仲なのだ。


ある日突然苦痛が終わった。

研究者にやってきた一人の女がやめさせたのだ。

女はギズモと共に獣機を開発し、やがてヴァチ国へ亡命した。

ギズモは女を絶対取り返すと息巻いていた。


「ギズモめ。余計な仕事を押し付けよって」


余計な仕事とは亡命者の捜索だ。

もっとも亡命者の捜索は誰かに命じられた訳ではない。

ギズモの死を伝える為だ。

白獅子を追えば亡命者に出会う。そんな予感がしていた。


白獅子の追跡は困難を極めた。

どうやら向こうは探知魔法でこちらの追跡に気づいている様なのだ。

千里眼(サウザンドアイ)のスキルによって白獅子の位置は把握出来ているのだが、近づけば離され、離れれば休まれる。

次に休むとしたらこの先の小さなオアシスだろう。

追跡が任務なのだからこれでいいのだが、姿くらいは見ておきたいものだ。


「グランドワームの通り道を使うぞ」


グランドワームとはマヤタチ砂漠の地下に住む巨大なミミズだ。

大きいものでは直径20m長さは120mにもなるという。

獰猛な肉食で動くモノすべてに襲いかかる。

夜行性の為、昼間は地下深くで眠るので、通り道も低リスクで通過できる。

暑い昼間は地下に、寒い夜には地表で活発に動き回る。

グランドワームが作った地下通路を使ってオアシス付近まで近づく作戦だ。


そんな事はないだろうが、地表が氷点下にならない限りは安全だ。


俺はMAPに映る追手の赤い点が再び近づいて来ているのを感じ、セリスには悪いが短距離高速移動(とんずら)を度々使って先を進む。

その結果、追手は消えたがセリスも酔った。

「お願いですオェなんでもウッしますからヴゥ休ませて下さい」

追手は気になるが近くにオアシスを見つけたので、休憩することにする。

セリスが車内で吐いてしまったからだ。

幸いMAPに赤い点は見えない。諦めたのかも知れない。


オアシスの辺りに丁度良い木があったので、セリスを木陰に休ませる。

結構吐いてしまった様なので、濡れたハンカチを目の上に乗せておく。

ご自慢の青チェストアーマーは脱がせてオアシスで洗っておいた。


暑い。


オアシスの近くだがらといっても気温はほとんど変わらない。


暑い。多分40度はあるだろう。

気温が一定に保たれたレオから出たばかりなので更に暑く感じる。

臭い車内か暑い車内か。究極の選択だな。


そういえばさっき冷蔵庫の話をした時にアップゥが氷の魔法が使える的な話をしていた。

アップゥに頼んで見るか。

まさか氷が爆発したりはしないだろう。


「アップゥ。氷みたいので冷やせないか?」

「冷蔵庫〜?やってみる〜」


アップゥはクルクル回りながらゆっくり目をつぶり、そして力強く開いた。


空が暗くなりスッーとする冷気。


寒気。


鼻に冷たいものが当たる。


「雪・・・だと?」

「冷蔵庫だよ〜」


アップゥの魔法で降り始めた雪はやがて大雪に変わる。

髪の毛に雪を積もらせながらアップゥをとめる。

「オイ! アップゥもういい。止めてくれ凍えてしまう」

「とまらないよ〜」

なんてこった・・・やっぱり駄目猫スマホ妖精じゃないか。

一体どうやったら砂漠が大雪になるんだ!


極寒地獄の旋風(ヘルブリザード)だよ〜」

「何でそんな究極魔法みたいのを!とにかくレオに戻ろう」

「後で雪だるま作ろうね〜」

「こっちが雪だるまにってセリスゥゥゥゥ」

木陰に寝かせていたセリスは雪が積もって見えなくなっていた。

慌てて掘り起こしレオに連れ帰る。


雪を払い人生で言ってみたい台詞ランキング上位のアレを言う。

「寝たら死ぬぞ!」

軽い往復ビンタをする。


ビビビビビビビビ


「ハッ! ヤマト様」

「危ないとこだったな。もう少しで裸で温め合うとこだったぞ」

「は、裸・・・そんな事よりアレを!」


4機の獣機と何かががこちらに向かって突進してくる。

先頭に青い象が一機、続いてサイが二機、遅れてカバが一機。

そして直径40mはあろうかという巨大なヘビ。

青い象達を追いかけている様だ。

「な、なんなんだあのどでかいヘビは!」

「あ、あれはヘビではありません! グランドワーム。いえ、大きさから言って・・・」


ゴクリと唾を飲みながらセリスが言う。


「マザーワームです!」

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