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俺が歌声に誘われたせいでヤバイ

ギバライ国特務部隊幻象(エレファントム)、彼らの任務は白獅子の追跡である。

偵察部隊でもある彼らはワラサの近くに潜伏していた為、任務を与えられた。

隊長は青い象の獣機を操るバラライ。

当然、ヤマトが思った通りお髭の凛々しいナイスミドルだ。

幻象(エレファントム)は青象1機カバ2機サイ2機で構成されている。


短距離高速移動(とんずら)で一時は引き離されたが、着々と距離を縮めていた。


「白獅子はヴァチへ向かっているはずだ。砂漠を抜けるつもりだろう。」

バラライは髭を触りながら続ける。


「今日はクサラ峠の湖の辺りにいるはずだ。砂漠へ先回りして待ち伏せするぞ」

「了解」


徹夜になる事を承知で嫌がるそぶりをしない部下達を見れば、信頼されている事がよくわかる。


「ヴァチの白獅子。その強さ、確かめさせてもらおう」


一人ニヤけるバラライ。

青い象の背後から照らした夕日で、その影は何倍もの大きさになった。


まだ日も登らないうすら明るい朝霧の中、俺は歩く。

汗臭さはないと言っても、顔くらいは洗いたかったので湖の近くまで来たのだ。


湖の辺りまで歩くと、綺麗な歌が聴声が聴こえてくる。

悲恋の歌らしく、どこか悲しげだが祈りや希望も感じられる歌だった。

聴き惚れてしまい思わず歌声の主を探す。


湖の浅瀬で水浴びしながら唄うセリスを見つけた頃には朝霧が晴れていた。


サンライズを浴びながら水浴びするセリス。

上機嫌なのかこちらに全く気づかず朝日に向かって唄い続ける。


当然全裸だった。


浴びた水がキラキラと輝く光の中に浮かぶセリスのシルエット。


髪が、胸が、脚が、全てが綺麗だった。


ずっと見ていたいと思った。


セリスの唄が終わりハッとして気づく。どうみても今の俺の状況は覗きの痴漢。

どうする?逃げる?

焦って逃げようとし、石を蹴飛ばしてしまう。

その石の飛んだ先?そりゃあお約束のセリスの足元ですよ。


ポチャン。


音に気づいたセリスが振り返る。

二人の目と目が合い、一瞬の間の後、湖に悲鳴が轟いた。



「本当に霧で見てないんですね」

「あぁ霧が濃くて全くみえなかった」


着替え終わったセリスがジト目で俺を見る。

俺は真剣な眼差しでセリスを見つめる。

片目は殴られて青いアザがあるが見つめ合う。

おれは嘘を付いてない。


ってアピールだ。


「今回は大目に見ましょう。次やったら許しませんからね」

「ズビマセンデシタ」


何度も土下座し許してもらった。

いいモノ見せてもらったし土下座位なら安い。


(きん)は下も(きん)か。


朝ごはんを食べてマヤタチ砂漠へ出発する事にする。

今日の朝飯はハムエッグとパン。ちゃんと塩胡椒もかけた。

先にお歳暮の調味料を見つけておいて良かった。

目玉焼きにはソースと決まってるし。


後で木箱を整理して食べ物を探しておかなくてはな。

ちなみに俺は料理出来ない。

せいぜい焼いて食う位だ。


「セリスは料理できるのか?」

「め、目玉焼き位なら私にも出来ます」

言った後に目線をそらしたのを俺は見逃さない。


セリスのこの答え、すなわち出来ないって事だな。

下手したら目玉焼きが炭になるレベルだな。


「アップゥは料理出来たりしないよな」

ハムを美味しそうにかじるアップゥに聞く。

アップゥは少し考えた後、ニコニコしながら答えた。

「料理できるよ〜おいしいよ〜」


出来ると答えたがどうだか・・・

今までの感じから言って、目玉焼きが爆発とかしそうだ。

まぁお試しに昼飯はアップゥに頼んで見るか。

セリスが食べてから食べよう。レディファーストだ。


食事の後片付けをしているとナビからアンロックの知らせが届いた。


「PON! トイレがディメンションルームに追加されました」

「PON! バスルームがディメンションルームに追加されました」

「PON! キッチンがディメンションルームに追加されました」


よしよし。トイレと風呂問題が解決したな。


ベットと木箱の部屋に二つドアが増えていた。

トイレとバスルームだった。

これでこの部屋には床に運転席への出入口、正面に貨物スペースの出入口、その向かい側に木箱が積んである状態となった。


まずトイレだが、洋式でちゃんと水も流れる。

なんとウォッシュレット付きだ。

電気も無いのにどうなってるかはわからない。

わからない時はこう言う事にしている。

「仕組みはわからんけど多分魔法」


お風呂はシャワー付きでまぁまぁ広い。

湯船には大人二人は入れそうだ。

とりあえず足を伸ばして入れそうで嬉しい。

もちろんガスも無いのにどうなってるかはわからない。

「仕組みはわからんけど多分魔法」


キッチンはなんとアイランドキッチンだ。

運転席への入り口近くにキッチンが出来た。

ガスコンロではなくIHクッキングヒーターらしい。

残念ながら冷蔵庫と電車レンジはついて来なかった。

レオの中では食材が劣化しないので、保存の意味で冷蔵庫は不必要だが、冷えたビールは飲みたい。

電子レンジは無くてもしょうがないとしか言えない。

だがあれば便利だ。

仕組みはわからんけど多分魔法でなんとかならないものか?


「セリス。氷系の魔法は使えるか?」

「ヤマト様。操者は白魔法しか使えません。しかもヒールのみです。武器も1種類しか使えません。人によって違いますが、私の場合は片手剣でした。ヤマト様は何の武器でしたか?」


俺は魔法も武器も使えないんだが。

やはり操者と聖操者では何か違う様だ。

セリスには無難に片手剣と答えておく。


ダメ元でアップゥにも聞いてみる。


「アップゥは冷蔵庫みたいに冷やせたり、電子レンジみたいな事が出来るか?」


スマホだったアップゥには率直に聞いてみる。


セリスは初めて聞く言葉に頭がハテナしていたが、アップゥは少し考えてから答えた。


「出来るよ〜冷やすのとチン」

「アップゥはなんでも出来るんだな」

「うん〜覚えればね〜」

「う、何も出来なくてすいません」


えっへんのアップゥとがっくりのセリス。

それぞれにトイレとキッチンとお風呂の使い方を教えてから砂漠へ向け出発する。



アップゥには説明の必要がなかったかも知れない。家電仲間だしな。



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