俺がカバに襲われてヤバイ
「おはようございます!」
俺がアップゥと朝食をとっていると不機嫌な顔をしたセリスが前の席にドスッと座った。
目は赤く腫れあがり周りにはクマが出来ていた。
可愛そうに・・・昨日色々あったから寝れなかったんだろうな。
俺は疲れていたのかベットに潜り込むとすぐ寝てしまったぞ。
「おはよう。よく寝れなかったのか?」
「えぇ。おかげ様で」
ん?なんだか俺が悪いみたいな言い方だな。
まぁいい。
「セリス~あんな薄着で寝てたら風邪ひくよ~」
「寝てません!アップゥは黙って!」
ぷりぷり怒りながらパンを引き千切るセリス。
顔も赤いし寝不足で風邪でも引いたのかな?
「準備も出来たしさっさとコアを積んでヴァチへ向かおう」
「まったく・・・据え膳・・・男らしく・・・えっハイ!ちょっとワラサ街の兵士に挨拶だけして来ます」
なにかブツブツ言っていたが気にしないことにした。
昨日買った物を背負い、街を出てレオに乗り込む。
買った物は運転席の上の部屋へ放り投げた。
セリスは街の兵士達に挨拶をしてから来るとのことだったので、レオの前で待っていると元勇者の門番がミーサの事で謝りに来た。
助けてくれたのに変態扱いしてすまない、と。
誤解はよくある事だから気にしていない。
門番の元勇者と話しているとアップゥが慌てた様子で飛んでくる。
「ヤマト~!カバが来たよ~3匹~」
目を凝らすと平原の遠くからカバ獣機が歩いて来るのが見える。
カバ獣機はレオに気づいたのか一直線に走り出した。
「ヤマト様!跳んで回転しながら爆発する攻撃をしてくるみたいです!」
門番の元勇者がカバ獣機の攻撃方法を教えてくれる。
あいつらそんな攻撃も持っていたのか。
レオに乗って迎え撃つ。降り掛かる火の粉はなんとやらってね。
ホバーで前進し街から離れてカバをおびき寄せる。
兎が蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
カバが勢いをつけて突進してくる。
剣を構え・・・狙い・・・振り下ろす。
ガチーン!
堅い!振り下ろした剣ははじかれ、そのままカバはレオに突進し体当たりする。
BUMOOOOOO
ズガッ!!
たまらず後ろへ倒れる。
しゃがみこんだレオの両サイドから残りの2匹が脇腹アタックしてくる。
ズゴオオオオオオオン!ガガガガガガガ
鈍い衝撃音と共に聖障壁が発動する。
くそっ!カバが堅いんじゃない。レオの剣の振り方が下手すぎるんだ。
腰がはいっていないというか、どのタイミングで力をいれるのかもわからない。
腕だけのちからで振るだけじゃだめだ。だがその方法がわからん。
ガリガリガリガリッガンガンガン!
カバ3体がしゃがんだままのレオの腹部に頭突きをかましたり牙で噛みついたりしている。
もしかして腹部を狙うのはコアがあると思ってるのか?
レオの腹部にコアがあるかはわからないが、狙ってくる場所が決まっているのは好都合だ。
「調子にのるんじゃねええええええ!!」
盾を振り回しカバをまとめて吹き飛ばす。
カバ達は一反離れると右前足で地面をブモッブモッとほじくり威嚇している。
本当にカバか?これ絶対イノシシだろ。
どうやらもう一回突っ込んで来るようだ。
BUMOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
レオを立ち上がらせ構える。
「カバが!舐めるな!」
来た!横一列になって突っ込んで来る。
「正面!くるよ~」
「うおおおおおおおおおお!」
短距離高速移動を発動しホバー状態でカバの突進を回避する。
シュギャアアアアギュオオン!
旋回し剣を前に突き出し突っ込む。
「こんのぉおカバ野郎がぁぁぁぁぁ!!!」
突進を避けられて止まったカバ3匹を纏めて串刺しにする。
ズバシュズバシュズバシュ!!
勢いが止まらずそのまま城郭へ突き刺さる。
カバ達の動きが止まった事を確認し剣を引き抜く。
門を見ると用事を済ませたセリスと元勇者の門番が立っていた。
今の戦闘を見ていたらしい。二人とも口が開いたままになっている。
ホバーで二人の元へ駆け寄った瞬間。
ズガアアアアアアアアアアアン!
ズガアアアアアアアアアアアアアン!ズガアアアアアアン!
カバ獣機が爆発した。
あえて爆発した方を振り返らず決め台詞を言う。
「成敗!」
口にだした恥ずかしい言葉に赤面する。
アップゥが気に入ったのか「せいばい~せいばい~」とはしゃぎだした。
セリスが駆け寄って来る。
「ヤマト様!」
「あぁ無事だ。心配かけてすまない」
「いえ・・・城郭と街が・・・」
振りかえると城郭には大きな穴が開いていた。
手前のカバの爆発で城郭に穴が開き、他のカバは吹き飛び街の中で爆発した。
2か所も。
「せいばいせいばい~」
あ、そのセリフ今はヤメテ。
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