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俺がトラックにまた乗れそうでヤバイ

ヴァチ国操者教育学校。通称操学。

莫大な国の費用を用いて操者の為に用意された学校である。

子供は親から無理矢理引き離され、学生寮で生活する。

生活費など全ての費用は国から支給される上、親には多大な恩赦が与えられる。

国教である明月女神(アルテナ)教の教えにより子供達手厚く扱われた。

身分を問わず実力でのみ評価されるこの操学は、貧困家庭にとって宝くじに当たる様なものだ。

セリスはそんな貧困家庭の生まれだ。

別れの日に母親は泣いたが、呑んだくれの父は笑っていた。

あの笑顔が金の為か、いじっぱりの痩せ我慢だったのか亡くなった今ではわからない。

国外れにあるマヤタテ村ではセリス1人の為にお祭りまで用意された。

村にも恩赦があると知ったのは士官してからだった。


操学の主な授業は一般教養と操者訓練である。

操者訓練とは特殊な金属ミスリルを魔力で操作する訓練だ。

ミスリルを魔力で曲げたり伸ばしたりする練習をする。

操学設立者はいつかミスリルを使って戦争が行われる時代になると話していたそうだ。

才能溢れるセリスは操学のトップを突き進み、ヴァチ国初の獣機を動かしたのも彼女であった。

それは謎だった操者というJOBの答えを導き出した瞬間でもあった。

謎のJOBの為に学校まで作った意味は謎のままだが。


そしてセリスは士官し特務獣機部隊(ガルビースト)の隊長になった。

隊長機として白馬の獣機が与えられた。

アレイオンである。

早さ、硬さ、強さ。全てがヴァチ国最高の性能であった。

が、アレイオンはディオニュソスによって成すすべもなく倒された。

セリスのプライドも傷つけられ、思わず「くっ、殺せ!」と言ってしまった。


ディオニュソスはヤマト様が白獅子で倒した。

兵士が言うには一歩も動かず一撃で倒したらしい。


信じられない。そんな眼差しでヤマトを見ながらセリスが聞いた。


「ヤマトさん。この白獅子の名前はなんと言いますか?」

「レオヴァイザーだ」

「レオ、ヴァイザー・・・」


小声で繰り返すセリス。



ヤマトは頭をポリポリ掻きながら約束を思い出す。

アレイオンのコアだっけ?アレをヴァチまで運ぶ。

どのくらい距離があるのだろうか。

人型で抱えて持って行くとしたらかなり時間がかかる。

それ以前に人型で歩いた事がない。

二足歩行のバランスが取れるか不安だったからだ。

ライオンで咥えるにはデカすぎる。

なにしろ直径3mの球体だ。

転がしていったら怒られるんだろうな。


もったいないけどGPを使うか。

トラック形態変更があったはず。


確認の為レオに乗り込もうとすると、セリスが仲間になりたそうな目でみている。

いいえを選びたいところだが、仕方ないので乗せてやる。

反応がミーサと全く同じだった。


「このボタンはなんですか?これは?この棒は?」

「俺もわからん」

本当にあなたのですか?と疑いの視線が降りかかるが無視する。

この流れ毎回やるの?


ナビ水晶に手を触れ起動し形態変更を選ぶ。

「これ何語ですか?」


異世界の地球の日本語です。とは言えないな。別に言ってもいいのかな?

女神には特に止められなかったが。

一応隠す事にする。


「俺の国に古くから伝わる言葉だ」

「そうなんですか。日本語かと思いました」


何?日本語があるのか?どう言う事だ?


「日本語とはなんだ?」

しらばっくれて聞いてみる。


「何でも100年前に異世界の地球の日本から来た15人が・・・あ、もう全員亡くなりましたが。勇者だったり魔王だったり大変だったらしいですよ」

「ほう。初耳だな」

「最後の1人がギバライ国から亡命して操者学校を作ったのですよ」

「そうだったのか」


あんまり聞きたくない情報だな。

予想だが今回の転移者は15人、多分俺は補欠。

周期は100年毎か、今回が2回目かな?

やはり全員地球には帰れなかったみたいだ。

うーむ。知りたくない情報だ。巻き込まんで欲しい。


トラック形態変更をアンロックする。


「PON!トラック形態変更アンロックしました。変形可能まで1日です。」

いきなり喋ったナビ水晶にびっくりするセリス。

水晶を一生懸命覗き込んでいる。


「今のは何語で何と言ったのですか?」

「俺の国に古くから伝わる言葉だ」


セリスがまた何か余計な事を言いたそうなので俺から先に言う。


「出発は明日でいいな。旅の準備があるから街に行ってもいいか?」

「明日で構いませんが私もついて行きます。逃げられると困るので」


まぁ仕方がないか。

この世界のルールとかマナーも知らないから必要な物を選んでもらおう。

金が足りなかったら出してもらえるかも知れん。


「わかった。だが縛るのは無しだぞ」

と言いながらレオから出ると兵士達の見る目が熱かった。

何か勘違いしてない?


兵士達がこちらを見てヒソヒソ話をする。

「やっぱりな。アップゥさんの言うとおりだな」

「ヤマト様は綺麗なお姉さんがタイプでセリス様もタイプだとか」

「ドMで腕や足を斬られても笑ってたらしいぞ」

「だが縛られるのは嫌いらしいな」

「白獅子から出た二人はなんだかスッキリしてますな」


セリスの顔を見ると赤面してプルプルしていた。

おいアップゥ?何を言いふらしてるんだ?

どこに隠れているんだ?

後最後の門番の元勇者だろ。何してる・・・


俺は怒りながら叫んだ。



「どこにいるんだアップゥゥゥゥゥ!」

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