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一章閑話 門番の娘

いつも通りお母さんが作ったお弁当をお父さんへ届けてる。

ついでに何匹か兎を狩って帰る。ただそれだけの予定だった。


私のお父さんは街の門番です。

ワラサ街には4個の門があってその西側の門で働いてます。

北と南は街道とつながっているので人通りも多いけど西門は平原に出れるだけなので一人で十分だそうです。

街の城郭門をくぐりお父さんの元へ走る。横に見慣れない人が立っていた。


「ミーサ。いつもありがとう。いつもみたいにこのまま兎を狩りに行くよな?」

「そのつもりだよ。ところであの背の大きな人はだれ?」

「うむ。冒険者になりたてらしくてあの森に行きたいようだ。兎を狩りながらでいいから森まで案内してくれるか?」

「変なの~冒険者なら兎を倒せばいいのに」


お父さんが小声で答える。

「こいつは見た目はでかくて強そうだが弱い。さっき普通の兎に殺されそうになってた」

「え~~~~あの兎に~~~~!!!」

思わず大きな声がでてしまった。だって兎だよ?


「あと上手くしゃべれないらしい。頭の上を飛んでる妖精が通訳してくれる」

「えっ妖精!?どこどこ?あ!可愛い!!ちょっと行ってくるね」

背の高い人は怪しかったけど、妖精の可愛さに負けて森までの案内を受けました。


背の高い人の近くまで行くと本当に大きい。顔を見上げると首が痛いです。

「はじめまして。父から話を聞きました。私はミーサです。丁度兎狩りに行く時間だったのでよかったです。一緒に森まで行きましょう。」


自己紹介すると妖精さんが通訳してくれた。

背の高い人はヤマトっ名前だった。私の装備の心配までしてくれたけど大丈夫って答えたよ。

だって兎はお昼寝の時間だからね。この平原には兎以外いないし。

そのおかげで兎が増えすぎて街の人は喜んでるんだけど。美味しいしね兎。

森に向かって歩くと、早速兎の気配がしたから何匹か仕留めてるとヤマトさんが興味を持ったみたい。


スキルとかメニューとか知ってるのかな?

私のJOBは狩人だから不意打ち(バックスタブ)が使えるんだけど、ヤマトさんはJOBなんだろう?

メニューを一回開いてもらおう。

「えっとJOBによって使えるスキルが違うんですけど、あ、ヤマトさんメニューを開いた事はありますか?メニューって言うと頭の中に文字が表示されます。慣れてくれば口に出さなくても使える様になるらしいです。私はまだダメですけどね」


アップゥちゃんが通訳する。

「おちんちんgygrwbllhsfr@おj@tgfj@g@おjさあsss」

!?

えっと・・・何か聞こえたような。通訳の中に変な言葉が。

気のせいだよね・・・

ちょっとそこの兎を狩ってこよう。あはははは

ヤマトさんに背を向けて兎を探す。

すると・・・


「おちんちん」


ビクッとして思わずヤマトさんを見る。見つめあう。今確実に言ったよね?


「おちんちん↑」


すんごい真顔で私を見つめながら言ってる!!!

顔が真っ赤になる私、恥ずかしくて後ろを向く。

帰りたい。もしかして私に変な事しようとしてる?怖いよ・・・

何度も何度も連呼するヤマトさん。どうしようどうしたらいい?

耳をふさいでしゃがみ込む。そこへヤマトさんの大声が。


「おちんちーーーーーーーーーーーん!!!」

「へ、変態!!」

不意打ち(バックスタブ)しヤマトさんに肘打ちし、短距離高速移動(とんずら)で逃げました。


疲れて倒れるまで走って、しばらく座って休憩したらちょっと落ち着いた。

思わず肘打ちしちゃったけど・・・思い出してみるとアップゥちゃんも通訳の時に言っていた気がする。

もしかしてそのせいでヤマトさんは勘違いして?

考えても考えても頭がグルグルする。

確かめよう。こっそり森まで付いて行ってヤマトさんが本当にしゃべれないか確認してみよう。

そう思い立ち森へ向かって歩き出した。


夕暮れ時の森に入る。お父さんが夜の森は危ないからダメって言っていたけどしょうがないよね。

うーん見つからない。もしかして森の方に行くだけで森には入っていないのかも。

すこし暗くなってきちゃったし帰ろう。

と思って後ろを振り返ったらいた。


カバが。


巨大なカバが。普通の動物の大きさじゃない。

「きゃあああああああああああああああああああああ」

悲鳴を上げ短距離高速移動(とんずら)で逃げる。こんなに短距離高速移動(とんずら)した事なんてない。

森を抜けたがカバが追いかけて来る。

短距離高速移動(とんずら)で引き離した距離も縮まり追いつかれる。

もうだめ・・・走れない。


座り込む。巨大なカバが近づいてくる。


「た、助けて・・・」

喉も枯れたが最後の力を振り絞って助けを呼ぶ。


BUOOOOO!!

カバが鼻息を上げながら私へ向けて走りだす。もうおしまいだ。

目をつぶって死のを覚悟する。


プッピッガン!

衝撃音と風圧が私を襲う。


目を開けるとカバはいなかった。いたのはカバより何倍も恐ろしい白いライオンだった。

深緑の目に睨まれ意識を失った。


「きゃあああああああああああああああああ」

白いライオンに襲われる夢をみて叫ぶ自分の声で目が覚める。

そこは窓のない不思議な部屋に閉じ込められた事に気づき再び悲鳴を上げる。

ベットがあるのに床に寝かされていた。

ベットの他は木箱が積んであるだけ。

私が寝ていたそばには緑の包装紙に赤いリボンの箱。私へのプレゼント?そんな訳ないよね。

不思議そうに箱を見つめていたらアップゥちゃんが声をかけてくれた。


「ミーサちゃんおはよ~元気いっぱいだね~」

先ほどの悲鳴で起きたらしいアップゥちゃん。目をこすりながらこちらに飛んできてくれたのだ。

「おはようアップゥちゃん。ここはどこ?死後の世界?」

「レオの中だよ~ミーサちゃんお漏らしして気絶しちゃったから~ヤマトが運んでくれたの」

言われて気づいたけどスカートが湿っていた。

「ヤマトはヴァチ国語しゃべれないんだ~変な事いってごめんね~ヤマトがその箱の中の服を着てもいいって言ってたよ~」

ヤマトさん本当にしゃべれなかったんだね。肘打ちしてごめんなさい。

この緑の箱には服が入ってるみたい。異国の文字で書いてあるから読めないけど。

「ありがとう着てみるね。」

箱を開けると青いミニスカートのドレスが入っていた。

「可愛い!」

セットで同じコーディネートのティアラと杖もあった。

「これも付けるの?」

ドレスはちょっと小さい気がしたけど不思議な素材なのか装備したとたんに大きさが変化しフィットした。

なんだかわからないけど体から魔力が沸き上がる気がする。特に水とか氷の魔法が使えそう。

試しに杖に魔力を込めると青い光がキラキラと光りだす。なんの素材何だろう。

楽しくなって色々ポーズをしてみる。その度に青い光が走り冷たい冷気が出たりする。

うーんもしかしたら異国のすごい装備なのかもしれない。

魔法の才能のない私でも魔法が使える装備・・・後で返さなきゃね。


足元からヤマトさんが声をかけ床の扉を開けて顔を出した。

お礼を言ったら普通にヴァチ国語で返事をされて混乱して逃げてしまった。

その後ゆっくり説明してもらってなんとか理解できた。でも信用はしてませんから。

信用しない私を見かねてヤマトさんが下へ手招きした。運転席っていうみたい。

運転席に降りて見ると見た事無い物ばかりで、ヤマトさんに聞いてみるけど「俺もわからん」の一点張り。


もしかして盗んだんじゃない?それに窓から見る景色がどうやったらライオンに?

怪しさを感じて外から見せてもらうことにした。

ヤマトさんが円形の何かを握ると景色が下がり、ヤマトさんはドアを開け外に出ました。

振りかえるとそこには白いライオンが。


本当だったんだ。ヤマトさんは命の恩人です。

お礼を言っていたら私を助けに来た兵士達とお父さんがいて、ヤマトさんを捕まえてしまいました。


私が何度命の恩人だと説明しても聞いてもらえず、縄で縛られて連れて行かれちゃいました。


お父さんに何とかならないか相談してみます!

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