俺の知らない所で戦争が始まってヤバイ
ワラサ街役所特殊消防部隊の必死な努力で鎮火した。
爆発火災現場にはカバ型の機獣の残骸が散乱していた。
目撃者によるとカバ機獣は城郭を飛び越し、回転しながら何度も攻撃しを最後には自爆したとの事だった。
付近を捜索したが操者の死体は見つからなかった。
ワラサ街役所は被害状況の確認や被害者の救済で大騒ぎとなっていた。
幸いな事に死亡者はおらず、ワラサ街役所特殊救急部隊の活躍によって怪我人も治療出来た。
そんな最中、熟練冒険者4人組によって白獅子の機獣に少女が誘拐されたとの情報が入った。
ギバライ国が機獣を開発しその力を持ってワラサ街を攻撃し、少女の拉致まで行った事が確定した。
この情報は即座にヴァチ首都へ伝えられた。
一方その頃、崩壊した巨大陸亀城の中で気絶していたギバライ国万機将軍ギズモは、瓦礫によって千切れた両足を確認すると、ヴァチ国から先制攻撃を受け壊滅した事を本国へ報告し、巨大陸亀城の爆発と共に息絶えた。
機獣を開発したのはギズモと数名の魔導士達であった。
ギズモが5歳の誕生日に初めてステータスを表示した時、表示されたJOBは操者であった。
この世界で初めて生まれたJOB操者であった。
ギズモは家族から即時に無理やり引き離され、操者について詳しく調査研究がおこなわれた。
少年だったギズモには辛く地獄の様な毎日訪れた。
ギバライ国魔力研究所が総力を挙げた結果、操者の魔力を使用して特殊な金属を動かす技術を開発した。
技術を活かし特殊な金属から獣を造り出し機獣となった。
人型も試みたが2足歩行のバランス調整が出来ず、研究は中止された。
ギズモはその能力を極限まで強化されスキル万機操縦術を会得した。
丁度40歳の誕生日であった。
万機操縦術はその名の通り1万機以上の機獣を操作する。
ギズモは千人隊長より上の万機将軍へ昇格し、今回の作戦を任されたのだ。
進軍はギズモ機獣部隊1万機とギバライ国重装部隊の1000人で構成されていた。
右翼に重装部隊、中央及び左翼にギズモ機獣を配置しギバライ国に最も近い町ワラサを目指した。
機獣を開発し戦力的に大幅な差をつけたギバライ国は、その1万機以上の機獣を持って無血開城を迫る予定だったのだ。
街の一つでも抑えれば降伏するだろうと。
しかし、ヤマトのレオが放った超次元破壊砲によって全滅した。
五時の方向から放たれた強力な光線は無慈悲な破壊を行い中央を貫通し左翼方向へ薙ぎ払われた。
右翼前方の重装部隊はギリギリ光線の範囲に入らなかったがその他は悲惨なものであった。
被害を逃れた機獣は操者が死んだ事により暴走し野良機獣となった。
操者が操縦術中に死ぬと野良機獣となることが発見された日でもある。
ギズモの最終報告を受けたギバライ国は先制攻撃を行ったヴァチ国を非難し、宣戦布告を行った。
また、ヴァチ国もワラサ街を先制攻撃されたと非難し、ギバライ国に宣戦布告を行った。
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そんな国同士の一大事を露知らず、レオの中では陽気な笑い声が響いていた。
「あはははは~広い広い~」
「不思議だな。こんな広い訳ないぞ」
長距離運転のトラックの運転席の上には仮眠スペースがある。
当然俺のトラックにもついていた。布団セットが一枚引いてあるだけだが重宝する。
収集センターから県外の配送センターへ運搬するのが俺の仕事だったからだ。
ミーサを車内で寝かすのは狭すぎる、そこで仮眠スペースの事を思い出したのだ。
開けてビックリ玉手箱。運転席の上の小さな扉を開くと、そこには俺が手を伸ばしても天井に届かない20帖の部屋があった。
中にはベットが一つ、それと木で出来た箱が山積みになっていた。
窓も無いのに部屋全体が薄っすらと白い光を放ち明るかった。
「わ~やわらかいよヤマト~」
ベットの上でピョンピョン跳ねて遊ぶアップゥを横目に木の箱へ近づく。
いったい何が入っているのだろうか。
鍵などは掛かっていない様だ。ギィッと音と共に箱はすんなり開いた。
中には紙で包装された箱、そしてその表面にはシロネコトマト宅配便の送付表が張り付けてあった。
山田花子さんから田中一郎さんへのお歳暮らしい。
中身はクッキーの詰め合わせか、悪くないなボリボリバリバリ
・・・・
いや、女神がもう帰れないっていってたし・・・食べてもいいじゃないか。
山田さん田中さんすいませんねぇ。悪いのは女神なんですよ。
おお、こっちはビールの詰め合わせか!佐藤さんすいませんねぇ。
俺はある程度物色し腹もいっぱいになったところで木箱漁りをやめる。
俺だって腐っても宅配会社の社員です。
お客様の荷物は神様です!キリッ!
ちなみに売り切れ続出のゲーム機や子供のヒーロー変身グッツが沢山あった。
流石クリスマス前だけはある、いい子のみんなサンタさんは今年休みかもしれないぞ。
下に置きっぱなしのミーサを思い出した。連れてこないとな。
子供とはいえ寝ているミーサを運転席の上の小さな扉に通すのは苦労した。
何回かミーサの頭をぶつけてしまったが起きなかった。
ぶつける度に「うっ・・・」「カバが・・・」「ライオンが・・・」とうなされていた。
ミーサを床に寝かせる。すまない湿ってるからベットには寝かせられないんだ。
その辺のトloveルメーカーの男子なら理由を付けて脱がすだろうが俺は違う。
ロリコンじゃないし脱がして拭いたりとかは流石に出来ない。
そのかわり送付表に子供服と書いてある箱を置いておく。
木村加奈ちゃんへのクリスマスプレゼントらしい。
サイズが合うかわからないけど着れなかったら後で別のを探そう。
アップゥがベットを占領して寝てしまったので俺は運転席で寝る事にする。
異世界に来て初日というのに色々あったな。
明日は平和だといいんだが。