ファイル1 『手長足長』の怪 【後編】
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壁に奇妙な模様が描かれている『取調室』
「ず~~~~っと黙ったまんまでさ、疲れないわけ?」
うんざりした声を出し、住吉創志はクセっ気の髪を指に巻いた。
彼の〝見た目〟年齢は『川霧刃』とそう変わらない。
しかし、『ジン』よりはかなり接しやすい雰囲気を持っている。
初めて会ったにもかかわらず、冗談を言い合って笑えるような〝ノリ〟がにじみ出ている青年だ。
「俺たちはさ、『妖怪』とか『物の怪』とか……。最近じゃ『妖』なんて言われ方もしているじゃない――」
机に顎をつけて、対面する『手長足長』に目を向けた。
眉を落とし、長い手足を小さくしてパイプ椅子に座る姿は哀れみすら感じる。
『手長足長』を拘束している手錠は、〝妖力〟を封じる石から作られているものである。
逮捕されてからは無言で大人しくしているが、暴れ出したとしても『人間』ですら取り押さえることが出来るくらいの力しか出せないだろう。
「昔と違って、今の世の中で暮らしていくのがどんなに大変なのかはさ、こっちだって経験しているわけよ。 だからってさ、人間に見つからないように姿を消して盗みを働くっていうのは、ダメだと思うんだよね~」
酔っ払いが愚痴っているような住吉の口調。
休憩を入れながら、取り調べを始めて七時間半――。
今まで生きてきた時間に比べれば一瞬ともいえる時間ではあるが、事件の事だけでなく雑談にも乗ってこないまま『黙秘』を続ける相手に、気力が萎えた住吉は疲れ切っていた。
「失礼します」
ドアが開き、桜香とタマモが入室してきた。
「あ、桜香ちゃんだ。やっほ~……」
疲れた声で、机に突っ伏したまま手をあげる住吉。
「え、と……『あの時』に小さくなってた……住吉さん。でしたよね」
桜香はペコリと頭を下げた。
『あの時』というのは、桜香が所轄の交通課にいた時に遭遇した〝妖怪〟がらみの事件のことだ。
突如、住吉の目に涙が浮かぶ。
「スンくん。何泣いてるの?」
タマモが首をかしげた。
どうやら『スンくん』というのは住吉の愛称のようだ。
「そりゃ泣くよ。俺は泣いちゃうよ!」
座ったままの住吉は椅子を回して桜香へ向くと、拝むように両手を組んだ。
「だってさ、『手長足長』が全然話してくれないから……朝からず~~~っと、俺ひとりでしゃべっているわけ! 久しぶりに会話のキャッチボールが出来たわけよ! こんなに嬉しいことはないじゃないか!」
「はいはいお疲れ様!」
タマモが住吉の手を取って立ち上がらせる。
「え、なに? 俺追い出されちゃうわけ?」
そのままドアの外に出された住吉が寂しそうにしている。
「交代してあげるから、スンくんは休んでていいよ!」
タマモは「ばいば~い」と言いながらドアを閉めた。
椅子に座って『手長足長』と対面する桜香。
「こんにちは、『手長足長』さん。私は崎守桜香といいます。朝に一度お会いしているんですけど、憶えていますか?」
うつむいたまま黙秘する『手長足長』。桜香は先を続ける――
「この事件についてちょっと気になる事があったので、少し調べてみました」
内ポケットから手帳を取り出す。
「まずは事件の発端から――――」
事件は、二週間前に『米田菓子店』の店主である米田米子(98)が、「最近店のお菓子がいつのまにかなくなっている」と、怒り心頭で交番にやって来たことで発覚した。
「いつのまにか、おばあちゃんが食べちゃったんだったりして」
怒れるおばあさんをなだめようと、巡査が言ってしまった不用意な一言。
「あたしゃまだボケとらんわいッ!!!」
おばあさんはさらに興奮し、勢いあまって入れ歯が飛んだそうだ。
そこへたまたま通りかかった代田が、この事件を預かってきたのだ。
ご主人を亡くして、生きがいは『駄菓子屋』だけとなった米子。
早朝の4時前には目を覚ましてしまう彼女は、ひまつぶしに朝早くから店を開けるようになった。
お客といえば、たまに通勤途中のサラリーマンが来てくれるだけ。
「最近の子供たちは〝駄菓子〟に興味はないのかねぇ……」
子供の声で賑わっていた〝昔〟を懐かしみながら、店の前を通る学生たちを見守っていたらしい。
「――ですが、ここ一ヶ月で『米田菓子店』さんに大きな変化がありました。夕方に、下校途中の小学生たちがたくさんお店に来てくれるようになったそうです。それは、〝いつのまにかお菓子がなくなっている〟と気付いた時期と重なるそうですが…… 偶然じゃない、ですよね?」
桜香は、ちらりと手帳から『手長足長』へ視線を移す。
変わらずうつむいたままではあるが、少しだけ『落ち武者』のような髪が揺れたのを、桜香は見逃していなかった。
「さきほど、お店にいた小学生たちにも話を聞いてみたんです。そしたら、“公園にいた子がお菓子を分けてくれた”。そう言っていました」
今まで見たことのない子で身なりは汚いが、おいしそうにお菓子を食べる姿が印象的だったらしい。
その子はくしゃくしゃの紙袋から、竹串に三つの団子が刺さったお菓子を取り出してみんなに分けた。
今時の子供は、〝知らない人から何かを貰う〟なんてことはほとんどない。
そういう教育をされているし、近年問題になりつつある〝人間関係の希薄〟も重なって、子供たち自身も〝知らない人には警戒〟するようになっているからだ。
しかし、相手が〝子供の姿〟をしていたのなら事情は変わってくるのかもしれない。
ビニールに包まれていないお菓子を見る機会などあまりない子供たちにとって、その子が差し出したお菓子は珍しいものだった。加えて、その子も食べているので危険なものだとは思わない。なにより、おいしそうに食べる姿に「どんな味なのだろうか?」という興味があった。
「私には〝その子〟があなたであるという証明は出来ません。なぜなら――」
「『人間』には、駄菓子屋さんに残っていた〝妖気〟を嗅ぎ分けるなんて出来ないしね」
隣に立つタマモの言葉に、桜香は軽く頷いた。
「〝その子〟が分けたお菓子は、小麦粉や玄米の粉などを使って練り上げて小さく丸めた団子に、砂糖をまぶして焼き上げ、さらにきな粉を振りかけた『米田菓子店』さんのオリジナルだそうです」
そっと手帳を閉じた桜香は『手長足長』を見据える。
「毎日手作りしているこのお菓子は、亡くなったご主人が考えられたそうです。今では、子供が親の手を引いて買いに来てくれることもあるとか――」
「お菓子が売れることもそうだけど、おばあちゃんは“お店に子供たちの声が戻ってきた”ってすごく喜んでいたよ!」
タマモの言葉に、『手長足長』が顔を上げた。
「そ、そうか。よ、喜んでいたか……」
彼の顔は穏やかで、とても満ち足りた表情をしていた。
「あ、あの店は――――」
今まで黙っていた『手長足長』が語りだす。
◇
戦後の混乱が続くなか、この国は貧困に苦しんでいた。
子供たちに与える〝お菓子〟などあるわけもないこの現状を嘆いた米子の夫は、今で言う〝脱サラ〟をして『菓子店』を始めた。
お菓子メーカーから仕入れる余裕などない彼らは、〝安い・おいしい〟を売りにした手作りのお菓子を店に並べたら――――予想していたよりも多くの子供たちが来てくれた。
子供が握りしめてくるお小遣いなどたかが知れている。
それを考慮した原価ぎりぎりの値段で売っていたため、儲けはほとんどなかったが、
「おいしいね!」
そう言って笑顔を見せてくれる子供たちに、夫婦の心は幸せで満ちていた。
多くの子供たちが集まっている事に興味を持った『手長足長』は、人間の子供の姿に化けて様子を見に行った。
小さなボロ屋ではあったが、作りたてのお菓子のいい匂いに自然と顔が綻んだ。
「ほら、ひとつ食べてみなさい」
そう言って〝きな粉団子〟を差し出してくれたのが、若かりし時の米子だった。
「で、でも……オ、オレ、お金持ってない……」
なにか欲しいものがあるならば、『お金』というものと交換する。
人間社会ではそうすることを『手長足長』は知っていた。
「そんなのいいから。お腹すいてるでしょ? おばちゃんたちが一生懸命作ったんだから、きっとおいしいわよ!」
米子は優しく微笑み、三つの団子がついた竹串を握らせる。
『妖怪』でもお腹は減る。しかし、人間のように餓死をすることはない。森や水――――この世の『自然』が放つ〝精気〟を吸って生きることが出来るからである。
ジッと米子を見つめていた『手長足長』は、ひと口それを食べた。
「お、お、おいしい!」
その味に目を見開く。
口の中に広がる甘みと香り。
これまでも“おいしい”と思えるものを口にしたことはあったが、このお菓子は特別だ。何とも言えない〝幸せな気分〟になった。
「でしょ! そんな顔で食べてくれるのが一番嬉しいわ、ありがとう!」
米子の満面の笑みに、いつのまにか『手長足長』も笑顔を返していた――――。
◇
「――け、けど、と、時が進むにつれて、子供たち、来なくなった。だ、旦那を亡くしてからは……げ、元気も、な、なくなった……」
悲しい顔をうかべる『手長足長』。
「旦那さんはもう戻っては来ないけれど、子供たちでお店が賑わえばきっと米子さんに笑顔が戻る……。そう思ったんじゃありませんか?」
「どういうこと?」
桜香の言葉にタマモが首を傾けた。
「あいかわらず『お金』を持っていない手長足長さんだけど、なんとかして米子さんに笑顔を取り戻したかった……。そこで思いついたのが、おいしいお菓子を配って子供たちに『米田菓子店』の存在を知らせる――。つまり、お店の宣伝をしたかったんですよね?」
その優しい声に、『手長足長』は小さく頷いた。
「あなたが黙秘していたのは、米子さんに対する負い目。あなたは〝盗み〟は悪いことだと認識できています。良かれと思ってやった事でも、米子さんを困らせてしまった事に変わりはない。だから、自分の口から言い出すことが出来なかった」
「オ、オレはもう……。あ、あの人の顔は見れねえ……」
「でしょうね。現に、あなたは米子さんが喜んでいるのを知らなかった。それは、早朝に姿を消して〝きな粉団子〟を盗む時以外は、あのお店に行っていなかったから……」
桜香は立ち上がる。
「手長足長さんに悪意があったとは思いませんが、それでも窃盗は犯罪です。あらためて供述書を作成しますが――協力してくれますよね?」
少し厳しめの口調。『手長足長』は「はい」と言って頷いた。
★
報告書を書き直した桜香は、代田へと提出した。
外はすっかり暗くなり、綺麗な三日月が窓から見える。
今日は朝早くから夜遅くまで、本当に大変な『初仕事』だった。
報告書に不備はなく、自分でもちゃんとした仕事をしたという実感があるのだが……。もう一つ、桜香にはやりたいことがあった。
「室長。明日の朝、『米田菓子店』さんに行ってみたいと思うのですが……」
報告書を読み終えた代田に、桜香はそう切り出した。
「その必要はない」
声の主はジンだった。
30分くらい前、どこかへ行っていた彼――川霧刃が戻ってきた。
勤務は終わっているのに帰ろうともせず、椅子に座って腕を組み、黙って目を閉じていたのだが…………。
「必要ないって……どういうことですか?」
桜香の問いに、ジンはめんどくさそうに目を開ける。
「あの婆さんは被害届を取り下げるそうだ」
「ばあさんって……米子さんのことですか?」
首を傾げる桜香に、ジンは舌打ちをした。
「他に誰がいる? 話の流れで察しろ。だいたいな……」
先を続けようとしたジンの頭を、
「もうッ! ジンは説明が足りないのッ!」
タマモが叩くと、ぴこっ! という音が出た。
彼女の持つハンマーは間違いなく『ピコピコハンマー』だ。
あ ほんとに持ってたんだ
今朝の事を思い出した桜香はそう思った。
「ジンはね、さっき『米田菓子店』に行ってあのおばあさんに事件の説明をしてきたんだって」
「事件の説明って……もしかして『手長足長』さんの事を話したんですか!?」
桜香は思わず大きな声を出してしまった口を押えた。
「あの年代の婆さんは迷信深い。すんなり――ってわけじゃないが、大方の内容は理解したようだ」
ジンは口を押えたままの桜香にため息を吐く。
「そ、それで……米子さんは『手長足長さん』を許してくれたんですか?」
口から手を離した桜香は心配そうな目をする。
「だから被害届を取り下げたんだろうが。しっかりと話を聞くクセをつけろ」
ジンは再び腕を組んで目をつむる。
ぶっきらぼうな言い方だが、今の桜香には気にならなかった。
「わ、私、『手長足長』さんに知らせてきます!」
桜香は一般の容疑者とは別にある、『特殊事件広域捜査室』専用の留置場へ向かうため、ドアノブに手をかけた。
「“またおいで”だとさ――」
部屋を出る直前、後ろからジンの声がした。
桜香は振り返ったが、ジンは目をつむったまま動きも話もしなかった。
「あれ、桜香ちゃんお出かけ? それとも帰るの?」
コンビニの袋をぶら下げた住吉が廊下を歩いてきた。
「そうだ、私行ってこなきゃ!」
話しかけられて我に返った桜香が廊下を走って行く。
「……どっちなわけ?」
開いたままのドアの前で、住吉は去った桜香を指差した。
「スンくんおかえり! 桜香ちゃんならお出かけの方だよ!」
笑顔のタマモが住吉に駆け寄り、コンビニ袋を奪って中身を物色する。
「あ~~~っ、油揚げがないっ! スンくん、ちゃんと買ってきてって言ったでしょ!」
振り向きざまのタマモのパンチ。
身長が低い彼女のソレは、立ちつくす住吉の股の間へと入っていく。
ぐにゃりとした感触にタマモの顔が青くなり
白目をむいた住吉の顔が赤くなる
「きゃああああああああああああ!!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアア!!!!」
廊下に響いた絶叫のハーモニー。
「なにやってんだか……」
呆れ声でつぶやいたジンは、寝るかのように机に突っ伏した。
代田は廊下ではしゃぐタマモと住吉を見ながら、
「わたしは先にいただくことにしようかな……」
机の引き出しから紙袋を取り出す。
それには――――『米田菓子店』の文字があった。
◇
「おはようございます」
次の日の朝、出勤した桜香は代田の机へと向かった。
「やっと辞める決心がついたのか」
桜香へ向けられた抑揚のないジンの声。
「え? 桜香ちゃん……辞めちゃうの?」
寂しそうにするタマモに、桜香は微笑んだ。
代田へと向き直ると、
「代田室長。昨日はいろいろとわがままを聞いてくださり、ありがとうございました」
頭を下げた。
「一晩考えてみました。私は〝ここ〟でやっていけるのか、この『特殊事件広域捜査室』にふさわしいのだろうかと……」
「それで、答えは見つかったかな?」
どことなく表情が硬い代田。
「はい。 あ、いえ……ちゃんとした答えを出せたわけではないんですけど。で
も私――――」
桜香は軽く深呼吸した後、
「至らぬところも多々あるかと思いますが、ここで……この『特殊事件広域捜査室』で頑張ってみようと思います!」
明るい笑顔を見せた。
「やったあ! 桜香ちゃんよろしくね!」
駆けてきたタマモが桜香に抱きついた。
「こちらこそよろしく! タマモちゃん!」
微笑み合うふたり。
「まともな女の子が入ってくれるのは嬉しいよ。俺の事は〝住吉さん〟じゃなくて、〝住吉くん〟か〝創志くん〟って呼んで! 俺的には後者を希望!」
桜香は、
「うん、ありがとう。よろしく、住吉くん!」
差し出された手を握り返した。
「そっちは前者なんだけどな~」
「ちょっとスンくん、馴れ馴れしいよ!」
タマモが住吉の手を払った。
「まあまあ、それくらいにして――――」
立ち上がった代田が机をまわって桜香の隣に並んだ。
「それでは、あらためて紹介しよう。崎守くんはみんながどんな『妖怪』なのか聞いているかな?」
「いえ。そこまでは……」
『特殊事件広域捜査室』の捜査官は、自分以外『妖怪』であるという事は知っている。しかし、どんな妖怪なのかまでは聞いていないし聞くことも出来なかった。
「では、わたしからだな。代田五郎と名乗っているが、わたしはキミたちで言うところの『ダイダラボッチ』という妖怪だ。足跡が湖沼になったとか、山を作ったとか言われているが……。 本当なのかどうかは崎守くんの想像に任せるよ」
代田は笑みを絶やさない。
この広い心で、ひと癖もふた癖もある捜査官たちを束ねているのだろう。
「んじゃ、次は俺ね! 有名だから驚いちゃうかもよ~」
住吉は親指で自分を指す。
「俺は住吉創志。で、『一寸法師』。おとぎ話で聞いたことくらいあるでしょ? この〝打ち出の小づち〟を使えば、どんな奴でも身体の伸縮が出来るわけ。とはいっても、小さくしたり元に戻したりできるだけで、元からさらに大きくは出来ないんだけどね」
腰につけた〝小槌〟を見せた。
それはとても小さく、まるでキーホルダーのようである。
「ええぇぇぇぇッ! 一寸法師って『妖怪』だったの!?」
これには桜香も驚いた。
「現代ではどこに分類されているのか知らないけどさ、昔はそう言われてた時もあったわけ」
「次はわたしわたしっ!」
住吉を押し退けたタマモが桜香の前に立つ。
「わたしはね、那須野玉藻。 え~と…………『九尾の狐』って言ったらわかるかなぁ?」
「あ だから『玉藻』なのね」
桜香は納得した。
定かではないが、『九尾の狐』というのは『玉藻前』という女の人が〝化けていた〟と記憶している。
「――――――」
皆の視線を受けているが、ジンは目をつむったまま微動だにしない。
「お~い。次はジンの番だよ~」
タマモの声にも反応しない。
あからさまな無視をしている。
私って、そんなに嫌われているの?
そんな桜香の心情を悟ったのか、
「彼はここで一番のくせ者でね。〝根〟は悪くはないんだ――」
代田がフォローに入り、
「――川霧刃くんは……そうだな、『かまいたち』といえばわかりやすいだろうね」
何も言わないジンに代わって紹介した。
「本当はあと二人いるんだけどね。今は捜査で遠くに行ってるから、戻ってきたら紹介してあげる!」
明るく言ったタマモに、桜香はぎこちない笑顔を返した。
私だってもうここの一員なんだ。しっかりしなくっちゃ!!
桜香は心で気合いを入れる。
〝妖怪による事件〟を扱う部署――『特殊事件広域捜査室』。
桜香は、姿を消している妖怪を見極めることが出来る数少ない人間のひとり。
それを思えば、自分がここに配属された理由は解る。
役に立てるのかという不安を拭いきる事は出来ないが……。
自分の意思で、桜香は今日新しい一歩を踏み出した――――。
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読んでくださり ありがとうございました。